Daily report for 19 November 2024
UN Climate Change Conference Baku - November 2024
この日の議論では、パリ協定のグローバルストックテイク(GSTs)の遂行、及び今後の国家決定貢献(NDCs)に対するGSTのフォローアップ作業に関し、多くの不確実性が明らかになった。さらに、交渉では、パリ協定第6条の下での市場ベース・アプローチの運用開始の遅れが、他にも波及することも明らかになった。
資金
新しい集団数量目標(NCQG):代表団の長は、草案作成グループで会合した。
適応基金(AF)の問題:京都議定書締約国会議(CMP)及びパリ協定締約国会議(CMA)の非公式協議で、共同進行役のIsatou Camara (ガンビア)は、CMP及びCMAの決定書草案の第2版を提示し、NCQGのためのプレースホールダーなど、変更箇所に焦点を当てた。
AF理事会が設定した3億米ドルという資金動員目標への言及では、意見が分かれた。アラブグループは言及に反対し、後発開発途上国(LDCs)、環境十全性グループ(EIG)、EU、その他は言及を希望した。EU、EIG、米国、英国、カナダは、NCQGのプレースホールダーには反対し、NCQGの項目は最後に決定される可能性が高く、この議題項目の結論書の作成が保留されると指摘した。
ジェンダー対応資金及びジェンダー対応の気候資金に関する2024年SCFフォーラムに言及するパラグラフについて、アラブグループは、両方のパラグラフはAFの議題項目とは関連性がないとして、その削除を希望したが、カナダ、米国、その他は、反対した。しかし、アラブグループは、決定書 3/CMP.18 (AF問題)で合意された表現に沿う場合には、ジェンダー対応型資源への言及保持に柔軟な姿勢を示した。
アラブグループ及びアフリカングループは、京都議定書からパリ協定へのAFの移行に関するいかなる表現にも反対したが、EIG、EU、英国、その他は、これは優先されるべきとし、関連のパラグラフの保持を支持した。
非公式な非公式協議での議論が続いた。
決定書1/CMA.5のパラグラフ97に規定するグローバルストックテイク成果の実施に関するダイアログ:CMAの非公式協議で、共同進行役のRicardo Marshall (バルバドス)及びPatrick Spicer (カナダ)は、文書草案へのコメントを求め、この議題項目での技術的な作業の最終日であると強調し、追加の文章案を議長職に提出し、政治協議の場に情報を提供するべきだと述べた。
スコープに関し、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)は、GSTの全成果を議論すると同時に、緩和、適応、損失損害、国際協力のための資金供与及び他の実施手段(MoI)の供与を改善する機会を検討するなど、アイデアを広げるオプションの拡大を求め、1.5℃目標に合わせた気候行動を支持した。EIG。米国、カナダ、日本は、MoIの供与の観点からみたGSTの全成果の議論では、AILACと非公式に建設的な議論を行ったと指摘した。
アフリカングループ及びその他は、ダイアログを2028年まで延長する必要があるかどうか疑問視した。LMDCsは、インプット、アウトプット、及び非締約国利害関係者のリストの長さに異議を唱えた。EU、米国、カナダは、パリ協定の特定の条項を「良いとこ取り」するのは避けるよう促したが、有志開発途上国(LMDCs)は、特定の条項を記載する必要があると強調した。
緩和
緩和野心及び実施の作業プログラム(MWP):CMA非公式協議で、共同進行役のUrsula Fuentes (ドイツ)及びMaesela Kekana (南アフリカ)は、CMA決定書の構成に関し、特に表題や主要要素に注目する、締約国のインプットを求めた。
アフリカングループは、グローバルダイアログ及び投資に注目するイベントの改善策、2025年の作業に関する手順要素、さらには題目の選択に関する作業プログラム共同議長への追加ガイダンスを提案した。小島嶼国連合(AOSIS)は、次を求めた:気候変動への対応の緊急性など、最新の科学を考慮する;小島嶼開発途上国(SIDS)の提案した題目の大半が取り上げられなかったことに留意し、題目の選択への参加性を向上する。
