Daily report for 3 December 2023
UN Climate Change Conference - United Arab Emirates Nov/Dec 2023
新しい集団の資金数量目標 ( NCQG ) 及び 正当な転換のハイレベル閣僚級イベントと並行し、多様な問題での交渉が繰り広げられた。 NCQG 、グローバル・ストックテイク ( GST ) 、緩和、 正当な転換 経路、適応世界目標 ( GGA ) などでは、非公式協議を開催した。市場アプローチ関係でも少数の会合が開催されたが、この中にはパリ協定第 6 条 2 項と第 6 条 4 項の相互リンクを議論する合同コンタクトグループが含まれた。
ハイレベル閣僚級イベント
NCQG : CMA 5 議長の Sultan Al Jaber は、このイベントの開会にあたり、 UNFCCC プロセスでの資金及び信頼の重要性を強調した。 UNFCCC 事務局長の Simon Stiell は、次回の国家決定貢献 (NDCs) において、進路修正を行うには、 NCQG での強力な成果が必要だと強調した。
コロンビア大学の Jeffrey Sachs は、次の項目などを提案した:過去の CO2 排出量及び現在の排出量の両方への課税;多国間開発銀行 (MDBs) の資本化促進、これには投票割合 (voting share) の調整が必要であると認識;民間資本へのアクセスを強化するため、クレジット評価システムの改革。
その後、閣僚たちは、それぞれの期待感を披露した。時間枠に関し、大半のものは、短期の行動可能な目標と 2050 年までの長期の野心的な目標の組み合わせに注目し;他のものは、 5 か年目標の後、数量の周期的なレビューを提案した。
資金源に関し、全てのものは、先進国からの資金拠出を目標の根幹に据えることを強調し、一部のものは、現在及び将来の責任や能力に沿う形で、資金供与者の裾野を広げることを促した。大半のものは、民間資金の動員や課税などの手法を、目標の第 2 層にすることを強調した。一部のものは、第 3 層として、政策インセンティブなどの広範な資金フローに焦点を当てた。
2024 年で決定に至るためのプロセスに関し、一部のものは、最低、 3 つの特別作業プログラム会合で文書ベースの交渉を行うよう求め、可能な場合は、技術専門家ダイアログ (TEDs) を継続し、早期の閣僚級の参画を得るよう求めた。
そのほか、下記が含まれた:
- 利用可能な最善の科学から情報を得て、開発途上国のニーズ及び優先策に基づいた数量を決定する;
- 目標実施を透明性ある形で追跡する;
- 混合資金での課題;
- 再生可能エネルギーの拡大に向け速やかに資金を振り向ける;
- 最も脆弱な国、貧困な国への支援を優先する;
- 資金フローを緩和及び気候にレジリエントな開発の支援に沿わせる。
議長職は、 CMA 5 での審議に向け、議論内容のサマリーを作成する。
正当な転換 : CMA 5 議長の Sultan Al Jaber は、ラウンドテーブルの開会において、正当で公平な転換を達成する必要があり、開発途上国が気候行動と発展のいずれかの選択を迫られることが無いようにする必要があると強調した。
UNFCCC 事務局長の Simon Stiell は、正当な転換を実施する政策上の経路を描く、イノベーションが必要であると強調し、締約国に対し、ドバイでは、意味のある議論を繰り広げるよう奨めた。
London School of Economics の Nicholas Robins は、次の作業プログラムを提案した:人々を気候行動の中心に置く; NDC の優先策を支援する;経済的社会的開発のため組織化された手法;アクセスしやすい気候資金解決策を策定する。
オックスフォード大学の Manal Shehabi は、低炭素経済への転換と同時に持続可能な開発の機会が存在すると指摘し、さらに正当な転換には、包括的で参加性の高いプロセスが必要だと指摘した。
閣僚級の議論及び市民団体からの意見発表では、作業プログラムに対する多様なアイデアが提起された、この中には次を行うべきとのアイデアが含まれた:
- 不平等に対応する;
- ベストプラクティスを共有し、各国の内容に沿う手法を開発する;
- ジェンダーの問題を取り入れる;
- エネルギーだけでなく、広範な部門を含める;
- 緩和、適応、損失損害を対象に含める;
- ユニラテラルな措置や懲罰的な措置を回避する;
