Summary report, 11–23 November 2013
Warsaw Climate Change Conference - November 2013
ワルシャワ気候変動会議は、2013年11月11-23日、ポーランドで開催された。この会議には、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第19回締約国会議(COP 19)、及び第9回京都議定書締約国会議(CMP 9)が含まれた。会合ではこのほか、次の3つの補助機関の会合も開催された:科学上及び技術上の助言に関する補助機関の第39回会合(SBSTA 39)、及び実施に関する補助機関の第39回会合(SBI 39)、そして強化された行動のためのダーバンプラットフォーム特別作業部会の第2回会合第3部(ADP 2)。
ポーランドでは2回目となる国連気候変動交渉の開催で、この会議には、4022名の政府関係者、3695名の国連機関や組織、政府間組織、市民社会組織の代表、そして658名のメディア関係者など8300名を超える出席者が集まった。
ワルシャワでの交渉の焦点は、これまでの会議で達成された合意の実施であり、これには強化された行動のためのダーバンプラットフォーム特別作業部会の作業推進も含まれた。閉会予定時刻を27時間超過して終了した会議では、ADP決定書が採択され、各国が意図して決定した貢献(contribution)について、国内の準備作業を開始もしくは強化し、バリ行動計画及びプレ2020年の野心の全面的実施の加速化を決意することが、各締約国に求められた。さらに締約国は、損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズム設置の決定書を採択し、REDD+の資金、制度アレンジ、手法論問題に関する7件の一連の決定書、「ワルシャワREDD+枠組」も採択した。
UNFCCCと京都議定書のこれまでの経緯
気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため温室効果ガスの大気濃度安定化を目指し、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在は195の締約国を有する。
1997年12月、日本の京都で開催された第3回締約国会議(COP 3)に参加した各国政府の代表らは、先進工業国および市場経済移行国に排出削減目標の達成を義務付けるUNFCCCの議定書に合意。UNFCCCの下で、附属書Ⅰ国と呼ばれる国々が、2008-2012年(第一約束期間)の間に6種の温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年と比較して全体で平均5%削減し、各国ごとに異なる個別目標を担うことで合意した。京都議定書は、2005年2月16日に発効し、現在、192の締約国を有する。
2005-2009年の長期交渉: 2005年、カナダ・モントリオールで開催された京都議定書の第1回締約国会合(CMP1)では、議定書3.9条に則り、京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の設立を決定し、第一約束期間が終了する少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討することを、その役割と定めた。また、COP 11では、4回のワークショップ開催を通じて、条約の下での長期的協力を検討するための「条約ダイアログ」と称されるプロセスも創設された。
2007年12月、インドネシア・バリで開催されたCOP 13及び CMP 3では、長期的な問題に関するバリ・ロードマップについて合意に至った。COP 13は、バリ行動計画を採択するとともに、条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)を設立し、緩和、適応、資金、技術、長期協力行動の共有ビジョンを中心に討議することを役割付けた。また、AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。2つの交渉トラックが結論を出す期限は、2009年のコペンハーゲン会議と定められた。
コペンハーゲン:デンマーク・コペンハーゲンでの国連気候変動会議は2009年12月に開催された。非常に大きな注目を浴びる会議となったが、透明性やプロセスをめぐる論争が目立った。ハイレベルセグメントでは、主要な経済国や様々な地域の代表、その他の交渉グループの代表で構成されるグループによる非公式交渉が行われた。12月18日深夜、会議の成果として政治合意である「コペンハーゲン・アコード」が成され、その後、採択のためにCOPプレナリーに提出された。それから13時間にわたる議論の末、参加者は、コペンハーゲン合意に「留意する」ことで合意した。2010年には140カ国以上がこの合意への支持を表明し、80カ国以上が国家緩和目標または行動に関する情報を提出した。また、締約国はAWG-LCAおよびAWG-KPの役割をそれぞれ 2010年のCOP 16及びCMP 6まで延長することで合意した。
カンクン:メキシコ・カンクンでの国連気候変動会議は2010年12月に開催され、締約国はカンクン合意を成立させた。条約の交渉トラックでは、決定書 1/CP.16において、世界の平均気温の上昇を2℃以内に抑えるには世界の排出量の大幅な削減が必要であると認識された。締約国は、世界の長期目標を定期的にレビューし、2015年までのレビュー期間中に目標の強化を更に検討するということで合意し、その際に1.5℃を目標とする案についても検討することで合意した。また、締約国は、先進国と途上国がそれぞれ通知した排出削減目標やNAMA(国内における適切な緩和行動)に留意した。決定書1/CP.16には、測定・報告・検証(MRV)やREDD+(途上国における森林減少等からの排出削減策)等、緩和に係わるその他の側面についても記載された。
さらに、カンクン合意は、いくつかの新たな制度やプロセスを創設した。その中には、カンクン適応枠組み、適応委員会、技術メカニズムがあり、技術メカニズムの下では技術執行委員会(TEC)と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)が設立された。また、緑の気候基金(GCF)が新設され、24人のメンバーから成る理事会が統治する条約の資金メカニズム運用機関と指定された。締約国は、この基金の設計を課題とする移行委員会や、資金メカニズムに関してCOP を支援する常設委員会の設置についても合意した。さらに、締約国は、先進国が2010-2012年に早期開始資金300億米ドルを供給し、2020年までに年間1000億米ドルを合同で動員するとの先進国の約束についても認識した。
議定書の交渉トラックでは、CMPが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(AR4)に明記されたレンジに合わせた総排出削減量を達成するべく附属書Ⅰ国に対して野心度を引き上げるよう促し、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)に関する決定書 2/CMP.6を採択した。また、両AWGのマンデートはもう一年延長されることとなった。
ダーバン:南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動会議は、2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果として、広範なトピックが網羅されたが、特に京都議定書の第二約束期間の設置や、条約の長期的協力行動に関する決定、GCFの運用開始に関する合意などが盛り込まれた。締約国は、「条約下で全ての締約国に適用可能な、議定書、法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とする新組織としてADPを発足させることでも合意した。ADPでの交渉は2015年中に完了させることとし、2020年には新合意の発効を目指すこととした。さらに、ADPは2℃目標に絡んで2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索する役割も付与された。
ドーハ: 2012年11月26日-12月8日、カタール・ドーハにて、国連気候変動会議が行われ、「ドーハ気候ゲートウェイ」と称される一連の決定書パッケージが作成された。その中には、第二約束期間を定めるための京都議定書改正やドーハでAWG-KPの作業を最終的に完了させるための合意が盛り込まれた。また、AWG-LCAの作業完了やバリ行動計画の下での交渉終了についても締約国の合意がなされた。一方、世界目標の2013-15年のレビューや先進国と途上国の緩和、京都議定書の柔軟性メカニズム、国別適応計画(NAP)、MRV、市場及び市場以外のメカニズム、REDD+等、さらなる議論が必要とされる数多くの問題については、SBI及びSBSTAに付託されることとなった。ドーハの成果の重要な要素は、途上国の中でも特に気候変動の悪影響に脆弱な国々における損失・被害を検討する制度メカニズム設立のための合意が盛り込まれたことである。
ADP 2:2013年4月29日-5月3日、ドイツ・ボンでADP 2が開催された。この会議は、ワークショップとラウンドテーブルでの議論を中心に構成され、ADPの2つのワークストリームもカバーされた。ADPの議論を進展させるには、この会議方式が有効だという印象を多くの参加者が抱いた一方で、今後のADPはもっと焦点を絞って双方向的なものとすべきだと意見が数名の政府代表から寄せられた。
ボン: 2013年6月3日-14日、ボン気候変動会議が開催された。SBI 38では、COP及びCMPの意思決定についての法的・手続き的な問題を新たな議題項目として導入しようという、ロシア、ベラルーシ、ウクライナからの提案をめぐって、議題に関する論争が引き起こされた。この論争に対する解決策は見つからず、SBIでは実質的な討議に入ることができなかった。 一方、SBSTA 38では、特にREDD+や方法論の幾つかの問題などの分野を中心に、多くの参加者が素晴らしいと認めるような進展があった。ADP 2再開会合は、ワークショップやラウンドテーブルを中心に構成されたが、一部の作業をもっと公式的な場に移すためのコンタクトグループの数を1つまたは複数設置するかという点で合意に至れなかった。とはいえ、多くの参加者は、今後の会合でADPが確実に進展を図るためにも交渉モードに転換することが重要だとの所感をもった。
ワルシャワ気候変動会議レポート
COP 19 及び CMP 9は2013年11月11日(月)に開幕した。 COP 18/CMP 8議長のAbdullah bin Hamad Al-Attiyah(カタール)は、ドーハ気候ゲートウェイ及びドーハ会議の進展を強調した。ポーランドのMarcin Korolec環境大臣は、“各締約国が地球を救うために、それぞれ貢献しよう”と呼びかけ、COP 19が気候変動への対応に向けて確固たる礎を築く場となることを希望すると述べた。また、“より早く、より高く、より強く”というオリンピックのモットーを引き合いに出し、 UNFCCC 事務局長のChristiana Figueresは、 ワルシャワ国立競技場での交渉は「勝つか、負けるかというゲームではない」と強調した。また、ワルシャワ市長のHanna Gronkiewicz-Waltzは歓迎の辞を述べつつ、ワルシャワ市が水管理や運輸、エネルギー分野で持続可能な活動を行っていると強調した。人類未曾有の気候系の変化やその影響について報告しながら、 IPCCのRajendra Pachauri議長は、温室効果ガス (GHG) 排出量は2015年までにピークを迎えさせ、再生可能エネルギーの比率を増やしていく必要があると 強調した。
このレポートは、COP、 CMP、 ADP、 SBI、及びSBSTAの議論について、各々の議題をベースに総括するものである。SBI、SBSTA、ADPに付託されたCOP 及び CMPの問題に関する交渉および交渉の成果については、それぞれ関連する補助機関での交渉の項目で論じる。
締約国会議
11月11日(月)、Marcin Korolecポーランド環境相によりCOP 19/CMP 9議長が選出され、拍手喝采の中で承認された。
組織事項:投票に関するルール案42を除く、手続きルール草案の適用(FCCC/CP/1996/2)が、締約国により合意された。その後、COPは 議題(FCCC/CP/2013/1)を採択した。条約4.2条(a) 及び (b)の妥当性についての第2回レビューに関する議題項目については、一時保留となった。また、オブザーバー組織の承認 (FCCC/CP/2013/2)について、締約国の合意を受けた。
議長以外の委員の選出: COP のKorolec議長は、委員選出に関する協議開催を伝えた。11月23日のCOP閉会プレナリーにて以 COP議長団(ビューロー)のメンバーが選出された。メンバーは下記の通り:SBSTA 議長 Emmanuel Dumisani Dlamini (スワジランド); SBI議長 Amena Yauvoli (フィジー); Cheik Ndiaye Sylla (セネガル); Ravi Shanker Prasad (インド); Su Wei (中国); Jaime Hermida Castillo (ニカラグア); Jorge Voto-Bernales (ペルー); Nicole Wilke (ドイツ); Jo Tyndすべての (ニュージーランド); 連絡官 Marina Shvangiradze (グルジア) 。
また、COPにて、SBI 議長団として 副議長 Ilhomjon Rajabov (タジキスタン)及び連絡官 Mabafokeng F. Mahahabisa (レソト) 、 ADP 議長団として、連絡官Anna Serzysko (ポーランド) を選出した。
さらに、COPにて、 技術執行委員会 (TEC) と非附属書I国の国別報告書に関する 専門家諮問グループ (CGE) の委員が選出された。 未決となっている候補指名に関する協議は継続。候補指名者リストはUNFCCCウェブサイトに掲示される予定。
今後の会議の開催日程および開催地: 11月22日のプレナリーでは、今後の会議スケジュールCOP 20 及びCMP 10(2014年12月1-12日、ペルー・リマ)、COP 21 及び CMP 11 (2015年11月30日―12月 11日、フランス・パリ)、及びCOP 22 及びCMP 12 (セネガル・ダカール)にて開催するという事で、ペルー、フランス、セネガルの各政府からの申し出が受理され、会議に関する決定書 (FCCC/CP/2013/L.2)が COPで採択された。Manuel Pulgar-Vidal Otálora大臣 (ペルー)は、ペルーが積極的に全員参加型で透明性の高い交渉をリードしていくと述べ、COP 20の進展は特に先進国と途上国間の対話や市民社会や民間セクターを含む全ての主体の動員にかかっているとし、締約国に対して、団結して効果的に気候変動に対応するよう呼びかけた。また、COP 21までの課題については、 大臣 Laurent Fabius (フランス) が“混沌から宇宙へ” ワープすることが必要だと念を押し、2015年合意によって新たな経済モデルと更なる結束を促さなくてはならないと述べた。Mor Ngom大臣(セネガル) は、セネガルが2016年のCOP 22をダカールで開催するべく名乗りを挙げたと発表し、 “料簡の狭い議論からの脱却と一致団結” による協力を締約国に呼びかけた。
信任状に関する報告書の採択: 11月22日、 COPは信任状に関する報告書(FCCC/CP/2013/9)を採択した。
補助機関の報告書: 11月22日(金)、SBSTA 38 及びSBSTA 39報告書(FCCC/SBSTA/2013/3 及び Add.1&2; 及び FCCC/SBSTA/2013/L.21)ならびに SBI 39 報告書(FCCC/SBI/2013/L.1)がCOPにより採択された。
ADP報告書: 11月23日(土)、 COP は、ADP報告書及びダーバン・プラットフォームのさらなる前進に関する決定書を採択した。
条約17条の下での締約国の提案の検討: 本項目 (FCCC/CP/2009/3-7 及び FCCC/CP/2010/3) は11月11日(月)に初めて COPで取り上げられた。COPは、日本からの提案(FCCC/CP/2009/3)、 ツバル提案(FCCC/CP/2009/4)、 オーストラリア提案(FCCC/CP/2009/5)、 コスタリカ提案(FCCC/CP/2009/6)、米国提案(FCCC/CP/2009/7) 及びグレナダ提案(FCCC/CP/2010/3)に留意した。11月22日(金)のCOP閉会プレナリーでは、COP 20の暫定議題に本項目を含めるということでCOPが合意した。
条約15条の改正に向けた締約国からの提案の検討:ロシア提案: 本件 (FCCC/CP/2011/5) は、まずCOPで11月13日に取り上げられ、その後、Iwona Rummel-Bulska (ポーランド)が進行役を務める非公式協議で審議されたものの、合意には至らなかった。11月22日、COP 20の議題に本項目を含めるということで COPは合意した。
パプアニューギニア 及び メキシコの提案: 本件 (FCCC/CP/2011/4/Rev.1) は、まず 11月13日のCOPで取り上げられた後、11月22日、Iwona Rummel-Bulskaが進行役を務める非公式協議で審議されたものの、合意には至らなかった。11月22日、COP 20の議題に本項目を含めるということで COPは合意した。
適応委員会の報告書: 本件に関する議論はSBIの適応委員会の報告書に関する議題項目の欄で概要をまとめる。
技術の開発・移転 及び 技術メカニズムの実施: TEC 及び CTCN合同年次報告書: 本件に関する議論はSBIのTEC 及び CTCN合同年次報告書に関する議題項目の欄で概要をまとめる。
CTCN 及びその諮問機関のモダリティー及び手続きに関する報告書: 本件に関する議論は、SBIのCTCN 及びその諮問機関のモダリティー及び手続きに関する報告書についての議題項目の欄で概要をまとめる。
2013-2015年レビュー: 本件に関する議論は、2013-2015年レビューについてのSBI議題 項目の欄で概要をまとめる。
資金に関する諸問題: 長期 資金に関する作業計画: 本件 (FCCC/CP/2013/7) は11月13日(水)のCOPで最初に取り上げられた。 長期資金 (LTF) の作業計画の共同議長 Mark Storey (スウェーデン)が、LTF作業計画の延長を伝え、定義の透明性とLTFのトラッキングが必要であると強調しつつ、適応向けの民間資金拡充の方策を特定するよう求めた。
フィリピンは 77ヶ国グループ及び中国 (G-77/中国)の立場から、2015年の成功は、長期資金の予測可能性、説明責任、そして持続可能性にかかっていると述べた。エジプトはアフリカン・グループの立場から、気候変動対策のレベルは、途上国に提供された支援のレベルと関係していると強調した。モルジブは、年間1000億米ドルの資金拠出目標を達成するためには、責任分担での合意に達する必要があると先進国に促した。コロンビアは、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場から、資金提供における明確さと予測可能性;動員すべき資金規模; 及び適応基金向けの十分な資金供給を要請した。欧州連合 (EU) は、LTFの義務については達成しており報告済みだと指摘した。 韓国は、本件について政治的な対話を開始するため、LTF に関する作業部会を立ち上げることを提案した。
本件については、Kamel Djemouai (アルジェリア) 及び Herman Sips (オランダ)共同議長のコンタクトグループ会合で最初に取り上げられ、今次会議の期間中ずっと討議されたREDD+を除くCOP資金に関するその他の小項目すべて[すなわち、資金に関する常設委員会(SCF)の報告書、緑の気候基金 (GCF)の 報告書及び ガイダンス、 COPとGCF間の取り決め事項、地球環境ファシリティー (GEF)の報告書及び ガイダンス、及び資金メカニズム第5回レビュー] と併せて議論が行われた。
11月13日(水)のコンタクトグループ会合では、小項目の優先順位や順番について締約国間で意見交換が行われた。フィリピンは、 G-77/中国の立場から、簡単なものから難しいものへと順序をつけるよう提案した。 EUは明確な出発点と着地点”を定めることを提案。米国は、資金に関して、ハイレベルな閣僚間の対話に期待していると述べた。COPとGCF間のアレンジに関する小項目が最も異論が少なく、LTF(長期資金)の問題が一番難しいとの見方で多くの国が一致した。一方で、コロンビア(AILAC)及び サウジアラビアを含む途上国の多くは、LTFが最重要課題であると強調した。
小項目に関する議論は、アルファベット順に並べられたCOP議題をベースに続けられ、11月14日(木)のLTFに関する議論を皮切りに審議が行われた。ほとんどの途上国が、LTFに関するCOP決定書こそ最重要テーマであると強調した。一部の締約国は、資金供給は政府の義務であると強調し、1000億米ドルの目標に向かった資金を貢献することは“新しい”ことではなく、すでに確約されたコミットメントを履行するだけのことだとして、条約4.7条 (資金と技術の移転)の実施を要請した。 数多くの途上国は、 1000億米ドルの目標をめざす道筋として、中期目標や数値化された経路の提示という形で、より具体的な成果や明確さ、予測可能性を求めた。多くの先進国は、実効性 及び イネーブリング環境(実現可能な環境)の必要性を強調した。いくつかの先進国が、 ワルシャワでは、資金に関するコミットメントが何も提示されない可能性があるとの見方を示し、2020年目標の達成に向けた取り組みが行われていると強調しつつ、数値化された経路に関する提案を拒絶した。 2°C目標達成に向けた取り組みの重要性、ならびに透明性と信頼醸成については、ほとんどの国が賛同した。
11月21日(木)に開催されたCOP/CMP 議長による非公式のストックテイキング・プレナリー(会議の進展に関する中間見直し会合)では、COP 議長より 、Maria Kiwanuka大臣 (ウガンダ) 及び Martin Lidegaard 大臣(デンマーク)に懸案事項の解決に向けた協議開催を要請したとの報告があった。11月22日、ウガンダ政府で大臣交代があり、Kiwanuka大臣に代わり、Ephraim Kamuntu大臣 が着任した。
突っ込んだ協議の後、11月23日(土)、COPは決定書を採択した。