EIGは、次を提案した:MWPは、NDCsの国内での実施を、どのように支援できるかを検討する;MWPのGST成果への対応能力に言及する。EUは、GSTの緩和成果の集団での実施を検討する進捗報告書の作成を提案した。
ロシアは、パリ協定の想起を提案し、最善の科学に関し「選んだデータ(selective data)」を含めることに反対し、CMA決定書では将来のイベント開催のタイムテーブルを明示し、可能な題目に関する文書提出を求めるべきだと述べた。AILACは、気候行動を、空間利用計画部門及び建築政策に統合する方法に焦点を当てることを提案し、締約国、特に先進国や国際金融機関及び多国籍開発銀行に対し、持続可能な建築解決策を策定するためのキャパシティビルディングを支援するよう求めることを提案した。
NDCの特性に関する追加ガイダンス:CMAの非公式協議で、Sin Liang Cheah (シンガポール)及びFederica Fricano (イタリア)は、次の2つの可能性がある成果について、コメントを求めると同時に、あまり時間はないと指摘した:NDCの特性に関し追加ガイダンスを作成するか、それともNDCの特性について高度な言及をする決定書を作成するか。両氏は、この問題を今後も議論するべきか、議論するべきであれば、いつ議論するかを問うた。
締約国は、NDCの特性は何か、ガイダンスの一般的な役割、追加の特性に対するガイダンスの必要性について、それぞれの異なる立場を繰り返し述べた。EIG、EU、AOSIS、米国、オーストラリアは、今回の会合での議論継続を支持したが、LMDCs、アラブグループ、GRUPO SURは、議論するのは時期尚早だと考えた。インド及びロシアは、このCMA会合で、この項目の審議を終了するよう求めた。
EIG、AOSIS、英国は、2025年にワークショップによるものも含め、実質的な作業をすることを提案し;米国は、2026年のCMA会合向けの決定書作成をSBsに依頼することを提案;韓国は2027年を提案し;アフリカングループは、2028年を提案した。日本は、柔軟な姿勢を示したが、ガイダンスは遅くとも2028年までに提供されるべきだと述べた。
共同進行役のCheahは、非公式な非公式協議に参加する意思があるかどうかを締約国に問い、LMDCsは、意見が異なっているとして、反対した。今後の文書に何を記載するべきか、さらなる議論の後、共同進行役らは、成果に関する草案を作成し、これに今後の進め方のオプションを付すと述べた。
クリーン開発メカニズム(CDM)の問題:午前中のCMP非公式協議では、Karoliina Anttonen (フィンランド)及びAlick Muvundika (ザンビア)が共同進行役を務め、文書草案の第2版について、締約国がコメントした、この文書草案には、CDMの運用、プロセス、制度を段階的に打ち切るためのタイムラインに関する新しいセクションが含まれた。締約国の意見発表は、主にこのセクションが中心であり、加えて、CDM信託基金からAFへ、そして/または第6条のインフラ実施やキャパシティビルディングへと、資金の移行認定のオプションでも、意見発表があった。
AOSIS、EU、AILAC、EIG、ノルウェー、英国は、タイムラインに関する新しいセクションを支持し、アフリカングループは、そのようなタイムラインが必要なことには同意したが、ブラジル及び中国は、この文書の括弧書きを保持するよう要請した。LMDCsは、終了のタイムラインに対する反対意見を繰り返し、第6条4項の議論とのリンクを指摘した。
資金の移行に関し、EU及びノルウェーは、事務局に対し、一定期間での移行目的に利用可能な資金について、さらなる説明を求めた。事務局は、スタッフの配置からくる責任問題、及び発行プロセスの料金など、多様な不確実要素があると説明し、発行の締切日が決定すれば、正確な推計を出すことができると指摘した。事務局は、2025年に移行可能な金額が1278万米ドルであるのは確かだとも指摘した。AOSISは、締約国によるタイムラインでの合意に時間がかかればかかるほど、適応に回す金額は少なくなると強調した。