- 共通するが差異のある責任及びそれぞれの能力を反映する;
- 資金スキームを改善し、農業従事者を支援することで、実施手段を提供する。
緩和
シャルムエルシェイク緩和・適応・実施の作業プログラム: 非公式協議の共同進行役は、 Kay Harrison ( ニュージーランド ) 及び Carlos Fuller ( ベリーズ ) が務め、締約国は、作業プログラムに関する決定書に含めることを希望する要素の議論を続けた。特に、緩和の緊急性及び行動の規模拡大の必要性を伝えるハイレベルな政治的メッセージを入れるかどうかでは意見が分かれ、一部のものは、 GST の作業の重複を避けるよう求めた。
少数の締約国は、緩和野心の規模拡大方法、たとえば再生可能エネルギーの規模拡大、及びエネルギー効率の向上などへの言及も入れるよう求めた。他のものは、作業プログラムの成果は、規範的ではなく、新たな目標またはゴールを生まないものでなければならないと述べ、今後の作業プログラムの改善方法に焦点を当てる決定書を希望した。
決定書にグローバル・ダイアログ報告書の要素を入れるかどうかでも意見の隔たりが残った。少数の締約国は、意見をバランスよく記載するため、単に報告書全体を認めることを希望した。協議が続けられる予定。
正当な転換経路の作業プログラム: 非公式協議の共同進行役は、 Selam Abeb ( エチオピア ) 及び Luisa Roelke ( ドイツ ) が務め、締約国に草案をレビューし、それぞれの立場の調整をする時間を提供した後、招集された。一部のものは、草案を歓迎し、制度アレンジ及びタイムラインに関する部分の編集を提案、人権や労働の権利、ジェンダー、包括性への言及の追加を示唆した。
多くの開発途上締約国は、文書に自分たちの意見が含まれていないとして嘆き、これを交渉の土台とすることを拒否した。これら締約国の主な懸念は、転換が真に「正当( just )」であることを確保するにはこの草案の文章は、「浅薄( shallowness )」過ぎることである。堤脚国は、改定文書をレビューするため、非公式協議を再招集する予定。
第 6 条関係問題:パリ協定第 6 条 2 項(協力的手法)に関するガイダンス: 非公式協議 の 共同進行役は、 Maria AlJishi ( サウジアラビア ) 及び Peer Stiansen ( ノルウェー ) が務め、締約国は、認可のセクションの文書草案でのそれぞれの希望を表明した、このセクションには、協力的手法、国際移動緩和成果 (ITMOs) 及び組織の認可のタイミング、内容、改定、廃止に関するサブセクションが含まれる。一部の締約国は、これまでの CMA 決定書でも必要な認可ガイダンスは既に提供されているとして、該当する箇所を特定し、一貫性を求めた。他のものは、サブセクション全体で文章をスリム化できると指摘した。
多様なグループは、「協力的手法( cooperative approaches )」をはじめに明確に定義づけるよう求めた。あるグループは、協力的手法には少なくとも 2 つの締約国を含めるものであるべきだと述べたが、他のものは、国際航空輸送のカーボンオフセッティング及び削減スキーム (CORSIA) など、 ITMOs の他の国際的な利用は、この定義に合致しないと指摘した。
協力的手法に関し、認可の形式を義務化する、自主的なものにする、または全体として必須のものにするべきかで、意見が異なった。 ITMOs に関し、締約国は ITMOs の認可をいついかなる時でも改定可能にするか、それとも何らかの目的で初めて移転された、キャンセルされた、または使用されたものではないことを条件にするべきかで、意見が分かれた。さらに締約国は、 ITMO の認可の撤回を認めるべきかどうか、認める場合は、どのような条件の下で、認められるべきか、議論した。締約国は、 ITMO の認可を記録するタイミングでも意見が異なった、そのオプションには次が含まれる:いついかなる時でも;緩和成果達成の前;緩和成果達成時:達成後。一部のものは、組織に関するサブセクションの必要性を質問した。認可のセクションについては、協議が続けられる。
第 6 条 4 項(メカニズム)に関するガイダンス: 非公式協議の共同進行役は、 Kate Hancock ( オーストラリア ) 及び Sonam Tashi ( ブータン ) が務め、締約国は CMA への提言を目的とする、決定書草案文書を審議した。共同進行役らは文書の最初のセクションに記述される、排出の回避及び保全強化活動について、締約国の意見発表を招請した。