最終結果: COP決定書 (FCCC/CP/2013/L.13)で、 COPは、 特に:
• LTF 作業計画に関するLTF 共同議長の報告書に留意;
• 条約に基づく資金と技術の移転 に関する約束の実施の緊急性を強調;
• 有意義な緩和行動と実施の透明性に照らして、2020年までに合同で年間1000億米ドルを動員するという先進国の約束、及び資金支援のレベルの明瞭さを提供することの重要性を認識;
• COP 18以降の先進国の誓約 及び 発表を認識;
• 締約国に対して、イネーブリング環境(実現可能な環境)及び 政策枠組みの向上を要請;
• 先進国に対して、官民および代替資金源を含め、幅広い資金源からの早期開始資金の期間から増加する水準で、公的気候資金の動員の継続性維持を要請;
• 先進国に対して、公的ファンドの実質的なシェアを適応に向かわせるよう要請し、適応のための新たな多国間融資の著しいシェアはGCFから融通させるべきものであると想起させる;
• 先進国に対して、経路に関する定量的及び定性的な要素についての情報を含めた、2014-2020年における気候資金の拡充に向けた戦略とアプローチに関する先進国の二カ年意見書(サブミッション)の作成を要請;
• SCFに対して、気候資金の運用上の定義条項に関して現在行われている技術的な作業について検討するよう要請;
• インセッション・ワークショップを含めてLTFに関する審議を継続し、2014-2020年の気候資金に関するハイレベル 閣僚会合を2年に1度開催すると決定。
資金に関する常設委員会の報告書: 本件 (FCCC/CP/2013/8) は、まずCOPで11月13日(水)に取り上げられた。SCF共同議長のDiann Black-Layne (アンティグア・バーブーダ) 及び Stefan Schwager (スイス)から報告書の紹介が行われた。フィリピンは、 G-77/中国の立場から、 そしてエジプトが、 アフリカン・グループの立場から、 支援のMRVを求めた。 本件は、Djemouai 及び Sipsが共同議長を努めるコンタクトグループでさらに議論された。コンタクトグループでの議論は上記LTFに関する小項目にまとめた。 COPは11月23日(土)、決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2013/L.8)で、 COPは、 特に:
• SCF報告書に注目し、その作業の透明性と開示性を歓迎;
• SCF第1回フォーラムに留意し、SCFに対して2014年の第2回フォーラムで公的および民間セクターからの適応資金の動員を集中的に検討するよう招請;
• 2014-2015年のSCF作業計画を承認し、2014年中に実施される、気候資金の流れに関する二カ年評価及び概観に関する情報に留意;
• SCFに対して、支援のMRVに関する作業を増やす方策について検討するよう招請;
• SCFに対して、SBI 及び条約のテーマ別組織との連携を強化するよう要請。
COPに対するGCFの報告書とGCFガイダンス: 本件 (FCCC/CP/2013/6、 8 及び MISC.3) は、COPで11月13日(水)に最初に取り上げられた。元GCF 共同議長の Zaheer Fakir (南アフリカ)が報告書を紹介し、Manfred Konukiewitz (ドイツ) 及び Jose Maria Clemente Sarte Salceda (フィリピン)両名が新たにGCF 共同議長に選出されたことを伝えた。 フィリピンは、 G-77/中国の立場から、 モルジブは、小島嶼国連合 (AOSIS)の立場から、他の国々とともに、GCFの迅速かつ実質的な運用開始と資金化を求めた。G-77/中国は、GCFのの民間セクターファシリティーが国家主導型で、持続可能な開発を追求するものとなると強調した。アフリカン・グループは、早期動員、補充プロセス、適応資金重視を求めた。 インドは、緩和と適応のための資金のバランスを求めた。本件は、Djemouai 及び Sips共同議長によるコンタクトグループにおいて、さらに議論が行われ、11月23日(土)、 COPは決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2013/L.12)で、 COPは、 特に:
• GCF理事会第2回年次報告書に留意し、独立したGCFの事務局の発足と事務局長の選出、及び本部合意の発効を歓迎;
• GCFの運用開始を確実にするべく理事会での進展に注目;
• GCFに対して、適応と緩和の資金配分のバランス;国家主導のアプローチの追求; 及び適応向けの資金の配分における脆弱な途上国の喫緊のニーズへの配慮を求めつつ、プログラムの優先順位 や適格性基準に関するGCFの第1回ガイダンスを採用し、すべての途上国の適格性を確認することを決定。
GCFに対する追加的ガイダンスの中で、 COPは、
• GCFの全面的な運用開始の必要性を強調;
• 資金源の管理に関する本質的な必要条件をとりまとめるよう理事会に要請し、GCFがCOP 20までに第1回の資金動員を準備できるよう先進国による野心的かつタイムリーな資金貢献を要求;
• 第1回資金動員は非常に著しい規模を実現させなければならないと強調;
• その他の多岐にわたる資金面のインプットを招請。
COPと GCF間の取り決め: 本件 (FCCC/CP/2013/6 及び 8) は、COPで11月13日(水)に取り上げられた。COPの Korolec議長は、COPがSCF 及び GCF理事会に対して、COPと GCF間の取り決め事項を策定するよう要請したことに言及した。フィリピンは、 G-77/中国の立場から、 GCFがCOPのガイダンスを受け、COP に説明責任を負うこと; 及び適格性基準などの諸問題に関するガイダンスをできるだけ速やかに提供する必要があること強調した。本件は、Djemouai 及び Sipsが共同議長を努めるコンタクトグループにおいて、さらに議論が行われた。コンタクトグループでの議論は、LTF(長期資金)に関する小項目にまとめられる。11月23日(土)、 COPは決定書を採択した。
最終結果:決定書 (FCCC/CP/2013/L.10)で、 COPは、 特に:
• GCF理事会に提起された案は理事会の承認を得たと付記をつけ、この取り決め事項案を盛り込んだSCF報告書に留意;
• 決定書の附属書に記載されたCOPと GCF間の取り決め事項に合意し、それをもって取り決め事項は発効;
• GCF理事会に対して、COP 20から、取り決め事項の実施に関する報告をCOPへの年次報告の中で行うよう要請。
COPに対するGEFの報告書とGEFガイダンス: 本件 (FCCC/CP/2013/3 & Add.1、 8 及び MISC.4、 及び FCCC/SBI/2013/INF.9) は、11月13日(水)にCOPで取り上げられた。GEFから年次報告書 及び資金の状況に関する最新情報の報告があった。GEFに対するガイダンス策定で考慮すべき要素についての締約国の意見ならびに勧告については、 フィリピンが、 G-77/中国の立場から、GEFの作業への支援を表明し、GCFを含めた資金体制の進化における役割を検討しつつ、GEFに対して、資金補充のための戦略を策定するよう要請。技術の開発及び移転の支援を強調し、 ウガンダは、途上国の適応と緩和のニーズに対処するために資金源をもっと引き上げる必要があると指摘した。本件は、Djemouai 及び Sips 共同議長のコンタクトグループにおいて、さらなる議論が行われた。 コンタクトグループでの議論は、LTF に関する小項目にまとめられる。11月23日(土)、 COPは決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2013/L.11)で、 COPは、 特に:
• GEF年次報告書に留意し、GEFに対するガイダンス案に関するSCFの勧告に注目;
• 第6回資金補充期間及びGEFの2020年の戦略案について現在進行中の作業を歓迎;
• しっかりと第6回資金補充が実施されるよう先進国に対しては自主的な貢献を要求し、その他の締約国にはそれを招請;
• GEFに対して、新たなプロジェクト機関の認定を完了し、直接的なアクセス手順の拡大のための可能性を評価するよう奨励;
• GEFに対して、SCFとの協働を強化するよう奨励。
資金メカニズム第5回レビュー: 本件 (FCCC/CP/2013/8 及び INF.2) は、11月13日(水)にCOPで取り上げられた。 フィリピンは、 G-77/中国の立場から、条約の資金メカニズムは、いかなる新合意でも継続させるべきだと強調し、予測可能性とアクセスの可能性、ならびに資金源の利用におけるバランスを確保する必要があると強く主張した。本件については、Djemouai 及び Sips共同議長のコンタクトグループにおいて、さらに議論が行われた。11月23日(土)、 COPは決定書を採択した。
最終結果:決定書 (FCCC/CP/2013/L.9)で、 COPは、 特に:
• SCFにより提供されたガイドライン更新案を歓迎;
• 決定書に附属されたガイドライン更新案の採択を決定;
• SCFに対して、COP 20までにレビューを完了させることを目指して、資金メカニズム第5回レビューへの専門家のインプットを提供し続けるよう要請。
決定書 1/CP.16 パラグラフ 70 (REDD+)の活動の完全実施に向けた成果ベースの資金: 本件 (FCCC/CP/2013/5) は、まずCOPで 11月11日(月)に取り上げられ、その後、Agus Sari (インドネシア) 及び Christina Voigt (ノルウェー)が共同議長を努めるコンタクトグループ 共同議長で審議された。11月22日(金)、 COPは決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2013/L.5) で、COPは、 特に:
• REDD+ 活動の完全実施に向けて途上国の締約国に提供された成果ベースの資金は、代替的な資金源を含め、公的、民間、二国間及び多国間などの各種資金から活用されることを再確認;
• 成果ベースの支払いの獲得及び受領をめざす途上国は、すべての予防策がどのように講じられ、尊重されてきたかという最新情報の要約を、成果ベースの支払いを受領する前に提供すべきであるということに同意;
• REDD+ 活動に資金を供給する諸団体に対しては、重要な役割を担うGCF を含めて、様々な政策アプローチを考慮しつつ、 公平でバランスのとれた方法で、十分かつ予測可能な成果ベースの資金を共同で融通するよう奨励;
• REDD+ 活動とそれに対応する成果ベースの支払いに関する情報を公表する手段として、UNFCCCウェブサイトのウェブプラットフォームの情報ハブを構築すると決定。
国別報告書: 附属書I国の国別報告書: 本件に関する議論は、SBIの附属書I国の国別報告書に関する議題項目の欄にまとめる。
非附属書I国の国別報告書: 本件に関する議論は、SBIの非附属書I国の国別報告書に関する議題項目の欄にまとめる。
条約に基づくキャパシティビルディング: 本件に関する議論は、SBIの条約に基づくキャパシティビルディングに関する議題項目の欄にまとめる。 .
条約4条パラグラフ8 及び 9の実施: 適応と対応措置に関するブエノスアイレス作業計画の実施(決定書 1/CP.10): 本件に関する議論は、SBIの決定書 1/CP.10に関する議題項目の欄にまとめる。
後発開発途上国(LDC): 本件に関する議論は、SBIの後発開発途上国(LDC)に関する議題項目の欄にまとめる。
ジェンダーと気候変動: 本件に関する議論は、SBIのその他の問題に関する議題項目の欄にまとめる。
事務管理・資金・制度的な事項: 2012–2013年の二カ年予算収支: 本件に関する議論は、SBIの2012–2013年の2カ年予算収支に関する議題項目の欄にまとめる。
2014-2015年の二カ年予算収支のための事業予算: 本件に関する議論は、2014-2015年の二カ年予算収支に関する議題項目の欄にまとめる。
条約に基づき設立された団体に勤める個々人の特権及び免責事項: 本件に関する議論は、 SBIの条約に基づき設立された団体に勤める個々人の特権及び免責事項に関する議題項目の欄にまとめる。
UNFCCCプロセスにおける意思決定: 本件は11月11日(月)、COPで取り上げられた。 COPのKorolec議長は、UNFCCCプロセスにおける意思決定に関して提起された新たな項目は、手続きルールに関する項目やパプアニューギニア及びメキシコによる条約7条及び18条の改正提案とは異なるものだと強調し、締約国に対して、この新項目は前向きな内容であり、議題に含めることが結果を予断するものではないと保証した。
11月13日(水)のCOP プレナリーで、 フィジーは、 G-77/中国の立場から、オープンエンド型の非公式協議を要請し、作業の複製、先入観、重複がないよう釘を刺した。会期中の非公式協議の進行役をGabriel Quijandria Acosta副大臣 (ペルー) 及びBeata Jaczewska 副大臣(ポーランド)が務めた。いくつかの締約国は、本件が手続きルールやパプアニューギニア及びメキシコによる条約7条及び18条の改正提案に関する議論と一緒になったり、その結果を予断したりするものではないとの言質を求めた。また、一部の締約国は、 コンセンサス”の意味を理解し、議長及び事務局の役割を明確にする必要があると強調した。ある締約国は、“法的効力を有していないものの適用されているという手続きから逸脱することがないような明確な法的環境”の必要性を強調した。他方で、投票ルールに関する合意はなく、手続きルールは採択されたものだと強調し、過去の決議を蒸し返さず、前向きなプロセスを求めた。
締約国主導のプロセスや、全締約国の主権の尊重、全締約国が意見を取り上げてもらう権利の認識、全員参加・正当性・ 透明性等については、意見の一致がみられた。いくつかの締約国は、COP 15を引き合いに出し、“廊下や舞台裏”で物事を決定するような事態を防止する必要があると強調した。交渉の効果を上げるための議論の適時性については若干の意見の終息があったものの、一部の参加者からは“交渉の効果のために全員参加の原則が犠牲にされている”と懸念を示した。また、一方で、“パッケージ”方式での決定書の採択が好まれているという昨今の慣行を再検討すべきだとの声があがった。また、小規模な交渉グループの開設方法について、問題に関心をもつ締約国が招かれていない可能性があるとして、多くの参加者が疑問を呈した。11月23日(土)、COPが結論書を採択した。
最終結果: 結論書(FCCC/CP/2013/L.3) で、 COPは:
• この議題項目に関する初期の意見交換に注目し、UNFCCCプロセスにおける意思決定についての議論を続けることを決定;
• 議長に対して、COP 2開催国のペルーと連携をとり、UNFCCCプロセスにおける意思決定に関する未来志向のオープンエンド型非公式協議を補助機関(SB)第40回会合と連動して開催するよう要請;
• COP 19の手続きルールに関する議題項目2(b) 及びパプアニューギニア 及びメキシコ提案6(b)が、本項目とは異なる個別のプロセスで審議されるということで合意;
• 本項目の検討をCOP 20でも継続することで合意。
気候資金に関するハイレベル閣僚会合: 11月20日(水)、COP 18で定められた2部制の閣僚級会合で、2012年以降の資金拡充のための先進国の取り組みも含め、長期気候資金の動員における進展に関する審議が行われた。
基調講演を行ったのは、Ban Ki-moon国連事務総長、Jakaya Mrisho Kikwete大統領(タンザニア連合共和国)、 GEFの石井菜穂子事務局長(CEO)/議長、 GCFのHela Cheikhrouhou事務局長、 及びロンドン大学(LSE)の Nicholas Stern教授。ダイアログでは、Maria Kiwanuka大臣 (ウガンダ) 及び Martin Lidegaard 大臣(デンマーク)が共同議長を務めた。
第1部のダイアログでは、早期開始資金の期間後のギャップ;特に適応のための公的資金を拡充するための機運づくりの方策; 及び気候資金動員の課題などのテーマを含めて、気候資金拡充の“現状”と進展について検討することとなった。オープニングの緊張をほぐす “アイスブレーカー”として、Lisel Alamilla大臣 (ベリーズ)、 Dalila Boudjemaa大臣(アルジェリア)、 Peter Altmeier大臣(ドイツ)、 及び Todd Stern気候変動特使 (米国)による発表が行われた。
第2部では、出席者は気候資金動員の拡充を実行するための取り組みを模索するよう求められた。特に: 民間資金の流れを変えるための共同政策と規制行動; 気候資金の効果的な展開のための促進的な行動; 及び個々の先進国の戦略などについて検討することが求められた。“アイスブレーカー”の発表は、Tine Sundtoft大臣(ノルウェー)、 Edward Davey大臣(英国)、 及び Juan José Guerra Abud環境・天然資源省大臣(メキシコ)によって行われた。
閣僚ダイアログの概要は次のサイト(http://enb.iisd.org/vol12/enb12592e.html)に掲載。
閉会プレナリー: COP閉会プレナリーは、合意済みの項目について検討するため、まず11月22日(金)夕方に開催された。閉会プレナリーは、懸案事項の協議結果を待って、9:00 pmにいったん閉会し、土曜日の5:00 pm に再開された。Korolec議長は、ADP報告書; 資金に関する諸問題; 及び2014-2015年の二カ年事業予算の採択などの項目を含め、COP議題の懸案事項は“パッケージ”ではなく、それぞれの項目について個々に対応することになると強調しつつ、それら懸案事項の検討を行うよう参加者に招請した。プレナリーは再度5:50 pmに一時中断し、残りの問題に関する協議結果を待つこととなった。その後、プレナリーは7:04 pmに再開し、政府代表らは、損失と被害; 対応措置の実施による影響に関するフォーラムと作業計画;適応と対応措置に関するブエノスアイレス作業計画; 及び 手続きルールについて討議した。しかし、プレナリーは7:30 pmから 8:43 pmの間に再度中断し、委員の選出や報告書の採択を含む、残りすべての項目の検討を行った。 COPは、今次会合の報告書 (FCCC/CP/2013/L.4) 、及び今次会議を開催したポーランド及びワルシャワ市民への感謝を示した決定書(FCCC/CP/2013/L.1) を採択した。COP 19 議長は、2013年11月23日(土)8:52 pm にCOP閉幕の槌音を鳴らした。
京都議定書 締約国会合 (CMP)
CMPは11月11日(月)に開幕し、議題及び作業構成(FCCC/KP/CMP/2013/1)を採択した。フィジーは、G-77/中国の立場から、第2約束期間の数値化された排出抑制及び削減の約束を再検証するため、ハイレベル閣僚級ラウンドテーブルに向けたモダリティーとアレンジに関する新項目を提案した。オーストラリアの支持を受け、EUは、本件に関しては、野心メカニズムについて出されたドーハの関連決定書で十分なガイダンスを提供しているとして、反対を唱えた。提案にコンセンサスが得られていないことを指摘し、G-77/中国は、他の項目の下で本件を提起することが可能だと強調した。議題については元々の提案どおりの内容で採択され、作業構成についても修正なしの内容で締約国の合意を受けた。 開会のステートメントの概要については下記サイトを参照のこと。http://enb.iisd.org/vol12/enb12584e.html
組織事項:交代委員の選出: CMPは11月23日(土)、適応基金理事会;クリーン開発メカニズム(CDM)執行理事会; 遵守委員会; 及び共同実施(JI)監督委員会(JISC)の委員を選出した。懸案の指名候補者に関する協議は継続される。
信任状に関する報告書の承認: CMPは11月23日(土)、代表者らの信任状を承認した。(FCCC/KP/CMP/2013/8)
京都議定書に対するドーハ改正事項の批准状況: 事務局は11月13日(水)、ドーハ改正が発効するには、144カ国の批准書が必要であり、寄託者はバルバドス、モーリシャス、及びアラブ首長国連邦(UAE)からの受諾文書を受け取っていると説明した。EUは、ドーハ改正条項をできるだけ早期に批准する意思があると強調し、他の締約国110カ国以上も批准する必要があることを指摘した。ノルウェーは、議会がまもなく批准案の検討に入ると伝えた。批准状況に対して失望感を表明しながら、中国は、2014年末までにドーハ改正を批准する意思があると発表した。11月22日(金)、 事務局は、バングラデシュのドーハ改正に関する受諾文書を受け取ったと報告した。スイスは、ドーハ改正についてスイスに関する部分のフランス語訳の脚注11の訂正を求めた。
補助機関の報告書: 11月22日(金)、CMPは、SBSTA 38 及び SBSTA 39 (FCCC/SBSTA/2013/3 及び Add.1&2; 及び FCCC/SBSTA/2013/L.21)の報告書、及びSBI 39の報告書(FCCC/SBI/2013/L.1)を採択した。
CDMに関する問題: CDMに関するガイダンス: 本件 (FCCC/KP/CMP/2013/5 (Parts I & II) は、まず11月11日(月)のCMPで取り上げられ、その後、Giza Gaspar Martins (Angola) 及び Marco Berglund (フィンランド)が共同議長を務めるコンタクトグループで取り上げられた。11月23日(土)のCMP閉会プレナリーでは、エクアドルが、認証排出削減量(CER)の需要が不足している問題について政治的な議論を求めた。CMPは、決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.10)で、CMPは、特に:
• CDMの参加者が現在直面している厳しい市場の状況や、その結果としてCDMの価値を脅かしている機関の能力面の喪失等に懸念を表明;
• 締約国に対して、CDMの活用促進を奨励;
• 執行理事会より認定を受けた運営機関及び暫定的に指定された運営機関に対して、セクター別の有効化及び/もしくはセクター別の検証機能を付与するよう指定;
• 執行理事会に対して、自主的な持続可能な開発ツールの利用の評価を迅速化し、その評価結果をCMP 10に報告するよう要請;
• 執行理事会に対して、CDM活動の領域における持続可能な開発の便益をモニタリングする上で、指定国家機関を支援するための指針となるツールを開発し、自動的に追加的だと見なされるような活動のための有効化プロセスを簡素化するよう要請。
CDMのモダリティーと手続きのレビュー: 本件に関する議論は、CDMのモダリティーと手続きのレビュー関するSBIの議題項目の欄にまとめる。
