Daily report for 12 December 2019

Chile/Madrid Climate Change Conference - December 2019

チリ/マドリード気候変動会議は、COP議長職による進捗状況ストックテイキング会議から開始され、続いて夜にはCOP、CMP、CMAのプレナリーが開催され、数件の議題項目に関する文書を採択した。保留問題の交渉が一日中、非公開で続けられた。

COP議長職のストックテイキング・プレナリー

COP 25議長のCarolina Schmidt (チリ)は、ストックテイクを開会し、締約国に対し、市民や若者、女性は「手順上の解決策(procedural solutions)」よりも「野心的な成果を求めている(demanding ambitious outcomes)」と強調した。同議長は、閣僚たちに対し、現在の交渉の状況を報告するよう求めた。

第6条に関し、James Shaw大臣(ニュージーランド)は、同大臣がBarbara Creecy大臣(南アフリカ)と共に、火曜日と水曜日、締約国との二者会談を開催、締約国は次の項目などで意見の一致度が高かったと指摘した:相互に受け入れ可能な結果に向けて努力する意思がある;環境十全性へのコミットメント;適応について、予測可能かつ適切な資源が必要である。同大臣は、閣僚たちはこの日一日を通し、追加の二者会議を開催する予定であり、12月13日金曜日の朝での文書作成を目指すと述べた。

COP 25議長のSchmidtは、第6条の下での決定書採択がCDMに影響を与える可能性があり、このため、CMPの下でのクリーン開発メカニズム(CDM)に関するコンタクトグループでは意見の一致がなかったと指摘した。同議長は、影響については議長職が協議を行う予定だと述べた。

気候変動の影響に伴う損失及び損害に関するワルシャワ国際メカニズム(WIM)のレビューに関し、Simon Stiell大臣(グレナダ)は、閣僚たちは二者間会議を開催、2名の参加者に対し、可能な解決策に関する技術的な文書草案の作成を進めるよう要請したと報告した。閣僚たちは、次の問題などに焦点を当てた:行動及び支援に関する専門家グループ(仮)の課題;「サンチャゴ・ネットワーク(Santiago Network)」(仮)の機能、モダリティ、活動;損失及び損害向けの資金アクセスを追加動員するため、WIM執行委員会は資金常任委員会とどのように協力する予定か。同大臣は、閣僚たちは協議終了時に合意文書がない場合、それぞれの提案をCOP議長職に送る予定だと強調した。

決定書1/CP.25、1/CMP.15、1/CMA.2(会議結果の決定書)に関し、Teresa Ribera大臣(スペイン)及びMasagos Zulkifli大臣(シンガポール)は、一連の二者協議を含める閣僚級の協議について報告した。両大臣は、野心引き上げに関する次の重要問題に焦点を当てた:プレ2020年実施及び野心に関する作業計画;2020年のNDCsへの言及;土地及び海洋の問題;損失及び損害。共同進行役は、締約国に対し、橋渡し案に注目する更なる文書提出を求め、3つの決定書草案の改訂にフィードインするよう招請した。

対応措置に関し、Hussain Rasheed Hassan大臣(モルディブ)は、グループで開催された二者協議について報告した。同大臣は、Marc Vanheukelen大使(EU)を共同進行役とする追加協議がこの日のうちに開催予定であると指摘した。

COP 25議長職のRodrigo Olsenは、議長職が中心となる協議における3つの議題項目について報告し、建設的な議論であったと指摘した。条約の下での長期世界目標(LTGG)の次回定期レビューに関し、同議長職は、締約国の合意は近いが、この問題と関係する可能性がある他の協議の結果が明らかになるのを待つことになったと述べた。

専門家諮問グループ(CGE)の報告及び委任条件に関し、同議長職は、次のことを述べた:締約国は建設的な議論に参加した;文書草案には依然としてオプションが含まれている;協議が続けられている。

ジェンダー及び気候変動に関し、同議長職は、協議が依然として続いていると報告した。

COP 25議長のSchmidtは、閉会プレナリーの最初の部分では既に交渉が決着している項目を議論するほか、議長職が協議を行っている項目を議論すると告げ、後者の項目は木曜日に結論を出さなければならないと強調した。さらに同議長は、資金項目の交渉は木曜日の午後5時までに終わらせるよう求めたことも告げた。同議長は4つの項目が保留されたままだと指摘し、締約国に対し、強力で具体的な成果を出すため、解決策に的を絞った議論を展開するよう求めた。

数か国の締約国は、会議の進捗状況、さらには現在未解決の項目があることに懸念を表明した。

エジプトは、アフリカングループの立場で発言し、開発途上国が必要としている優先要素、特に損失及び損害、対応措置、LTGGの定期レビュー、資金で合意することで、実施へと動く必要があると強調した。同代表は、開発途上国支援の問題、さらにはプレ2020年及びポスト2020年の強化された行動に関係するプロセスの継続の問題において、進捗が遅いとして懸念を表明し、先頭に立つべきものの責任を反映する野心的な成果が必要だと強調した。

