Daily report for 11 November 2022
Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022
シャルムエルシェイク気候変動会議は、第1週の終わりが近づき、共同進行役らは、翌日に予定される補助機関会合の閉会プレナリーまでに、各項目の審議を終わらせる必要があると指摘した。
COP/CMA
緑の気候基金へのガイダンス:地球環境ファシリティへのガイダンス:非公式協議で、共同進行役のToru Sugio (日本)及びRichard Muyungi (タンザニア)は、緑の気候基金(GCF)ガイダンスに関する提出文書のとりまとめについて、COPからのガイダンスの審議開始を求め、Sugio共同進行役は、地球環境ファシリティ(GEF)ガイダンスの提出文書のとりまとめも進めていると説明した。GCFのとりまとめ文書を受け取っていない国も多かったが、受け取った国は、125のパラグラフからなる複雑な文書だと指摘した。共同進行役のSugioは、締約国から文書草案作成の委任を受けていないと説明、締約国は、共同進行役に文書スリム化を委任することで合意し、スリム化方法を提案、優先問題及び「譲れない線(red lines.)」を指摘した。
スリム化の提案に関し、締約国は、次の項目の削除を要請した:重複箇所;既にガイダンスのある分野の繰り返し;GCF統治方法に反する要素。ある開発途上国グループは、統治方法違反とは何か、締約国の理解には差があると指摘、ある先進国は、意見が一致する可能性が高いパラグラフに集中することを提案した。
優先度及び譲れない線に関し、多数の先進国は、ガイダンスを高い戦略レベルに保ち、GCF理事会のマイクロマネジメントを回避する、たとえば既に決定済みの項目や審議中の項目のマイクロマネジメントを回避する、あるいは第2回GCF資金補填の質に予断を加えることは避けるよう求めた。各国は、特に次の項目を入れるよう求めた:ジェンダー問題、アクセス政策、他の制度との補足性、REDD+。ある開発途上国グループは、GCFに関係するUNFCCCあるいはUNFCCC原則の再解釈のガイダンス挿入に警告した。ある開発途上国は、正当な移行の表現に反対し、少数の先進国は、損失損害及び国別適応計画など、他の項目で議論したGCFの要素を、この項目の下に入れるよう求めた。
CMAガイダンスに関する提出文書のとりまとめについて、締約国は、同様のスリム化作業を共同進行役に委託したが、パリ協定第2条1(c)項 (資金フローの一貫性)に関するガイダンスを入れるかどうか、入れる場合の方法については、意見が一致しなかった。共同進行役のMuyungiは、GEFガイダンス提出文書のとりまとめ文書を11月12日土曜日の朝に提出できる予定だと述べた。両共同進行役らは、第1週の終わりには両方の組織に関するガイダンス文書草案を提供できるよう努力する。
気候変動の悪影響に伴う損失損害資金制度、損失損害への対応に焦点:非公式協議で、共同進行役のJulio Cordano (チリ)は、全般の期待感では重要な進展が見られたと指摘、次への注目を求めた:COP 27/CMA 4の成果の要素;2024年の作業のタイムライン;SBsでの作業の可能性;損失損害に関するグラスゴー・ダイアログの役割。
成果要素に関し、開発途上国は、次を指摘した:ニーズと支援のギャップを認める;新規の、追加的で適切な資金支援;運用機関の設置及び「組織の詳細策定に向けた一連の対話を行う(a series of conversations to develop the details of this entity)」。
タイムライン及びSBsの作業に関し、ある先進国は、この項目の作業プログラム実施と進捗状況の報告をSBIに委託することを提案、2024年のCOP/CMAでの決定書の審議も提案した。別な先進国は、この項目での議論をSBに委託することを提案した。
グラスゴー・ダイアログの役割に関し、先進国は、次を提案した:現在の損失損害支援全体を考察する、たとえば、関連組織の支援提供方法や行動者同士の調整、ギャップの特定とそれを埋める方法、可能な資金源のマッピングを行う。先進国は、次を行うことも提案した:テクニカルペーパーの作成、ワークショップの追加開催、国内及び地域内の会合、閣僚級ラウンドテーブルの開催、文書の提出、UNFCCCの内外で設立されたイニシアティブからのインプット、COP/CMAに対する特別報告及び年次報告。ある先進国は、機能が決まれば形式も決まるはずだとし、問題の緊急性を認め、「正しいものを作る時だ(time to get it right)」と述べた。
