Daily report for 15 November 2022

Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022

閣僚たちが、ハイレベル会合でのスピーチで自国の優先策を述べるなか、交渉担当者は、保留項目の解消に努力した。この日の会議の終了時でも、多数の問題が未解決のまま残され、閣僚たちは、残された項目を議論する予定である。

議長職の協議

カバー決定書:代表団のトップ同士は、オブザーバーにも開かれた会合を開催、その共同進行役を務めたWael Aboulmagd及びMohamed Nasr (エジプト)は、カバー決定書の要素に関するノンペーパーへの締約国コメントを求めた。

多数のものは、実施に焦点を当てるよう求め、実施を決定書に「注入する(infuse)」方法について、異なる意見を述べた。3つの開発途上国グループは、衡平性及び共通するが差異のある責任(CBDR)が中心だと指摘、あるものは、文書全体で実施ギャップを認めるよう求めた。少数のものは、次の要素を含める、グラスゴー気候協定の全要素の実施を指摘した:石炭火力の段階的削減、メタン排出量の削減、正当な移行の支援、適応資金の供与。少数のものは、グラスゴー気候協定の全要素のアカウンタビリティをバランスのとれた形で文書に入れるよう希望、2つのグループは、透明性の向上を希望し、アカウンタビリティという用語の削除を求めた。

1.5℃目標に関し、多数のものは、この挿入を支持し、あるグループは、これは「譲れない線(red line)」だと述べ、2つのグループは、1.5℃目標ではなく、パリ協定の気温目標への言及を求めた。

次のアイデアが追加された:技術メカニズムの2年間作業プログラムの設置;新しい化石燃料の生産終了;石油及びガスの採掘を段階的に廃止するか、それとも段階的に削減するか;損失損害対応基金の設置;気候変動に関する政府間パネルに対し、適応に関する特別報告書の作成を求める;資金常任員会に対し、気候変動による負債(の増加)に関する報告書の作成を要請する;先進国の1千億米ドルの気候資金目標が達成されていないことへの失望感を表明する。

除去では、次の題目などが提案された:多国間開発銀行(MDBs);民間部門;自然ベースの解決策;UNFCCCの外の組織及びイニシアティブ;パリ協定の再交渉または再解釈となりうる、新しいマンデート。

多数のものは、実質的な文書を求めた。協議が続けられる。

ストックテイキング・プレナリー:夕方、COP 27議長のSameh Shoukryは、短時間のストックテイキング・プレナリーを招集し、一定の進展はあったが、野心的な気候行動を推進するには、さらなる作業が必要だと告げた。同議長は、さらなる技術的作業を必要とする項目があり、11月16日水曜日に結論がでることを希望すると述べたが、他の項目はハイレベルな政治的議論を必要としていると述べ、次の項目での閣僚級会合を提案した:

  • 緩和作業プログラム、議長を務める閣僚は、Barbara Creesy (南アフリカ)及びDan Jørgensen (デンマーク);
  • 適応世界目標、議長は、Aminath Shauna (モルディブ)及びTeresa Ribera (スペイン);
  • 資金、特に新しい集団の数量目標(NCQG)、議長は、Bhupender Yadav (インド)及びChris Bowen (オーストラリア);
  • 第6条及び関連項目、議長は、Grace Fu (シンガポール)及びEspen Barth Eide (ノルウェー);
  • 損失損害の資金、議長は、María Heloísa Rojas Corradi (チリ)及びJennifer Morgan (ドイツ)。

議長のShoukryは、進行役全員と会議し、今後の進め方の評価を続けると述べた。

COP

資金問題:長期資金:Carlos Fuller (ベリーズ)及びGertraud Wollansky (オーストリア)を共同進行役とする非公式 協議で、共同進行役は、改訂版の決定書草案へのコメントを求めた。ある開発途上国グループは、一部のパラグラフは既に合意された文章の解釈ミスであると述べ、野心引き上げの必要性も文書に入れるべきだと述べ、UNFCCCプロセスの外のイニシアティブへの言及削除を求めた。別な開発途上国グループは、文書での適応と緩和のバランスを改善すべきだと述べたが、他のグループは、MDBsは資金のグラントの割合を高めるとの、直接的な表現を求めた。

ある先進国は、この草案は先進国の努力及びこれまでの進捗の記述が不適切であると述べ、別な先進国は、1千億米ドルの約束の文章は重複しており、スリム化するよう求め、他の先進国は、文書全般のスリム化及び短縮を促した。

