Daily report for 12 November 2022

Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022

シャルムエルシェイク気候変動会議は、科学的技術的助言のための補助機関(SBSTA)及び実施のための補助機関(SBI)の閉会プレナリーで、第1週の会議を終えた。実質的な結論書の採択に持ち込めた議題項目は限定的で、その大半は構成組織の報告及び報告作成関係の項目であった。他の多くの項目では、決定書の完成にはさらなる作業を要するとの手順上の結論書が採択されたに過ぎない。

COP

長期資金:Carlos Fuller (ベリーズ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、提出文書及びインプットのとりまとめ文書と共に、前夜に配布された共同進行役の文書草案を歓迎し、前年までの決定書文書を活用するなどした、文書のさらなるスリム化を要請した。

開発途上国は、特に次の重要分野に焦点を当てた:プレッジ遵守でのギャップ及びニーズと実施のギャップへの懸念;気候資金の共通の定義づけ。開発途上国は、合意済みの表現及び用語の使用を求め、「締約国(parties)」や「寄付者(donor)」への言及などに反対し、資金の提供は寄付ではなく、約束だと指摘した。多数の開発途上国は、気候資金実現計画の進捗状況報告書への言及にも反対し、これはUNFCCCプロセスの外部からの文書だと述べた。

資金常任委員会(SCF)に対し、年1千億米ドル目標の実現に関する年次報告書の作成を委任するかどうかでは、先進国と開発途上国の意見は分かれ、先進国は、パリ協定の強化された透明性枠組の報告サイクルは隔年であると指摘した。一部の開発途上国は、パリ協定第2条1(c)項(資金フローの一貫性)への言及に反対したが、2つのグループは、グラスゴーの閣僚会議でこの条項を議題項目にすると合意したと述べる一方、この条項を議論する適正な場ではないことも認めた。

共同進行役の改訂版をベースに、第2週も議論を続ける。

CMA

新しい気候資金集団数量目標:非公式協議で、共同進行役のZaheer Fakir (南アフリカ)及びGeorg Børsting (ノルウェー)は、締約国の提出文書及び会合期間中の決定書草案へのインプットを取りまとめた文書が利用可能になったと告げ、決定書草案の構成に関する共同進行役の提案にコメントを求めた、構成案は次のとおり:過去の決定書;進捗状況のストックテイク;作業のモダリティ、参加、文書提出など、手順上の要素;議論されるべきテーマや題目などの実質的な要素及びハイレベル閣僚ダイアログに対するガイダンス。

締約国は、構成案を支持するとし、共同進行役に最初の決定書草案作成を委任した。

開発途上国は、次を強調した:先進国に対し、資金目標の実現加速化を求める;新しい目標のレベル;条約の原則;公的でグラントベースの資金;適応資金と緩和資金のバランス;透明性及び実現を追跡するアカウンティング制度。

この項目の作業プログラムのモダリティ合意は、2023年のみのものとするか、それとも2024年も同じモダリティとするかで、各国の意見は分かれた。あるものは、第2週に会議時間を必要とする分野として、技術専門家ダイアログ (TEDs)のテーマを挙げた。

大半の締約国は、閣僚級ダイアログをインタラクティブなものとし、作業プログラムの技術プロセスに政治的なガイダンスを提供することに焦点を当てる必要があることで、合意した。他のものは、TEDsのフォーマットを成果本位に変えるよう求めた。

第2週も、共同進行役の文書草案に基づく議論が続けられる。

COP/CMA

資金常任委員会:非公式協議で、共同進行役のJanine Felson (ベリーズ)及びDominic Molloy (英国)は、この日早くに提示した提出文書とインプットのとりまとめ文書について、審議を求めた。締約国は、次のパラグラフについて議論した:第5回隔年評価及び気候資金フローの概要;パリ協定第2条1(c)項;気候資金の定義。締約国は、共同進行役に対し、重複部分の削除など、文書のさらなるスリム化を求めた。

隔年評価に関し、締約国は、数量情報など、決定書で焦点を当てるべき要素やデータに関し、意見交換した。一部のグループは、パリ協定に沿わない資金フローにも言及するよう求め、一部のものは、SCF報告書(FCCC/CP/2022/8/Add.1−FCCC/PA/CMA/2022/7/Add.1)の推奨案への言及を求めた。