開発途上国は、先進国の提案は緊急性の感覚と矛盾しているとし、10年間も議論を続けていると指摘、損失損害のための基金創設の政治決断を要請した。
非公式協議は、11月12日土曜日も続けられる。
CMP
適応基金理事会報告書:Diann Black-Layne (アンティグアバーブーダ)及びEva Schreuder (オランダ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、貢献合意書に署名したかどうかにかかわらず、プレッジを行った締約国を歓迎し、その国名を公表するかどうか、それとも、発表されたプレッジは全て歓迎するが、プレッジ未払いの国名を公表するかどうかで、意見が分かれた。ある開発途上国グループは、他の支持を得て、これは信頼性の問題だと指摘、後者のオプションか、プレッジは発表するが、未払いの国名は省略するという代案を希望した。「多年度(multi-annual)」のプレッジを指定するかどうか、また、非締約国利害関係者の自主的貢献を招請するかどうかでも意見交換をした。プロセスをスリム化する機会に関し、ある先進国は、スコープに「プロジェクトの承認(project approval)」の追加を提案したが、ある開発途上国グループは反対し、認定プロセスとプロジェクト承認プロセスには大きな違いがあり、後者を含めることは不適切だと指摘した。共同進行役は、改定文書を回す予定である。
SBI
適応基金の第4回レビュー:非公式協議で、共同進行役のBlack-Layne及びSchreuderは、前回のバージョンからの変更箇所を説明した:序文に、収入の一部の重要性への言及を追加;前回の資源動員戦略で初めて、国内小地域の政府や民間部門、慈善基金の資金供与に言及したと指摘。
パリ協定の締約国だが京都議定書の締約国でない締約国による、この議題項目の意思決定への参加程度に関し、締約国の意見は大きく分かれた。事務局の法律顧問は、開発途上国グループ及び諸国の見解を確認した、すなわち:非締約国は意思決定に参加できない、このため、締約国を通しての意見発表でない限り、SBIプレナリーに送るCMP決定書草案に関する意見発表はできない。
締約国は、次の点も議論した:先進国は、開発途上国への適応資金供与額を倍増するとの決定書1/CMA.3のパラグラフ18への言及を入れるかどうか;適応基金への資金供与の持続可能性、適切性、予見可能性での問題継続を「深い懸念と共に(with deep concern)」指摘するかどうか。適応基金の次の第5回レビューに関し、長時間の意見交換が行われ、締約国は、SBIに対し、COP 31 (2026)において「SBIの統治組織(its governing bodies)」に報告するよう要請する、ただし統治組織の名称は特定しないことで合意した。
他の保留問題の議論は行えず、共同進行役は、合意した改定を加えた文書草案をSBI議長に送ると指摘した。
クリーン開発メカニズム・レジストリ:Kate Hancock (オーストラリア)及びSonam Tashi (ブータン)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、11月9日水曜日に共同進行役が提出した文書草案について、審議した。
多少の編集上の修正案が出されたほか、2つのパラグラフに関し、コメントした。一つのパラグラフは、永久保有口座に保有する認証排出削減量(CERs)のみを、第6条4項メカニズム・レジストリに移転可能と規定するパラグラフで、ある開発途上国グループは、保留口座のCERsも移転資格を有するべきだと指摘した。締約国は、このパラグラフの削除で合意した。もう一つは、CERの移転には、CER発生活動のホスト締約国の承認を必要とすると規定するサブパラグラフである。締約国が議論したのは、ホスト締約国は「承認(approve)」すべきか、それとも「通告(inform)」すべきか、どの組織がこの役割を担うべきか、CERの利用も承認すべきかどうかである。共同進行役のHancockは、承認当局の明記、及びCERsの国家決定貢献(NDCs)への適用の明記を、追加することを提案した。
サブパラグラフでは意見の一致がなく、共同進行役は、他のパラグラフでの合意点を記載する新しい文書案を作成するとし、今後の進め方について、SBI議長と協議すると告げた。
パリ協定第13条に基づく報告及びレビュー:開発途上国の報告作成及びキャパシティビルディングに対する資金的技術的支援:Tian Wang (中国)及びHelen Plume (ニュージーランド)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、結論書草案の審議をし、多数のパラグラフの文章について交渉した。