共同実施 (JI)に関する問題: JIに関するガイダンス: 本項目 (FCCC/KP/CMP/2013/4) は、まず11月11日(月)のCMPで取り上げられ、その後、Dimitar Nikov (フランス)及び Yaw Osafo (ガーナ)が共同議長を務めるコンタクトグループ で討議された。11月22日、CMPは決定書を採択した。
最終結果: 決定書(FCCC/KP/CMP/2013/L.3)で、CMPは、特に:
• JIの参加者が現在直面している厳しい市場の状況や、その結果として締約国のツールとしてのJIの価値を脅かしている機関の能力面の喪失等に懸念を表明;
• 京都議定書第2約束期間のJIを改善する必要があると強調;
• 共同実施(JI)監督委員会 (JISC)の2012–2013年の年次報告書に留意;
• JISCに対して、SBI 40で審議するよう、CDMと併せてJIの認定制度に関する勧告を提出するよう要請。
JI ガイドラインのレビュー: 本件の議論は、JI ガイドラインレビューに関するSBIの議題項目の欄にまとめる。
遵守委員会の報告書: 本件 (FCCC/KP/CMP/2013/3) は11月13日(水)、CMPプレナリーで取り上げられた。遵守委員会のKhalid Abuleif共同議長(サウジアラビア)が委員会の年次報告書を紹介。 Ilhomjon Rajabov (タジキスタン) 及び Ida Kärnström (スウェーデン) 共同議長の非公式協議が行われた。 11月22日、 COPは決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.2)で、 CMPは、 特に:
• 報告期間の遵守委員会の作業に注目;
• 決定書に附属された遵守委員会の手続きルール改正事項を採択。
適応基金: 適応基金理事会の報告書: 本件 (FCCC/KP/CMP/2013/2 及び FCCC/SBI/2013/INF.2)は、11月13日(水)のCMPプレナリーで取り上げられた。 適応基金理事会 (AFB)のHans Olav Ibrekk議長は報告書を紹介。 多くの締約国は、予測可能で十分かつ持続可能な資金供給の必要性を強調した。ベニンは 調達された資金のギャップ及び資金調達目標額はLDCにとって“大きな打撃”だと述べた。エジプトは、基金が、直接アクセスできる適応の主な資金源であると強調し、資金補充策を重視するよう求めた。 市民社会の後援団体は、NAPはコストではなく投資であると強調し、資金不足は市場の信頼性欠如の結果であり、富裕な国々が資金供給を行うという道義的責任を回避したためだと述べた。その後、本件はSuzanty Sitorus (インドネシア) 及び Ana Fornells de Frutos (スペイン) が共同議長を務めるコンタクトグループで討議された。11月22日(金)、CMPは、決定書を採択した。
最終結果: 決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.6)、 CMP 、 特に:
• 適応基金理事会 (AFB)の報告書 及び基金の資金状況に関する情報に留意;
• 基金の一時的な管財人たる世界銀行によって提供される役務の契約条件に対する改正事項を採択;
• 現在のCER相場を受けて、基金からの資金供給の持続可能性、妥当性、及び予測可能性に関する懸念事項に留意;
• 各国の実施機関の認定や基金の資金源に対する直接的なアクセスを促進するためのAFBの取り組みに謝意をもって留意;
• AFBに対して、BI 40の審議や結論書を考慮に入れつつ、CMP9 決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.7)に附属された、適応基金第2回レビューへの付託事項として盛り込むべき問題に関する見解をCMP 10に提供するよう招請;
• 決定書 1/CMP.8パラグラフ 21に則り、基金のためのCDM登録簿の保有口座に徴収された2%の収益金を受け取るものと決定;
• AFBに対して、この収益率の金銭化に向けた取り決めを検討し、その勧告内容をCMP 10に送るよう要請;
• AFBに対して、CMPの承認を受けた2%の収益率に係わる管財人との法的な取り決めを策定、承認するよう要請;
•AFBの2013年の資金調達戦略に留意し、附属書I締国 及び 国際機関に対して、この戦略の支援金を提供するよう奨励することを継続し、2013年に基金に対して成された資金貢献及び誓約を歓迎。
第2回レビュー適応基金: 本件の議論は、SBI議題項目の適応基金の欄にまとめる。
京都議定書の締約国でもある条約附属書I国の国別報告書: 本件の議論は、SBI議題項目の附属書I国の国別報告書及びGHGインベントリデータの欄にまとめる
第1約束期間の京都議定書8条に基づく専門家レビュープロセスの完了期日: 本件の議論は、SBI議題項目の“その他の問題”: 議定書8条に基づく第1約束期間の専門家レビュープロセスの欄にまとめる。
京都議定書に基づく附属書B 締約国の年次編集会計報告書: 本件の議論は、SBI議題項目の附属書B 締約国の年次編集会計報告の欄にまとめる。
京都議定書ドーハ 改正条項セクションG (3条、パラグラフ 7 ter)のテキストの明確化: 本項目 (FCCC/KP/CMP/2013/7)は11月11日(月)、CMPとSBSTAの開会プレナリーで最初に取り上げられた。その後、本件はNagmeldin Elhassan (スーダン)が進行役を務める非公式グループの中でSBSTAの議題項目として取り上げられた。11月17日(日)、SBSTA 閉会プレナリー で、非公式グループ会合では本件に関する作業を完了することができなかったとElhassan進行役が報告し、SBSTAは、CMPでさらに本件について検討するよう招請する内容を盛り込んだ結論書(FCCC/SBSTA/2013/L.31)を採択した。 11月20日(水)の非公式のストックテイキング・プレナリー で、 COPのKorolec議長は、Iwona Rummel-Bulska (ポーランド) と Marzena Anna Chodor (ポーランド)に本件の協議継続を要請したことを伝えた。11月22日(金)のCMPプレナリーで、 CMPは、結論書を採択した。
最終結果: 結論書で (FCCC/KP/CMP/2013/L.5)、 CMPは、京都議定書のドーハ改正条項に関するセクション G (3条パラグラフ7 ter)のテキスト、特に“約束期間に先立つ最初の3年の平均年間排出量”の決定のために使用される情報について、明確化を求めるカザフスタンからの要請について作業を完了することが出来なかったと留意し、SBSTAに対して、本件の審議をSBSTA 40で継続するよう要請した。
京都議定書に基づくキャパシティビルディング: 本項目の下での議論は、議定書に基づくキャパシティビルディングに関するSBIの議題項目の欄にまとめる。
京都議定書2.3条に関する問題: 本項目の下での議論は、京都議定書3.14条に関するSBI議題項目の欄にまとめる。
京都議定書3.14条に関する問題: 本項目の下での議論は、京都議定書3.14条に関するSBI議題項目の欄にまとめる。
事務管理・資金・制度的な事項: 2012-2013年の2カ年予算収支: 本項目の下での議論は、2012-2013年の2カ年予算収支に関するSBI議題項目の欄にまとめる。
2014-2015年の2カ年事業予算: 本項目の下での議論は、2014-2015年の2カ年事業予算に関するSBI議題項目の欄にまとめる。
閉会プレナリー: 11月23日(土)、 CMPは、会合報告書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.4) 及び本会議を開催したポーランド及びワルシャワ市民への感謝を示した決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.1)を採択した。CMP 9 議長は、9:00 pmに会議を閉幕した。
cop 19 及び CMP 9 合同ハイレベルセグメント
COP/CMP合同ハイレベルセグメントは、11月19日、 21日、22日、に開催された。ポーランドの Donald Tusk首相が、ハイレベルセグメントの開幕を告げ、出席者を歓迎した。ポーランドでCOP/CMPが開催されたのは今回で2回目となるとし、首相は、ポズナニ以降に浮上した課題として、資金面の危機;コペンハーゲンでの国際合意成立に向けた取り組みの失敗;世界エネルギー市場の変化; 及び最新のIPCCの知見等があると指摘。「もう失敗は許されない。気候交渉で遊んではいられない」とし、ワルシャワ会議の主な目標は国際合意の実現に向けて何が必要なのか “厳粛に評価する”ことだと強調した。 国連事務総長のBan Ki-moonは、今後 “険しい登山道” が待ち受けていることを示唆し、ワルシャワが重要な足掛かりであると述べた上で、京都議定書の第2約束期間の批准や、大規模な変革のための緩和、 適応 及び 資金の野心の引き上げ、投資家向けの適切な政策シグナルの発信、2015年合意に向けた確固たる礎を築くことにより、気候の課題に立ち向かうための行動アジェンダ策定などが、重要な行動分野であると強調した。
国連総会(UNGA)のJohn Ashe議長は、交渉の課題については理解を示しつつも、 “会議場の外の光景は薄ら寒い”と述べ、 締約国は2015年までに合意を成立させ、2020年までの野心や、遵守メカニズム、全ての締約国の適用可能性などを盛り込まなければならないと述べた。
UNFCCCのChristiana Figueres事務局長は、COP 19が“明快な科学からの呼びかけ(a clarion call from science)と、フィリピンからの説得力ある呼びかけ”を背景に開催されているとし、ワルシャワ会議はリマ会議やパリ会議への道筋をつける必要があると述べた。また、各国の閣僚らに対しては、資金や、“損失と被害メカニズムのための“土台”、2020年までの野心の引き上げ、及び新たな合意の要素といった、中核的な成果文書に積極的に関与するよう呼びかけた。
その他、ハイレベルセグメントでは、各国・政府の首脳や各国・政府の副代表、閣僚、そのほかの組織代表などの声明発表が続けられた。声明のウエブキャストは、 http://bit.ly/HX8VgK で閲覧可能。
強化された行動のためのダーバン プラットフォームに関するアドホック・ワーキング・グループ (ADP)
ADP第2回会合第3部 (ADP 2-3)は、Kishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ) 及び Artur Runge-Metzger (EU) 共同議長により11月12日(火)に開幕した。ADPでは、ADP 2第1部で採択された議題 (ADP/2013/Agenda) 及び共同議長のシナリオノート (ADP.2013.16.Informal Note)を踏まえて作業が行われた。 開会ステートメントの概要については下記サイトを参照のこと。 http://enb.iisd.org/vol12/enb12585e.html
組織事項: 委員の選出: 11月23日(土)のADP 閉会プレナリーで、 Kumarsingh共同議長から、ADP 2-3後に新たに就任するADP連絡官としてAnna Serzysko (ポーランド)が選出されたとの発表があった。
決定書 1/CP.17のすべての要素の実施: ADPは11月12日(火)、条約に基づく機関、 メカニズム及び取り決めによる役割と作業の進展(FCCC/ADP/2013/INF.2)に関するブリーフィングと議論を開始した。共同議長の問題提起を指針として、その後の第1週目の作業は2つのワークストリームの下で行われた。ワークストリーム 1 (2015年合意) は、適応、 緩和、 技術、 資金、 キャパシティビルディング 及び 透明性を含めた、2015年合意の内容と要素に関するオープンエンド型協議で話し合われた。ワークストリーム 2 (2020年までの野心)では、今後の方策に関するオープンエンド型協議ならびに他の多国間の環境条約での類似の経験から学んだ教訓や2020年までの野心、都市化、及び都市での気候行動の促進における政府の役割などに関するワークショップの議論が行われた。
第2週目には、ADPでの作業は、共同議長の決定書草案と決定書 1/CP.17のすべての要素の実施に関するオープンエンド型非公式協議における結論書をベースとした交渉、共同議長の特別イベント、および強化された行動のためのダーバン プラットフォームに関するハイレベル閣僚会合から構成された。ADPの決定書と結論書は11月23日(土)の閉会プレナリーで採択された。
条約に基づく機関、メカニズム、取り決めに係わる概要: 11月12日(火)、 共同議長 Runge-Metzgerが、条約に基づく現状がADPの両ワークストリームでの議論に入るための“自然な出発点”であると指摘。事務局は、今後の参考にオンラインインターフェースに注目しつつ、概要を紹介した。(FCCC/ADP/2013/INF.2)
ワークストリーム 1: 適応: Kumarsingh共同議長は、11月12日(火)のADP開会プレナリーで、適応に関する技術文書 (FCCC/TP/2013/10)に注目した。 多くの締約国が、適応に関する第1回オープンエンド型ADP協議の開催にシグナルが発信されたことに感謝を示した。11月13日(水)の非公式協議で、事務局は、適応の費用・便益・機会に関する意見書まとめ(FCCC/TP/2013/10)を紹介した。
多くの 締約国が、2015年合意では、国際機関や支援国及び民間部門に対してパートナーシップの必要性というシグナルの緊急性を反映させ、現在行われている締約国の適応の取り組みを認識し、各国および国際的な行動とニーズを評価する包括的なレビューの要素を盛り込み、資金メカニズムを強化しなければならないと指摘した。また、透明性が信頼醸成のカギであるとして、 ある締約国は、ワルシャワで、MRVの取り決めを完成させ、これから誓約を明確にするという要請を行った。
11月15日(金)のオープンエンド型協議では、現行の適応枠組みの強化や提案された国際目標を含めた2015年合意における適応について検証が行われた。多くの国が、NAPの中心的な役割やを認識し、国際、地域、国家、地元レベルの適応を強調した。 ペルーは、NAPを補強し、ギャップを埋めるために国別報告書を活用するというAILAC提案を改めて示した。サウジアラビアは、NAPこそ全ての締約国の必須要件だと述べた。インドネシア、 中国 及び韓国は、適応と持続可能な開発とのつながりを強調した。
資金については、 マレーシアが、 G-77/中国の立場から、インド、 中国、 ケニア 及び エジプトとともに、適応向けの資金供給の欠如に対する懸念を示した。マリは、NAPへの資金提供を求めた。インドは、技術移転への資金提供を強調した。米国は、適応を支援するための同国の約束を指摘した。
制度的なアレンジについては、条約に基づく適応に対処している現行制度の強化を多くが求めた。
G-77/中国、バングラデシュ、 ケニア等は、排出シナリオに応じた適応ニーズの推計によって決定したアフリカン・グループ案に基づく国際適応目標を求めた。オーストラリア、 ノルウェー、韓国、米国は、適応を国際数値目標として積み増していくことが技術的に困難であると強調し、そうした目標を設置することは非生産的であると米国が述べた。ADPのKumarsingh共同議長は、アフリカン・グループ、 オーストラリア、 米国などを招聘し、適応の国際目標に関する同提案について協議するよう招請した。ネパール、 フィリピン、及びナウルは、AOSISの立場から、緩和と適応のつながりを強調した。 AOSISは、小島嶼開発国(SIDS)が一部の気候変動の影響には適応することができないとし、野心的でタイムリーな緩和によってのみ損失と被害を低減させられるのだと強調した。
緩和: 11月13日(水)の非公式協議では、2015年合意への幅広い参加を担保することが重要であるとの点で多くの締約国の意見が一致した。いくつかの国が、緩和の約束は共通するが差異ある責任 (CBDR)に則り差別化されるべきであり、途上国による緩和の強化は実施手段の提供次第であると強調した。
ワルシャワでの合意に向けて、緩和の誓約について国レベルの協議を開始するよう呼びかけられた。また、緩和の約束を定義するためのプロセスについても議論が行われた。各国で定められた約束の柔軟性と一般的に合意されたルール厳格性との間でバランスを図る必要があるとの意見があがった。各国間の約束を比較するため促進的な関与をもつ“上昇スパイラルの野心”を創り出すための提案も行われた。また、科学の発展や各国の能力に応じて、2015年合意が柔軟性を備え調整可能であるべきだとの提案もあった。 ある締約国は、約束は国内の手段で達成されるべきものであり、海外オフセットに依存するべきではないと強調した。その他、歴史的責任について議論が行われ、一部の締約国がIPCCに方法論の開発を委任することを提案する一方で、歴史的責任を重視することは2℃目標の達成を確保するものではないとの指摘もあがった。
技術: 11月14日(木)、 締約国は、 オープンエンド型協議をオブザーバーに開放することに合意した。Kumarsingh共同議長は、締約国に対して、技術の開発と移転がいかに2015年合意や2020年以降の期間のための制度的アレンジの中に反映することができるのかという議論に集中するよう求めた。
マレーシアは、 G-77/中国の立場から、技術の開発と移転が途上国における低排出経路を実現するためのカギとなると強調し、具体的な排出削減量とスケジュール及び現在の報告制度を強化するための財源の特定を求めた。ベネズエラは、資金支援の不足は遺憾だと述べた。
有志途上国グループ(LMDC)の立場で発言したエジプトや中国等は、GCF内に技術移転のための専用窓口を設置するよう求めた。LMDCは、パキスタンとともに、技術支援のMRVに関する作業計画を求め、中国、 エクアドル等とともに、知的所有権(IPR)などに絡むものも含め、障害の撤廃を要求した。インド 及び パキスタンは、IPRの資金を強調した。LMDC、 中国、 クウェート等は、GCFがIPR問題の専用窓口を提供することができると述べた。日本は、IPR問題を取り上げることに反対したが、ボリビアは、キューバとともに、本件に関するワークショップ開催を求めた。
2015年合意については、ナウルが、AOSISの立場から、技術の開発と移転を資金メカニズムと連携させることを強調した。LDCの立場にあるAOSIS、LMDC、 ネパールをはじめとする国々は、緩和と適応のための技術の開発と移転を要請した。ボリビアは、TECの役割強化やCTCNの役割を模索し導いていくためのワークショップ、ならびに途上国がアクセスしやすい信頼性の高い技術の保管場所を求めた。
2020年以降の期間のための制度的アレンジについては、AOSISは、資金メカニズムに基づく既存の制度に技術の移転・開発を結びつけることを強調した。LDCは、技術メカニズムは新たな合意と統合されなければならないと述べた。
協議は11月15日(金)に続けられた。米国は、カナダとともに、イノベーションにとってIPRは決定的に重要なのだと強調した。カナダ は、IPR問題は他のフォーラムでも十分に対応されていると強調した。米国、 EU、スイスは、IPRが技術移転の大きな障害ではないと強調した。アフリカン・グループの立場にある、南アフリカ 及び スワジランドともに、フィリピンは、支援の妥当性に対処するためにレビューメカニズムを内部に設置しておくことを求めた。
また、アフリカン・グループは、附属書I国に対して、民間の支援を活用し、他の多国間協定から学習するよう求めた。EUは、2015年合意によって国際技術協力を促進することを示唆し、CTCNや官民の役割について強調するとともに、技術メカニズムが2020年以降の期間の技術的要素となるとし、イネーブリング環境(実現可能な環境)の重要性を強調した。 また、複数の締約国が、技術ニーズ評価を通じた技術ニーズのマッピングや、伝統的および先住民の知識の移転支援、重複作業を予防するための他の政府間組織との連携、及び技術メカニズム団体間の相乗効果の促進などを求めた。
資金: 11月14日(木)のオープンエンド型協議では、2020年以降の約束や2020年以降の制度的アレンジの実施に向けた2015年合意における気候資金の問題について討議が行われた。
ボリビア、中国、 キューバ、エクアドル、クウェート、イラン、ニカラグア、サウジアラビア、シエラレオネ、ベネズエラは、提案されている重点項目に疑義を呈し、最初に2020年までの資金について議論することなく、2020年以降の問題について集中的に議論することに対して途上国は不快感を抱いていると強調した。スイスは、集中的な議論が実質的な進展を可能にするのだとして、共同議長が提案しているアプローチを支持した。ほとんどの締約国は、2015年合意について、既存の制度を強化する必要があると指摘しながらも、既存の制度をベースに合意を定めるべきだとの考えに同意した。多くの途上国は、新規の追加的で拡充された資金や、気候資金の主要な財源としての公的資金、支援のMRV、2015年合意の他の要素と同じ法的効力を付与した資金の章の設定、先進国全体および個々の先進国のの資金の約束のための数値目標、及び資金のロードマップなどを求めた。途上国が資金の約束を担うことを示唆する提案について懸念を示し、数名の参加者が、南南協力は“自主的な取り組み”と見なされるべきだと強調した。他方、いくつかの先進国は、資金のフローを活性化させるためのイネーブリング環境(実現可能な環境)の役割について強調した。日本、米国は、官民双方の投資を活発にする必要性があると強調した。また、 米国は公的資金を特定することがLDCにとって重要であるとし、中所得および高所得の経済国における民間資金の役割について強調した。さらに、米国は、法的拘束力をもつ2015年合意の要素がまだ決まっていないとの見方を示した。カナダは、最貧国の問題に対応するには公的資金だけでは不十分だと述べた。
スイスは、SCFによる二ヶ年レビューの役割を強調し、官民双方の資金に対するMRVを強化する必要性があると指摘し、全体量と出資国ベースでの約束の強化を求めた。ノルウェーは、適応のための公的資金の必要性を強調し、締約国が炭素価格制度や費用対効果の高い市場メカニズムを活用して、汚染者負担の原則に沿った遵守を担保するよう求めた。バングラデシュは、予測可能 な適応資金について強調した。
キャパシティビルディング: 11月15日(金)のオープンエンド型協議 では、キャパシティビルディングは横断的問題であり、国家主導で実施すべきテーマであると認識され、2015年合意の中に顕著な形で明示させるべきだとの締約国見解が出された。多くの 途上国は、キャパシティビルディングは緩和と適応の両方を重視すべきだと述べた。.