ある先進国は、資金メカニズム運用機関に対するSCFのガイダンス草案の課題を指摘し、同委員会の委任条件からこの要素を削除するよう提案したが、ある開発途上国グループは反対し、SCFに対し締約国とのかかわり改善を要請することを提案した。

第2条1(c)項に関し、多数のものは、この問題に特化した議論時間を求めた。2つの開発途上国グループは、SCFの見解のマッピング及び統合への言及に反対し、全ての締約国の意見を代表しているわけではないと主張、この条項はパリ協定の広い概念で解釈されるべきだと強調した。ある開発途上国グループは、資金定義の議論を政治レベルに上げて欲しいと述べた。

第2週も、共同進行役の文書草案改訂版に基づく議論を続ける。

気候変動の悪影響に伴う損失損害に対応する資金制度、損失損害への対応に注目:Ursula Fuentes (ドイツ)を共同進行役とする非公式協議で、少数の開発途上国グループは、COP 27/CMA 4において、損失損害の資金ファシリティを設置し、2024年までの全面的な運用開始を確保するため、明確なロードマップを設定するという自分たちの提案を再度述べた。少数のものは、運用開始プロセスに指針を提供するための特別委員会の設置を提案、明確なマンデートとタイムラインを示し、その構成及び作業モダリティを決定し、十分な予算を確保する必要があると指摘した。

少数の先進国は、資金面のギャップ、損失損害での課題の多様性、この問題への対応の緊急性を認め、次を強調した:既存のイニシアティブに則り構築する;支援の発表を歓迎する;地域レベルで問題を検討する;最も脆弱なものへの支援を優先する。

多くのものは、次の特定問題に議論の場を提供するグラスゴー・ダイアログを想定していた:緩慢に発生する現象、急速な対応、多国間開発銀行(MDBs)の役割、債務救済。ある開発途上国グループは、過去10年間も同様な作業を行ったと想起し、SCFは広範な作業を行ってきたと指摘した。

共同進行役のFuentesは、締約国に対し、今回会合での書面のステートメント共有を求め、これらはUNFCCCウェブサイトに掲載されると指摘した。共同進行役は、締約国の意見表明に基づき、COP 27/CMA 4で審議される決定書記載の要素について概要を作成する。

SBSTA

組織上の問題:議長以外の役員選出:SBSTA議長のTosi Mpanu Mpanu (コンゴ民主共和国)は、事務局は候補指名を受理しておらず、このため、UNFCCC手順規則書草案の規則22(2)項に則り、次回会合で後任が選出されるまで、Kakhaberi Mdivani (ジョージア)及びZita Kassa Wilks (ガボン)が、それぞれ副議長及び報告官を続けると報告した。

サイエンス及びレビュー問題:研究及び組織観測:SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.20)を採択し、COPでの審議及び採択に向け、決定書草案 (FCCC/SBSTA/2022/L.20/Add.1)を提案した。

条約の下での手法論問題:附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューを行うレビュー専門家の訓練プログラム:SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.16)を採択した。

附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビューを行うレビュー専門家の訓練プログラム:SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.15)を採択した。

附属書I締約国の年次インベントリのUNFCCC報告作成ガイドラインの改定:SBSTAは、口頭で改定されたCOP決定書草案を含める結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.19)を採択した。

共通の計算方法:SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.25) を採択し、COPでの審議及び採択にかける決定書草案(FCCC/SBSTA/2022/L.25/Add.1)を提案した。

国際航空輸送及び海上輸送に用いる化石燃料からの排出量:SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.22)を採択した。

パリ協定第13条の下での報告作成及びレビュー:自主的ベースでのレビュー実施オプション、及びレビュー促進に必要なそれぞれの訓練コース:SBSTAは、CMAでの審議及び採択にかける決定書草案を含める結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.18)を採択した。

62項の協力的手法のガイダンス:非公式協議で、共同進行役のKuki Soejachmoen (インドネシア)及びPeer Stiansen (ノルウェー)は、手順上のSBSTA結論書草案及び括弧書きのCMA決定書草案を含める共同進行役の文書草案を審議するため、締約国はさらなる時間を要請したことを想起した。共同進行役は、CMA決定書草案の次回バージョンには、第6条4項草案のキャパシティビルディングの文章と同様のパラグラフを挿入することで、議長職も同意したと報告した。共同進行役は、第2週での協議継続に向け、SBSTA結論書草案を採択し、CMA決定書草案を議長職に送る意思があるかどうか、締約国に質問した。