農業に関するコロニビア共同作業(KJWA)非公式協議で、共同進行役のMonika Figaj (ポーランド)は、前夜の非公式な非公式協議での提出文書を反映して作成された新しい文書の変更点について説明した:実施及び行動の重要性を強調するタイトルに改定;締約国の提出文書の要求事項を、作業プログラムに関するものと、オンライン・プラットフォームに関するものの二つに分けた;補助機関に対し、COP 30への報告を要請する。共同進行役のFigajは、KJWAの成果を実施する3年またはオープンエンドの共同作業プログラム設置に関する文章に、括弧書きのオプションを残した。

少数のグループ及び締約国は、改定文書は良い議論の土台になると述べ、共同進行役に感謝した。あるオブザーバーは、締約国に対し、食糧安全保障、生態系の十全性、生物多様性の保全、持続可能な土地利用を確保する必要性を想起した。午後、非公式な非公式協議が招集された。

条約の長期世界目標(LTGG)の第2回定期レビュー:非公式協議で、共同進行役のAndrew Ferrone (ルクセンブルク)は、意見の集約を得るため、締約国の「最大限の柔軟性(maximum flexibility)」を求めた。

議論では、衡平性のパラグラフに焦点を当てた、このパラグラフには、LTGG達成での衡平性の重要性を記述する方法に関し、多くの括弧書きのついた2つのオプションを記載する、そのうちの1つのオプションは条約の表現を反映する。このパラグラフに関する意見は大きく分かれたままであった。一部の締約国は、「締約国は、最初から異なる立場に立ち、異なる状況に直面し、LTGG達成に貢献する機会も異なる(partiers have different starting positions, face different circumstances, and have different opportunities to contribute to achieving the LTGG)」とする新しい第3のオプションを支持した。少数の開発途上国は、第3のオプションに反対し、衡平性及びCBDRに関し条約で合意された表現の再定義に警告した。共同進行役は、文書の新しいバージョンを作成する。

CMA

適応世界目標に関するグラスゴー・シャルムエルシェイク作業プログラム:非公式協議で、共同進行役のMattias Frumerie (スウェーデン)は、2023年作業プログラムのモダリティ、タイムライン、文書提出などの技術的要素に関する意見に焦点を当てるよう要請した。一部の開発途上国グループは、最初に枠組の議論をし、モダリティの議論に情報を与えることが重要だと強調した。ある先進国は、枠組と組織化アプローチの妥協、そして2023年のワークショップを両者の調整に用いることを提案:初めの2つのワークショップは、作業プログラムを完成させ、GSTへのインプットを検討する組織化アプローチ;最後の2つのワークショップは、将来の作業における枠組の必要性を考察。

モダリティに関し、締約国は、2023年のワークショップはバーチャル方式の参加オプションも可能とする、対面方式での開催で意見が集約した、このバーチャルな参加について、開発途上国グループは、全面的で積極的な参加を可能にすべきだと強調した。非公式協議は夜遅くまで続いた。

ワルシャワ国際メカニズムのサンチャゴネットワーク:Cornelia Jäger (オーストリア)及びLucas di Pietro (アルゼンチン)を共同進行役とする非公式協議では、非公式な非公式協議の結果報告で、「文書の85-90%(85-90% of the text)」で進展があったと指摘された。残りの4つの保留項目は:サンチャゴネットワークの資金;ネットワークの執行委員会の構成;アクセス・モダリティ;レビュー。締約国は、非公式な非公式協議を夜まで続けた。非公式協議は、11月16日水曜日の朝に再開する。

資金問題:NCQG午前中、共同進行役のZaheer Fakir (南アフリカ)は、最新の文書草案へのインプットを求めた。多数の締約国は、この文書は今後の議論の良い土台になると見た。ある先進国は、文書の一部の要素は矛盾しているようだと述べた。ある開発途上国グループは、この文書には大胆さが欲しいと述べた。

ある先進国は、特定の資金上の数字を含める提案は時期尚早だと述べ、別な先進国は、NCQGは最終的には量的要素及び質的要素を含める可能性があると述べた。

題目別専門家ダイアログの題目のオプションについて、少数の先進国は、2023年より後の題目の設定に反対し、そのうちの1国は、文書では専門家の助言の重要性を強調し、行動本位のものにすべきだとも述べた。

ある開発途上国グループは、以前に合意された表現とは異なる新しい表現を用いた序文パラグラフに警告し、貢献者の基礎(contributor base)の議論は「有用でない(non-starter)」と述べ、2023年は新しい目標に向かって動く重要な一年だとも述べた。

62項項の協力的手法へのガイダンス:Peer Stiansen (ノルウェー)及び共同議長のKuki Soejachmoen (インドネシア)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、決定書草案の次のセクションについて」意見交換をした:第6条データベース;集中会計及び報告プラットフォーム(CARP);レジストリ;初期報告の概要。