ある開発途上国グループは、SBIに対し、GEFの隔年透明性報告書支援額の倍増、及び各国への百万米ドル以上の供与を、GEFに要請することを求めた。少数の先進国は、GEFの8回の資金補填では長時間交渉している、この問題はGEFへのガイダンスの交渉の中で議論すべきだと指摘した。
少数の先進国は、開発途上国の強化透明性枠組(ETF)実施の課題に関する、SBI 58での継続審議の成果に予断を加えるとして警告し、長期作業計画への言及に反対した。締約国は、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国によるパリ協定第13条(透明性)の義務を達成するため、持続可能な組織能力を構築するという観点から、これを行うことで意見を集約させた。
他の変更点は、報告作成システムの確立及び強化での能力のギャップ、多国間及び二国間のチャンネルを通して提供される既存の支援に関係する箇所であった。
共同進行役は、合意された改定を組み込んだ文書草案を、SBI議長に送ると述べた。
SBSTA
第6条2項の協力的手法に関するガイダンス:共同進行役のKuki Soejachmoen (インドネシア)及びPeer Stiansen (ノルウェー)は、手順上のSBSTA結論書草案を含める新しい文書草案、及び第6条2項の協力的手法に関するガイダンスを記載する括弧書き付きCMA決定書草案を、提示した。多数の締約国は、文書を検討する時間がなかったと指摘し、さらなる意見の一致を図るため、CMA決定書草案の非公式な非公式協議の開催を提案した。
非公式な非公式協議で議論が続けられた。
第6条4項メカニズムの規則、モダリティ、手順:非公式協議で、共同進行役のTashi及びHancockは、共同進行役の文書草案に関し、次のセクションの読み合わせを終了したと指摘した:クリーン開発メカニズム活動の移行;第1回NDCsへのCERsの適用;ホスト締約国の報告。共同進行役は、決定書の残りのセクション及びカバー・セクションへのコメントを求めた。
メカニズム・レジストリの運用に関し、締約国は、それぞれの立場を明らかにし、レジストリの様式や機能、移行手順、情報機能、第6条2項レジストリとの相互運用性に関し、提案を行った。少数のグループ及び締約国は、アカウンティングやトラッキング、名称など、2つのレジストリの役割及び機能には違いがあると指摘し、第6条2項レジストリとの議論とのリンクを強調した。多数のものは、6条2項の議論の結果を待つか、多様な要素同士の関係を明らかにするため、フローチャート、または他のビジュアル・ツールの利用を提案した。締約国は、認可されていないユニットの扱いや利用、及びそのための手順でも、意見交換した。
事務管理費及び適応への収入の一部の充当に関し、締約国は、文書全般で合意した。
世界の排出量の全体的緩和(OMGE)実現に関し、締約国は、セクションの再構成に関する意見を述べ、ある開発途上国グループは、自主的な取り消しは義務的な取り消しに追加的であるべきと明記する必要があると述べた。一部のものは、未認定のユニットまたはCERsには、OMGEはないと強調し、ある開発途上国は、グラスゴーの決定書は十分なガイダンスを提供しているとし、このセクションの削除を提案した。
カバー・セクションに関し、締約国は、追加要素を提案、事務局のキャパシティビルディング・プログラムの追加を提案したが、さらなる追加は保留した。ある国は、文書全体を括弧でくくることを提案、第6条の各項目の議論は進捗度が異なっていたと指摘した。
共同進行役は、文書の新しいバージョンを作成し、次のステップに関し、SBSTA議長のガイダンスを求める。
第6条8項非市場アプローチ枠組の作業プログラム:コンタクトグループ会合で、共同議長のMaria Al-Jishi (サウジアラビア)及びJacqueline Ruesga (ニュージーランド)は、第6条8項非市場アプローチ(NMAs)枠組の作業プログラム活動の実施スケジュールに関するSBSTA結論書草案及び括弧書きのCMA決定書を含む、新しい文書草案を提示した。共同議長らは、CMA決定書草案には締約国のコメントに基づく意見集約の可能性を反映させたと説明、SBSTA結論書草案は次を記述すると説明した:NMAsのグラスゴー委員会の作業、及び作業プログラムの進捗状況及び成果; CMA決定書草案では意見が一致しなかった。