大半の締約国は、このCMA決定書草案は意見の一致を示していないと強調、少数のものは、レビューやインフラ、報告作成など、記載されていない要素を指摘した。締約国は、提示されたとおりのSBSTA結論書草案及び括弧書きのCMA決定書草案に同意した。

閉会プレナリーで、SBSTAは、結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.23)を採択した。SBSTA議長のMpanu Mpanuは、この項目の決定書草案は締約国の意見の一致を得ていないと指摘、次のステップに関し、CMA議長のガイダンスを得る際に、この未決問題を指摘すると述べた。

64項メカニズムの規則、モダリティ、手順:非公式協議で、共同進行役のKate Hancock (オーストラリア)は、手順上のSBSTA結論書及びCMA決定書草案を含む文書草案の新バージョンを提示し、この結論書に記載する決定文書は意見の一致を示すものではない、第2週でのCMAによる追加作業が必要だと明記していると指摘した。締約国は、提示されたとおりの決定書草案文書を付した結論書草案を、SBSTA議長に送ることで合意した。

閉会プレナリーで、SBSTAは、結論書 (FCCC/SBSTA/2022/L.21)を採択した。議長のMpanu Mpanuは、締約国はこの項目の決定書草案で合意に達していないと指摘し、次のステップに対するCMA議長の追加ガイダンスを得る際に、この点を指摘する予定だと述べた。

68項の非市場アプローチ枠組の作業プログラム:SBSTAは結論書(FCCC/SBSTA/2022/L.24)を採択した。議長のMpanu Mpanuは、締約国はこの項目の決定書草案で合意に達していないと指摘、次のステップに対するCMA議長の追加ガイダンスを得る際に、この点を指摘する予定だと述べた。

SBSTAの閉会:締約国は、SBSTA 57の報告書案(FCCC/SBSTA/2022/L.17)を採択した。議長のMpanu Mpanuは、この惑星の極めて重要な時期での「類を見ない旅(an extraordinary journey)」をした全てのものに感謝し、午後11時5分、SBSTA 57の閉会を宣言した。

SBI

組織上の問題:議長以外の役員の選出:SBI議長のMarianne Karlsen (ノルウェー)は、事務局は候補指名を受理しておらず、このため、UNFCCC手順規則書草案の規則22(2)項に則り、次回会合で後任が選出されるまで、Juan Carlos Monterrey Gómez (パナマ)及びAysin Turpanci (トルコ)は、それぞれSBI副議長及びSBI報告官としての職務にとどまると報告した。

非附属書I報告書:国別報告書に記載する情報:この項目は保留され、SB 58の暫定議題書に加えられる。

専門家諮問グループの報告及び委任条件:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.21)を採択した。

資金支援及び技術支援の提供:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.26)を採択した。

クリーン開発メカニズム・レジストリ: SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.29)を採択した。Karlsen議長は、締約国はこの項目の作業で結論を出せなかったと指摘、CMP議長職は、今後の進め方を締約国に通知すると指摘した。

LDCsSBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.30)を採択した。 Karlsen議長は、締約国は、この項目の作業で結論を出せなかったと指摘、COP議長職は、今後の進め方を締約国に通知すると指摘した。

国別適応計画:SBIは、結論書s (FCCC/SBI/2022/L.31)を採択した。Karlsen議長は、締約国はこの項目の作業で結論を出せなかったとし、CMP議長職は、今後の進め方を締約国に通知すると指摘した。

技術開発及び移転:技術メカニズムと資金メカニズムのリンク:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.24)を採択した。

最初の定期評価:SBIは、結論書を採択し、CMAの採択にかける決定書草案を提案した。(FCCC/SBI/2022/L.27 and Add.1)

技術移転のポズナニ戦略プログラム:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.28)を採択した。

適応基金:適応基金の第4回レビュー:SBIは、CMP決定書を含める結論書を採択した。(FCCC/SBI/2022/L.22) 米国は、この議題項目の審議にパリ協定締約国の完全な参加が認められていないとして、深い失望を表明し、米国は適応基金の強力な支援者であり、11月11日金曜日に、既存のプレッジを倍増し、合計1億米ドルにすると発表したばかりだと述べた。