多くの締約国は、排出量回避への言及二反対し、今回の会合で、この議論を終わらせることを支持した。一部の締約国は、追加ガイダンスは必要ないと主張し、可能な排出回避活動の例として示されたものは、全て、排出削減または除去として既に網羅されていると述べた。他の締約国は、保全強化活動から排出回避を分離するとのオプションに感謝するとし、排出回避を第 6 条 4 項の新しいカテゴリーにすることは受け入れられないと指摘、保全強化は、除去量強化活動として、既に対象に入っていると述べた。
第 6 条 2 項及び第 6 条 4 項合同の非公式協議: Maria AlJishi ( サウジアラビア ) 及び Peer Stiansen ( ノルウェー ) は、非公式協議の共同進行役を務め、この協議ではユニットの移転や認可に焦点を当てると説明した。
ユニットの移転に関し、締約国は、第 6 条 2 項の国際レジストリ、第 6 条 4 項メカニズムのレジストリ、国内レジストリをリンクさせるべきかどうか、リンクさせる場合は、どのようにリンクさせるか、それぞれの意見を表明した。レジストリをリンクさせ、トラッキングを識別し、ユニットの移転を可能にする、または単なるデータや情報の「引き出し及び閲覧する( pulling and viewing )」 目的についても議論した。少数の締約国は、認可された第 6 条 4 項排出削減量のメカニズムから国際レジストリへの移転を可能にするには、メカニズムと国際レジストリのリンクが必要だと指摘した。他の締約国は、リンクは移転推進ではなく、トラッキング及び「引き出し及び閲覧する( pulling and viewing )」場合に限定されるべきだと述べた。ある締約国は、未認可の第 6 条 4 項の排出削減量は同メカニズムから国内レジストリへフローするべきだと指摘し、少数の締約国は、認可された第 6 条 4 項排出削減量だけが、メカニズムから国際レジストリにフローするべきだと指摘した。
適応
適応世界目標に関するグラスゴー・シャルムエルシェイク作業プログラム: 共同進行役の Janine Felson ( ベリーズ ) は非公式協議を招集した。
あるグループは、前日の議論では、意見の一致した分野をベースに決定書草案を作成するよう共同進行役に委任することを得なかったが、これは COP 27 以来の進捗状況をかき消すものだとして、懸念を表明、意見集約分野から議論を開始し、シンプルで採択しやすい枠組を保持するよう提案した。
少数の開発途上国グループは、枠組の重要性を再度述べ、たとえば原則、包括的な目標、実施手段に関する強力な規定など、希望する主要要素を繰り返し述べた。
2 つの開発途上国グループは、先進国は無償または高度に譲渡的な資金源など、実施手段を供与し、主導し続けると明記する冒頭文を、目標の前に置くべきだと強調した。
開発途上国は、枠組は科学に基づくべきだとし、気候変動に関する政府間パネル (IPCC) からのインプット及びワークショップを招請した。
ある開発途上国グループは、 GGA に関し、補助機関 (SBs) の下での独立した合同議題項目が必要であり、これをオープンエンドのコンタクトグループが運営するものとし、指標の策定には専門家作業部会を設立する必要があると強調した。
締約国は、共同進行役に対し、文書草案の作成を委任し、翌朝には利用可能にするよう求めることで合意した。一部のものは、意見が集約された点を表示する文章を提案したが、他のものは、すべての意見及び提出文書を捕捉する文書を希望した。一部の開発途上国グループは、数件の文書を提出したと指摘、これらも組み込まれるべきだと述べた。他のグループは、草案に組み込むための追加の文書提出を行う予定。
適応委員会 (AC) の報告及びレビュー: 非公式協議の共同進行役は、 Roberta Ianna ( イタリア ) 及び Pilar Bueno ( アルゼンチン ) が務め、締約国に対し、 AC の作業のレビューに関する文書を議論する前に、 AC 報告書の文書草案を審議するよう提案した。
ある開発途上国グループは、 AC のレビュー文書の審議を最初にしたいと希望し、草案の意見調整には時間がかかると指摘した。他の少数のグループ及び諸国は、これに反対し、意見が集約されていると指摘、進捗を希望した。