ボリビアは、有志途上国グループ(LMDCs)の立場で発言し、前夜の非公式な非公式会合の後、事務局に同グループの提案書を提出したと述べ、この提案を、共同議長案に追加する第2案として、CMA決定書草案に入れるよう要請した。大半の締約国は、受理もせず、審議もしない提案を入れることに反対した。スイスは、環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、決定書草案に記述せずとも、LMDC案の審議は可能だと指摘した。EUは、締約国が提案書を提出したが、文書草案には記載されていないと、結論書草案に記述することを提案した。LMDCsは、SBSTA結論書でのこの提案への言及に同意した。コンタクトグループは、土曜日に再開する。
決定書18/CMA.1、附属書第IV章に則り報告される情報の自主的なレビュー、及び必要な訓練コース:Julia Gardiner (オーストラリア)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、決定書草案の保留事項を議論し、自主的レビューも、報告締約国との協議の中で、報告の改善分野及びキャパシティビルディングのニーズを特定し、報告作成作業を改善することで、意見の集約を得た。事務局に対する、レビューワー訓練コース開発の要請に関し、締約国は、訓練コース開発の時間枠、及び訓練参加の専門家の地域バランス及びジェンダー・バランス確保に関し、決定書5/CMA.3のパラグラフ33及び34に言及することで合意した。
締約国は、ETFのモダリティ、手順、ガイドラインのレビューを2028年までに実施するとの観点から、訓練コースのレビューを行うことで合意し、さらに適応世界目標作業プログラムの成果の訓練プログラムへの統合も審議することで合意した。締約国は、柔軟性の容認、自主的ベースの資金供与の奨励の文章の括弧書きを削除した。
締約国は、上記の改定を行ったうえで、SBSTA結論書草案及びCMA決定書草案で合意、両文書は、SBSTAプレナリーに送られる。
航空輸送及び海上輸送の使用燃料からの排出量:Martin Cames (ドイツ)及びPacifica Achieng Ogola (ケニア)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、結論書草案の3つのオプションを議論した。オプションの1と2は、国際民間航空機関及び国際海事機関の提出文書に留意し、両組織による明確化に感謝し、SBSTAへの報告継続を招請する。オプション1は、これに加え、会合期間中ワークショップの開催も含める。オプション3は文書なしであった。
締約国は、オプション2で意見を集約させ、次回のSBSTA会合でのこの問題の追加審議を記載する手順結論書を確保すべく努力した。
補助機関
適応世界目標のグラスゴー–シャルムエルシェイク作業プログラム:Kishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)を共同進行役とする非公式協議では、2022年の作業及び2023年作業プログラムに関する意見発表が行われた。共同進行役のKumarsinghは、一部の締約国は会議室ペーパー(CRPs)提出したと指摘する一方、共同進行役のSB合同結論書草案及び、CMA決定書草案の要素を議論するよう求めた。
ある開発途上国グループは、CRP全体を括弧書きオプションとして、CMA決定書草案に入れるよう求めたが、一部の先進国は反対した。一部の締約国は、共同進行役の草案に関する意見を共有した。CMA決定書草案に関し、締約国は、次の問題に関しコメントした:開発途上国グループの提案を記載する「枠組(framework)」と題するオプショナル・セクション;2023年のワークショップのタイミング、テーマ、コンセプト・ノート;気候変動に関する政府間パネルの参画;GSTへのインプット。少数の先進国は、決定書草案に枠組のセクションを入れることへの反対意見を再度述べ、このSB会合期間中に実質的文書で合意するだけの時間はないと指摘した。
夜に、非公式な非公式協議が開催された。
緩和野心の緊急の規模拡大及び実施のための作業プログラム:共同進行役のCarlos Fuller (ベリーズ)及びKay Harrison (ニュージーランド)は、前夜の非公式な非公式協議に続き、文書草案へのコメントを求めた。
締約国は、作業プログラムの希望要素を示した、たとえば:ワークショップの長さ、組織、頻度;提出文書;題目分野の選抜;成果。
ある開発途上国グループは、他の支持を得て、「主要排出国(major emitters)」など、開発途上国の新しい分類を設立する動きに反対し、この作業プログラムは明確で合意された原則を有する条約の下にあると指摘、新しい文書案にそのような言及を記載するなら、これ以上議論に参加せず、UNFCCCの手順規則案規則16項に則った議題項目の審議延期を希望すると述べた。サイエンスに基づく行動をとの呼びかけに対し、一部の国は、歴史的排出量のサイエンスに基づく行動を提案した。