データベース及びCARPに関し、締約国は次を求めた:この両者の相互運用性(interoperability)を説明する;データベースの機能性及び捕捉する情報;提出された情報の一貫性チェック手順の推敲;共通の命名法に関する追加作業。

レジストリに関し、締約国は、国際レジストリの設計で2つの異なる観点を明らかにした、一つはレジストリを記録及び勘定(accounting)目的のみに用いると見るもの、もう一つはユニットの移動を可能にすべきと見るものである。多数のものは、後者の機能を締約国のオプションとし、両方の調整を図る橋渡しアプローチでの議論を、支持した。ある開発途上国グループは、勘定(accounting)レジストリとして開始し、その後、取引レジストリを構築していくことを提案した。

締約国は、異なるレジストリの関係性について理解を深めることを提案し、一部のものは、第6条4項項レジストリと国際レジストリを強調した。あるグループは、非集中型システムでのデータの調整コストを検討する必要があると指摘し、ある開発途上国グループは、国際レジストリからのデータの自動公開に警告した。

初期報告に関し、少数のグループ及び締約国は、このCMAの優先事項は概要と報告のレビューでの合意だと述べた。先進国及び2つの開発途上国グループは、概要に図示説明の(illustrative)文章を暫定的に入れ、キャパシティビルディングに役立てることを支持したが、2つの開発途上国グループは反対し、必要事項が増えると述べた。

共同進行役は、締約国による非公式協議継続を奨励し、今後の進め方については議長職と協議すると述べた。

64項メカニズムの規則、モダリティ、手順:Kate Hancock (オーストラリア)及びSonam Tashi (ブータン)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、決定書草案のレビューを一巡した。

ホスト締約国の報告のセクションに関し、締約国は、第6条4項 排出削減量(A6.4ERs)の承認で生じる、第6条2項のアカウンティング及び報告作成上の必要事項について、初期報告関係も含め、自分たちの理解を明らかにした。多数のものは、このセクションではなく決定書の表書きに関連のグラスゴー文書への言及を入れることを支持した。ある開発途上国グループは、二重の報告義務を懸念したが、一部のものはその懸念に応えて、第6条4項のレビューは活動レベルに注目するが、第6条2項は国レベルに焦点を当てると指摘した。

メカニズム・レジストリの運用に関し、2つのグループは、何が未承認ユニットか、その用途、発行プロセスを明確にする必要があると強調し、あるものは、レジストリの設計にはその基本仕様(specifications)を理解する必要があると述べた。ある開発途上国グループは異議を唱え、締約国は未承認のA6.4ERsには「何もすることがない(nothing to do)」と述べ、現在出回っている自主的な炭素市場ユニットと対比した。ある開発途上国は、各国は第6条4項メカニズムを用いたクレジットの発生とその国内利用を希望するだろうと述べ、別な開発途上国グループは、全ての締約国に承認ユニットの使用目的表示を要求するという橋渡し案を提案した。

締約国は、次の項目を短時間議論した:事務管理費及び適応を目的とする収入の一部;決定書表書きのパラグラフ;世界の排出量の全体的な緩和(OMGE)を実現するプロセス。OMGEに関し、締約国は、OMGEの取り消しは、未承認A6.4ERsに適用すべきか、または適用可能とすべきか議論し、一部のものは、相応の調整(corresponding adjustment)だけがOMGEを実現できると指摘した。

午後、締約国は次のセクションに関する議論を続けた:国内制度及び回避(national arrangements and avoidance);第6条4項監督機関の2023年の委任された作業などの提案事項。共同進行役は、締約国による夜の非公式協議を奨励した。

68項の非市場アプローチ枠組の作業プログラム:Maria Al-Jishi (サウジアラビア)及びJacqueline Ruesga (ニュージーランド)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、決定書草案の次のセクションについて、意見交換した:非市場アプローチ作業プログラム活動の注目分野の追加;協調ネットワークと作業グループ;2026年の活動レビューへのインプット。締約国は、前夜の非公式な非公式協議からの報告を聴取、橋渡し提案の提起、締約国の意見の明確化があったとの指摘を受けた。

締約国は、24件の追加可能な注目分野を削る方法について、長時間議論し、多数のものは、グラスゴーで合意(決定書4/CMA.3)された3つの注目分野である適応、緩和、クリーンエネルギーの下にまとめることを提案した。ある開発途上国グループは、躊躇感を表明し、全体的で総合的な見方をとる必要があると強調した。多数のものは、このリストにはテーマとイニシアティブの両方やプロセスを含めると指摘し、あるグループは、REDD+の削除を求めた。大半の締約国は、橋渡し提案で意見がまとまった、この提案は追加の文書提出を要請、事務局には分野の調整方法に関する統合報告書の作成を委任する。