一部の締約国は、報告書文書案について、意見交換をし、多数のものは、文案を提出した。一部の締約国は、報告書とレビューの両方を一つの文章にまとめることを希望した。
国別適応計画 (NAPs) : 非公式協議の共同進行役は、 Antwi-Boasiako Amoah ( ガーナ ) 及び Jens Fugl ( デンマーク ) が務めた。両共同進行役は、文書を作成したと報告、そのセクション 1 には、 2023 年 6 月に開催された実施に関する補助機関第 58 回会合 (SBI 58) の文章、いわゆる「ボン・テキスト( Bonn text )」を再度記載、セクション 2 には、 SBI 59 でこれまでに表明された意見を捕捉、セクション 2 の一部にもボン・テキストから引用しあとし、後者の議論から開始して、議論の進捗を図ることが提案された。
締約国は、次の点で合意できなかった:共同進行役が適切と考える場合は、セクション 2 にボン・テキストを組み込むよう委任するか、それとも、共同でボン・テキストのパラグラフごとの作業をするか。非公式な非公式協議で議論が続けられる。
損失損害
気候変動の影響に伴う損失損害のワルシャワ国際メカニズム (WIM) の執行委員会( ExCom )の報告: 共同進行役の Lucas di Pietro ( アルゼンチン ) 及び Cornelia J ä ger ( オーストリア ) は、非公式協議の進行役を務め、文書草案に関する締約国の意見表明を求めた。
大半の締約国は、総じて、この文書を歓迎、さらに執行委員会報告書も歓迎した。あるグループは、一部の締約国の支持を得て、報告書を歓迎することに反対し、執行委員会のメンバー構成が、特定の締約国の作業への全面参加を妨げているとの懸念を表記することを提案した。
文書に関し、少数の締約国は、「組織、機関、ネットワーク、及び専門家( organizations, bodies, networks and experts (OBNEs) )」への言及を「関連する機関及び組織( relevant bodies and organizations )」、または「関連機関及び専門家( relevant bodies and experts )」に、変更することを提案、「 OBNEs 」は通常サンチャゴ・ネットワーク関係で用いられると指摘した。一部の開発途上国グループは、文書をすべての国連の公用語に翻訳するよう提案した。ある開発途上国は、将来の執行委員会会合の主催を検討するよう締約国に求めた。非公式協議が続けられる予定。
サンチャゴ・ネットワーク: 非公式協議で、共同進行役の Cornelia J ä ger ( オーストリア ) は、サンチャゴ・ネットワークの事務局のホストを推奨する決定書草案に関し、意見発表を求めた。全ての参加者は、文書の検討には時間がほしいと表明したが、多くの開発途上国は、自分たちの優先策は次のとおりだと強調した:脆弱な国家及び人々に対し役割を果たす、適切な地域代表の存在;迅速な運用開始のためのタイムライン;技術支援の公平な配分。
締約国は、国連防災機関と国連プロジェクトサービス機関のコンソーシアムを(事務局の)ホストとして推奨することで暫定的な意見の一致を見た。多数の締約国は、今回の会合で採択済みの覚書に続くことを希望した。非公式な非公式協議が招集される予定。
資金
長期資金: 非公式協議で、共同進行役の Gard Lindseth ( ノルウェー ) は、文書草案に対する意見発表を求めた。締約国は、文書の構成を歓迎し、スリム化の可能性を指摘、多様なパラグラフの削除や修正を提案した。開発途上国は、進捗を認める一方、必要額は数兆ドルの単位だと強調し、 2021 年以後の予測への言及に反対すると繰り返し、気候資金を追跡する合意済み手法論の重要性を強調した。
少数の開発途上国は、先進国の約束の実現に関する責任分担枠組への言及を支持したが、先進国は反対し、この目標は集団のものだと強調した。先進国は、民間の資金を引き寄せるには可能にする環境が重要だと指摘し、毎年のプレッジと多数年のプレッジの分離を求め、無償融資は投資計画の競争での勝利に結びつくとは限らず、必ずしも最適な手法ではないと強調した。非公式協議で議論を続ける予定。
NCQG : 非公式協議で、共同進行役の Amena Yauvoli ( フィジー ) は、 200 のパラグラフと一つの附属書を有する、文書草案への意見発表を求めた。締約国は、草案の一部では意見の集約がなされたと指摘し、文書をスリム化する必要があると強調、一連のオプションに注目した。ある開発途上国グループは、意見が一致した分野の削除を提案、他のものは、さらなる議論を求め、これに反対した。