パキスタンは LMDCの立場から、また、ドミニカとネパールはLDCの立場から、キャパシティビルディング支援の必要性を強調した。セントクリストファー・ネーヴィス(AOSISの立場)、中国、 韓国は、条約の資金メカニズムに基づくキャパシティビルディングの窓口を求めた。EUは、民間部門の役割、特に技術面での役割について強調した。
制度的アレンジについては、EU、日本は、キャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラムの強化を提案した。南アフリカは、ダーバン・フォーラムが“自己の存在を証明”をする機会が与えられていないと述べた。インドネシア は、フォーラムの国内フォーカルポイントの役割を強調した。米国は、条約に基づく既存の 諸機関がキャパシティビルディングを実施することを奨励するよう求めた。アルジェリアは、これらの諸機関を十分に支援すべきだと強調した。韓国 、日本は、2015年合意のすべての局面においてキャパシティビルディングを主流化させることを提案した。
サウジアラビアは、中国、スワジランド(アフリカン・グループの立場)の支持を受け、キャパシティビルディングのニーズを特定するための国の能力構築を要請し、キャパシティビルディングに関する作業グループの設置を求めた。AOSISは、独立した機関の必要を強調した。LDC、AOSIS、南アフリカ、キューバ等は、キャパシティビルディング実現のMRVを求めた。EU、米国は、それぞれの国・地域のキャパシティビルディング活動に関する報告を強調した。コロンビアは、キャパシティビルディングの受け入れとそれを大幅に増加させるものを特定するための“革新的な外観”を求めた。 米国は、途上国がイネーブリング環境を構築する必要があると強調した。
透明性: 11月15日(金)のオープンエンド型協議では、多くの締約国が、支援のMRVについてさらなる作業が必要だとした上で、行動と支援の透明性を強調した。スワジランドは、アフリカン・グループの立場から、具体的な量やスケジュール、資金源の明確化を通じて、資金、技術 、キャパシティビルディングの約束の透明性を改善する必要があると強調した。セントルシアは、早期開始資金から学んだ教訓を生かした堅牢かつ透明なMRV制度や、支援の影響を評価するための指標、先進国の報告様式の標準化、及び途上国の報告の簡素化を求めた。米国は、透明性によって支援の供与を強化できると強調し、支援の供与国と被供与国に平等な透明性に関するルールが必要だと主張した。
LMDCは、約束と報告については、途上国と先進国の間の責任に違いがあるとし、すべての締約国に共通して適用する算定ルールを策定しようとする動きは行動や進展を遅らせるものだと釘を刺した。アフリカン・グループは、アルジェリアの支持を受け、途上国の負担を過剰に増やすことに釘を刺し、附属書I国と非附属書I国と同等な義務を設けることに警戒感を示した。
約束に関する事前情報と事後のMRVの双方に対して共通な透明性と説明責任のフレームワークを求めつつ、 オーストラリアは、 どのような状況の下でも同じルールを全ての締約国に適用させようという意図はなく、理不尽な負荷を与えようとするものでもないと主張した。
緩和の約束の透明性については、米国は、参加国を最大限に増やすため、全締約国に共通の単一だが柔軟な一連のルールに基づき、全ての締約国が、国ごとに定めた緩和の約束を提出し、国際的な協議プロセスを経てから、実施段階では定期的なレビューを実行するという段階的アプローチを提案した。
緩和の約束を定める際の事前情報の要件については、EUが、柔軟性の必要を認識する一方で、数値目標 及び 目標の期間、 対象セクター及び温室効果ガス(GHG)の種類、使用する方法、市場メカニズムに対するアプローチ、及び土地利用セクター向けの算定制度などに関する情報を求めた。
先進国の緩和の MRVについては、ネパールが LDCの立場から、中国の支持を受け、正確で完全かつ定期的なレビューの実施を求め、京都議定書のMRV及び遵守制度の基準を落とさないよう防止する必要があると強調した。
ワークストリーム 2: 今後の方策: 11月13日(水)のオープンエンド型協議では、ワークストリーム 2の成果や野心を引き上げるための具体的行動に専念するよう呼びかけられた。 事務局からは、野心を引き上げるための行動やイニシアティブ、オプションに関する緩和の便益についてのテクニカルペーパー(FCCC/TP/2013/8 及び Add.1&2)の紹介があった。
ナウルは、 AOSISの立場から、サブミッションやテクニカルペーパー、及び専門家ワークショップに影響を与える再生可能エネルギーや省エネに特化したプロセスを提案した。ネパールは、 LDCの立場から、誓約の実施、スコープの拡大、ならびにルールの厳格化を求め、ワークストリーム 2に不可欠な実施手段を強調した。
マレーシアは、 G-77/中国の立場から、附属書I国の約束の強化が最初のステップであるとし、特にドーハ 改正条項の批准や資金 と技術で緩和と適応の提案をマッチングさせるためのメカニズムの発足を求めた。中国は、緩和を超える要素の認識という成果や、資金支援の妥当性やIPRに関する作業計画を求めた
EUは、他の機関の経験を活用するため更なる技術的作業や追加のワークショップを提案し、大臣らがリーダーシップを発揮するための機会やUNFCCCの触媒的な役割の促進などを提唱した。
ハイドロフルオロカーボン類(HFC)については、インドとサウジアラビアが、UNFCCCの対象であると強調した。EUは、モントリオール議定書と責任を共有するものだと強調した。中国は、UNFCCCの諸原則はHFCの段階的撤廃にもあてはめるべきだと主張した。メキシコは、短寿命大気汚染物質対策には健康面での共同便益があると強調した。 コロンビアは、 AILACの立場から、排出量が2015年にピークを迎える必要がある点に留意し、特に、REDD+に関する野心の強化や 2014年6月の閣僚級会合開催を要請した。
エクアドルは、2020年までの野心ギャップを埋めるべく進展を図ることがワークストリーム1で前進するための出発点だと強調した。
ベネズエラは、LMDCの立場から、クウェート及びアルジェリアの支持を受け、特に、途上国のニーズを特定するための資金と支援の明確さや、対応措置の実施による経済社会的な影響への対応、及びGCFの迅速な資本化と運用開始を求めた。
南アフリカ、ミクロネシア、ボリビアは、緩和、実施、資金及び技術のギャップを強調した。カメルーンは、中央アフリカ森林協議会(Central Africa Forests Commission: COMIFAC)の立場から、緩和ギャップを埋めるための森林減少の低下、停止並びに反転の役割について強調した。南アフリカは、非附属書I国の実施手段を増強させる必要があると強調した。必要な支援と資金供給をマッチングさせるためのポータル構築を提案している南アフリカとともに、マリは、1000億米ドル目標を土台にするよう求めた。
米国は、カナダ 及び オーストラリアの支持を受け、準国家レベルの主体の緩和ポテンシャルを活用するよう求めた。中国は、そうした地方レベルの取組みは各国の行動の範疇に入るものだと主張した。
他の多国間環境条約の関連する経験からの教訓に学ぶワークショップ: このワークショップは、11月13日(水)に開催され、参加者はワークストリーム 2の下で2020年までの野心を引き上げるための具体的な取り決めを特定するよう促された。討議されたテーマは下記の通り:
• 締約国による新たな義務の免除(opt-out)の可能性
• 国連環境計画(UNEP)と絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 (CITES) 事務局との関係
• モントリオール議定書に基づく予防原則の適用
• 先進国と途上国の義務の差別化
• モントリオール議定書に基づく温室効果ガス(GHG)対策
• 参加、特に非締約国の参加に係る規定
• 非締約国に対する義務の影響
ワークショップ全体の概要については次のサイトを参照: http://enb.iisd.org/vol12/enb12586e.html
都市化及び都市での気候行動の促進における政府の役割などに関するワークショップ: ADP の作業のための具体策を練るため、このワークショップが11月14日(木)に開催された。討議されたテーマは、交通・建築における省エネと再生可能エネルギー促進に成功している政策、途上国のインフラのニーズにおける資金供給ギャップ、ADPプロセスにおける国家以外の主体の役割等。ワークショップの完全版サマリー: http://enb.iisd.org/vol12/enb12587e.html
両ワークストリームの下のすべての要素の実施: 交渉第2週目も、決定書 1/CP.17のすべての要素の実施に関するオープンエンド型非公式協議や共同議長の特別イベント、及びハイレベル閣僚級ダイアログにおいて、共同議長の決定書草案及び結論書を踏まえたADPの作業が続けられた。
ADP 共同議長の特別イベント: 11月19日(火)に開催されたADP共同議長の特別イベントでは、 2015年合意によって国家以外の主体と政府間の連携強化を促進する方法や国家以外の主体のイニシアティブや行動の認識及び強化におけるUNFCCCの役割について討議された。詳細は次のサイトを参照のこと。http://enb.iisd.org/vol12/enb12591e.html
強化された行動のためのダーバン・プラットフォームに関するハイレベル閣僚会合: 11月21日(木)、 COP 19のKorolec議長は、各国の大臣や首脳に対して、2020年以降の世界に移行するための2020年までの行動や、成功する意義深く耐久力のある2015年合意に必要とされる要素について意見を披露し、議論を行うよう招請した。 required for a詳細は次のサイトを参照のこと。http://enb.iisd.org/vol12/enb12593e.html
両ワークストリームのすべての要素の実施の進展に関する交渉: 11月18日(月)、 ADP共同議長が決定書 1/CP.17のすべての要素の実施に関するテキスト草案を紹介した。草案は、共同議長の結論書草案、及び、2015年合意に示された要素を盛り込んだ附属書を含む2020年までの野心と2020年以降の行動に関する決定書草案から構成されている。
2週目の交渉を通して、幾つかの改訂版文書について議論がなされた。その後も22日(金)の日中と夜間、23日(土)午前にもオープンエンド型協議ならびに非公式協議の議論が続いたため、元々21日(木)午後に予定されていたADP閉会プレナリーは順延された。
意見の隔たりが大きかったのは、 “2015年合意に示される要素(indicative elements)” あるいは“さらなる考察が必要な分野の非網羅的なリスト(non-exhaustive list )”について、それぞれ決定書または結論書の附属書として盛り込む形にするという案であったが、交渉時間が不足していることで多数から反対意見が挙がった。差別化の性質と程度”の問題でも意見の相違が目立った。また、途上国の間と先進国の間でも多極化が目立ち、途上国側が条約に基づく諸原則や条項、附属書を踏まえた差別化の取り決めの継続的な適用を強調する一方で、先進国側は、状況の変化に伴ってCBDR原則の適用については継続するが内容を更新するよう主張していた。また、特に、資金と技術の移転のための明確なロードマップや損失と被害、支援のMRV、各国で設定することを目指す約束ならびに妥当性・公平性の評価を目的とする付随情報の提出スケジュール、遵守メカニズム、算定ルール、及び、IPRの分野でも意見の違いが大きかった。
インドは、2015年合意について、テキストの書きぶりが、各締約国が緩和や適応、 資金、 技術の開発と移転 及び キャパシティビルディングの分野で約束を担うことを“前提としている”として、懸念を表明した。
中国は、2020 年までの実施強化の必要性とバリ行動計画 (BAP)を強調した。LDCは、衡平性および公平性の原則やBAPの完全実施を通じた信頼醸成について記載するよう求めた。資金のロードマップについては、 米国が、1000億米ドルの数値目標は幅広い決定書パッケージとの関係で設定されたものであり、 “この先も常に新たな約束をしていくことはできない”と強調した。LMDCは、緩和のための民間投資の活用に関する提案に反対した。
野心の引き上げについては、 EUが、期限つきの作業計画やワークストリーム 1の下での管理部門の透明性と評価段階、及びワークストリーム 2の下での具体的な行動を求め、2˚C目標の統合化について協調した。インドは、先進国の緩和の野心について、1990年比で少なくとも40%以上削減する必要があるとし、技術移転の強化やIPRへの対応についても強調した。オーストラリア、 日本、カナダは、IPRについて言及することに反対した。
シンガポールは、準国家レベルでの協同作業は共有と学習という文脈で実行されるべきだと述べた。米国、 日本、カナダは、準国家レベルでの緩和と適応に関する協同作業の推進を支持した。 LMDCは、条約の枠外の行動については記載しないよう警告した。
閉会プレナリー: ADPのKumarsingh共同議長が、当初の予定より2日遅れの11月23日(土)12:12 pm、閉会ADP プレナリーを開幕した。議長は、ADPの協議には多数が参加し、透明性が高く、率直で双方向の議論が行われたと振り返り、締約国に対して、さらに検討が必要な分野の非網羅的なリストを盛り込んだ結論書草案、ならびにダーバン・プラットフォームのさらなる前進に関する決定書草案 (FCCC/ADP/2013/L.4 & Add.1).の採択について検討するよう促した。また、議長は、テキストについて、締約国主導で、多様な見解を意識した内容になっていると述べる一方、これが2015年合意の内容を予断することにはないと指摘した。
インドは、ブラジル、南アフリカ、インド及び 中国から構成されるBASICグループの立場から、中国、サウジアラビア、シンガポールの支持を受け、テキストには切迫感がなく、 野心や資金に関する明確なロードマップも盛り込まれていないと遺憾の意を表明した。また、強調した。決定書の中でバランスをとるには、“約束”という文言を付けられた“すべての締約国”という用語を使う場合は “条約の規定に則り”という文言を追加する必要があると強調した。また、結論書の附属書については、リストに挙げられた分野の議論が適切に行われていないとして、反対を唱えた。
中国は、フィリピンとともに、先進国と途上国の差別化は今後も有効とすべきであり、途上国については“強化された行動”、先進国については“約束”という言葉で言及するよう求め、条約4条 (約束に関する差別化)について言及するよう要求した。また、ADPの目的は、新たな気候レジームの構築ではなく、 完全かつ実効性ある条約の実施を強化することにあるとし、そのためには実施手段や行動及び支援の透明性が必要になると強調するとともに、附属書は “バランスに欠いた、非常に選択的で誤解を招く内容だ”と主張した。
シンガポールは、共同議長の考察ノート(reflection note)の中に附属書を移動させるよう提案し、過去の約束が履行されていないと強調した。米国は、EUとともに、決定書草案と附属書つきの結論書を支持し、新たな条約の中にどのような形で差別化を捉えるべきかという点で見解は分かれているとし、条約4条 (約束に関する差別化)について言及することに反対した。 フィジーは、 “この一週間は昼夜ともに非常に長かった” が、“また長い1日になろうとしている”と述べ、 G-77/中国の立場から、2013年のADPの議論におけるすべての締約国の関与に謝意を示し、2015年の成立に期待を寄せた。ナウルは、 AOSISの立場から、決定書が、地球の気温上昇を1.5˚C以下に抑制するための緩和の潜在力を解き放つ機会になると述べ、来年の重要なイベントでは、締約国 が“帰国してからの宿題をやって、決定的な行動を起こすための策を持ち寄らなければならない”と強調した。ガンビアは、 LDCの立場から、 テキスト は“妥協精神”の塊であるとの見解を示し、妥当性や科学、NAPA、差異ある能力に対する考察不足、資金と実施に対する言及不足などの懸念を提起しているにもかかわらず、LDCグループが重視している問題も提起されていないと強調した。
テキストを受入れる構えを示しつつ、 コロンビアは、 AILACの立場から、 個々の能力という枠組みの中で行動し、すべての締約国の優先事項について配慮するよう求めるとともに、リマ及びパリでの会議を成功させるには、もっとバランスの取れた議論を行い、“われわれの取り組みかた”について考える必要があると強調した。
ボリビアは、同国がもともと条約 4条(約束)の記載を追加するよう提案していたと述べた上で、2015年までの途上国の約束と記載する文章は、資金に関する規定の明確化を含め、条約 4条が遵守された場合のみ実現できる課題を示唆するものだと指摘した。ADPのテキスト案に関する合意が成立しないからといって他の COP/CMP決定書を“人質”にとるべきではないとして、ロシアは、テキストをCOPの採択に向けて送付するよう提案した。
ベネズエラ、 スワジランド(アフリカン・グループ)、スイスは、睡眠不足による肉体的な負荷があるものの、合意は至急成立させなければならないと述べ、ADP共同議長に対して、会議のスケジュールを参加者に伝えるよう求めた。
Kumarsingh共同議長は、ADP 閉会プレナリーを2:16 pmにいったん中断し、締約国が合意を模索するよう求め、3:40 pm に閉会プレナリーを再開させると述べた。インドは、 “非公式な寄り合い会合”から出された改正案を読みあげた。同提案は、決定書草案の中の“約束(commitment)”という表現を貢献の法的性質を予断することなく、“貢献(contribution)”と言い換えるとともに、“そのように行動する立場にある締約国は(parties in a position to do so)” という表現を“そのように行動する準備ができている締約国は(parties ready to do so)” と変更するというものである。結論書草案についての提案は、附属書に盛り込まれる、更なる考察が必要な分野に関する非網羅的リストならびに、結論書草案に含まれる附属書への記載も削除するというものである。口頭ベースでの修正通り、ADPでのダーバン・プラットフォームの更なる前進に関する結論書及び決定書草案(FCCC/ADP/2013/L.4 & Add.1) の採択に先立って、ボリビアとキューバは、決定書の中の修正されたパラグラフは条約4条、特に4.7条を厳格に適用するものだと理解していると述べた。
ADPは、ADP報告書 (FCCC/ADP/2013/L.3)を採択した。Kumarsingh共同議長は、実質的な成果を導くに至った参加者の真摯な仕事を認めた。Runge-Metzger共同議長も、参加者に向けて“それら(の成果)が無かったら、我々はどうなっているだろうか。逆に、我々の存在が無ければ、そうした成果になっていただろうか?”と話した。Kumarsingh共同議長はいったんADP 2-3を4:08 pmに中断し、その後 COPにおいて、ADP結論書 及び決定書を採択し、ADP報告書に留意した。
最終結果: 結論書で (FCCC/ADP/2013/L.4)、 ADPは、締約国 及び 認定を受けたオブザーバー組織に対して、高い緩和ポテンシャルをもつ行動のための機会に関する情報をそれらの緩和の利点、費用、共同便益及びその実施の障害を含めて提出し、さらに途上国の緩和行動のための資金、 技術、キャパシティビルディングへの支援を含めて障害を克服するための戦略を提案するよう招請した。
さらに、ADPは、事務局に対して、特に以下を要請。
• インセッション・ワークショップの開催
• UNFCCCウェブサイト上に、数値化された経済規模(各国の)排出削減目標、数値化された排出規制及び削減の約束、及び各国ごとに適切な緩和行動、ならびに適応と持続可能な開発の共同便益がある官民の行動を含めて、高い緩和ポテンシャルをもつ行動についての情報の「見える化」を 向上
• 2014年に締約国、市民社会、民間部門、都市及び 他の準国家当局が参加する、技術専門家会合を開催し、特に高い緩和ポテンシャルをもつ行動に焦点を当てつつ、政策、慣行、技術について情報を共有し、必要な資金、技術、キャパシティビルディングの問題に対応
• 高い緩和ポテンシャルをもつ行動について定期的に更新情報を準備
• 適応と緩和に関して、都市及び 他の準国家当局の経験やベストプラクティスの情報を共有するたのフォーラムを開催
決定書 (FCCC/ADP/2013/L.4/Add.1)で、 COPは
• 気候変動は、人類社会や将来世代、および地球に対して、喫緊で不可逆的となる可能性をもつ脅威であると警告
• 締約国の緩和 の誓約の総合的な影響と産業革命以前の地球の平均気温からの上昇レベルを2°C または 1.5°C 未満に抑制できる機会をもつ総合的な排出経路との著しいギャップを強調
• 条約の究極的な目標を達成するには、多国間ルールに基づくレジームと条約に基づく既存の約束の緊急かつ持続的な実施の強化が必要であることを再確認
• すべての京都議定書締約国に対して、ドーハ改正の批准及び実施を要請
• 途上国の脆弱性を低減し、回復力を高めることを目指した適応行動の実施の強化及び支援を実現するには、適応に関して強化された行動と国際協力が緊急に必要とされると強調
• ADPに対して、 特に、緩和、 適応、 資金、 技術の開発と移転、 キャパシティビルディング、及び、行動と支援の透明性に関するものも含めて、ADPの作業を考慮に入れつつ、交渉テキスト案に盛り込むための要素をさらに詰めるよう要請
• すべての締約国に対して、条約に基づいた全ての締約国に適用可能な議定書または他の法的文書または法的拘束力を有する合意済みの成果採択との関連で、貢献(contributions)の法的性格を予断することなく、国内で定める予定の貢献に向けた国内準備を開始または強化し、条約の目標達成、および(2015年第1四半期までに、そのように行動する準備ができている締約国によって) 貢献の法的性格を予断することなく、COP 21までに十分にそれらの連絡を実施することを招請
• ADPに対して、COP 20までに、自国の貢献を提出する際に、貢献の法的性格を予断することなく提起する情報を特定するよう要請
• 先進国締約国、資金メカニズムの運用機関、及びそのような立場にある他のすべての機関に対して、2014年のできるだけ早い時期に関連行動の支援を提供するよう奨励及び要請
• 特に実施手段の提供に関して、そうした実施が2020年までの期間の野心を強化すると認識しつつ、BAPの完全実施の加速化を決意
• すべての締約国による条約に基づく最大限の緩和の取り組みを担保するべく、2020年までの期間の野心を強化すると決意
• 緩和の野心の強化に関する作業計画に基づき、活動を加速化させると決定。
実施に関する補助機関
SBI 39は、11月11日月曜日に開会し、Tomasz Chruszczow (ポーランド)が引き続きSBI議長を務めた。SBI閉会プレナリーは、本来、11月16日土曜日に開催される予定だったが、11月17日日曜日の早朝に開会し、結論書を採択した。日曜日の朝、定足数不足のため、一部のSBI議題項目が未決で残されたことから、SBI閉会プレナリーは中断され、11月18日月曜日の朝に再開された。本セクションは、COP/CMPの交渉状況、ならびにSBIに託された問題に関する成果の概要を示す。
組織上の問題:11月11日、締約国は、非附属書I国別報告書の情報に関する項目を保留し、議題書(FCCC/SBI/2013/11)を採択した。
附属書I国別報告書及びGHGインベントリ・データ:第6回国別報告書:この問題は11月11日にSBIで議論され、その後Fatuma Mohamed Hussein (ケニア)とKiyoto Tanabe (日本)が進行役を務める非公式折衝で議論された。SBIは、附属書I諸国の国別報告書に関する結論書及び2つのCOP/CMP決定書草案 (FCCC/SBI/2013/L.7 & Add.1 & 2)を採択した。11月22日金曜日、COP及びCMPのプレナリーはそれぞれの決定書を採択した。
最終成果: 決定書(FCCC/SBI/2013/L.7/Add.1)において、COPは特に:
• 国別報告書及び年次GHGインベントリは、附属書I締約国の条約実施レビューにおける主要な情報源であると強調する;
• COP 17において、事務局に対し、先進締約国の隔年報告書の取りまとめ・統合報告書を作成し、COP 20及びその後の会合の検討に付すよう求めたことを想起する;
• 先進締約国による第1回隔年報告書及び第6回国別報告書の提出期限が2014年1月1日であると想起する;