少数の国は、文書では各国のNDCsの国家決定という特性を保持すべきだとし、新しい目標を導入しやすくすべきではないと強調した。多数の先進国は、「原則」セクションの挿入に反対し、単にパリ協定に言及するだけという代案を提案した。
少数の開発途上国は、先進国の反対を受けたが、カーボンバジェット残高は衡平性の原則及び共通するが差異のある責任の原則(CDBR)に沿い、衡平かつ平等に配分する必要があるとの言及の保持を支持し、先進締約国に対し、率先して作業プログラムを実施するよう求めた。
共同進行役は、政治的な問題ではなく、技術的な問題に焦点を当てるよう求めた。
対応措置実施の影響に関するフォーラム:午前中の非公式協議で、共同進行役のAndrei Marcu (パプアニューギニア)及びDaniel Waterschoot (EU)は、決定書草案に関する意見を求めた。締約国は、作業モードについて議論し、開発途上国は、フォーラムの作業計画を議論し、そのレビューに情報を提供するよう求め、この議題項目の審議時間追加も要請した。少数の先進国は、決定書草案全体の議論、及び最後の中期レビューに関するパラグラフの議論を提案、あるものは、レビューは新しい活動の追加ではなく、それまでの進捗状況の評価に役立つと指摘した。一部のものは、この議題項目には他よりも長い時間が割り当てられていると指摘した。午後も議論が続けられた。
グローバルストックテイク:コンタクトグループ共同議長のAlison Campbell (英国)及びHana Al-Hashimi (アラブ首長国連邦)は、結論書草案を提示し、第1回のGSTで望ましい成果を挙げるため、2023年の計画で合意することが目的だと指摘、締約国に対し、譲れない線(レッドライン)の提示にとどめるよう求めた。
共同議長は、G-77/中国に応え、ハイブリッド方式での会合期間外協議を計画する場合は、時差を考慮に入れると明言、開発途上国の対面式会合出席には資金支援を求めることが可能だと指摘した。共同議長の明言を受け、トリニダードトバゴは、小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、この文書を支持した。
カナダ、コロンビア、EU、及びアルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ(ABU)の立場で発言したブラジルは、次の2つのパラグラフを称賛した:第1回GSTの「アウトプットの検討(the consideration of outputs)」方法に関する締約国の提出意見はSB 58で審議する;情報ノート作成、及び会合期間外協議と会合期間外対面式ワークショップの開催、及びそれぞれのライムライン。共同議長は、意見の違いを考え、関心のある締約国をハドルに招待した。
共同議長は、ハドルでの議論に基づき文書を改訂し、コンタクトグループ会議の再開に向けタイムスロットの特定を目指すと述べた。
気候変動の影響に伴う損失損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)のサンチャゴ・ネットワーク:非公式協議で、共同進行役のLucas di Pietro (アルゼンチン)及びCornelia Jäger (オーストリア)は、新しい草案文書を提示し、次の2つの附属書を含めると指摘した:サンチャゴ・ネットワークの委任条件;ネットワーク事務局のホスト国の選択基準。共同進行役は、この草案へのコメントを求めた。
締約国は、柔軟性の必要性を議論し、柔軟性があれば、各国は次の各組織を通したネットワークとの交流方法を選択できると述べた:国内損失損害窓口;UNFCCC国内窓口;または権限を有する別な組織。
締約国は、技術支援に直接アクセス可能にする必要があると論じる一方、そのような支援の提案を提出できるのは窓口に限定するか、それとも他のいかなる機関、組織、ネットワーク、専門家も提出可能かで、意見が一致しなかった。窓口の役割についても議論し、ネットワークの情報を広める、及び利用可能な技術支援の情報を広める「情報リピーター(information repeaters”)」の役割などを挙げた。
夜、非公式な非公式協議が招集された。
義務化イベント
パリ協定の下での第1回グローバルストックテイクのテクニカル・ダイアログ第2回会議:第1回グローバルストックテイク(GST)のテクニカル・ダイアログの共同議長であるHarald Winkler (南アフリカ)及びFarhan Akhtar (米国)は、閉会プレナリーのモデレーターを務めた。多数の参加者は、テクニカル・ダイアログの方式を称賛、世界カフェ方式(world café setting)及び非締約国利害関係者の積極的な参加を称えた。一部の締約国、特に開発途上国は、多数の分科会開催は少人数代表団の効果的なプロセス参加能力に影響すると指摘した。
