Daily report for 7 November 2022
Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022
シャルムエルシェイク気候変動会議の第2日、会議場を埋め尽くしたのは各国首脳、政府代表、及びその随行団であった。指導者たちの到着は、気候行動のモーメンタムを感じさせた。同時に、政府間の交渉も進み、パリ協定第6条2項の協力的手法など、議題によっては、収容人数を超える参加者が押し寄せた。
シャルムエルシェイク気候実施サミット
開会式典:エジプトのAbdel Fattah El-Sisi大統領は、気候実施サミットのテーマー「共に実施を(together for implementation)」に焦点を当て、締約国は排出量削減計画を明示し、開発途上国のニーズ、特にアフリカ諸国のニーズを優先する実施ロードマップを作成すべきだと述べた。同大統領は、ロシアとウクライナの不要な戦争の中止を呼び掛けた。
国連のAntónio Guterres事務総長は、ウクライナでの戦争は気候行動を後退させる理由にはならないと警鐘を鳴らし、次の行動を求めた:全てのG20諸国は、再生可能への転換を加速させる;米国及び中国のリーダーシップで、気候連帯協定、特に先進国と新興経済国間の協定(を締結する);化石燃料企業による想定外の利益に課税する;5年以内に早期警告システムを全世界に広げる。同事務総長は、「協力するか、滅亡するか(Cooperate or perish)」だと警告し、「気候での失敗は、集団自殺行為だ(failure to deliver on climate is a collective suicide pact)」とも述べた。
アラブ首長国連邦のMohamed bin Zayed Al Nahyan大統領は、気候行動での協調努力、イノベーション及び経済多角化の促進を呼びかけ、UAEは、必要とされる限り、石油及びガスの供給者であり続け、持続可能な経済社会の発展に向け、投資及びパートナーシップを促進すると述べた。
セネガルの大統領で、アフリカ連合の議長でもあるMacky Sall大統領は、各国のNDCsに設定された現在の適応資金レベルではアフリカのニーズを満たせないと嘆き、先進国に対し、1千億米ドル目標などの約束遵守を求め、「汚染したものはその分を支払うべきだ(those who pollute more have to pay more)」と強調した。
London School of Economicsの理事、Minouche Shafikは、グリーンな産業改革、譲渡型資金供与、クリーンエネルギーへの融資の三倍増を呼びかけ、炭素市場は炭素吸収源に富んだ国の収入源になるべきだと述べた。
若い気候活動家のLeah Namugerwaは、世界の指導者にとり、正義とは「生命より利益を選ぶ(choose profits over lives)」ことを意味するのかと問い、そのような指導者は「権力をもっても、何もしなかった(a lot of nothing while in power)」ものとして記憶されるだろうと警告した。
米国の元副大統領であるAl Goreは、化石燃料植民地主義を終わらせ、世界銀行を改革し、毎年4.5兆ドルという気候資金のニーズを満たすため、民間資本へのアクセスを可能にすべきだと述べた。
ブレーメン大学のVeronika Eyringは、サイエンスは「われわれは道筋にたっていない(we are not on track)」ことを明示しているとし、生態系サービスを回復させ、社会の保全を図る自然ベースの解決策推進を求めた。
バルバドスのMia Mottley首相は、1.5℃保持に向けた進展の無さを指摘、クリーンな技術移転の欠如を嘆き、「今日の世界は帝国主義時代とあまり変わっていないようだ(the world today does not seem very different from when it was an imperialistic empire)」と指摘、譲渡型資金供与の重要性を強調、ブレトンウッズ体制の改革を求めた。
UNFCCC事務局長のSimon Stiellは、指導者に次を求めた:ハイレベル・ステートメントで示されたビジョンとそれぞれの交渉上の立場との一貫性を確保する;国内の気候計画の強化及び実施推進のため閣僚を招集する;気候危機の緊急性を全業務に反映させる。
欧州復興開発銀行のOdile Renaud-Basso総裁は、多国間銀行(MDBs)の立場で発言、MDBsはネットゼロ転換に取り組む国家及び都市への支援を強化すると強調し、気候と生物多様性のリンクを推進する自然ベース解決策に焦点を当てた。
指導者ステートメント:コンゴ共和国のDenis Sassou Nguesso大統領は、惑星の再植林は利用可能な最善の解決策の一つであると述べ、自国は世界でも森林伐採が最低レベルである国の一つだと指摘、「再植林の10年」の設立を求めた。