ハドルでの協議の後、締約国は、合意はなかったが、この文書草案に基づき、議論を続ける意思は確認したと報告した。
午後、共同進行役らは、クリーンで括弧書きのない文書という議長職の要望を繰り返し述べた。インドネシアは、新しい手法論の提出、及び手法論改定の要請の期限を2025年12月31日まで延長する、さらに他の関係するタイムラインも1年延長することを提案したが、EUは反対した。
主な意見対立点は、CDMの運用の段階的な中止の期限を入れるかどうか、そして、CDM信託基金からの資金の移行先であった。ブラジルは、前者に関するいかなる言及にも反対し、信託基金からの資金の行先も含め、文書での第6条へのいかなる言及にも反対した。EUは、資金の行先については柔軟な姿勢を示し、ノルウェーとともに、今回の会合でこの問題を解決できる可能性は低いと指摘した。英国は、CDMの運用中止の目処が立つまでは、いかなる資金の移行も考えられないと強調した。他の締約国は、資金の行先については、AFのみ、AFと第6条4項のキャパシティビルディングの両方、あるいはAFと第6条のインフラ全般の両方とするかどうか、柔軟な姿勢を示した。締約国は、意見の一致した草案の作成を試みたが、表現方法で合意できなかった。
コンタクトグループの閉会時、共同議長らは、文書では意見が一致しなかったと指摘し、括弧書きの文書草案を議長職に送る予定だと報告した。
適応
適応世界目標(GGA)の問題:CMA非公式協議で、共同進行役のTina Kobilšek (スロベニア)は、閣僚級協議では次の項目を検討する予定であることを想起した:COP 29での優先課題;指標作成プロセス;MoI;移行型の適応。同共同進行役は、技術レベルの議論の目的は、決定書草案を、可能な限りクリーンなものにして、閣僚たちに明確なオプションを提供することだと強調した。
締約国は、その後、決定書草案の最初のセクションについて議論した。指標の作成に関し、南アフリカは、アラブグループの支持を得て、SB 62の6週間前に技術報告書を提出するよう専門家に求めるよう、SB議長らに要請し、このパラグラフをタイムラインのセクションに移すよう要請することを提案した。EU、アフリカングループ、カナダ、ロシアは、他のパラグラフに関する提案及び優先度を述べたことから、共同進行役は、セクションごとに議論を進めることを想起し、決定書草案全体を一度に議論することは控えてほしいと求めるに至った。
議論は、非公式な非公式協議の形で続けられる予定。
国別適応計画:COPの非公式協議で、共同進行役のMeredith Ryder-Rude (米国)は、非公式な非公式協議の結果を報告するよう、締約国に求めた。G-77/中国は、協議は勢いを得ているが、多数の問題で意見対立が残っているとし、共同進行役の助言を求めた。残された時間は限られていることから、共同進行役らは、手順上の結論書に進捗状況を記載することを提案、実質的な審議は、バクーで作成された決定書草案を基に、SB 62で、続けることを提案した。
締約国は、この提案に同意したが、カナダは、変更履歴モードで最新の編集部分をわかるようにし、これを決定書草案ではなく、非公式ノートと称することを提案した。アラブグループ、AOSIS、アフリカングループ、LDCs、AILAC、LMDCsは、異議を唱え、非公式ノートとの名称に戻すことは、今回の会合での進展の大半を無にすることになると述べた。米国は、変更履歴モードの文章を括弧で括り、文書自体は決定書草案の立場を保持するという妥協案を示し、締約国もこれに同意した。
共同進行役らは、手順上の結論書を仕上げる予定。
その他の問題
技術実施プログラム(TIP):CMAのコンタクトグループでは、Diann Black-Layne (アンティグア・バーブーダ)及びElfriede More (オーストリア)が共同議長を務めた。締約国は、非公式な非公式協議では、序文及び本文の最初の4つのパラグラフについて、おおよその理解を得られたと指摘した。TIPをCMAの下だけで設置するか、CMAとCOPの両方の下で設置するかの議論には、さらなる議論が必要なことが指摘された。