キャパシティビルディング:SBIは、COP及びCMAの決定書草案を含める結論書を採択した。(それぞれFCCC/SBI/2022/L.19とL.20)

ジェンダー:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.32)を採択した。Karlsen議長は、締約国はこの項目の作業で結論を出せなかったとし、COP議長職は今後の進め方を締約国に通知すると指摘した。

気候エンパワーメント行動:SBIは、口頭で改定されたCOP及びCMA決定書草案を含める結論書を採択した。(FCCC/SBI/2022/L.23)

事務管理上、資金上、制度上の問題:SBIは、COP及びCMPの決定書草案(それぞれFCCC/SBI/2022/L.17/Add.1とAdd.2)を付した結論書(FCCC/SBI/2022/L.17)を採択した。

パリ協定第13条の報告及びレビュー:開発途上国の報告及びキャパシティビルディングへの資金支援及び技術支援の提供:SBIは、結論書(FCCC/SBI/2022/L.25)を採択した。

SBIの閉会:締約国は、SBI 57報告書草案(FCCC/SBI/2022/L.18)を採択した。議長のKarlsenは、SBI議長として務めた3年間は豊富で例を見ないものであったとして全てのものに感謝し、午後10時59分、会合を閉会した。

補助機関

SBsは、合同閉会プレナリーで合同議題項目を審議した。

適応委員会の報告:SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.13)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCOP/CMA議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。

適応世界目標のグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業プログラム:Mattias Frumerie (スウェーデン)及びKishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、非公式な非公式協議の結果の報告を受けた、開発途上国の提案した枠組での意見はまとまりつつあると指摘した、この枠組の要素は2023年のワークショップで詳細をつめることが提案されている。少数の開発途上国グループ及び締約国は、提案を支持し、SB 57での実質的な成果の必要性を強調した。ある先進国は、反対し、不十分な審議時間を指摘した。他の締約国は、枠組オプションの要素など、共同進行役の文書草案について、意見交換をした。

ある開発途上国グループは、自分たちのグループの提出文書を文書に反映させるよう求め、別なものは、全ての会議室ペーパーを共同進行役の文書草案とともに、SB議長に送ることを提案した。

ある開発途上国グループは、空席があるにも関わらず、多数のグループがセキュリティ措置のため会議室に入れず、会合の3分の2以上に参加できなかったことを記録するよう提案した。議事手続きが続いた。

共同進行役は、締約国は意見の一致に至らなかったことから、手順上の結論書をSB議長に送ると告げた。

合同閉会プレナリーで、SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.15)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCMA議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。パキスタンは、SBsでこの項目の議論を進められなかったことを嘆き、共通点を見出すため、建設的な作業を続けるよう求めた。

気候変動の影響に伴う損失損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)の執行委員会(ExCom)報告書:SBsは、COP及びCMA決定書草案を含める結論書を採択した。(FCCC/SB/2022/L.11)

WIMの下のサンチャゴ・ネットワーク:非公式協議で、共同進行役のLucas di Pietro (アルゼンチン)及びCornelia Jäger (オーストリア)は、手順上の結論書草案を提示、SBsはこの議題項目の審議を続けたが、結論には至らなかったとし、共同進行役の非公式ノートを考慮に入れた上で、COP 27及びCMA 4にこの問題を送り、追加のガイダンスを求めるとことで合意したと指摘した。締約国は、「統治組織(governing body or bodies)」に言及するかどうか、それとも特定の組織名を出すか、出す場合はどの組織かで、意見が一致しなかった。締約国は、さらに、WIMのガバナンスの議論は進行中であるとの脚注を入れるかどうかも議論した、脚注に入れることで、この問題は、WIMガバナンスの議長職協議の題目の一つになりうる。

閉会プレナリーで、SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.17)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCOP議長及び/またはCMA議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。

農業に関するコロニビア共同作業:SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.9)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCOP議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。

緩和野心の緊急の規模拡大及び実施のための作業プログラム:共同進行役のCarlos Fuller (ベリーズ)及びKay Harrison (ニュージーランド)は、SB結論書草案、カッコ書きのCMA決定書草案、及び作業プログラムの題目分野に関するCMA決定書の附属書を記載する、文書草案を提起した。共同進行役は、この文書に関する締約国のコメントを求めた。