ヨルダンのAbdullah II ibn Al Hussein国王は、難民と難民受け入れ国は気候変動に最も脆弱であると指摘、ヨルダンの気候難民ネクサス・イニシアティブ(Climate Refugee Nexus Initiative)について説明し、このイニシアティブは気候変動の直撃を受けた難民受け入れ国の支援を優先すると述べ、各国の支援を求めた。
ガボンのAli Bongo Ondimba大統領は、アフリカはGDPの9%を気候変動への取り組みに費やしていると指摘、適応及び正当な転換のための資金供与を求め、ガボンは2009年のCOP15以後、大気中から1.5ギガトン近い二酸化炭素を吸収してきたと述べた。
セイシェルのWavel John Charles Ramkalawan大統領は、セイシェルのマングローブや藻場は国内排出量を「きれいにする(clean up)」だけでなく、世界の排出量もきれいにしていると強調、多元的脆弱性指標(multidimensional vulnerability index)を指摘し、譲渡型の資金供与を求めた。
ルーマニアのKlaus-Werner Iohannis大統領は、低炭素経済に必要なスキル養成では教育や研究が重要だと強調し、干ばつが進む中で、レジリエントな食糧生産や発電を確保するカギになるとして、適応に焦点を当てた。
モーリタニアのMohamed Cheikh El Ghazouani大統領は、モーリタニアではグリーンな水素生産など、再生可能エネルギーの生産拡大に成功したと強調、このような努力を支援するパートナーシップを呼びかけた。
フランスのEmmanuel Macron大統領は、脆弱な諸国の焦燥感に理解を示し、次の行動などで、「針を動かす(move the needle)」方法について説明した:新興経済国との合同エネルギー・パートナーシップ設置;大量のカーボンを貯蔵する生態系保護のため、生物多様性に富んだ国とも同様のパートナーシップ枠組を設置する;脆弱な諸国のニーズに応えるMDBsとする。
タンザニアのSamia Suluhu Hassan大統領は、COVID-19パンデミックでの学習事項を共有し、サイエンスは経済の繁栄と環境の豊かさとの関係性を示していると指摘、タンザニアの課題は気候変動と戦う措置の実施資金調達であると強調し、植林や森林保全などの保全措置に焦点を当てた。
イラクのAbdul Latif Rashid大統領は、暴力や戦争によるイラクの開発の遅れを嘆き、イラクの主な課題は水危機への対応であると述べ、メソポタミアでは洪水が多かったが、今では水が欠乏していると指摘した。
スロバキアのZuzana Čaputová大統領は、「われわれは、なぜとか、どうやっての議論(we talked about the why and how)」を長くやりすぎたとし、「今こそ、行動する時だ(now is the time to act)」と強調、近視眼的な解決策を批判、グリーンな転換は容易でもなければ安価でもないと指摘、「全体の脆弱性を集団のレジリエンスに変換する必要がある(we need to transform our collective fragility into our collective resilience)」と強調した。
中央アフリカ共和国のFaustin-Archange Touadéra大統領は、「人類を危険に陥れた最大の責任者(the ones most to blame for endangering humanity)」は豊かな国と最大の汚染者たちだと強調、これらの諸国は貧しい国の気候行動に資金支援をするよう促した。
モザンビークのFilipe Jacinto Nyusi大統領は、衡平なエネルギー転換を段階的に進め、経済開発へのマイナスの影響を緩和する必要があると述べ、モザンビークは中期的にはガスなどの国内の自然資源の利用を続けると述べた。
キリバスのTaneti Maamau大統領は、「重要な解決策はまだ遠い、われわれの適応方法を決めつけ続けている多国間組織の慈悲に頼っているからだ(major solutions remain distant because we are at the mercy of multilateral agencies who continue to determine how we adapt)」と嘆き、それでも希望はあるとして、効果的な適応計画策定に向け、データやキャパシティビルディング、技術移転、国ごとの科学予測を求めた。
ケニアのWilliam Ruto大統領は、アフリカン・グループの立場で発言し、アフリカのクリーン・エネルギー・ポテンシャルにテコ入れする、アフリカ向けの投資を促し、2023年に、持続可能な経済転換及びグリーンな成長に焦点を当てる(アフリカ)大陸気候行動サミットを開催する計画について説明し、カーボン・クレジットは「ケニアの次の重要な輸出品(Kenya’s next significant export)」であるとし、仲介者ではなくコミュニティを助けるカーボン市場の開発を求めた。