G-77/中国は、次の組み合わせを再度提案した:SBsの下での技術ダイアログ、及び技術執行委員会(TEC)及び気候技術センターネットワーク(CTCN)が開催する地域ダイアログ;TIPの実施を確実にする方法として、CTCNが主催するイノベーション・ハブ、及び実施のアクセレレーター。EUは、TEC及びCTCNによる、政策及び規制を可能にする環境、国内のイノベーション・システム及び資金へのアクセス強化、そして資金へのアクセス強化など、可能にする環境を作る内的な能力の構築というオプションを支持し、これはG-77/中国の提案と相互に排除し合うものではないと指摘した。英国は、プログラムの実施を議論するのは時期尚早であると述べた。
技術ダイアログにおいて気候技術を議論するというG-77/中国の提案に関する詳細な議論で、サウジアラビアは、二酸化炭素の除去及び炭素回収・利用・貯留の技術の特定を提案した。多数の国は、反対し、より広範な記述にとどめることを希望した。ブラジルは、女性や子ども、若者、先住民など、利害関係者の参加に言及することを提案した。エジプトは、利害関係者のリストに「地方コミュニティ」の追加を提案した。トルコは、資金障壁、及び技術移転を可能にするものという題目に関し、官民のパートナーシップへの言及を支持したが、ザンビアは反対した。
共同議長らは、非公式ノートを作成する予定。
開発途上国への資金援助及び技術支援の供与:CMAの非公式協議では、Sandra Motshwanedi (南アフリカ)が共同進行役を務め、締約国は、非公式な非公式協議でまとめられた決定書の要素のリストを審議し、5つのパラグラフで、共同進行役の文書草案にいれるに十分な意見の一致が見られたと指摘し、これには直近のニーズと長期のニーズの両方に対応する支援、及び隔年透明性報告書(BTRs)の審議及び取りまとめという議題項目が含まれると述べた。締約国は、地球環境ファシリティへのガイダンスの議論と、NCQGとのリンクを認めた。非公式な非公式協議は、この日一杯、続けられた。
GSTプロセス全体の手順上及びロジスティックの要素:非公式協議では、Thureya Al Ali (UAE)及びPatrick Spicer (カナダ)が共同進行役を務め、参加者は、SBsから送られてきたCMA決定書草案に関する意見発表を続けた、主な論点は、インプットの情報源、プロセスのタイムライン、技術評価の題目分野に関するものであった。
インプットの情報源に関し、締約国は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への言及について議論し、EIG、EU、AOSISは、IPCCを最新の気候科学の主な情報源と認識することを希望したが、エジプトは、IPCCとIPCC以外の情報源のバランスを強調した。EIGは、TRADE UNION NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS (TUNGOs)、WOMEN AND GENDER、INDIGENOUS PEOPLESの支持を得て、ジェンダー別のデータの利用を求め、先住民や女性、若者、子ども、労働者、障害者などの利害関係者の参加を確保することを求めた、カナダとブラジルは、この後者の提案に賛成したが、エジプトは反対し、データの細分化でこのような特定の要素に注目する理由はないと述べ、利害関係者の参加は重要だが、このようなグループのリストを入れるのは「やりすぎ」だと述べた。
タイムライン及び会合期間外の作業に関し、EIGは、柔軟なタイムライン、及びIPCCの作業をGST似合わせることを支持した。エジプト及びインドは、IPCCは別な組織であり、CMAがIPCCに要請することはできないと述べた。技術評価の題目分野に関し、AILAC、AOSIS、アフリカングループ、カナダは、損失損害を入れることを支持した。カナダは、GSTの題目分野として登場する問題、及びクロスカッティングな問題に予断を加えるような表現にしてはならないと強調した。
イラン及びカタールは、全ての成果は満場一致で合意することを要請したが、EIG及びカナダは反対した。
共同進行役らは、非公式ノートを作成する予定。