締約国は、プロセスからの重要な手土産に注目した。EUは、緩和実施強化の機会に関する意見絞り込み努力を歓迎し、スイスは、EIGの立場で発言し、実施加速化の実施及び経験の規模拡大方法、緩和措置を付けない石炭火力の段階的削減及び化石燃料補助金の排除を効果的に推進する方法など、答えが必要な疑問点を紹介した。
トリニダードトバゴは、AOSISの立場で発言し、テクニカル・ダイアログの注目する疑問点は範囲が広すぎる、その結果の統合報告書は望ましい重要メッセージを発信できない可能性があるとして、懸念を表明した。サウジアラビアは、LMDCsの立場で発言し、カーボンバジェットはその合計量に基づき公平に配分することが重要だと強調した。アルジェリアは、アラブ・グループの立場で発言し、持続可能な開発のための政治的余裕がなければ、正当で衡平な配分は達成できないと強調し、化石燃料補助金の段階的削減には他のエネルギー資源を利用可能にする必要があると指摘した。
ノルウェーは、生産のバリューチェーン全体を考慮し、消費計画を策定するシステム化アプローチを求め、これにより低排出またはゼロ排出の社会への継ぎ目のない移行を実現すると述べた。インドは、サイエンスは平等やCBDRという政治的考え方に縛られていないが、GSTはこれらの原則に拘束され、原則を考慮に入れる必要がある、このため、不公平な経路に基づく提案を行ってはならないと述べた。
RESEARCH AND INDEPENDENT NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS (RINGOs)は、このプロセスは利用可能な最善のサイエンスから情報を得る必要があり、これには先住民や伝統的な知識、現地の知識も含めると強調した。TRADE UNION NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS (TUNGOs)は、GSTはNDCアプローチが望ましい目標を達成しているかどうか、審議する必要があると強調した。WOMEN AND GENDERは、民間部門の参加での「誇大広告(hyping)」を嘆き、民間部門の責任に焦点を当てるよう求めた。
廊下にて
シャルムエルシェイク気候変動会議の会場は、エアコンの音や上空の飛行機の騒音に包まれていたが、交渉担当者も、翌日夜のSBの閉会プレナリーに間に合わせようと、可能な限り多くの結論書や決定書で合意をしようと、にぎやかに議論していた。共同進行役の妥協を求める声に耳をかすことなく、この日は過ぎ、夜遅くの会議予定は膨らんでいった。
多数の議題項目では進展もあったが、他の問題での進展の遅さは、技術的な複雑さが原因なのか、それとも政治的に敏感な問題だからか、あるいは交渉時間が不足していたのか、見解は分かれていた。「議題項目によっては、原則の問題が再浮上したようだ(For some issues it seems to be a matter of principles to drag things out)」と、ベテランのオブザーバーはコメントした。他のものは、文書スリム化を共同進行役に委任するのに役立ったと指摘した。
交渉の裏で、自国の重要視する議題項目を抱えた参加者たちは、カバー決定書を巡るハドルで戦う用意をしていった。「カバー決定書はこのまま残るようだから、戦略的に活用した方が良い(It seems cover decisions are here to stay, so we might as well use them strategically)」と述べる参加もいた。「第1日の議題項目追加問題での議長職協議はどうなったのだ(Whatever happened to the Presidency consultations on the proposed agenda items that did not make it to the agenda on day 1?)」と首をかしげるものもおり、「随分、静かだ(awfully quiet)」と指摘した。
他方、米国は、かなりの存在感を発揮し、Joe Biden大統領とその護衛官はプレナリーを占領、米国の交渉担当者は、適応基金の交渉で「かなり声高な(far too vocal)」存在となった。「米国代表団に好きなようにさせるべきではない(We should not let them just come and go as they please)」と、不快顔の参加者は述べた。