参加者は、 2024 年において、交渉モードへのシフトを確保する最善の方法を検討した。少数のグループ及び締約国は、 CMA 3 での議論を想起し、技術委員会や暫定委員会の設置に反対し、特別作業プログラム及び TEDs の利用を提案した。一部のものは、 TEDs へのオープンエンドな参加で前進を図ることを提案、他のものは、開発途上国の参加を支援する必要があると強調した。一部のものは、一連のスピーチよりも、「真の対話( true dialogue )」の形でのハイレベルな参画を求めた。
どのような実質的進展が捕捉されたかに関し、一部のものは、目標、時間枠、透明性のアレンジを多層構造にすることでの意見の集約を指摘した。一部のものは、議論に予断を加えることに警告し、目標の要素同士のインターリンケージを強調した。共同進行役は文書草案を改定する予定。
技術開発と移転
技術執行委員会 (TEC) 及び気候技術センター・ネットワーク (CTCN) の合同年次報告書: 非公式協議で、共同進行役の Elfriede Anna More ( オーストリア ) 及び Vositha Wijenayake ( スリランカ ) は、締約国に対し、改定された文書草案に関する意見交換を求めた。少数の先進国は、新しい文書に反対し、これは CTCN の機能及びマンデートを逸脱していると述べた。少数の開発途上国は、草案は議論の土台として優れているとして、歓迎した。非公式協議が続けられる予定。
グローバル・ストックテイク
第 1 回グローバル・ストックテイク: 非公式協議で、共同進行役の Alison Campbell ( 英国 ) 及び Joseph Teo ( シンガポール ) は、「ツール」の損失損害及び対応措置のセクションに関するコメントを求めた。
損失損害に関し、緩和と損失損害とのリンクにどれほどの重点を置くかで、各国は多様な提案を行った。多数のものは、 IPCC は損失損害が既に現実のものになっていることを示したとし、少数のものは、近未来に排出を削減しなければ、ニーズは、さらに大きくなると強調した。
将来を見据える要素に関し、開発途上国は、隔年透明性報告書 (BTRs) を用いた、損失損害の計算及びモニタリングのプロセスを委任するよう提案し、十分な技術支援及びキャパシティ・ビルディング支援に支えられた、共通の計算方式を提案し、さらにこれらの計算方式で得られたデータを集計するデータインターフェースのマンデートを追求するよう提案した。一部の先進国は、不同意で、各国のインベントリは時期尚早だと示唆した。他のものは、参画する意志があるとし、 BTRs での損失損害の情報提供は自主的なものだと指摘した。
開発途上国は、基金に対する最初のプレッジ、及び資金制度を歓迎し、最初の資本化段階後、資源を増額するよう求め、損失損害の資金は新規の、追加的で、予見可能、永続的なものでなければならないと強調した。ある開発途上国グループは、 2030 年までに毎年 1 千奥米ドルにまで規模を拡大するよう提案した。
先進国は、資金アレンジへの言及追加を提案、多様なアレンジの補完性及び一貫性を確保するよう求め、気候リスクに対するグローバルシールド( Global Shield against Climate Risks )などを例として挙げた。先進国は、新規の、そして革新的な資金源を含める必要があるとし、さらに寄附者の裾野を広げる必要があると指摘した。
少数の先進国は、ある開発途上国グループの支持を得て、緩慢に発生する現象、特に海面上昇へのさらなる注目を求めた、これには海面上昇が海洋での権利や各国の地位に与える影響も含まれる。人権や、ジェンダー、先住民、障害者に関するパラグラフも提案された。
対応措置に関する議論の中心は、将来を見据えた要素であった。多数の開発途上国は、正当な転換 を独立したセクションにするなど、その プロフィールを大きく高めるよう求めた。
対応措置のプラスの利益最大化は支持され、一部のものは、健康面での共同便益を指摘した。一部の開発途上国は、社会経済への影響や、適応能力の低下、不平等の高まりなど、マイナスの影響も特定する必要があると述べた。あるグループは、ユニラテラルな措置の影響を強調した。