ネットワーク及び作業グループに関し、開発途上国は、調整の促進及びニーズと支援のマッチングを重要視すると強調したが、一部の先進国は作業プログラムの実施を遅らせるとして、反対した。大半の締約国は、決定を延期し、事務局にUNFCCCのベストプラクティスの分析を委任するという、ある開発途上国グループの提案を支持した。

レビューに関し、共同進行役のAl-Jishiは、このセクションの元々の推進案者は時期照応尾であったとしてその削除に同意したと指摘したが、ある開発途上国グループはこの段階での削除に反対した。

共同進行役は、締約国に追加の橋渡し案の提出を求め、11月16日水曜日の朝までに文書の新しいバージョンを発行すると述べた。

COP/CMA

資金問題:資金常任委員会:非公式協議で、共同進行役のDominic Molloy (英国)は、これまでのインプットや議論を取り入れた草案の改訂版の検討を求めた。参加者は、文書の多様なセクションにコメントしたが、多数の問題は未解決のまま残された。少数の締約国は、この文書をCOPのものとCMAのものの2つに分けることを提案し、少数の発言者は、文書のスリム化に向け多様な意見発表や提案の提起を行った。協議が続けられる。

地球環境ファシリティ(GEF)に対するガイダンス:非公式協議で、共同進行役のToru Sugio (日本)及びRichard Muyungi (タンザニア)は、11月13日日曜日に配布された文書草案へのコメントを求めた。多数のものは、これは議論の良い土台になるとして、歓迎した。

GEF-8資金防臭など、GEF関係の変更やイベントに関する文章では意見の違いが表面化した。先進国は全般的に、これらを「歓迎する(welcome)」よう求めたが、多数の開発途上国は、前回の資金募集と比較したGEF-8での資金募集レベルの変化に、「留意する(note)」または失望感を表明することを求めた。

一部の開発途上国は、ジェンダーの項目でのアイデンティティへの言及を削除するよう求めたが、先進国は、参加性を高めることの重要性を指摘し、その保持を求めた。ある先進国は、この項目と別な項目での交渉の同時進行を指摘し、この項目の議論では、可能な限り他の項目の交渉を参照すべきだと述べた。

GEFの透明な資源配分システム(System for Transparent Allocation of Resources (STAR))の文章に関し、ある開発途上国グループは、特定の国の気候資金の受け取りを妨げる政治手段は用いられるべきでないと述べた。協議が続けられる。

緑の気候基金(GCF)に対するガイダンス:非公式協議で。共同進行役のRichard Muyungi (タンザニア)は、文書の新バージョンを提示した。参加者は、これを作業の土台として歓迎し、多数のものは、削除箇所や文書スリム化の追加提案を述べた。少数のものは、マイクロマネジメントになりうると見た文章の削除を提案した。ある開発途上国グループは、パリ協定第2条1(c)項(低排出で気候レジリエントな開発と合致する資金フロー)への言及に懸念を表明、これは第9条(資金)及び第2条2項(衡平性及びCBDR)の観点で考えられるべきだと述べた。ある開発途上国グループは、独立技術諮問パネル(Independent Technical Advisory Panel (ITAP))など、追加のガイダンスを文書に入れるべきだと述べ、「リスクへの関心(risk appetite)」の無さに焦燥感を表明した。ある先進国は、地方コミュニティの「権利(rights)」を「利益(interests)」に変更することを提案した。夜遅く、協議が再開された。

廊下にて

保留問題のリストは、短縮を頑固に拒否し続けた。締約国は、設定の切り替えを試み、非公式な非公式協議や議長職協議で議論を続けたが、進展の兆候はみられなかった。多数の技術項目に加え、「アフリカの特殊事情を認識するとの希望の実現は、見通しが暗い(hopes of recognizing the special circumstances of Africa—while in Africa—are dim)」と、ある参加者は嘆いた。カバー決定書を巡る「HOD」協議は3時間以上に及び、多数のものは、残された時間でまとめられるかどうか、疑問視していた。ある参加者は、会議場を後にしつつ、「保留項目のリストは長くなってきたが、実際の決定書は得られていない(the list of issues is now even longer and we still have no actual text)」と述べ、別なものは、これらの決定書はどうやって「これほど早く息を吹き込まれるのか(have so quickly taken on a life of their own)」と、不思議がっていた。

閣僚たちは、全ての項目ではなく、一部の項目の議論を始める。ジェンダーや農業、対応措置などの項目は、技術的すぎると見られている。政治的な交渉に望みをかけた資金交渉担当者は、失望する可能性がある。閣僚たちは、 NCQGのみを議論する予定である。他の多くの資金問題は、少なくとも当面は、交渉担当者に委ねられる。

Further information

Participants

National governments
UK
US
Negotiating blocs
European Union

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