多数の締約国は、 SB結論書に同意し、CMA決定書草案を第2週の追加協議に向け送ることにも同意する意思があると表明した。ある開発途上国グループは、CMA決定書草案及びその附属書では意見の一致がなく、採択の準備はできていないとし、この事実を結論書草案に記載すべきだと述べた。

少数の国は、この文書には記載されていない要素があると指摘、この文書を今後の作業の土台として受け入れるには、これらの要素を記載してほしいと求めた、この中には、気温目標に関するパリ協定の表現を正確に記載すること、文書の「脆弱な開発途上国(vulnerable developing countries)」を削除し、合意された表現に代えることが含まれる。ある締約国は、作業プログラムのマンデート実現方法を明らかにするよう求め、「商売の話(talk shop)」で終わってはならないと指摘した。別な締約国は、部門横断で正当な移行をするための資金枠組の設置を提案した。

ある先進国は、排出量の現状を事実に基づき把握し、排出削減に最も貢献できる国を捕捉することを要請した。ある開発途上国グループは、炭素回収貯留及び二酸化炭素除去技術を附属書に記載し、CMA決定書草案の序文には、「人為的な気候変動は、一世紀以上の温室効果ガス排出の結果である(human-induced climate change is a consequence of more than a century of net greenhouse emissions)」との文章を入れるよう求めた。

ある先進国は、カバー決定書の議長職協議の結果にもよるが、非公式協議では緩和を巡る政治要素などを議論する余地を残したいと述べた。

共同進行役は、締約国のコメントをベースに文書草案を改定し、これを、閉会プレナリーでの審議に向けSB議長に送ると告げた。

閉会プレナリーで、SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/ L.14)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCMA議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。

グローバルストックテイク:SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.8)を採択した。

技術開発及び移転:技術執行委員会及び気候技術センター・ネットワークの合同報告書:SBsは、COP決定書草案を含める結論書(FCCC/SB/2022/L.12)、及びCMA決定書草案を含める結論書(FCCC/SB/2022/L.16)を採択した。チリは、適応基金気候イノベーション・アクセレレーターからの一部の国の除外を懸念した。

対応措置実施の影響に関するフォーラム:SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.10)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCOP/CMP/CMA議長に送り、次のステップについてのガイダンスを求めることで合意した。

条約の長期世界目標及びその達成に向けた全体的な進捗の第2回定期レビュー:SBsは、結論書(FCCC/SB/2022/L.18)を採択した。SB議長は、締約国はこの項目で成果を出せなかったと指摘、この項目をCOP議長に送り、次のステップについて、議長のガイダンスを求めることで合意した。

閉会ステートメント

UNFCCC事務局長のSimon Stiellは、両SB議長―Mpanu Mpanu及びKarlsen―の過去3年間の素晴らしい業績に感謝した、他方、締約国に対しては、多くの問題が決定されないままだと叱責し、「プロセスが行き詰まるなら、このプロセスに値するだけの成果を挙げられない(if we create a logjam in the process, we will not create an outcome that is deserving of this process)」と述べた。同事務局長は、締約国に対し、可能な限り早く会合して議論を終わらせ、野心的な成果を挙げるよう求めた。

パキスタンは、G-77/中国の立場で発言し、資金での野心的な成果を求め、技術実施作業プログラムの目的を強調し、国別適応計画(NAPs)の実施を求める努力に反対され、失望したと述べた。EUは、会議第2週の作業の進展を期待し、SB議長の努力に感謝した。スイスは、環境十全性グループの立場で発言し、SB議長の努力に感謝した。

オーストラリアは、オーストラリア、カナダ、日本、アイスランド、イスラエル、ニュージーランド、ノルウェー、ウクライナ、米国の立場で発言し、多くの議題項目で結論に至らなかった締約国の能力不足への失望感を表明し、全ての締約国に対し、協力して各項目の進展を図るよう求めた。

ザンビアは、アフリカングループの立場で発言し、COP 27において、適応世界目標(GGA)設置など、適応行動及び支援の規模拡大を図り、損失損害資金供与制度を実現し、資金メカニズムの新しい運営機関設立を決議するよう求めた。