EUは、第6条の下での環境十全性の確保を強調し、市民社会や若者、ビジネス界の努力を歓迎する強力な野心のメッセージを支持すると表明した。スイスは、環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、前を見据えた、解決策中心の議論への参加を求めた。

スウェーデンは、カーボン・ニュートラリティは「選択ではなく必須である(not a choice, but an imperative)」と指摘し、確固として第6条枠組、WIMの将来を見据えたレビュー、人権及び性の平等を含めることを、求めた。

ブータンは、LDCsの立場で発言し、野心的で、新しいまたは最新のNDCsを求めるCOP決定書を推した。

マレーシアは、有志開発途上国の立場で発言し、ポスト2020年枠組に「強力なスタート(strong start)」をさせるにはプレ2020年プロセスが重要だと強調し、適応、資金、キャパシティビルディングの重要性を想起した。

オーストラリアは、アンブレラグループの立場で発言し、ジェンダー行動計画及び第6条における強力な成果というのが同グループの優先課題だと説明した。

グレナダは、特定の国が「気候の危機などないかのように話を進めている(are proceeding as though there is no climate emergency)」ことに警告し、締約国に対し、最も脆弱なものが必要としていることに各国の努力を集中させるよう促した。

インドは、「未達の約束(unmet promises)」及びプレ2020年の排出削減量の不足を指摘し、「歴史の繰り返し(repeating history)」に警告し、実施における進展、特に資金及び技術移転の問題への対応を進めるよう促した。

グアテマラは、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言し、「世界は野心の明確なメッセージを待っている(the world is waiting for an unequivocal message of ambition)」と強調した。ベリーズは、小島嶼国連合の立場で発言し、全ての締約国に対し、2020年の早期に、新しい、または改定された野心的なNDCを提出するよう求めた。

COP 25議長のSchmidtは、ストックテイキングを閉会し、全ての締約国に対し、締約国全体の努力に基づく結果を、12月13日金曜日に提出するよう促し、「我々が直面している歴史的な挑戦に匹敵するような成果(outcome to equal the historical challenge that we are facing)」を求めた。

COP 25閉会プレナリー

COP 25議長のSchmidtは、この会合を開会し、2019年12月12日はパリ協定採択4周年にあたることに注目を求めた。

信任状に関する報告:COPは、報告書(FCCC/CP/2019/12)を採択した。

SBSTA報告書:COPは、口頭での報告に留意し、SBSTA 50報告書(FCCC/SBSTA/2019/2)及びSBSTA 51報告書草案(FCCC/SBSTA/2019/L.12)を採択した。

SBI報告書:COPは、口頭での報告に留意し、SBI 50報告書(FCCC/SBI/2019/9 and Add.1)及びSBI 51報告書草案(FCCC/SBI/2019/L.17)を採択した。

COPは、条約第6条に関するドーハ作業計画のレビューの委任条件に関する決定書草案(FCCC/SBI.2019/9/Add.1)及び国別適応計画に関する決定書草案(FCCC/SBI/2019/L.21)の2件のSBI決定書草案を採択した。

附属書I締約国の報告書及びそのレビュー:COPは、決定書(FCCC/SBI/2019/9/Add.1)を採択し、この問題に関する SBI結論書に留意した。

適応委員会報告書:COP 25議長のSchmidtは、SBIは今回の会合においてこの項目の審議を終了させることができなかったと指摘した。

技術開発及び移転:技術執行委員会(TEC)及び気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の合同年次報告書:COPは、決定書(FCCC/SB/2019/L.6)を採択した。

条約の下でのキャパシティビルディング:COPは、次に関する決定書を採択した:キャパシティビルディングに関するパリ委員会(PCCB)の報告書(FCCC/SBI/2019/L.27);開発途上国におけるキャパシティビルディング枠組の第4回総合レビュー(FCCC/SBI/2019/L.28);PCCBのレビュー(FCCC/SBI/2019/L.30)。

LDCsに関係する問題:COPは、この問題に関するSBI結論書(FCCC/SBI/2019/L.26)に留意した。

条約改定の提案の審議:パプアニューギニア及びメキシコからの提案:COP議長のSchmidtは、意見が分かれていると報告した。規則16が適用される予定。

事務管理上、資金上、制度上の問題:2018年の監査報告書及び決算書:20182019年の2か年の予算実績:COPは、決定書(FCCC/SBI/2019/L.23/Add.1)を採択した。

20202021年の2か年のプログラム予算:COPは、決定書(FCCC/SBI/2019/9/Add.1)を採択した。

UNFCCCプロセスでの意思決定:COP議長のSchmidtは、締約国はこの問題の重要性を確認したが、結論書で合意することはなかったと報告した。規則16が適用される予定。