• 事務局に対し、国別報告書の取りまとめ・統合報告書をCOP 20向けに作成するよう要請する;
決定書 (FCCC/SBI/2013/L.7/Add.2)において、CMPは特に:
• 国別報告書及びデータは、議定書の締約国でもある附属書I締約国による条約及び京都議定書の実施をレビューする主要な情報源であると強調する;
• COP 17において、事務局に対し、先進締約国の隔年報告書の取りまとめ・統合報告書を作成し、COP 20及びその後の会合の検討に付すよう要請したことを想起する;
• 事務局に対し、CMP 10用に、第6回国別報告書の補足情報の取りまとめ・統合報告書を作成するよう要請する;
• 事務局に対し、附属書II締約国を除き、CO2換算で5千万トン以下のGHG排出量がある締約国の第6回国別報告書について、レビューの集約を計画するよう要請する。
1990-2011年の期間における附属書I締約国の国別GHGインベントリ・データに関する報告書: この問題は11月11日のプレナリーで議論された。SBIは、この報告書(FCCC/SBI/2013/19)に留意した。
附属書B締約国の年次取りまとめ及び算定報告書:この問題 (FCCC/KP/CMP/2013/6 and Add.1)は、11月11日、SBIプレナリーで短時間議論された。
最終成果: SBIは、結論書(FCCC/SBI/2013/L.3)を採択した。11月22日金曜日、CMPはこの報告書に留意した。
非附属書I国別報告書:専門家諮問グループ(CGE):この問題(FCCC/SBI/2013/7, 17 and 18)は、最初に11月11日のプレナリーで議論され、その後Fatuma Mohamed Hussein (ケニア)とKiyoto Tanabe (日本)が共同進行役を務める非公式折衝で議論された。SBI議長のChruszczowは、CGEの構成で合意したと報告した。
11月22日金曜日、COPプレナリーは、結論書及び決定書を採択し、CGEの任命に留意した。
最終成果: 結論書 (FCCC/SBI/2013/L.24 & Add.2)において、SBIは特に次の点に留意した:非附属書I締約国による報告書作成要求順守に必要な技術支援に関し、効率的な対応のための長期作業計画作成の提案;CGEの教材は定期的に更新されるべき;非附属書I締約国の代表に対し、オブザーバーの資格でのCGEの作業参加を求める、ただしCOP 20で当該締約国のCGEメンバーシップ問題を審議するまでの措置とする。
他の多国間環境条約の関連する経験からの教訓に学ぶワークショップ: このワークショップは、11月13日(水)に開催され、参加者はワークストリーム 2の下で2020年までの野心を引き上げるための具体的な取り決めを特定するよう促された。討議されたテーマは下記の通り:
• 締約国による新たな義務の免除(opt-out)の可能性
• 国連環境計画(UNEP)と絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約 (CITES) 事務局との関係
• モントリオール議定書に基づく予防原則の適用
• 先進国と途上国の義務の差別化
• モントリオール議定書に基づく温室効果ガス(GHG)対策
• 参加、特に非締約国の参加に係る規定
• 非締約国に対する義務の影響
ワークショップ全体の概要については次のサイトを参照: http://enb.iisd.org/vol12/enb12586e.html
都市化及び都市での気候行動の促進における政府の役割などに関するワークショップ: ADP の作業のための具体策を練るため、このワークショップが11月14日(木)に開催された。討議されたテーマは、交通・建築における省エネと再生可能エネルギー促進に成功している政策、途上国のインフラのニーズにおける資金供給ギャップ、ADPプロセスにおける国家以外の主体の役割等。ワークショップの完全版サマリー: http://enb.iisd.org/vol12/enb12587e.html
両ワークストリームの下のすべての要素の実施: 交渉第2週目も、決定書 1/CP.17のすべての要素の実施に関するオープンエンド型非公式協議や共同議長の特別イベント、及びハイレベル閣僚級ダイアログにおいて、共同議長の決定書草案及び結論書を踏まえたADPの作業が続けられた。
ADP 共同議長の特別イベント: 11月19日(火)に開催されたADP共同議長の特別イベントでは、 2015年合意によって国家以外の主体と政府間の連携強化を促進する方法や国家以外の主体のイニシアティブや行動の認識及び強化におけるUNFCCCの役割について討議された。詳細は次のサイトを参照のこと。http://enb.iisd.org/vol12/enb12591e.html
強化された行動のためのダーバン・プラットフォームに関するハイレベル閣僚会合: 11月21日(木)、 COP 19のKorolec議長は、各国の大臣や首脳に対して、2020年以降の世界に移行するための2020年までの行動や、成功する意義深く耐久力のある2015年合意に必要とされる要素について意見を披露し、議論を行うよう招請した。 required for a詳細は次のサイトを参照のこと。http://enb.iisd.org/vol12/enb12593e.html
両ワークストリームのすべての要素の実施の進展に関する交渉: 11月18日(月)、 ADP共同議長が決定書 1/CP.17のすべての要素の実施に関するテキスト草案を紹介した。草案は、共同議長の結論書草案、及び、2015年合意に示された要素を盛り込んだ附属書を含む2020年までの野心と2020年以降の行動に関する決定書草案から構成されている。
2週目の交渉を通して、幾つかの改訂版文書について議論がなされた。その後も22日(金)の日中と夜間、23日(土)午前にもオープンエンド型協議ならびに非公式協議の議論が続いたため、元々21日(木)午後に予定されていたADP閉会プレナリーは順延された。
意見の隔たりが大きかったのは、 “2015年合意に示される要素(indicative elements)” あるいは“さらなる考察が必要な分野の非網羅的なリスト(non-exhaustive list )”について、それぞれ決定書または結論書の附属書として盛り込む形にするという案であったが、交渉時間が不足していることで多数から反対意見が挙がった。差別化の性質と程度”の問題でも意見の相違が目立った。また、途上国の間と先進国の間でも多極化が目立ち、途上国側が条約に基づく諸原則や条項、附属書を踏まえた差別化の取り決めの継続的な適用を強調する一方で、先進国側は、状況の変化に伴ってCBDR原則の適用については継続するが内容を更新するよう主張していた。また、特に、資金と技術の移転のための明確なロードマップや損失と被害、支援のMRV、各国で設定することを目指す約束ならびに妥当性・公平性の評価を目的とする付随情報の提出スケジュール、遵守メカニズム、算定ルール、及び、IPRの分野でも意見の違いが大きかった。
インドは、2015年合意について、テキストの書きぶりが、各締約国が緩和や適応、 資金、 技術の開発と移転 及び キャパシティビルディングの分野で約束を担うことを“前提としている”として、懸念を表明した。
中国は、2020 年までの実施強化の必要性とバリ行動計画 (BAP)を強調した。LDCは、衡平性および公平性の原則やBAPの完全実施を通じた信頼醸成について記載するよう求めた。資金のロードマップについては、 米国が、1000億米ドルの数値目標は幅広い決定書パッケージとの関係で設定されたものであり、 “この先も常に新たな約束をしていくことはできない”と強調した。LMDCは、緩和のための民間投資の活用に関する提案に反対した。
野心の引き上げについては、 EUが、期限つきの作業計画やワークストリーム 1の下での管理部門の透明性と評価段階、及びワークストリーム 2の下での具体的な行動を求め、2˚C目標の統合化について協調した。インドは、先進国の緩和の野心について、1990年比で少なくとも40%以上削減する必要があるとし、技術移転の強化やIPRへの対応についても強調した。オーストラリア、 日本、カナダは、IPRについて言及することに反対した。
シンガポールは、準国家レベルでの協同作業は共有と学習という文脈で実行されるべきだと述べた。米国、 日本、カナダは、準国家レベルでの緩和と適応に関する協同作業の推進を支持した。 LMDCは、条約の枠外の行動については記載しないよう警告した。
閉会プレナリー: ADPのKumarsingh共同議長が、当初の予定より2日遅れの11月23日(土)12:12 pm、閉会ADP プレナリーを開幕した。議長は、ADPの協議には多数が参加し、透明性が高く、率直で双方向の議論が行われたと振り返り、締約国に対して、さらに検討が必要な分野の非網羅的なリストを盛り込んだ結論書草案、ならびにダーバン・プラットフォームのさらなる前進に関する決定書草案 (FCCC/ADP/2013/L.4 & Add.1).の採択について検討するよう促した。また、議長は、テキストについて、締約国主導で、多様な見解を意識した内容になっていると述べる一方、これが2015年合意の内容を予断することにはないと指摘した。
インドは、ブラジル、南アフリカ、インド及び 中国から構成されるBASICグループの立場から、中国、サウジアラビア、シンガポールの支持を受け、テキストには切迫感がなく、 野心や資金に関する明確なロードマップも盛り込まれていないと遺憾の意を表明した。また、強調した。決定書の中でバランスをとるには、“約束”という文言を付けられた“すべての締約国”という用語を使う場合は “条約の規定に則り”という文言を追加する必要があると強調した。また、結論書の附属書については、リストに挙げられた分野の議論が適切に行われていないとして、反対を唱えた。
中国は、フィリピンとともに、先進国と途上国の差別化は今後も有効とすべきであり、途上国については“強化された行動”、先進国については“約束”という言葉で言及するよう求め、条約4条 (約束に関する差別化)について言及するよう要求した。また、ADPの目的は、新たな気候レジームの構築ではなく、 完全かつ実効性ある条約の実施を強化することにあるとし、そのためには実施手段や行動及び支援の透明性が必要になると強調するとともに、附属書は “バランスに欠いた、非常に選択的で誤解を招く内容だ”と主張した。
シンガポールは、共同議長の考察ノート(reflection note)の中に附属書を移動させるよう提案し、過去の約束が履行されていないと強調した。米国は、EUとともに、決定書草案と附属書つきの結論書を支持し、新たな条約の中にどのような形で差別化を捉えるべきかという点で見解は分かれているとし、条約4条 (約束に関する差別化)について言及することに反対した。 フィジーは、 “この一週間は昼夜ともに非常に長かった” が、“また長い1日になろうとしている”と述べ、 G-77/中国の立場から、2013年のADPの議論におけるすべての締約国の関与に謝意を示し、2015年の成立に期待を寄せた。ナウルは、 AOSISの立場から、決定書が、地球の気温上昇を1.5˚C以下に抑制するための緩和の潜在力を解き放つ機会になると述べ、来年の重要なイベントでは、締約国 が“帰国してからの宿題をやって、決定的な行動を起こすための策を持ち寄らなければならない”と強調した。ガンビアは、 LDCの立場から、 テキスト は“妥協精神”の塊であるとの見解を示し、妥当性や科学、NAPA、差異ある能力に対する考察不足、資金と実施に対する言及不足などの懸念を提起しているにもかかわらず、LDCグループが重視している問題も提起されていないと強調した。
テキストを受入れる構えを示しつつ、 コロンビアは、 AILACの立場から、 個々の能力という枠組みの中で行動し、すべての締約国の優先事項について配慮するよう求めるとともに、リマ及びパリでの会議を成功させるには、もっとバランスの取れた議論を行い、“われわれの取り組みかた”について考える必要があると強調した。
ボリビアは、同国がもともと条約 4条(約束)の記載を追加するよう提案していたと述べた上で、2015年までの途上国の約束と記載する文章は、資金に関する規定の明確化を含め、条約 4条が遵守された場合のみ実現できる課題を示唆するものだと指摘した。ADPのテキスト案に関する合意が成立しないからといって他の COP/CMP決定書を“人質”にとるべきではないとして、ロシアは、テキストをCOPの採択に向けて送付するよう提案した。
ベネズエラ、 スワジランド(アフリカン・グループ)、スイスは、睡眠不足による肉体的な負荷があるものの、合意は至急成立させなければならないと述べ、ADP共同議長に対して、会議のスケジュールを参加者に伝えるよう求めた。
Kumarsingh共同議長は、ADP 閉会プレナリーを2:16 pmにいったん中断し、締約国が合意を模索するよう求め、3:40 pm に閉会プレナリーを再開させると述べた。インドは、 “非公式な寄り合い会合”から出された改正案を読みあげた。同提案は、決定書草案の中の“約束(commitment)”という表現を貢献の法的性質を予断することなく、“貢献(contribution)”と言い換えるとともに、“そのように行動する立場にある締約国は(parties in a position to do so)” という表現を“そのように行動する準備ができている締約国は(parties ready to do so)” と変更するというものである。結論書草案についての提案は、附属書に盛り込まれる、更なる考察が必要な分野に関する非網羅的リストならびに、結論書草案に含まれる附属書への記載も削除するというものである。口頭ベースでの修正通り、ADPでのダーバン・プラットフォームの更なる前進に関する結論書及び決定書草案(FCCC/ADP/2013/L.4 & Add.1) の採択に先立って、ボリビアとキューバは、決定書の中の修正されたパラグラフは条約4条、特に4.7条を厳格に適用するものだと理解していると述べた。
ADPは、ADP報告書 (FCCC/ADP/2013/L.3)を採択した。Kumarsingh共同議長は、実質的な成果を導くに至った参加者の真摯な仕事を認めた。Runge-Metzger共同議長も、参加者に向けて“それら(の成果)が無かったら、我々はどうなっているだろうか。逆に、我々の存在が無ければ、そうした成果になっていただろうか?”と話した。Kumarsingh共同議長はいったんADP 2-3を4:08 pmに中断し、その後 COPにおいて、ADP結論書 及び決定書を採択し、ADP報告書に留意した。
最終結果: 結論書で (FCCC/ADP/2013/L.4)、 ADPは、締約国 及び 認定を受けたオブザーバー組織に対して、高い緩和ポテンシャルをもつ行動のための機会に関する情報をそれらの緩和の利点、費用、共同便益及びその実施の障害を含めて提出し、さらに途上国の緩和行動のための資金、 技術、キャパシティビルディングへの支援を含めて障害を克服するための戦略を提案するよう招請した。
さらに、ADPは、事務局に対して、特に以下を要請。
• インセッション・ワークショップの開催
• UNFCCCウェブサイト上に、数値化された経済規模(各国の)排出削減目標、数値化された排出規制及び削減の約束、及び各国ごとに適切な緩和行動、ならびに適応と持続可能な開発の共同便益がある官民の行動を含めて、高い緩和ポテンシャルをもつ行動についての情報の「見える化」を 向上
• 2014年に締約国、市民社会、民間部門、都市及び 他の準国家当局が参加する、技術専門家会合を開催し、特に高い緩和ポテンシャルをもつ行動に焦点を当てつつ、政策、慣行、技術について情報を共有し、必要な資金、技術、キャパシティビルディングの問題に対応
• 高い緩和ポテンシャルをもつ行動について定期的に更新情報を準備
• 適応と緩和に関して、都市及び 他の準国家当局の経験やベストプラクティスの情報を共有するたのフォーラムを開催
決定書 (FCCC/ADP/2013/L.4/Add.1)で、 COPは
• 気候変動は、人類社会や将来世代、および地球に対して、喫緊で不可逆的となる可能性をもつ脅威であると警告
• 締約国の緩和 の誓約の総合的な影響と産業革命以前の地球の平均気温からの上昇レベルを2°C または 1.5°C 未満に抑制できる機会をもつ総合的な排出経路との著しいギャップを強調
• 条約の究極的な目標を達成するには、多国間ルールに基づくレジームと条約に基づく既存の約束の緊急かつ持続的な実施の強化が必要であることを再確認
• すべての京都議定書締約国に対して、ドーハ改正の批准及び実施を要請
• 途上国の脆弱性を低減し、回復力を高めることを目指した適応行動の実施の強化及び支援を実現するには、適応に関して強化された行動と国際協力が緊急に必要とされると強調
• ADPに対して、 特に、緩和、 適応、 資金、 技術の開発と移転、 キャパシティビルディング、及び、行動と支援の透明性に関するものも含めて、ADPの作業を考慮に入れつつ、交渉テキスト案に盛り込むための要素をさらに詰めるよう要請
• すべての締約国に対して、条約に基づいた全ての締約国に適用可能な議定書または他の法的文書または法的拘束力を有する合意済みの成果採択との関連で、貢献(contributions)の法的性格を予断することなく、国内で定める予定の貢献に向けた国内準備を開始または強化し、条約の目標達成、および(2015年第1四半期までに、そのように行動する準備ができている締約国によって) 貢献の法的性格を予断することなく、COP 21までに十分にそれらの連絡を実施することを招請
• ADPに対して、COP 20までに、自国の貢献を提出する際に、貢献の法的性格を予断することなく提起する情報を特定するよう要請
• 先進国締約国、資金メカニズムの運用機関、及びそのような立場にある他のすべての機関に対して、2014年のできるだけ早い時期に関連行動の支援を提供するよう奨励及び要請
• 特に実施手段の提供に関して、そうした実施が2020年までの期間の野心を強化すると認識しつつ、BAPの完全実施の加速化を決意
• すべての締約国による条約に基づく最大限の緩和の取り組みを担保するべく、2020年までの期間の野心を強化すると決意
• 緩和の野心の強化に関する作業計画に基づき、活動を加速化させると決定。
実施に関する補助機関
SBI 39は、11月11日月曜日に開会し、Tomasz Chruszczow (ポーランド)が引き続きSBI議長を務めた。SBI閉会プレナリーは、本来、11月16日土曜日に開催される予定だったが、11月17日日曜日の早朝に開会し、結論書を採択した。日曜日の朝、定足数不足のため、一部のSBI議題項目が未決で残されたことから、SBI閉会プレナリーは中断され、11月18日月曜日の朝に再開された。本セクションは、COP/CMPの交渉状況、ならびにSBIに託された問題に関する成果の概要を示す。
組織上の問題:11月11日、締約国は、非附属書I国別報告書の情報に関する項目を保留し、議題書(FCCC/SBI/2013/11)を採択した。
附属書I国別報告書及びGHGインベントリ・データ:第6回国別報告書:この問題は11月11日にSBIで議論され、その後Fatuma Mohamed Hussein (ケニア)とKiyoto Tanabe (日本)が進行役を務める非公式折衝で議論された。SBIは、附属書I諸国の国別報告書に関する結論書及び2つのCOP/CMP決定書草案 (FCCC/SBI/2013/L.7 & Add.1 & 2)を採択した。11月22日金曜日、COP及びCMPのプレナリーはそれぞれの決定書を採択した。
最終成果: 決定書(FCCC/SBI/2013/L.7/Add.1)において、COPは特に:
• 国別報告書及び年次GHGインベントリは、附属書I締約国の条約実施レビューにおける主要な情報源であると強調する;
• COP 17において、事務局に対し、先進締約国の隔年報告書の取りまとめ・統合報告書を作成し、COP 20及びその後の会合の検討に付すよう求めたことを想起する;
• 先進締約国による第1回隔年報告書及び第6回国別報告書の提出期限が2014年1月1日であると想起する;
• 事務局に対し、国別報告書の取りまとめ・統合報告書をCOP 20向けに作成するよう要請する;
決定書 (FCCC/SBI/2013/L.7/Add.2)において、CMPは特に:
• 国別報告書及びデータは、議定書の締約国でもある附属書I締約国による条約及び京都議定書の実施をレビューする主要な情報源であると強調する;
• COP 17において、事務局に対し、先進締約国の隔年報告書の取りまとめ・統合報告書を作成し、COP 20及びその後の会合の検討に付すよう要請したことを想起する;
• 事務局に対し、CMP 10用に、第6回国別報告書の補足情報の取りまとめ・統合報告書を作成するよう要請する;
• 事務局に対し、附属書II締約国を除き、CO2換算で5千万トン以下のGHG排出量がある締約国の第6回国別報告書について、レビューの集約を計画するよう要請する。
1990-2011年の期間における附属書I締約国の国別GHGインベントリ・データに関する報告書: この問題は11月11日のプレナリーで議論された。SBIは、この報告書(FCCC/SBI/2013/19)に留意した。
附属書B締約国の年次取りまとめ及び算定報告書:この問題 (FCCC/KP/CMP/2013/6 and Add.1)は、11月11日、SBIプレナリーで短時間議論された。
最終成果: SBIは、結論書(FCCC/SBI/2013/L.3)を採択した。11月22日金曜日、CMPはこの報告書に留意した。
非附属書I国別報告書:専門家諮問グループ(CGE):この問題(FCCC/SBI/2013/7, 17 and 18)は、最初に11月11日のプレナリーで議論され、その後Fatuma Mohamed Hussein (ケニア)とKiyoto Tanabe (日本)が共同進行役を務める非公式折衝で議論された。SBI議長のChruszczowは、CGEの構成で合意したと報告した。
11月22日金曜日、COPプレナリーは、結論書及び決定書を採択し、CGEの任命に留意した。
最終成果: 結論書 (FCCC/SBI/2013/L.24 & Add.2)において、SBIは特に次の点に留意した:非附属書I締約国による報告書作成要求順守に必要な技術支援に関し、効率的な対応のための長期作業計画作成の提案;CGEの教材は定期的に更新されるべき;非附属書I締約国の代表に対し、オブザーバーの資格でのCGEの作業参加を求める、ただしCOP 20で当該締約国のCGEメンバーシップ問題を審議するまでの措置とする。
最終成果:SBI及びSBSTAは、SBI及びSBSTA 40でこの問題を議論する。
CTCN及びその諮問理事会の法性及び手順:この問題 (FCCC/SB/2013/INF.7)は、11月11日、SBI及びSBSTA合同で議論され、その後Carlos Fuller (ベリーズ)とKunihiko Shimada (日本)が進行役を務める非公式折衝で議論された。SBI及びSBSTAは、結論書 (FCCC/SB/2013/L.3)を採択し、CTCNの法性及び手順に関し、タイムリーな形で作業を終了させ、COP 19の検討に付したCTCNの作業に留意し、COP決定書 (FCCC/SB/2013/L.3/Add.1)をCOPに送り、COPはこれを11月22日金曜日に採択した。
最終成果:決定書 (FCCC/SB/2013/L.3/Add.1)において、COPは;
• CTCNの法性及び手順に関する報告書を歓迎する;
• 決定書の附属書Iに記載するCTCNの法性及び手順を採択する;
• 決定書の附属書IIに記載するCTCN諮問理事会の手順規則を採択する;
• CTCNに対し、技術メカニズムにおける一貫性及びシナジーを確保するためTECと共に作業するよう要請する;
• CTCN諮問理事会及び気候技術センターに対し、途上国及び先進締約国の組織と提携し、これらの組織をネットワークにとりこむよう要請する。
技術移転に関するポズナニ戦略プログラム:この議題項目 (FCCC/CP/2013/3及びAdd.1)は、最初、11月11日のプレナリーで議論され、その後Carlos FullerとKunihiko Shimadaが進行役を務める非公式折衝で議論された。
最終成果:この結論書 (FCCC/SBI/2013/L.4)において、SBIは:
• 技術移転に関するポズナニ戦略プログラム遂行の進展に関するGEF報告書に留意する;
• 条約の非附属書I締約国36か国による技術的ニーズの評価遂行に対するGEFの支援及びこの問題に関する将来の支援を認識する;
• CTCN諮問理事会を通したCTCNとの協議に関するGEF報告書に留意し、CTCNに対する将来のGEFの支援について更に協議し、SBI 40に報告するよう求める;