スイスのIgnazio Cassis大統領は、世界の排出量の80%を占めるG20諸国がさらなる努力をしない限り、1.5℃の世界には届かないと指摘、COP 27で主要な緩和作業プログラムを立ち上げる必要があると述べ、各国に対し、化石燃料から離れる時間枠を明記した文書の提出を求めた。
トンガのTupou VI世国王は、トンガでの最近の火山噴火を嘆き、海水を飲料水に換える脱塩技術の必要性を指摘、気候にやさしい安価な輸送方法の必要性を強調した。
ラトビアのEgils Levits大統領は、エネルギー安全保障を強化し、気候変動を緩和するため、再生可能エネルギーへの転換を早めるよう促し、2050年までに気候ニュートラルにするというラトビアの目標について説明、ラトビアの2つの都市は2030年までに気候ニュートラルとなる欧州の100都市に入る目標を立てていると述べた。
コロンビアのGustavo Petro大統領は、市場は問題を作り出しており、主な解決策にはなりえないと認識、次で構成される「ダイアログ」を提案した:国際通貨基金は開発途上国での投資及び適応の債務スワップ・プログラムを開始する;アマゾンなど、「惑星の柱(pillars of the planet)」を保全する。同大統領は、コロンビアはアマゾン保全用に、20年間、毎年2億米ドルを支出すると述べた。
ザンビアのHakainde Hichilema大統領は、気候への適応は最優先事項であり続けるとし、COP 27での適応世界目標の進展を求め、ザンビアの資源は限られているが、ザンビアは気候変動との戦いに可能な限り努力し続けると強調、個別の利益より集団の行動を優先するよう求めた。
ジブチのIsmaïl Omar Guelleh大統領は、気候変動の影響は一般の健康や水のインフラにもリスクであると強調、アフリカの固有のニーズ及び特有の状況を認識するよう求め、先進国に対し、毎年1千億米ドルという約束の実現を促した。
指導者たちのステートメント発表は夜まで続けられ、11月8日火曜日に再開される。
COP
資金問題:緑の気候基金へのガイダンス:地球環境ファシリティへのガイダンス:Toru Sugio (日本)とRichard Muyungi (タンザニア)を共同議長とする合同コンタクトグループは、緑の気候基金(GCF)及び地球環境ファシリティ(GEF)に対するガイダンスのCOP決定書草案作成に向け、意見を聴取した。
GCFガイダンスに関し、締約国は特に次の点に注目した:GCFの第2回資金補填に情報を提供する;可能性ある全ての寄付者の参加を奨励する;GCF理事会の「マイクロマネージング(micromanaging)」を回避する;障壁や課題に注目する;小島嶼開発途上国の代表性を改善する。
GEFガイダンスに関し、締約国はGEFの資金補填及びプログラム戦略に言及した。
資金常任委員会(SCF)作成のガイダンス草案を文書草案の土台とするかどうかでは、意見が分かれ、アフリカン・グループの立場で発言した南アフリカ、及び小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言したアンティグアバーブーダは、これに反対し、自分たちはガイダンスに関する意見を提出できていないと指摘した。締約国はガイダンスのパラグラフを引用して提出しても良いと示唆するものもいた。締約国は、11月9日正午までの文書提出で合意した。
資金メカニズムのレビュー:共同議長のKelly Sharp (カナダ)及びRicardo Marshall (バルバドス)は、コンタクトグループ会議を開会、COP 26では資金メカニズムの第7回レビュー開始で合意しなかったと指摘し、この会合でのグループのマンデートはレビューのガイドライン採択、及びレビューの開始であると明言した。
米国は、資金メカニズムのレビューをCMA議題項目に入れるとの米国の要請を指摘、この問題では議長職による協議が行われており、協議の結果により、米国は、CMAにはメカニズムをレビューする役割があるとの議論を展開すると述べた。日本、EU、カナダ、英国、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言したコスタリカなどの国及びグループは、米国の意見に賛成し、CMAはメカニズムのレビューで役割を持つべきだと述べた。南アフリカは、アフリカン・グループの立場で発言し、有志途上国グループ(LMDCs)の立場で発言したサウジアラビア、後発開発途上国(LDCs)の立場で発言したウガンダ、及びブラジルの支持を得て、この手法に反対し、議長職協議の結果を待つことを希望、その間は、COPの下での資金メカニズムのレビューに焦点を当てた。少数の締約国は、COP 26の文書草案に基づく議論を支持したが、アフリカン・グループは、この項目は手順規則草案の第16項に則り、COP 27の議題項目に入れられた、COP 26の文書草案はCOP 27に回せないと指摘した。