GSTのNDC策定への情報提供に関する年次ダイアログの報告書(決定書1/CMA.5のパラグラフ187に規定):午前中のCMA非公式協議では、Kaarle Kupiainen (フィンランド)及びNoura Alissa (サウジアラビア)が共同進行役を務め、締約国は、この項目の決定書に関するそれぞれの希望を述べ、SB 60で開催されたダイアログの有用性で意見が集約された。
アラブグループは、LMDCsとともに、そしてロシアの支持を得て、第1回の年次ダイアログに関する事務局の報告書(FCCC/PA/CMA/2024/5)に留意する「純粋に手順上の(purely procedural)」結論書を求めた。LMDCsは、文書に実質的なメッセージを入れることには反対すると強調し、「いいとこ取り」に警鐘を鳴らし、この報告書は一致した意見を示すものではないこと、NDCsは国家が決定することを、指摘した。
AOSISは、より中身のあるものを希望し、次を求めた:SIDS及びLDCsへの支援の供与の必要性に言及する;EIGとともに、将来の報告書には、学習事項についての共同議長の考察を記載するよう要請する;米国とともに、議事録のサマリー。英国は、報告書からの記述を入れ、ダイアログでの非締約国利害関係者の参加を歓迎するとの文章を入れるよう求めた。AILACは、注目するべき題目を明らかにした、この中には、GST決定書(1/CMA.5)からのエネルギー移行要素のNDCsへの統合を、公正な移行原則がどのように導くか、その方法が含まれた。 GRUPO SUR及びUAEは、ミッション1.5℃イニシアティブのロードマップに注目するよう求めた。
午後、共同進行役らは、決定書草案を提示、これには手順要素及び一部の締約国が希望した主要メッセージが含まれていると指摘した。
アフリカングループ、インド、エジプト、中国は、主要メッセージの必要性を認めなかったが、報告書を検討する時間がなかったことを理由に挙げた。米国は、メッセージに注目し、たとえば、2025年に2035年のNDCsを伝えることは1.5℃の気温上昇で抑える重要な機会を表すとし、締約国は量的で経済全体の排出量目標を目指すべきというメッセージを挙げた。
締約国は、ダイアログのタイミングについて議論した。アラブグループ、インド、中国は、ダイアログをSB 60で終了するとの文言を希望したが、AILAC、米国、カナダ、英国は、年次ダイアログであり、非公式協議のマンデートはその報告書を審議することに過ぎないことから、最終日の指定を希望した。アフリカングループは、ダイアログはGSTが2025年を期限とする締約国の次回のNDCsの策定に情報を提供する方法を理解するのに役立てるものであり、SB 62 (2025年6月)で終了するべきと述べた。非公式協議は夜まで続けられた。
廊下にて
火曜日は、全員が参加する一日であった。代表団の長たちは、新しい資金目標を議論する会合を開いた。リオでのG20サミットから政治的な方向性がだされるのではと、「リオからのサプライズ」を期待した向きもあったが、まったくの期待外れで、世界で最も豊かな経済国の首脳は、ただ単に、目標の決定を「待ち望む」と決定しただけであり、あるオブザーバーは、「まるで、目標がバクーの空から降ってくるかのようだ」と、ため息をついた。
他方、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国は、自分たちにどれだけの資金が回ってくるか、期待される数字を差し出した。フィジーの代表は、再開されたハイレベルセグメントで、化石燃料補助金を念頭に、「金はそこにある、間違った場所にあるだけだ」と強調した。おそらく、この発言に刺激されて、先進国側の舌も緩んだのか、公的資金で2千億から3千億米ドルという噂が流れ始め、合わせて、水曜日の午後に新しい文書が出されるとのニュースも流れてきた。
国別適応計画の交渉担当者は、残念ながら、抵抗をやめてしまった。第2週でも議論を続けるよう議長職に働きかけていたが、結局、せっかくの進展を次の補助機関会合まで棚上げすることになった。「今日の結果から、少しずつしか前へ進めないことを思い知らされた」と、疲れ切った参加者は指摘し、会場を後にした。