• 気候技術センター及び気候技術ネットワークへの支援に関するポズナニ戦略プログラムの更なる実施と、CTCNの運用開始及びその活動との協調を図る必要があると再度発言する。
キャパシティビルディング:条約の下でのキャパシティビルディング:この問題(FCCC/SBI/2013/12; FCCC/SBI/2013/2及びAdd.1, FCCC/SBI/2013/3, FCCC/SBI/2013/MISC.4, そしてFCCC/SBI/2012/20)は、最初、11月11日に議論され、その後Amanda Katili Niode (インドネシア)が進行役を務める非公式折衝で議論された。SBIは結論書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.19) において、SBIは、この問題をSBSTA 40でも継続審議し、COP 20での決定書採択を図ることで合意する。
議定書の下でのキャパシティビルディング:この問題は、最初、11月11日に議論され、その後Amanda Katili Niodeが進行役を務める非公式折衝で議論された。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.18/Rev.1) において、SBIは、この問題をSBSTA 40でも継続審議し、COP 20での決定書の採択を図ることで合意する。
対応措置:フォーラム及び作業プログラム:この問題 (FCCC/SB/2013/INF.2-4, FCCC/SB/2013/INF.8-12及びFCCC/SB/2013/MISC.2と4)は、最初、11月11日にSBI及びSBSTAで議論された。その後SBSTA副議長のNarcis Paulin Jeler (ルーマニア)が進行役を務めるコンタクトグループで議論され、SBI議長のChruszczow及びSBSTA議長のMuyungiが非公式に協議した。この問題は意見対立が大きく、11月18日、COP議長に送られ、同議長は、次のステップについてDiann Black Lane (アンティグアバービューダ)と協議した。厳しい議論の後、Korolec議長は、COPでの採択に向けた決定書草案 (FCCC/CP/2013/L.14)を提案した。この問題は、途上国の要請で、SB 40での更なる審議に回された。
SBSTA議長のMuyungiとSBI議長Chruszczowが共同進行役を務める、対応措置に関するフォーラム、対応戦略の協力に関するフォーラム内ワークショップは、11月12日火曜日に開催された。詳細については下記を参照:
http://enb.iisd.org/vol12/enb12585e.html
COPは、11月22日、結論書に留意した。
最終成果:SBI及びSBSTAは、合同の結論書 (FCCC/SB/2013/L.4) において、対応措置実施の影響に関するフォーラムの会議、フォーラム内ワークショップで行われた次の分野に関するプレゼンテーション及び意見交換を、感謝の念と共に留意する:COP 19で開催された(b) (対応戦略での協力);(c) (対応措置の影響の評価と分析);(d) (経済多角化及び転換の機会に関する経験情報の交換及び議論); (g) (正当な労働力の移行、適正な仕事、質の高い仕事の創設)、ならびに作業プログラムの分野(e) (経済モデル研究、社会経済の動向)に関するフォーラム内専門家会合。さらに次を行う:議長に対し、SB 40の前に、分野(b)に関するフォーラム内ワークショップ報告書を作成するよう要請する。SB 39は、附属書に記載されるEU、G-77/中国、米国の提案をCOP 19での審議のため提出すると決定する。この問題はSB 40でさらに議論される。
議定書3.14条:この問題は、議定書2.3条に関するSBSTA議題項目と合同で議論された。最初に11月11日のプレナリーで短時間議論され、その後SBI議長のChruszczowとSBSTA議長のMuyungiが進行役を務める非公式折衝で議論された。実質的な議論は小項目15(a) (フォーラム及び作業プログラム)の下で行われた。
最終成果:11月17日、閉会プレナリーにおいて、SBI及びSBSTAは、SBI 40及びSBSTA 40でのこの問題の審議方法について協議を続けることで合意した。
決定書1/CP.10の実施:この問題は、11月11日のSBIプレナリーで議論された。実質的な議論は小項目15(a) (フォーラム及び作業プログラム)の下で行われた。
最終成果:11月17日日曜日の閉会プレナリーで、SBIは、SBI 40でのこの問題の審議方法に関する協議を続けることで合意した。
2013-2015年レビュー:この問題は、11月11日のプレナリーにおいて、SBI及びSBSTA合同で議論し(FCCC/SB/2013/INF.12)、その後Gertraude Wollansky (オーストリア)とLeon Charles (バヌアツ)が共同議長を務めるコンタクトグループで議論された。SBIとSBSTAは結論書を採択した。
最終成果:結論書s (FCCC/SB/2013/L.1) において、SBIとSBSTAは特に:組織化された専門家ダイアログ(structured expert dialogue (SED))の報告書に留意する;IPCC及びその他の貢献に留意し、AR5報告書を検討すると合意する;SB 40及び41に合わせ、SEDの会合を開催するよう要請する;レビューによるADPの作業への情報提供方法について、締約国の意見を求める。
COPの認める特殊事情を持つ附属書I締約国:この項目 (FCCC/TP/2013/3)は、最初、11月11日のSBIで議論された。11月16日、SBIは結論書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.17) において、SBIは、この問題をSBI 40でも継続審議すると決定する。
事務管理、資金、組織・制度に関する問題:2012-2013年度の予算実績:この問題 (FCCC/SBI/2013/14, INF.4 and INF.15)は、COP及びCMPがSBIに託した問題であり、11月11日にSBIで議論された。SBI議長による結論書草案の作成が決定された。11月17日のSBIプレナリーで、SBI議長のChruszczowは、協議において、G-77/中国から、2014-15年度のプログラム予算に関する決定書に言及するパラグラフ挿入の提案があったと伝えた。米国は、G-77/中国提案のパラグラフはまだ決定に至っていない決定書に予断を加えると述べた。SBI閉会プレナリーで、SBI議長のChruszczowは、締約国は総意に至ることができなかったと伝え、SBIは、COP/CMP決定書草案を含める結論書(FCCC/SBI/2013/L.20)を採択した。
COPは、11月22日金曜日の閉会プレナリーで決定書を採択した。11月23日土曜日のCOPプレナリーで、事務局長のChristiana Figueresは、途上国の参加に関する政策調整、具体的には、地域グループにより条約組織の会合出席者に指名され、選択された途上国代表は、信託基金、UNFCCC機関予算、補助的活動のための信託基金の下での資金提供を受ける資格があると通告した。CMPは、11月23日土曜日の閉会プレナリーで決定書を採択した。
最終成果:決定書 (FCCC/SBI/2013/L.20)において、COP及び CMPは:提出された文書に記載する情報に留意する;基幹予算に拠出した締約国に感謝の意を表し、UNFCCCプロセス出席のための信託基金、及び補足活動のための信託基金が受領した拠出金に感謝の意を表すとともに、拠出を行っていない締約国に対し、拠出を求める;ドイツ政府に対し、その貢献への感謝の意を再度述べる。
2014-2015年のプログラム予算:この問題 (FCCC/SBI/2013/6 & Corr.1及びAdd. 1, 2と3)は、COP及びCMPがSBIに託したものであり、最初、11月11日月曜日にSBIで議論され、その後SBI副議長のRobert van Lierop (セントクリストファー・ネービス)を議長とするコンタクトグループで議論されたほか、二国間協議でも議論された。11月17日日曜日の閉会プレナリーで、SBIは、COP 19及びCMP 9によるこの問題の更なる審議を提案し、SBI結論書 (FCCC/SBI/2013/L.22) の附属書として決定書草案を回すことで合意した。多数の先進国は、決定書草案には提案の全体が反映されていないと強調した。11月20日水曜日のCOP/CMP非公式進捗状況報告プレナリーで、COP議長のKorolecは、協議でも結果が出せていないとし、Tosi Mpanu (コンゴ民主共和国)及びvan Lieropが更なる協議を行うと報告した。11月23日土曜日のCOP及びCMPのプレナリーで、COP及びCMPは決定書を採択した。
最終成果:決定書 (FCCC/CP/2013/L.7)において、COPは特に:
• 2014-15年のプログラム予算を承認する;
• 承認されたプログラム予算には、既存のマンデート及び新たなマンデートの実施を強化する活動を遂行のための追加項目が含まれると指摘する;
• ボンを会議の主要会場として使用することで、更なるコスト節減を図る必要があると強調する;
• 締約国に対し、自主的な資金拠出を行うよう求める;
• 事務局長に対し、歳入と予算実績についてCOP 20に報告するよう要請する。
決定書 (FCCC/KP/CMP/2013/L.9)において、CMPは特に:
• 2014-15年のプログラム予算に関するCOP 19決定書 (FCCC/CP/2013/L.7)を承認する;
• CDM理事会ならびにJI監督委員会が提案するCDM及びJIの資金要求に留意する;
• 2014-15年の国際取引ログ予算を承認する。
京都議定書の下で設立された構成組織に務める個人の特権と免責:この問題は、11月11日のSBIプレナリーで議論され、参加者はSB 40まで審議を延期すると決定した。
その他の問題:第一約束期間に関する議定書8条の下での専門家レビュープロセス:この問題は、11月11日にSBIで議論され、その後Gerhard Loibl (オーストリア)とThelma Krug (ブラジル)が進行役を務めるコンタクトグループで議論された。11月17日のプレナリーで、G-77/中国は、情報はADPの交渉に関連すると強調し、レビュー終了日の設定を求めた。EUは、ロシア、オーストラリア、その他の支持を受け、これは技術的な問題だと説明し、情報は2014年半ばに利用可能になると述べた。SBI議長のChruszczowは、この問題についてCOP議長に報告し、締約国とさらに協議するかどうか決定するよう同議長に求めると指摘した。SBIは、CMP決定書草案記載の附属書を付した結論書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.13) において、SBIは、SBI 40でもこの問題の議論を続け、結論書の附属書に記載する文書草案を考慮に入れて、CMP 10での審議と採択を目指す決定書草案を作成することで合意する。
性別問題と気候変動:この項目 (FCCC/KP/2013/4及びMISC.2)は、11月11日、SBIで議論され、その後Lilian Portillo (パラグアイ)とGeorg Borsting (ノルウェー)が進行役を務めるコンタクトグループ及び二国間協議で議論された。SBIは、結論書 (FCCC/SBI/2013/L.16)を採択した、この結論書には、UNFCCCプロセスでの男女のバランスを改善する方法について締約国の提案を記載した附属書が含まれる。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.16) において、SBIは特に:
• 男女のバランスを改善し、性別に配慮する気候政策を強化し、条約及び議定書の下での組織の仕事での女性の効果的な参加を高める方法を検討することで合意する;
• この議題項目の下での議論をSBI 41でも継続することで合意する;
• UNFCCCプロセス参加のための信託基金から資金を得る資格を有する締約国に対し、そのような資金提供を受ける参加者については男女両方を指名するよう推奨する;
• 国際機関及び地域の組織に対し、国内レベルでも国際的、地域的、国家主導の手法において、性別に配慮し、対応する気候政策の実施に向け、追加のツール、知識、研究及び戦略のさらなる発展を図るよう奨励する;
• 国際機関及び地域の組織に対し、キャパシティビルディング活動を行う際には、性別のバランスを考慮に入れ、UNFCCCプロセスへの女性出席者の参加を奨励するよう勧める。
条約第6条:この問題 (FCCC/SBI/2013/13)は、11月11日、SBIで短時間議論された。関心のある締約国による非公式協議が行われ、報告書に関する結論書草案をSBI議長が作成することで合意した。11月17日の閉会プレナリーで、SBIは、結論書を採択した。11月22日、COPは、この結論書に留意した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBI/2013/L.21) において、SBIは特に:
• ドーハ作業プログラムの採択、及び条約第6条に関するダイアログの設置による、この第6条実施に向けた進展を歓迎する;
• COP 18決定書の15 (性別問題)を想起する;
• 他の政府間組織に対し、ドーハ作業プログラム実施において、締約国及び利害関係者を支援する努力の強化を求める;
• SBI 40において2回目のダイアログを開催し、その際、これに続く会議について検討すると結論する;
• 締約国に対し、国別報告書及び他の報告書の中で、第6条実施に関する活動及び政策について報告するよう求めた、COP 18決定書15記載の要請を想起する;
• 事務局に対し、ダイアログの概要報告書を作成し、第6条実施における利害関係者の参加のグッドプラクティスに関する報告書も作成するよう要請する。
閉会プレナリー:締約国は、11月16日土曜日、閉会ステートメントを発表した。その詳細については下記を参照:
http://enb.iisd.org/vol12/enb12589e.html
SBI 39は、11月18日月曜日、報告書(FCCC/SBI/2013/L.1)を採択した。議長のChruszczowは、午後12時19分、会議を閉会した。
科学・技術上の助言に関する補助機関
SBSTA 37は、11月11日月曜日、Richard Muyungi (タンザニア)を議長として開会した。SBSTAプレナリーは、11月17日日曜日、結論書を採択した。このセクションでは、COP/CMP交渉及びSBSTAに託された問題の結果の概要を示す。
組織上の問題:この議題 (FCCC/SBSTA/2013/4)に関し、SBSTA議長のMuyungiは、議定書の方法論問題の項目におけるドーハ改定第3.7条terセクションGの文章明確化という新しい小項目を含めるよう提案した。締約国はこれに同意して議題書を採択し、作業構成書で合意した。さらにSBSTAは、オンラインでの掲載のため、締約国の開会ステートメントを事務局に提出することで合意した。
ナイロビ作業計画:この項目 (FCCC/SBSTA/2013/INF.6及びFCCC/TP/2013/11)は、最初、11月11日にSBSTAで議論され、その後Don Lemmen (カナダ)とJuan Hoffmaister (ボリビア)が共同進行役を務める非公式折衝で議論された。11月16日のプレナリーで、SBSTAは、結論書とCOP決定書草案を採択した。COPは、11月22日、この決定書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.34)において、SBSTAは:
• ナイロビ作業計画の関連性を強化し、その目的を支援する方法について、締約国及び関連組織からの文書提出を歓迎する;
• 適応のための先住民のそして伝統的な知識や実施方法を利用するためのベストプラクティスや利用可能なツール、さらに気候変動に対する影響、脆弱性、適応を理解し、評価するための性別に配慮した手法及びツールの適用を議論する技術専門家会議を、地方及び先住民社会のベストプラクティス及びニーズを議論する適応委員会ワークショップと合わせ開催するよう事務局に要請したことを想起する;
• 締約国及びNWPパートナー組織に対し、国別適応計画におけるグッドプラクティス、及びその計画で学んだ教訓に関する情報を、2014年8月20日までに事務局に提出するよう求める;
• 事務局に対し、これらの提出文書をSBSTA 41のために取りまとめるよう要請する。
決定書 (FCCC/SBSTA/2013/L.34/Add.1)において、COPは特に:
• NWPを継続し、特にカンクン適応枠組及び他の条約の下での関連ワークストリームや組織から得られる知識のニーズ、締約国が指摘した知識のニーズに対応すると決定する;
• 特に次のものに基づき、NWPの関連性を強化すべきと決定する:実際的な問題とリンクし、それぞれの問題に基づく活動、ならびに適応実践者の参加を得る活動;NAPプロセス、研究及び組織化された観測など、他の関連ワークストリームとのリンクづけ、適応委員会、LEG、技術メカニズムなど条約の下の組織とのリンクづけ;締約国が指摘するニーズに対応し、影響、脆弱性、適応の理解を深め、評価を改善する知識製品の開発;特に知識ネットワークや国内窓口、その中でも途上国のそれを通し、全てのレベルで知識製品を効果的に普及させるための支援;
• 次のものを通すなどして、NWPの法性の効果を高めなければならないと認識する:知識製品の関連性と普及の改善;地域センターやネットワークなど、NWPパートナー組織や適応実践者及び専門家の参加と協調を改善する手法;NWP窓口フォーラムの更なる発展;
• SBSTAに対し、SBSTA 40においてこのような法性の効果を高める方法を検討するよう要請する;
• SBSTAに対し、特に生態系、人間の居住、水資源、健康について考察するよう要請する;
• SBSTA 41に対し、NWPの下での問題を議論するよう要請する;
• NWPの下での活動では、性別問題や先住民及び伝統知識、そして生態系の役割や生態系への影響を取り入れるべきと決定する;
• 適応委員会に対し、そのマンデートや機能に則り、NWPが行うべき活動について更なる提案を提供するよう求める;
• SBSTAに対し、次のことを要請する:SBSTA 40において追加活動を検討し、さらにその詳細を検討する;SBSTA 44において、実施の進捗状況を検討する;SBSTA 48において、NWPの関連性や効果をさらに高める観点からNWPのレビューを行う。
適応委員会報告書:SBI/SBSTA合同審議については、適応委員会報告書に関するSBI議題項目にまとめる。(前述「適応委員会報告書」参照)
REDD+の方法論ガイダンス:この問題は、最初、11月11日のSBSTAプレナリーで議論された。議長のMuyungiは、SBSTA 38において次の3つのCOP決定書草案 (FCCC/SBSTA/2013/L.12/Add.1, 2 & 3)の採択が提案されたことを想起した:全てのセーフガードはどのように対応され、尊重されたかの情報を取りまとめ、プレゼンテーションするタイミングと頻度;国別森林モニタリング・システムの法性;森林の減少及び劣化を進める推進要素。またSBSTA 38は、MRVの法性に関する決定書、ならびに提案されている森林参照排出レベルそして/または森林参照レベルに関する締約国提出文書の技術評価を行うガイドライン及び手順に関する決定書という2つのCOP決定書草案(FCCC/SBSTA/2013/L.12)の要素を作成した。これらの問題は、Peter Graham (カナダ)とRobert Kofi Bamfo (ガーナ)が共同議長を務めるコンタクトグループでさらに議論された。
11月16日土曜日、SBSTAは、結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.33)を採択し、MRVの法性に関する決定書、並びに提案されている森林参照排出レベルそして/または森林参照レベルに関する締約国提出文書の技術評価を行うガイドライン及び手順に関する決定書の2つのCOP決定書草案 (FCCC/SBSTA/2013/L.33/Add.1 & Add.2)を採択した。
11月22日、COPプレナリーは全ての決定書を採択した。フィリピンは、次の点を強調し、アンブレラ・グループの立場で発言したオーストラリア、そしてボリビア、ブラジル、環境十全性グループの立場で発言したメキシコ、そしてEUもこれを支持した:森林減少推進要素に関する決定書に記載される「生活(livelihoods)」という用語は、先住民が森林減少や森林の劣化を推進していると解釈されるべきではない;森林減少及び森林の劣化の推進要素への対応では、先住民の生活にマイナスの影響を与えるべきでない。Korolec議長は、フィリピンが指摘し、他の支持を得た理解をもって、決定書を採択するよう参加者に求めた。同議長は、COP 19で採択されたREDD+に関する全ての決定書は、資金や制度アレンジに関するものも含め、「ワルシャワREDD+枠組」と呼ばれると述べた。
最終成果: 国別森林モニタリング・システムの法性(FCCC/SBSTA/2013/L.12/Add.1)において、COPは特に次のことを決定する:
• REDD+活動をモニタリングし、報告するための締約国の国内森林モニタリング・システムの開発では、決定書4/CP.15のガイダンスを取り入れ、最新のIPCCガイダンス及びガイドラインに沿うべきである;
• 確固とした国内森林モニタリング・システムは、透明性があり、当該期間において一貫性を有し、REDD+活動の実施で生じた人為的な森林関連排出源からの排出量及び吸収源からの除去量の変化、さらには森林の炭素貯留量、森林面積の変化のMRVに適したデータ及び情報を提供すべきである;
セーフガードを守り、尊重する方法に関する情報の取りまとめのプレゼンテーションを行うタイミング及び頻度 (FCCC/SBSTA/2013/L.12/Add.2)において、COPは特に次のことを決定する:
• 開発途上締約国は、REDD+活動の実施が始まった後、国別報告書またはUNFCCCのホームページ上のものも含める連絡チャンネルで情報のまとめを提供すべきである:
• その後の情報取りまとめプレゼンテーションの頻度は、非附属書I締約国の国別報告書提出の規定に合わせるべきである。
森林減少及び森林劣化の推進要素(FCCC/SBSTA/2013/L.12/Add.3)に関し、COPは特に、締約国、組織、及び民間部門に対し、森林減少及び森林劣化の推進要素削減に向けた行動をとり、森林減少及び森林劣化の推進要素に対する対策を続け、その作業結果の情報を共有するよう推奨する。
MRV法性 (FCCC/SBSTA/2013/L.33/Add.2)に関し、COPは特に次のように決定する:
• MRVは、決定書4/CP.15に規定するガイダンスと合致させるべきである;
• 森林関係の人為的排出量を推計するため締約国が用いるデータ及び情報は、透明性があり、当該期間中一貫性を有し、さらに確立された森林参照排出レベルそして/または森林参照レベルとも一貫性を有すべきである;
• 締約国の隔年更新報告書において、データや情報を提供すべきである。
森林参照排出レベル、そして/または森林参照レベル(FCCC/SBSTA/2013/L.33/Add.1)に関し、COPは特に:
• 提案された森林参照排出レベルそして/または森林参照レベルに関し締約国が提出した文書の技術的評価を行うガイドライン及び手順を採択する;
• 事務局に対し、技術評価に関する統合報告書を作成し、SBSTAの審議にかけるよう要請する。
途上国の林業部門での緩和行動関係活動の実施に対する支援での協調:SBI/SBSTA合同の議論は、途上国の林業部門での緩和行動に関係活動の実施に対する支援の協調というSBIの議題項目の下でまとめられた。(前述「森林部門の緩和行動に関係し、途上国が実施する活動に対する支援の調整、これには制度アレンジを含める」項目参照)
技術移転及び技術メカニズム:TEC及びCTCNの合同年次報告書:SBI/SBSTA合同の議論については、TEC及びCTCNの合同年次報告書というSBI議題項目の下にまとめられた。
CTCN及びその諮問理事会の法性と手順:SBI/SBSTA合同の議論は、CTCN及びその諮問理事会の法性と手順というSBI議題項目の下にまとめられた。(19頁参照)
条約非附属書Ⅰ国が特定した技術ニーズに関する第3回統合報告書:この項目(FCCC/SBSTA/2013/INF.7)は、最初、11月11日にSBSTAで議論された。SBIと共に、Majid Al Suwaidi (アラブ首長国連合)とStig Svenningsen (ノルウェー)を共同議長とするコンタクトグループが開催され、この週を通してこの項目の議論を行った。11月16日、SBSTAは結論書を採択した。