共同議長らは、レビュー・ガイドラインに入れるべき要素及び期待感について締約国の文書提出を招請した。
COP/CMA
資金問題:資金常任委員会の問題:非公式協議で共同進行役を務めたDominique Molloy (英国)及びJanine Felson (ベリーズ)は、SCF報告書、気候資金フローの第5回隔年評価及び概要、気候資金の定義づけに関する文書、パリ協定第2条1(c)項(資金フローの一貫性)に関連する情報、1千億米ドル目標の進捗状況など、審議中の文書を提示した。両共同進行役は、COP 27及びCMA 4はSCFの機能レビューが期待されていると指摘し、締約国の意見発表を招請した。
多数の締約国は、今回の会合で多様な文書を考察するには、十分な時間が必要だと述べた。
隔年評価に関し、多数の締約国は、特に、次の項目に注目した:無償融資の割合の低さ;報告作成手法論での一貫性の必要性;UNFCCCの統治する基金からの資金額は、全体の1%以下である。
気候資金の定義づけに関しては、SCFによるさらなる議論が必要かどうか、政治レベルでの議論が必要かどうかで、意見が分かれ、先進国は、定義にはパリ協定のボトムアップの精神を反映させるべきだと述べ、多数の開発途上国は、共通の定義づけを求めた。
少数の開発途上国グループは、第2条1(c)項のマッピングでの意見反映が不適切だと述べたが、他のグループ及び締約国は、この問題が議題項目に含まれていないと嘆いた。多数の国は、政治レベルでの議論を求めた。
1千億米ドル目標に関し、開発途上国は、目標は未達成のままだと強調し、2027年までの、毎年の進捗報告書発行を求めた。
非公式締約国協議で議論が続けられる。
実施のための補助機関(SBI)
適応基金:適応基金の第4回レビュー:非公式協議で、共同進行役のDiann Black-Layne (アンティグアバーブーダ)及びEva Schreuder (オランダ)は、締約国に対し、適応基金の第4回レビュー終了のためのCMP決定書草案について、予想される要素を挙げるよう招請した。
多数のものは、開発途上国のための基金はグラントに力点を置き、国主導であることなど、ユニークで、重要なものだと強調し、良く機能していると指摘した。
多数の開発途上国及びグループは、プレッジ分の大半が未払いのままで、開発途上国の適応資金のニーズは満たされていないと嘆き、グラスゴー気候協定の「プレッジ(pledge)」に言及、開発途上国での適応に対する気候資金の供与を、2025年までに2019年比で少なくとも倍増するよう求めた。(決定書1/CMA.3、パラグラフ18) 多数のものは、適応基金はこれらの資源供与に適したチャンネルだと強調した。
開発途上国及びグループは、認証排出削減量(CERs)はこの基金の主要な資金源ではなく、自主的な寄付は予見できないと指摘、多年の資金補填を求めた。さらに、資金への直接のアクセス改善、結果ベースの資金、基金の環境及び社会政策に焦点があてられた。
締約国は、共同進行役に対し、受け取ったインプット及び11月8日までの追加提出文書に基づき、文書草案を作成し、次回の協議に回すよう求めた。
科学的技術的助言のための補助機関(SBSTA)
パリ協定第6条4項メカニズムの規則、モダリティ、手順:Katherine Hancock (オーストラリア)及びSonam Tashi (ブータン)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、SBSTA議長の非公式文書(SBSTA57/A6.4/InfDoc)を議論の土台とすることで合意し、CERsを第1回NDCsまたは第1回更新NDCsに適用するプロセスを審議した。締約国は自国のNDCs達成にCERsを用いる場合、国際的に移行される緩和成果(ITMOs)の使用ガイダンスに従うべきとする文章について、少数の締約国は、CERsはITMOsではないと強調し、これを明確にするラベル付けを求めた。第6条4項メカニズムのレジストリはクリーン開発メカニズム(CDM)のレジストリからのCERの移動を、CMAが別な決定を行わない限り、受け入れ続ける可能性があるとの文章に関し、一部の締約国は、この規定の削除、または移動受け入れ最終日の挿入を希望した。
さらに、締約国は、第6条4項活動及び第6条4項の排出削減量に関するホスト締約国の報告、及び報告のオプションを審議した。一部の締約国は、第6条4項の報告作成は第6条2項の報告作成とは別であり、追加項目にすべきだと主張したが、他のものは、これに反対し、開発途上国の負担増を指摘、排出削減量をITMOsと認証する場合、第6条4項で提出される報告書を第6条2項の報告作成要求用に使用可能にするよう提案した。
補助機関