ある開発途上国グループは、手法論及びツールの作成、事例研究、キャパシティ・ビルディングでのパートナーシップやネットワークに関するパラグラフの拡張を支持したが、少数の先進国は、反対した。
経済多角化への言及は支持された。少数の先進国は、 1.5 ℃に沿う行動の追求から生じる経済的な機会、特にビジネスアズユージャルなシナリオと比較した場合の機会について、より強い言及を求めた。非公式協議が続けられる予定。
対応措置
条約、京都議定書、パリ協定において役割を有する、対応措置実施の影響に関するフォーラムに関係する問題: 非公式協議では、 Peter Govindasamy ( シンガポール ) 及び Catherine Goldberg ( 米国 ) が共同進行役を務めた、締約国は、決定書草案をレビューする時間の追加を求めた。少数の先進国は、新しい文書草案は包括的であるとし、新しいツールの交渉をするマンデートはないと強調した。ある開発途上国は、この文章でも、フォーラム及びその対応措置実施の影響に関するカトヴィツェ委員会( KCI )に関の 6 年作業計画の中間レビューは取り上げていないと指摘した。非公式協議は夜まで続いた。
農業
農業及び食料安全保障に関する気候行動実施のシャルムエルシェイク共同作業: 非公式協議の共同進行役は、 Una May Gordon ( ジャマイカ ) が務め、締約国は、調整グループを創設するという提案を議論した。少数の国は、この提案の詳細に不案内であるとして、調整グループのコスト、役割、ロジスティックを質問し、たとえば、 SBI や、科学的技術的助言のための補助機関 (SBSTA) に直接提言を行うのかどうか、質問した。議論は、非公式な非公式協議で続けられた。
事務管理上、資金上、制度上の問題
Kishan Kumarsingh ( トリニダード・トバゴ ) がコンタクトグループの共同議長を務め、非国家利害関係者の参加や協調に対する政策及び基準を示した事務局のノートを中心に議論した。締約国は、ノートのマンデート、その立場、これをどのように取り上げることが期待されているかを明らかにするよう求めた。
事務局は、ノートの作成は SBI 58 で委任されたと想起し、事務局は情報内容の調査作業を続けていると指摘した。共同議長の Kumarsingh は、締約国には参画政策の交渉への参加を期待しているわけではないと強調した。同共同議長は、アラブグループ及び他の関心ある締約国に対し、事務局への質問を歓迎すると述べ、非公式な参画も歓迎するとし、同共同議長は、次回の協議までに結論書草案を提案すると指摘した。
廊下にて
ほぼすべての議題項目に関し、文書の最初の草案が出揃った。その大半が受け入れられたが、少数は拒否された。適応世界目標の共同進行役は、午後になってようやく、文書草案の作成を委任された。正当な転換の作業プログラム、 TEC 及び CTCN の報告、その他少数の文書は、うまく着地できなかった。共同進行役らは、これらの文書を振り出しに戻したが、締約国からは明確な方向性を示されない場合もあった。
その他の項目では、第 2 版の完成が近いが、ただの「風船( balloon )」の可能性があるのではと懸念されている。新しい集団の資金数量目標の文書は、 200 以上のパラグラフがあったが、それでも多くの参加者は、多くの収束や重複があると指摘した。 GST の部屋では、文書の通読がほぼ終わり、ある交渉担当者は、ツールの「増加は不可避( inevitable growth )」になることを恐れ、別なものは、「だれもが受け入れ可能になるようオプションを設定しなければならないだろう( t will have to set out options just to be seen as acceptable to everyone )」と述べた。
正当な転換は、この日の注目のテーマとして登場した。一部のものは、 GST の中で、正当な転換のセクションを作るよう求め、これは未来の気候行動の中心になると指摘した。関連する非公式協議の招集が、数回、遅れたことから、別なものは、「正義を議論する機会という、一生に一度あるかないかの機会に、ゴミ箱を投げ入れるようなものだ( we risk throwing in the dust bin a once in a lifetime opportunity where we have a chance to discuss justice )」と嘆き、この作業プログラムは、 COP 28 の中心的な決定書になることを示唆した。