最終成果:最終結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.27)において、SBSTAは、非附属書I締約国の特定する技術ニーズに関する第3回統合報告書の記載情報を歓迎し、SBSTA 40においてもこの報告書の審議を続けることで合意する。
研究及び組織的観測:この議題項目は、11月11日のプレナリーで議論された。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.25)において、SBSTAは:
• IPCC、世界気象機関 (WMO)及び地球気候観測システム(GCOS)の代表が述べたステートメント、並びに気候サービスのための世界的枠組(GFCS)の実施における展開、気候サービスに関する政府間理事会(IBCS)第1回会合に関するWMOの情報に留意する;
• WMOに対し、SBSTA 41において、IBCS第2回会合の情報を提供するよう求める;
• GCOSが最近計画している活動及びGCOSの役割に関する情報に留意する;
• 条約の下で、期に世界の気候観測を行う必要性について、資金確保のニーズが続いていると強調する;
• IPCC第5次評価報告書(AR5)第1作業部会(WG)報告書を歓迎し、IPCCのAR5 WG IIとIIIの
報告書、そしてAR5報告書の今後の発表に留意する;
• 適応に関する意思決定を含め、UNFCCCプロセスにおいては、組織的観測が重要であると強調する;
• 重要な観測データには依然としてギャップがあると指摘し、締約国及び関連組織に対し、この分野での能力、協調、協力を強化するよう求める;
• GCOS及びその出資者と協力して開催する組織的観測に関するワークショップは、組織的観測体制の強化方法を明らかにする上で役立つと指摘する。
対応措置:フォーラム及び作業計画:SBI/SBSTA合同の議論は、フォーラム及び作業計画に関するSBIの項目の下にまとめられた。(前述「対応措置:フォーラム及び作業プログラム」参照)
議定書2.3条:SBI/SBSTA合同の議論は、議定書3.14条に関するSBI議題項目の下にまとめられた。(前述「議定書2.3条」参照)
農業関連問題:この問題 (FCCC/SBSTA/2013/MISC.17, Add.1と2)は、最初、11月11日及び13日のプレナリーで議論された。気候変動の影響に対する農業の適応強化方法に関する科学知識の現状を話し合うワークショップは、11月12日に開催され、Hans Åke Nilsagård (スウェーデン)とSelam Kidane Abebe (エチオピア)が共同進行役を務めた。詳細は下記参照: http://enb.iisd.org/vol12/enb12585e.html
SBSTA開会プレナリーにおいて、SBSTA議長のMuyungiは、コンタクトグループ設置を提案した。途上国数か国はこれに反対し、締約国はワークショップ開催についてのみ合意したと説明したが、先進締約国数か国は、コンタクトグループ設置を支持した。11月13日水曜日、議長のMuyungiは、コンタクトグループを招集するかどうかの議長主催非公式折衝では、SBSTA 40においてワークショップに関する事務局報告書、並びに締約国及びオブザーバー組織の提出文書を議論することとし、コンタクトグループは招集しないことで合意したと報告した。SBSTAはこのような結論で合意した。
11月16日、SBSTAは結論書を採択した。ある先進国グループは、農業に関する議論の欠如、さらには結論書の採択方法について、懸念を表明した。このグループは、SBSTA 40において、共通性のある分野に基づき議論を進めるよう求めた。他の先進国も、コンタクトグループが設置されず、SBSTA 39において提出文書の審議が行われなかったことに遺憾の意を表した。多数の途上国は、結論書の採択方法を支持し、手順が正しく適用されたと指摘し、適応における農業の役割を強調した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.35)において、SBSTAは、会合期間中ワークショップにおいて締約国が交換した意見を認識し、会合期間中ワークショップの報告書、及び締約国並びにオブザーバー組織が提出した意見を、SBSTA 40において議論することで合意する。
条約の下での方法論問題:インベントリのレビューを含め、先進国の隔年報告書及び国別報告書のレビューのためのガイドライン改定に関する作業計画:この問題(FCCC/SBSTA/2013/INF.5及びFCCC/SBSTA/2013/INF.14)は、最初、11月11日に議論され、その際、議長のMuyungiは、SBSTA 38における進展状況を想起し、Rittaa Pipatti (フィンランド)とQiang Liu (中国)を共同議長とするコンタクトグループを設置した。参加者は、隔年報告書と国別報告書のレビューガイドラインの改定を完了し、GHGインベントリのレビューガイドラインの再検討作業をCOP 20までに完成させることで合意した。この作業計画は、2014年も続けられる。SBSTAは、結論書及びCOP決定書草案を採択した。11月22日、COPプレナリーは決定書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.32)において、SBSTAは特に:
• 締約国に対し、附属書I締約国のGHGインベントリに関するレビューガイドラインの構成、概要、レビューの目的と範囲を含める主要要素、タイミングと報告、そして内容に関する意見書を、2014年2月19日までに提出するよう求める;
• 事務局に対し、2014年3月26日までに、上記の意見書及びGHGsのレビューガイドライン改定案に関する統合報告書を作成し、2014年4月に開催される第2回技術ワークショップへのインプットとするよう要請する;
• 締約国は、費用効果が高く、効率的で、実際的であり、締約国や専門家または事務局に過剰な負担を課すことのないレビュープロセスの必要性を考慮に入れるべきことで合意する;
• 作業プログラムを調整すべきことで合意する;
• 事務局に対し、2014年後半に追加のテクニカルワークショップ開催を計画するよう要請する。
決定書 (FCCC/SBSTA/2013/L.32/Add.1)において、COPは:
• 条約の下で附属書I締約国が報告するGHGインベントリ、隔年報告書、国別報告書に関係する情報の技術レビューを行うガイドラインを採択する;
• 2014年より、このガイドラインを、第1回隔年報告書及び第6回国別報告書のレビューに用いると決定する。
途上国の国内支援を受けたNAMAsの国内MRVのための一般ガイドライン:この問題は、最初、11月11日に議論され、その後Sarah Kuen (ベルギー)とQiang Liu (中国)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。SBSTAは、結論書及びCOP決定書草案を採択した。11月22日、COPは決定書を採択した。
最終成果:決定書 (FCCC/SBSTA/2013/L.28)において、COPは:
• 途上国の国内支援を受けたNAMAsの国内MRV用一般ガイドラインを採択する;
• 開発途上締約国に対し、このガイドラインの自主的な利用を求める;
• 先進締約国に対し、関心のある開発途上締約国への支援を奨励する。
附属書I年次インベントリに関するUNFCCC報告ガイドラインの改定:この問題は、最初、 11月11日に議論され、その後Rittaa Pipatti (フィンランド)とGeorge Wamukoya (スワジランド)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。SBSTAは、結論書及びCOP決定書草案を採択した。11月22日、COPは決定書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.29)において、SBSTAは特に:
• 湿地に関する補足ガイダンスを、タイムリーに完成させたIPCCの作業を歓迎し、このガイダンスの反映方法に関し、締約国が提出した意見書に留意する;
• 附属書I締約国は、ガイダンス全体の検討には更なる時間が必要とであり、ガイダンスの利用に関する更なる探求のため、SBSTA 46においても議論を続ける必要があることで合意し、締約国に対し、ガイダンスの利用経験に関する情報を2017年3月までに事務局に提出するよう求める;
• 伐採木材製品に関する二酸化炭素排出量/除去量の報告について、さらなる議論を重ね、SBSTA 46でもそのような議論を続けることで合意する。
決定書 (FCCC/SBSTA/2013/L.29/Add.1)において、COPは:
• 附属書I締約国の国別報告書作成に関するガイドライン改定版第I部を採択する、これには次を含める:年次GHGインベントリに関するUNFCCC報告ガイドライン;共通報告フォーマット表改訂版;地球温暖化係数の数値;
• 附属書I締約国のインベントリ作成では、2015年からこのガイドラインの使用を開始すべきと決定する、ただし事務局は2014年6月までにCRF報告官(Reporter)にアクセス可能にすることとする;
• 附属書I締約国に対し、国別GHGインベントリに関する2006年IPCCガイドラインの2013年補足文書:湿地の利用を奨励する。
GHGデータインターフェース:この項目は、最初、11月11日に議論され、この週を通して、Diana Harutyunyan (アルメニア)が進行役を務める非公式折衝で議論された。11月16日、SBSTAは結論書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.23)において、SBSTAは:「条約附属書I国の国別報告書作成のためのガイドライン第I部;年次温室効果ガス・インベントリのUNFCCC報告ガイドライン」の改訂版がCOP 19で採択された場合、インターフェースに技術的な変更を実施するよう事務局に対し、SBSTA 38が要請したことを想起し;SBSTA 43において、インターフェースの更なる開発の問題を議論することで合意した。
附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューに関する年次報告書:この問題 (FCCC/SBSTA/2013/INF.8)は、最初、11月11日に議論された。SBSTAはこの報告書に留意した。
バンカー燃料:この問題は、11月11日のプレナリーで短時間議論され、国際民間航空機関 (ICAO)及び国際海事機関 (IMO)が関連作業について報告した。(FCCC/SBSTA/2013/MISC.20) キューバは多数の途上国の立場で発言し、ユニラテラルなものも含め、気候変動との戦いで取られる措置は専横的あるいは不当な差別の手段、あるいは国際貿易の制限を偽装する手段と成すべきでないと述べた。中国は、ICAOのCBDRの「再確認(reconfirmation)」を歓迎し、IMOもCBDRを含めるUNFCCCの原則を認めるべきだと述べた。韓国は、航空輸送に関するユニラテラルな手法への懸念を表明し、海上輸送での排出量はIMOの下で検討されるべきだと述べた。
日本は、国際民間輸送に関するシカゴ条約の非差別原則はCBDRと矛盾すると強調し、シカゴ条約を航空部門の指針とすべきだと述べた。同代表は、船舶の登録の複雑性から、CBDRは海上輸送産業には適切でないと述べた。シンガポールは、パナマの支持を受け、ICAO及びIMOはそれぞれの部門での排出量に対応する「最も有能な(most competent)」組織であると称した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.22)において、SBSTAは、報告書に留意し、この情報に対する締約国の意見表明に留意し、ICAO及びIMOの事務局に対し、将来のSBSTA会合においても報告を続けるよう求める。
議定書の下での方法論問題:決定書2/CMP.7から4/CMP.7、及び1/CMP.8の実施の影響:この問題 (FCCC/SBSTA/2013/INF.3, FCCC/SBSTA/2013/INF.15及びFCCC/TP/2013/9)は、最初、11月11日に議論され、その後Nagmeldin Elhassan (スーダン)とAnke Herold (ドイツ)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。SBSTAは、この問題に関する議論を終了できず、決定書草案 (FCCC/SBSTA/2013/L.31)の要素を含める文書草案の検討をCMPに要請することで合意した。この項目の最終成果及び議論については、京都議定書ドーハ改定案のセクションG(第3条7項 ter)記載の文章明確化(Clarification)のCMPセクションを参照。
議定書3.3条及び3.4条の下、及びCMDの下でのLULUCF:この問題 (FCCC/SBSTA/2013/MISC.18と19)は、11月11日のSBSTAプレナリーで短時間議論され、Marcelo Rocha (ブラジル)とLucia Perugini (イタリア)を共同議長とする非公式折衝で議論された。11月17日日曜日、SBSTAは結論書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.26)において、SBSTAは特に:締約国及びオブザーバー組織が提出した意見書(FCCC/SBSTA/2013/MISC.18 & 19)に留意する;CDMの下でのLULUCF活動の追加可能性に関する法性及び手順の審議を、SBSTA 40においても続けることで合意する;事務局に対し、テクニカルペーパーを作成し、ワークショップ開催を計画するよう要請する;包括的な算定及び追加性に関する作業計画の下で、この問題の議論を、SBSTA 40でも続けることで合意する。
HCFC-22及びHFC-23:SBSTAは、最初、11月11日のプレナリーでこの問題を議論し、その後、Jeffery Spooner (ジャマイカ)及びUlrika Raab (スウェーデン)が進行役を務める非公式折衝で議論した。11月16日のプレナリーにおいて、SBSTAは、結論書及びCMP決定書草案を採択した。11月22日金曜日、CMPは決定書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/ L.24)において、SBSTAはこれらの問題の審議を終了する。
決定書 (FCCC/SBSTA/2013/L.24/Add.1)において、CMPは:
• SBSTAの作業、及び締約国提出文書及び文書FCCC/TP/2011/2で集められた情報を認識する;
• ハイドロフルオロカーボン-23 (HFC-23)の破壊に対するCERsの取得を目指すハイドロクロロフルオロカーボン-22 (HCFC-22)生産施設を新設する場合の影響、及びその影響に対応する方法について、SBSTAが審議したと指摘する;
• この議題項目の審議を終了する。
附属書IのGHGインベントリ及び議定書7.1条の下での他の情報の技術レビューに関する年次報告書:議定書ドーハ改定案の議定書3.7条ter 、セクションGの文書明確化:この項目の議論は、京都議定書ドーハ改定案の議定書3.7条、セクションGの文書明確化に関するCMP議題項目の下にまとめられた。
条約の下での市場メカニズム及び非市場メカニズム:多様な手法のための枠組:この項目 (FCCC/SBSTA/2013/INF.11 & FCCC/TP/2013/5)は、11月11日月曜日に議論された。SBSTAは、SBSTA 40においてもこの問題の議論を続けることで合意した。
非市場ベースの手法:この項目 (FCCC/SBSTA/ 2013/INF.12)は、11月11日月曜日に議論された。SBSTAは、SBSTA 40においてもこの問題の議論を続けることで合意した。
新しい市場ベースメカニズム:この項目 (FCCC/SBSTA/ 2013/INF.13 & FCCC/TP/2013/6)は、11月11日月曜日に議論された。SBSTAは、SBSTA 40においてもこの問題の議論を続けることで合意した。
2013-2015年レビュー:SBI/SBSTA合同の議論は、2013-2015年レビューに関するSBI議題項目の下にまとめられた。(前述「2013-20年レビュー」参照)
先進国の数量化された経済全体排出削減目標の明確化に関する作業計画:この問題 (FCCC/SBSTA/2013/INF.10及びFCCC/TP/2013/7)は、最初、11月11日に議論され、その後Karine Hertzberg (ノルウェー)とBrian Matlana (南アフリカ)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。SBSTAは、結論書を採択し、その中でこの作業計画を2014年も継続すると指摘、さらにCOP決定書草案も採択した。COPは、11月22日、決定書を採択した。
最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.30)において、SBSTAは特に:
• 決定書2/CP.17、パラグラフ5に基づく、進捗状況測定の共通要素の特定に関し、対象となる部門及びガス、そして先進国間での地球温暖化係数の数値の利用において意見の集約があることを認識し、共通要素の特定は先進国間の努力の比較可能性を測ることにも貢献すると認める;
• 決定書 2/CP.17、パラグラフ5に記載する共通要素特定に関し、2014年に追加作業を行い、これには先進締約国の数量化された経済全体排出削減目標の明確化に関する作業計画を含むことで合意し、この作業計画では次のことを要請する:会合期間中の専門家会議と技術ブリーフィング、文書FCCC/TP/2013/7の更新。
結論書 (FCCC/SBSTA/2013/L.30/Add.1)の補足の中で、SBSTAは次の点に留意する:数量化された経済全体の排出削減目標に関するSBSTAのイベントと報告;LULUCF報告書に関する技術ブリーフィング;先進締約国による数量化された経済全体の排出削減目標に関するテクニカルペーパー。
その他の問題:ブラジルの提案:この問題は、最初、11月11日月曜日に議論され、SBSTA議長のMuyungiが進行役を務める非公式折衝でも議論された。
2015年合意に関する国内議論の指針となるよう、歴史的責任に関する参照手法をIPCCが作成するというブラジル提案に関するSBSTAでの議論の中で、米国は、EU、オーストラリア、スイス、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、イスラエルの支持を得て、この問題の議論に反対したが、ベネズエラ、インド、キューバ、中国、ボリビア、サウジアラビアは議論することを支持した。BASICは、ブラジルの提案を歓迎した。
11月13日のSBSTAプレナリーで、G-77/中国は、ブラジルの提案を承認し、コンタクトグループでの議論を要請した。締約国は非公式協議を続けたが、意見の一致には至らなかった。G-77/中国は、ベネズエラ、ボリビア、インド、ニカラグア、アルゼンチン、マレーシア、フィリピンの支持を得て、歴史的責任に関する客観的で科学に基づく情報について、ワルシャワ会議から強力なシグナルを出せなかったことを嘆いた。ブラジルは、IPCCにこの情報の提供を要請していないのは遺憾だと述べた。
スイスは、歴史的責任だけでなく能力や現在の排出量、及び将来の情報を含める科学的な情報に注目した。EUは、過去、現在、未来の排出量や、異なる能力など、広範な指標に基づき、2015年合意の約束について国内協議を行う必要があると指摘した。
閉会プレナリー:SBSTA 39は、11月17日日曜日、報告書(FCCC/SBSTA/2013/L.21)を採択した。締約国は、閉会ステートメントを発表、これをUNFCCCウェブサイトに掲示するよう求めた。オーストラリアは、日本、カナダ、オーストラリア、米国の立場も代弁して発言し、この会議ではTECとCTCN合同の年次報告書に関するSBSTAの審議が終了しておらず、SBSTA 40でも議論されるべきだと指摘した。議長のMuyungiは、参加者に感謝し、午後2時56分、この会議を閉会した。
COP/CMP合同の閉会プレナリー
COP/CMP合同の閉会プレナリーは11月23日土曜日の夕方に開催された。COP19議長のKorolecは、マラソン競争にたとえ、「誇るべき(one can be proud of)」成果をもってゴールにたどり着いたことへの満足感を表明した。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、締約国主導のプロセスを遂行し、ダーバンやドーハの成果の上に立つ全てのグループの合意を呼んだとして議長に感謝した。
インドは、平等は「公平性とは同じものにはなりえず、それをはるかに超える(cannot be equated with, and is far beyond, fairness)」絶対的で奪うことができない権利であると強調した。
フィジーはG-77/中国の立場で発言し、約束通り、透明性、参加性、連帯、効率性を実現したとしてCOP議長に感謝した。
EUは、ワルシャワでの「全体的に良い進展(good overall progress)」を強調し、COP 19ではREDD+に関しカンクン以来最大の前進が見られたとしてこれを称賛したが、その一方で京都議定書第二約束期間に関する保留された技術的疑問点が解決されなかったことへの失望感を表明した。
ナウルはAOSISの立場で発言し、損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムの設置に満足の意を表したが、「破滅的な野心ギャップ(catastrophic ambition gap)」が残ったと嘆き、資金レベルの引き上げの必要性を強調し、ワルシャワにおいて、ADPの下で立ち上げられたAOSISワークストリーム2の計画に、世界を代表する専門家が力を合わせるよう求めた。
ネパールはLDCsの立場で発言し、透明性を「保持した」議長に感謝し、損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムの設置を歓迎したが、特にLUF及びIPRsでの進展の無さを嘆き、ADPの下での交渉加速化を求めた。
スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、附属書I締約国に対し、ドーハ改定案を批准するよう求め、次のように表明した:CMP議題項目5、7、8での進展の無さとCDMの改善の失敗に対する失望感;CDMを新しい市場メカニズムに含めるとの提案に対する懸念。
パナマは中米統合機構(SICA)の立場で発言し、損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムの設置について満足の意を表し、次を求めた:先進締約国の約束の強化;ギャップをなくし、2020年の前に野心を引き上げる;GCFへの資金供与。
メキシコは野心の無さを嘆き、国際的合意とは関係なく行われた国内努力を強調し、「我々の惑星の未来についてバーゲンをすることなく(without bargaining with the future of our planet)」行動を取る必要があると強調した。
オーストラリアは、COP 19の決定書への参加はLTFに関する決定書の(FCCC/CP/2013/L.13)パラグラフ7(先進国に対し公共の気候資金の保持と増額を求める)及びGCFへの報告及びガイダンスに関する決定書(FCCC/CP/2013/L.12)パラグラフ13-14(GCFの運営開始を可能にする野心的及びタイムリーな資金の拠出、これには初期の資金拠出を含める)の規定受諾を意味するものではないと伝えた。カナダは、この決定書のパラグラフは先進国全体の資金拠出に言及するもので、各国は他のチャンネルを通しても資金を拠出可能と理解していることを明らかにした。同代表は、2020年までに毎年1千億米ドルを多様な資金源から合同で拠出するとの目標を約束すると表明した。
環境NGOsは、排出量のギャップを埋めるには不十分であり、2015年合意に向けたロードマップでの明確な合意に欠けるという弱い成果を嘆いた。YOUNGOsは、2015年合意における世代間の平等の原則適用を求めた。
ワルシャワ気候変動会議の簡単な分析
“We’re on a road to nowhere
Come on inside”(当てもない道だ、中に入っていよう)