アンティグア・バーブーダは、小島嶼諸国連合の立場で発言し、2023年ではGGAで建設的な手法をとるよう求め、これに関する小島嶼諸国連合の提案に焦点を当てた。

セネガルは、後発開発途上国(LDCs)の立場で発言し、緩和作業プログラムはLDCsでの行動実施のための資源動員を促進すべきだと強調し、NAP実施支援を求めた。

ボリビアは、有志途上国グループの立場で発言し、気候の不正義(injustice)の進行を懸念し、先進国は気候変動対策の負担を開発途上国や民間部門、MDBsに転換しようとしていると嘆いた。

コロンビアは、独立中南米カリビアン諸国連合の立場で発言し、重要項目で実質的な合意がなされなかったのは遺憾だとし、高い期待感をもって建設的に参加していくと述べた。

ベネズエラは、米州ボリバル同盟の立場で発言し、先進国に対し、1千億米ドルの約束の実現、気候資金のニーズに見合うだけの大幅な増額、それぞれの適応での債務引受けを求めた。ベネズエラは、非市場アプローチ(NMAs)の重要性を強調し、損失損害資金メカニズムの早急な実施も重要であると強調した。

ブラジルは、アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイの立場で発言し、損失損害の議論に深い懸念を表明し、特に次の項目での進展を求めた:損失損害資金ファシリティの設立;サンチャゴ・ネットワーク;GGA;第6条;緩和作業プログラム。

サウジアラビアは、アラブグループの立場で発言し、交渉においても、成果においても、バランスが重要だと強調し、適応及び緩和の議論での進展のなさを懸念した。

モルディブは、会議の成功を次のように定義した:1.5°C温暖化を活かしておくカバー決定書;確固としたGGA;利用可能な全ての資源から得る損失損害資金供与;資金システム全体の変換。

ボリビアは、気候行動は全ての生命体に恩恵を与え、母なる大地の権利を守るべきだと強調、NMAsの完全な運用開始を求め、さらに協力実施(第6条)の協議では両者のバランスを取る必要があると述べた。

チリと英国は、それぞれのCOP議長職期間中のSB議長の支援に感謝した。

RESEARCH AND INDEPENDENT NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS (RINGOs)は、気候政策の設計では、社会学の視点を取り入れ、南の世界(Global South)の研究者の提案を考慮するよう求めた。

WOMEN AND GENDERは、ジェンダー行動計画のレビュープロセスに失望したと述べ、人権や平等の進歩的な表現が弱められていると述べた。

CHILDREN AND YOUTH NGOsは、透明性報告書及びレビュープロセス、GGAの決定プロセスへの若者の参加を求め、若者主導の気候プロジェクトへの資金供与を求めた。

BUSINESS AND INDUSTRY NGOs (BINGOs)は、世界のビジネス社会は2050年までの正味ゼロ排出量達成の目標をサポートすると述べ、地球温暖化を1.5℃までで制限することは必須だと説明した。

気候行動ネットワークは、環境NGOSの立場で発言し、適応資金の倍額を実現する計画を求め、議題項目の要素を説明するだけのカバー決定書は受け入れられないと述べた。

FARMERSは、「現在のコロニビアを終了させ(current Koronivia to end)」、実用的な実施措置の議論を伴う、新しい計画の議論を開始するよう求め、農業従事者は既に解決策を有しているが、資金やパートナーシップが必要だとしていると述べた。

廊下にて

 補助機関の閉会プレナリーから出てきた参加者は、暗い顔で「少なくとも、早くはあったよ(Well, at least it was rather swift)」と述べた。UNFCCCウェブサイトは、技術的な問題で数回中断したが、各機関は、全議題項目の議論成果を検討し、締約国及びオブザーバーからの意見も「4時間以内(all in under four hours)」に聴いた。

しかし、あるオブザーバーは、「成果というのは誇大広告だ(outcomes is an overstatement in this case)」と嘆いた。第1週で実質的な合意がなされなかった項目の行き詰まりはひどく、現時点では、第6条問題の速やかな解決を予想するものはいない、しかし「国別適応計画の何が問題なのか(what is the matter with national adaptation plans)」と問うものもいた。

いずれにしても、第2週ではそれぞれの統治組織の下、保留項目を審議することになる。しかし、多くのものは、議長職の閉会プレナリー欠席に首をかしげた。「月曜日には今後の進め方の提案を聞けるだろう(I guess we’ll hear suggestions on the way forward on Monday)」と言った参加者は、残りの会合期間で「文書提出での交渉(negotiating by submissions)」の会議から、実施のCOPに変わることを希望した。

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