CMP 15閉会プレナリー

信任状に関する報告書:CMPは、報告書(FCCC/KP/CMP/2019/7)を採択した。

SBSTAの報告:CMPは、SBSTA 50及び51に関するSBSTA議長の口頭での報告に留意し、関連の報告書(FCCC/SBSTA/2019/12 and L.12)を採択した。

SBIの報告:CMPは、SBI 50及び51に関するSBI議長の口頭での報告に留意し、関連の報告書(FCCC/SBI/2019/9 and Add.1, and L.17)を採択した。

附属書I締約国の報告、及びそのレビュー:国別報告書:CMPは、この項目に関するSBI結論書に留意した。

CDMに関係する問題:CMPは、決定書(FCCC/KP/CMP/2019/L.2)を採択した。

京都議定書の下でのキャパシティビルディング:CMPは、この項目に関するSBI結論書に留意した。

京都議定書の約束における野心引き上げに関するハイレベル閣僚ラウンドテーブルの報告:CMP 15議長のSchmidtは、非公式協議では結論書を出すに至らなかったと告げた。規則16が適用される予定。

事務管理上、資金上、制度上の問題:2018年の監査報告書及び決算書:20182019年の2か年予算実績:CMPは決定書(FCCC/SBI/2019/L.23/Add.2 and 9/Add.1)を採択した。

CMA 2閉会プレナリー

信任状に関する報告書:CMAは、信任状報告書(FCCC/PA/CMA/2019/5)を採択、この報告書の作成後に受理した米国及びニウエの信任状も採択した。中国は、期限内に信任状を提出しない場合の法的な影響を明確にするよう求めた。CMA議長のSchmidtは、その場合、当該国は手順規則草案の21項に従い、暫定的参加となることを意味すると明言した。

SBSTA報告書:CMAは、SBSTA議長の口頭での報告、SBSTA 51の報告書草案(FCCC/SBSTA/2019/L.12)及びSBSTA 50の報告書(FCCC/SBSTA/2019/2)に留意した。

SBI報告書:CMAは、SBI議長の口頭での報告、SBI 51の報告書草案(FCCC/SBI/2019/L.17)、SBI 50の報告書(FCCC/SBI/2019/9 and Add.1)に留意した。

適応委員会の報告:CMA 2議長のSchmidtは、この項目での決定書草案はないと報告した。

技術開発及び移転:TEC及びCTCNの合同年次報告書:CMAは、決定書(FCCC/SB/2019/L.7)を採択した。

パリ協定の下でのキャパシティビルディング:CMAは、決定書(FCCC/SBI/2019/L.29)を採択した。

事務管理上、資金上、制度上の問題:CMAは、COPが採択した決定書(FCCC/SBI/2019/L.23/Add.1 and FCCC/SBI/2019/9/Add.1)を支持した。

廊下にて

木曜日夜、COP閉会会合の第一部に向けプレナリー会場が人で埋め尽くされ始めても、さらに遅れるとのひそひそ話が聞かれた。ある参加者は、部屋を見渡しながら、「 プレナリーは時間通りに開けない(The Plenary can't be starting on time)」と述べた。「重要人物といえるだけの人は来ていない(No one important enough is here yet)」と。別な場所では、閣僚たちの二者会議で、WIMレビューと第6条の意見対立を解そうとしていた。一部の項目を採決する槌を打った時でも、COP議長は、集まったものに対し、最も難しい議論が「進行中(still ongoing)」であると想起した。

会場全体では、代表団のオフィスで、鋭い目をしたオブザーバーが、多様な締約国とCOP 26の次期議長との間での多数の会議開催を確認した。一部のものは、マドリードでの最終成果が、どれだけテクニカルなものであったとしても、今から1年後に再開する交渉に向けたモーメンタムを削ぐか、高めるかする可能性があるとの観測を述べた。ある参加者は、「グラスゴーに向けた確かな踏み石を敷く必要がある(We need to give a firm stepping stone for Glasgow)」と強調した。「今、多くの結論を出せれば出せるほど、より良くなる(The more we can conclude now, the better)」とも。

しかし、第6条をめぐる議論は、以前より明らかに楽観的ではなくなっている、特にテクニカル交渉に携わったものほどそうである、他の参加者は、急ぐよりも議論するよう促した。「焦げたケーキか、デザートなしか選べというなら(Given the choice between a burnt cake and no dessert)」とあるものは警告した、「多分、全く成果なしの方が良いだろう、少なくとも今のところは(perhaps it's better to have no outcome at all — at least for now)」。

地球交渉速報のチリ/マドリード気候変動会議のサマリー及び分析は、2019年12月16日月曜日、下記URLで閲覧可能:http://enb.iisd.org/climate/cop25/enb/

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