気候変動の影響に伴う損失損害のためのワルシャワ国際メカニズムの下でのサンチャゴネットワーク:非公式協議の共同進行役は、Cornelia Jäger (オーストリア)及びLucas di Pietro (アルゼンチン)が務めた。参加者は、議論の要素に関し意見交換を行い、特に次を指摘した:サンチャゴネットワークの委任条項;事務局を選ぶ基準;諮問理事会の役割及び構成;損失損害窓口の役割。ある開発途上国グループは、最終段階での妥協を避けようと、文章の議論への速やかな移行を提案した。
適応委員会報告書:共同進行役のPilar Bueno (アルゼンチン)及びMorgane Chiocchia (英国)は、次の2件の小項目について説明した:適応委員会報告書(FCCC/SB/2022/5, Add.1 and Add.2);同委員会の進捗状況、効果、業績のレビュー。
適応委員会の報告書に関し、締約国は、次の必要性に焦点を当てた:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の参画強化;適応のニーズ評価の手法論及びツールの更新;適応知識ポータルの改造。さらに、NDCsの共通時間枠に関する締約国合意を反映させるべく、報告書を改定すべきと指摘した。
適応委員会のレビューに関し、締約国は、委員会の作業の可視化を図り、利害関係者及びIPCCの参画を改善し、NAPsに焦点を当てる必要があると指摘した。一部のものは、小項目ごとに異なる決定書を作成し、COP決定書とCMAの決定書を分けるよう求め、CMAにはレビュー行う義務はないと指摘した。
緩和の野心及び実施の緊急の規模拡大のための作業プログラム:Carlos Fuller (ベリーズ)及びKay Harrison (ニュージーランド)を共同進行役とする非公式協議では、作業プログラムのスコープ及び中身に焦点があてられた。少数の締約国は、作業プログラムは各国のNDCs実施で得られた学習事項や知識の情報交換の場であるべきだと述べた。他のものは、緩和野心の引き上げ方法の審議を支持し、このグループの義務には「緩和野心及び実施の規模拡大(scaling up mitigation ambition and implementation)」が含まれると指摘した。あるグループは、作業プログラムはー締約国が緩和目標を引き上げていくー「1位になる競争(race to the top)」を推進すべきだと述べた。ある開発途上国は、1.5℃達成に向けた緩和ギャップを埋めるのを助けるべきだと述べた。
モダリティに関し、締約国は次を提案した:2023年のSBs会議に合わせ、テーマを決めたワークショップの開催;地域ワークショップの開催;またはプレ2030年の野心に関する年次閣僚ラウンドテーブルの開催。タイムラインに関し、ある締約国は、SB 58で開始し、CMA 6で終了する2年間の作業プログラムとし、2030年まで、2年サイクルで継続することを提案した。
廊下にて
会議の第2日は、100か国以上の元首や政府代表がシャルムエルシェイク気候実施サミットに到着し、行列を作るという印象的な風景から開始された。しかし、この日、たびたび繰り返された言葉は、プレッジと実施の違いであった。「我々は片足をアクセルにかけて、気候の地獄に向かう高速道路上にいる(We are on a highway to climate hell with our foot still on the accelerator)」と国連事務総長のAntónio Guterresは、サミットの開会で述べた。「実施は良いスピーチの材料ではない(implementation is not good speech material)」と、ある参加者は皮肉った。別なものは、指導者に責任を取らせるとのUNFCCC事務局長Simon Stiellの決意を「大いに賛成だ(Very laudable)」と述べたが、「偉大な演説の精神が実際の交渉に結びつくかどうかはわからないね(but we have yet to see the spirit of the grand speeches infuse into the actual negotiations)」と、別なベテラン参加者は述べた。通常、ハイレベル・ステートメントで行われる新しい行動の発表は少数にとどまった。
会場での世界的な指導者の存在は、午後に開始された多数の議題項目での政府間交渉でも強く意識され、多くの会議室の交渉担当者は、交渉会議室の狭さ、寒さ、騒音という童話に出てくるGoldilocks-esque(ゴルディロック風:ちょうどよいものが見つからない)の窮地に立たされた。第6条などの交渉は、多数の締約国が席を見つけられず、オブザーバーは外に残されたことから、延期せざるを得なかった。「エジプトに来てウェブキャストを見る羽目になるとは(I can’t believe I came to Egypt to watch a webcast)」と述べたオブザーバーは、「WIFIの接続も断続的だし(especially seeing how patchy the wifi connection is)」とも述べた。