- Talking Heads
昨年、ドーハ気候変動会議では、台風ボーファがフィリピンを襲い、フィリピンのNaderev Sañoをして、「我々でなければ誰が、今でなければいつ、ここでなければどこで」やるのかと問う事となった。1年後、ワルシャワの気候変動会議の冒頭でも、超大型台風ハイヤンという、上陸した台風としては2番目に強力な暴風雨がフィリピンを襲ったが、Sañoは言葉ではなく行動を選び、ワルシャワで意味のある成果を成し遂げるまでは、自主的に断食すると述べ、200人を超す支持者もこれに賛同した。この断食、超大型台風、そして多数のデモ行進や抗議行動は、気候行動の緊急性を明白に示しており、COP 19に至るまでの科学者社会が鳴らした警鐘もこれを支えている。
ワルシャワに向かう科学者社会は、気候変動は不可逆的であり、中東や欧州の洪水、米国やオーストラリアでの長期にわたる干ばつなど、その影響は世界各地で明らかになっていると「声高に要求(clarion call)」した。COPの2か月前、IPCC第1作業部会は、気候系への人間の影響は明らかであり、気候変動を制限するには相当量のGHG排出削減を持続する必要があるとの結論を出した。世界気象機関は、2013年が記録に残る最も温暖な年のトップテンに入っており、氷冠や氷河の融解もあり、世界の海面水準が最高記録に達したことを確認した。
このような報告は気候変動の影響が既に発生していることを示すが、このほかの報告書は現在の国際社会の対応がいかに取るに足らないかを示している。UNEPの排出量ギャップ報告書は、2013年に排出量が増加し、2℃目標達成の機会は狭まりつつあるとして、行動しないことのコストを警告した。
野心的な緩和、真剣な適応、損失と被害に関する断固とした決意、このような緊急性を背景にワルシャワでのCOP 19が開催された。足元の現実、そして大気中の現実とは全く対照的に、会場のワルシャワ国立競技場では決意の欠如が目立った。この分析は、ダーバンからパリへ至る道筋の半ばにおいて、COPの期待に応える能力、2015年合意とプレ2020年の野心引き上げに向けたADPの進展、変化しつつある気候が引き起こす深刻な課題に応えるUNFCCCの能力について、現状を分析する。
道半ばの休憩所での控えめな期待感
この会議の開始前、多くのものはワルシャワ会議が「資金のCOP(Finance COP)」あるいは「実施のCOP(Implementation COP)」になると期待していた。しかし会議を終えるころには、つまるところ「REDD+ COP」が正しいのではないかと考えていたようだ。締約国は、一連の手法論問題、制度アレンジ、成果ベースの資金に対応するREDD+ワルシャワ枠組設置の決定書パッケージを承認し、十分機が熟した中の成功として多くのものが称賛した。さらにCOP 19は、長期資金や損失と被害など、一部の問題でも比較的控えめながら決定をすることができた。
COP 19では、資金問題の難しさが明らかになり、結局、気候プロセスに対する締約国の信頼低下を招くこととなった。ワルシャワでのプレッジの中には、韓国の緑の気候基金(GCF)への4千万ドル寄贈、欧州諸国7か国の適応基金への7250万ドル寄贈があったが、2020年までに年間1千億米ドルという2009年の約束実現について、途上国の信頼を得るには十分でなかった。途上国は、多国間基金を通してプレッジされた気候資金が昨年72%減少したという事実を指摘し、GCFには10か国が拠出した690万米ドルしかないと指摘した。GCFは未だにほぼ「殻だけ(empty shell)」にとどまり、多数の途上国は、プレッジでは2020年目標を実現するだけの資金拠出に至らないのではないかと懸念した。これまでのところ、先進国は、適用手順が最終決定されていない制度への資金拠出に財務大臣が慎重になっていると説明してきた。ワルシャワ会議では、GCFの運用が開始されたことから、先進国数か国がプレッジを行う意思を表明したが、そのプレッジでも、資金拠出に関する途上国の信頼感は必ずしも高められていない。
もう一つの主要なCOP 19議題項目である損失と被害でも、UNFCCCプロセスは、途上国の期待感に応えられるだけの信頼を回復できていない。昨年、ドーハ会議では、気候変動の悪影響に特に脆弱な諸国の損失と被害に対応するため、「国際メカニズムなどの制度的アレンジメント(institutional arrangements, such as an international mechanism)」を設置し、条約の役割に則り、その機能や法性の詳細を決定することで合意していた。この問題は、今回の会議でも最も意見対立が大きかった問題の一つであった。
損失と被害は、最も野心的な緩和行動でも防ぎようのない極端な天候現象の発生またはslow onset(長期にわたり徐々に起きる)現象の結果として起こる。関係する損失や被害は極端なものであり、場合によっては永続するため、損失と被害は適応でも適切に対処できない。このため、このメカニズム固有の機能や法性への支援、損失と被害に関する行動のための資金は、適応向け資金源とは別な専門の資金源から拠出されることが、途上国、特にAOSISやアフリカングループの加盟国にとり重要である。逆に、先進国側は、損失と被害に関するアレンジはカンクン適応枠組の一部であり、既存の制度枠組と重複する、あるいはその上に新たな制度の層を作るべきではないと繰り返し強調した。
結局、序文だけでも損失や被害と適応とを区別しようと、G-77/中国が最後の努力をし、ぎりぎりで改定案を押し込み、ようやく閉会プレナリーで合意に至った。ほとんどドーハ決定書の下で作成された新しいワルシャワ国際メカニズムは、損失と被害に関する知識や行動、支援を評価し、同時に関連する利害関係者同士のダイアログを強化する。しかし、先進国に対しては、途上国への資金援助提供を「要請(requests)」するに過ぎない。このメカニズムの構成やマンデート、効果性に関する2016年のレビュー規定は、より良い交渉結果にしようとの途上国の最後の努力の結果である、しかしメカニズムを強化できる可能性があるレビューまでは3年あり、既に気候変動に関係する損失や被害に苦しむものにとっては、あまりにも遅く、あまりにも少ないものになりかねない。
締約国は、資金と、損失及び被害では最低限の合意を得たが、他の重要な問題では意見が一致しなかった、たとえば市場や農業、対応措置、5条・7条・8条(議定書の下での方法論問題)といった問題である。このような問題の中で、特に目立ったのが非市場ベース手法、新しい市場メカニズム、そして多様な手法枠組の問題であり、市場ベース及び非市場ベースの全ての緩和努力に共通する規則を策定し、環境の十全性を確保しようとするものである。COP 19は、長期協力行動に関する特別作業部会で見られた、市場に関する政治的な困難さを受け継いだ。先進国は、自分たちの野心を「伸ばす(stretch)」には市場メカニズムなど多様なツールが必要だと指摘した。しかし途上国は、本質的に異なる見解を示し、支離滅裂な炭素市場や炭素クレジットの低価格は更なる緩和野心が必要な証拠だと指摘した。COP議長は第2週において、調停努力をし、この問題での進展方法を探ったが、締約国は合意に達せず、結局、この極めて政治的な問題は来年の技術関係組織での議論に回された。
「成否混ざった(mixed)」あるいは「失望する(disappointing)」結果と多くのものが言う中で、REDD+はおそらく特に目立つ成果だったようだ。締約国は、8年もの交渉期間、そして6月にはREDD+の技術問題で追加の交渉時間を割いた後、ようやくパッケージ合意を完成させた。それでも制度アレンジ及び資金問題の困難さが明らかになった。制度及び資金の両方の問題は、無数のREDD+イニシアティブやUNFCCCの枠外で現在進行中のプロジェクトで満足するしかなかった。共通のMRVガイダンス及び資金アレンジを確保するため、交渉担当者は長年努力してきたが、二国間、多国間、公的、そして民間のイニシアティブが何層も重なる結果となった。多様な締約国や他の利害関係者は、既に特定のアレンジに投資しており、自身のREDD+プロセスを中途で転換する意思がなく、このためREDD+の制度アレンジと資金に関する決定は弱められた。制度アレンジでは、各国の窓口機関と資金供与機関との毎年の会議開催が決められた。資金に関しては、別なREDD+情報ハブをもう一つ創設することが決められた。2005年に森林減少(deforestation - 伐採)をUNFCCCの議題に再度登場させたものが思い描いていたような市場メカニズムは創設されなかった。その代わり資金ベース手法が出てきたが、これには毎年300億米ドルが必要になるとの推計がある。
COP 19は、比較的成功したREDD+パッケージ以外、控えめな期待感さへ満たせるものはなかった。一部のものにとり、最低線を満たしただけというのは、このプロセスに対する信頼が薄れてきたさらなる証拠であり、締約国間の信頼の問題が、プロセス自体にそのまま反映されてしまった。
手順の診断:きしむ車輪にオイルをさす
コペンハーゲン以後、透明性やプロセスに対する懸念が、UNFCCCに暗い影を落としている。締約国の信頼を回復し、プロセスの合法性を再構築する必要性は差し迫っている。ある意味で、カンクンやダーバンの「indabas」での高い透明性と参加性は信頼感をある程度回復させた。しかし、ワルシャワでは対立の根深い議論に立ち戻り、信頼性という壊されやすい感覚は雲散霧消した。途上国は、「約束が破られた(broken promises)」と苦情を言い、資金合意の約束を実施するよう必死に呼びかける一方、遡って互いに非難する動きもあちこちで見られた。記者会見での問題発言で、有志途上国 (LMDCs)とEUの間では非難の応酬の火ぶたが切られ、あるものはこれを「メディアを通した交渉(negotiating through the media)」と称した。このような信頼関係の問題は、パリ会議に向けての道筋を荒くする可能性が高い。
UNFCCCプロセスにおける手順に関する懸念が全くなくなったわけではない。カンクン会議では、ボリビアの反対に拘わらず、COP議長がカンクン合意採択の槌を打ち、多くのものは、満場の総意(consensus)とは何かを考えさせられた。その2年後、COP議長のAbdullah bin Hamad Al-Attiyahは、ロシアが異議を唱えたにも拘わらず、ドーハ改定案採択の槌を打った。このため、ロシアはSBI議題に意思決定プロセスを入れるよう要求、6月の会議は手順で行き詰まる結果となり、SBIは2週間の間、作業を始めることができなかった。ワルシャワ会議直前の長時間協議の後、UNFCCCでの意思決定に関する新しい議題項目がCOPの下で導入され、非公式のオープンエンド協議が開始された。このような非公式折衝で締約国は、手順問題を検討、これが将来の議論を形成することになる。
COP決定書という形の正式な成果には至っていないが、手順を議論する専門の窓口ができたことは意味がある。締約国は、多くのものが欠陥プロセスと感じている意思決定プロセスを議論し、パリ会議の前に「家をきれいにしておく(cleaning house)」時期だということで、波長が一致していたようだ。しかしこの課題にはひるむところも大きいようだ、それはプロセスの正当性についての全体の懸念リストに無数の問題が含まれるためである。
透明性と参加性に対する効率や有効性という問題にまつわる懸念;COP議長、事務局、その他議長役の役員の役割;ハイレベルな参加と成果達成プロセスの組織化―こういったコペンハーゲン会議に遡れる全ての問題で、UNFCCCプロセスは、長年、頭を悩ませてきた。さらに、COP議長のMarcin Korolecは、透明性があり、締約国を主体とした形でプロセスを進めているとして称賛されてはいたが、多数の途上国の参加者は、盛りだくさんの議題をフォローするだけの人員の配置ができないでいた。深夜の会議も透明性や効率、そして参加性を損ない続け、このため、一部のものは徹夜交渉というのはどこかの締約国の戦術ではないかと、その誠実さに疑問を投げかけた。
パッケージ取引の回避も議論を危ういものにしていた。手順規則採択の見通しがつかない中、パッケージ取引というのは過去には総意を得る手段であった。しかし、パッケージ取引は、それ自体でなら合意しない問題でも妥協せざるを得なくなることを意味する場合が多い。土曜日朝の非公式進捗状況報告プレナリーで、COP議長のKorolecは、「パッケージ」という眉を顰めさせるコメントを口にするミスをし、その後、決定書それぞれの価値を検討することを再確認するようG-77/中国及びその他が求めたことを受け、発言を撤回した。しかし他の締約国は、パッケージ取引という言葉の方が受け入れやすいようであった。ワルシャワ会議に至るまでの数回のCOPsの成果は、受け入れるか突き放すか(take-it-or-leave-it)という取引の結果で、互いに譲り合う(give-and-take)形の取引ではなかった。この点、ワルシャワ会議は、慎重さを見せた。
ADP:あてのない道の中間点?
COP 19でのADPに対する期待感は、主に2015年合意の中身の議論を推進し、プレ2020年の野心では具体的な成果を挙げ、これにより、両方の議論でも結果を出せるとのUNFCCCプロセスへの信頼感を植え付けることであった。共同議長による最善の努力にもかかわらず、結果はあまり出せていない。
ダーバンで合意された「条約の下での、全ての締約国に適用される議定書、別な法的制度、あるいは法的効力のある合意成果の作成」を2015年までに行い、2020年までに発効するという課題は、気候変動の緊急性に対するUNFCCCの対応能力を測る試金石になっている。新しい合意に向けての進捗状況は、気候変動との戦いでUNFCCCが依然として関連性を有し、必要な行動を取ることができるかどうかを示す指標でもある。
2015年に向けた道の半ばを過ぎ、2年を残すだけとなった中、締約国は、リマでのCOP 20で交渉文書を完成させるという目標を実現するには程遠いようである。
2015合意は純粋に「ボトムアップ」のアレンジになっているようで、これはそれぞれの国家が貢献分(contributions)の範囲や特性を描いていることを意味する。ここで何が欠けているかというと、トップダウンの約束であり、各国の貢献分が2℃目標の範囲内にとどまるに十分な排出削減を示しているかどうか見極めるため、各国の貢献分のパッチワークを評価するプレッジ・アンド・レビュー・メカニズムである。ADPの閉会プレナリーの最後の瞬間に、法的特性に予断を加えない「国家が決定する意図的な貢献分(intended nationally determined contributions)」という異論の多い表現を用いた口頭の改定案が提出された。この「貢献分(contributions)」という用語は「約束(commitments)」という表現とは対照的に、先進国と一部の途上国、特にLMDCsとの分裂を意味した。このため2015年合意の法的特性や「全てのものに適用される」合意での約束の差異化方法といった本質的な問題が解決されないまま残された。
差異化も決定書で回避された問題である。多数の先進国及び数か国の途上国は、ダーバンマンデートに則り「全てのものに適用可能」とすべき2015年合意に差異化をどう反映させられるか、議論することを支持した。しかしLMDCsは、この問題の再燃を躊躇し、附属書I/非附属書Iの区別を全ての将来合意に反映させるよう主張した。AILACなど差異化の議論を支持する途上国は、存在感を増すLMDCsや、最終日に混乱を招いたEUとベネズエラの衝突で、自分たちの声がかき消されたと感じていた。
2015年合意での差異化の議論再燃は先進国の重要な要求である。1992年以後、世界経済は本質的に変化しており、韓国や中国、ブラジルやインドなど一部の非附属書I諸国は、今や世界経済を引っ張る牽引車となり、それに伴いGHG排出量も増加している。これら諸国は、長い間、一人当たりの排出量が先進国のそれよりもはるかに低いこと、さらには持続可能な開発をする自分たちの権利を根拠に、附属書I/非附属書Iの差異化保持を主張してきた。今日、中国は絶対量の意味では世界最大の排出国であり、一人当たりの排出量でもEUに肩を並べており、差異化についてオープンな諸国は、現在の排出量や将来の排出量は明日の歴史的責任になるとし、2015年合意では現在と将来の排出量に目を向ける必要があると指摘するに至った。
さらに、現在、GHGsの大気濃度で歴史的責任を有する先進国数か国は、まだ指導的な役割を果たしていない、このことはスリムなプレッジや約束の実施と、世界の気温上昇を2℃以下で保持するために必要な削減量とのギャップを見ても明らかである。
他方、プレ2020年緩和野心の登場には時間がかかっている。発効に144か国の批准を必要とするドーハ改定案を批准したのは、バングラデシュ、バルバドス、モーリシャス、アラブ首長国連合の4か国だけである。中国とEUは批准する意図があると発表したが、全てのEU加盟国が批准国に加わっても、さらに110か国の批准が必要である。このためドーハ改定案が発効するまで排出削減制限の数量約束(QELRCs)を有する締約国は、この約束達成の法的拘束力を受けない。さらに第二約束期間は世界の排出量の約15%しか対象としておらず、このため2℃という世界の気温目標を達成しようとするなら、他の諸国による世界の緩和努力への貢献が必須である。「ダーバンプラットフォームの更なる進展」に関するCOP決定書には、2020年の目標が含まれておらず、ただ単に、経済全体の排出削減数量目標、または国別適切緩和行動を連絡していない諸国に対し、連絡を求めているだけである。さらに先進国に対しては、それぞれの条約の下での経済全体の排出削減数量目標を「遅滞なく実施する(to implement without delay)」よう求めており、京都議定書第二約束期間でのQELRCsが適用可能な場合は、これも同様に実施するよう求めている。
ワルシャワのCOPで何があったかというと、プレ2020年の緩和野心の後退である。たとえば、日本は、第二約束期間のQELRCを持たない少数の附属書I諸国の一つだが、COPの第1週に新しいGHG排出削減目標を発表した。日本のプレッジは、2020年までに2005年比で3.8%排出量を削減するというもので、1990年を基本年とするなら3.1%の増加という結果になる、これに対し京都議定書第一約束期間で、日本は1990年比6%のGHG排出量を削減することになっていた。
COPは、COP 19で短時間検討されたテクニカルペーパーに基づき、来年、高い緩和ポテンシャルを有する機会について、技術的な検討を進めると決定した。しかしこれは、再生可能エネルギーとエネルギー効率に焦点を当て、合わせてこの問題に関する文書提出やハイレベルな参加を組み合わせるテクニカルプロセスという当初のAOSIS提案と比べると、具体性に欠ける。この決定は、先進国に対し、途上国の緩和野心引上げを可能にすべく、技術、資金、キャパシティビルディングでの支援増加を求めているが、これ以外に、支援提供に関するプレ2020年の野心引上げで途上国に提供できるものはあまりない。
ADPの下でのCOP 19の課題は、2015年合意に向けた進展やプレ2020年野心引上げに向けた進展を実証し、UNFCCCは極めて短期間のうちに実のあるマンデートを実現できるとの信頼感を与えることであった。その両方の面において、COP 19の結果は不適切であったようだ。2015年合意で可能な要素を描けない中、この段階では、ADPは2015年合意に近づいているのか疑問である。証拠は増え、緊急な行動を求める声があるにも関わらず、プレ2020年野心引上げに向けた進展は停滞しているようだ。リマ会議までの道の途上にあり、パリでの合意期限まで2年だけとなる中、ワルシャワ会議の成果は、希望を高く持つだけの理由を提供できていない。
あてのない道?
Naderev Sañoは、自主的な断食を発表、UNFCCCプロセスを「役立たずの旅行者による毎年の炭素集約型の集まりで茶番だ(farce [and] an annual carbon-intensive gathering of useless frequent fliers)」と多くのものが批判していることを想起した。しかし同氏は、このプロセスは「この惑星を救い、今日、明日を救うプロジェクト(the project to save the planet, saving tomorrow, today)」となる可能性を満すことができるとの希望をもたせようともした。同氏が特に述べなかったこと、そして関連性が高まっていることは、UNFCCCの枠外のイニシアティブや、政策、プログラムで気候変動に対応するものの数が増えていることである。多くの場合、これらのものは、UNFCCCでの進展のなさに対する、国内行政管轄者や非国家行動者の焦燥感から生まれている。場合によっては、進展に熱心な政府が、モントリオール議定書などの他の国際的な制度に目を向けたり、ユニラテラルな措置を取ったりする。通常は交渉に建設的に取り組む団体も含め、数百名の市民団体代表がCOP 19から退席し、UNFCCCの実現能力に対する深い疑念を表し、他のものも同じように感じていた。
しかし、問題はプロセスの欠陥だけではない、政治的な意思の欠如があるかもしれない。前進し、解決策を探る政治的意思が欠けているなら、機能に優れたプロセスでもうまくはいかない。近く開催される国連事務総長の2014年国連気候サミットは、コペンハーゲン以後はなかった気候変動分野へのハイレベルな代表の参加を可能にする可能性がある。そのようなハイレベルな参加は、それぞれの立場の溝を深めるかもしれないが、UNFCCCによる関連性の保持に必要だが、今はつかめていない共通点を見いだせる可能性がある。結局、気候変動がUNFCCCを待ってくれるかどうかの問題である。これまでの証拠は、UNFCCCが遅れをとっていることを示している。
今後の会議予定
山岳国の気候変動、水、災害に関する国際会議:この会議は、水文学者及び気象学者協会(Society of Hydrologists and Meteorologists (SOHAM-Nepal))が開催する。 日付:2013年11月27-29日 場所:ネパール、カトマンズ 連絡先:Deepak Paudel, SOHAM Nepal 電話:+977-9841647398 電子メール: sohamconference2013@gmail.com www: http://www.soham.org.np/pdf/international-conference.pdf
GEF第6次資金補填第3回会合:地球環境ファシリティー第6次資金補填 (GEF-6)の第3回会合は、2013年12月に開催される。拠出国、非拠出受益国、市民社会、GEFエージェンシー、受託者(Trustee)、科学技術諮問パネル(STAP)、評価オフィスの代表が出席する予定。 日付:2013年12月10-12日 場所:フランス、パリ 連絡先:GEF事務局 電話:+1-202-473-0508 ファクシミリ:+1-202-522-3240 電子メール: secretariat@thegef.org www: http://www.thegef.org/gef/events/third-repenishment-meeting
持続可能な目標に関する国連総会のオープン・ワーキンググループ(OWG)第7回会合:OWG-7では次の主題が議論される予定:持続可能な都市及び人間の居住、持続可能な輸送;持続可能な消費と生産(化学品及び廃棄物を含める);気候変動と災害のリスク軽減。日付:2014年1月6-10日 場所:ニューヨーク国連本部 連絡先:国連持続可能な開発部門 電話:+1-212-963-8102 ファクシミリ:+1-212-963-4260 電子メール: dsd@un.org www: http://sustainabledevelopment.un.org/index.php?menu=1549
GEO (地球観測グループ) 閣僚サミット:GEO-Xのプレナリー会合及びGEOジュネーブ閣僚サミットは、ジュネーブで開催される。GEOのメンバーシップは、全ての国連加盟国及び欧州委員会に開かれている。GEOのメンバーシップは、GEOSS 10か年実施計画の正式承認を条件とし、全てのメンバーは各地域コーカス(caucus―地方委員会)に所属する。 日付:2014年1月12-17日 場所:スイス、ジュネーブ 連絡先:GEO事務局 電話:+41-22-730-8505 ファクシミリ:+41-22-730-8520 電子メール: secretariat@geosec.org www: http://www.earthobservations.org/
IRENA総会第4回会合:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の第4回総会は、IRENAの最高統治機関であり、世界未来エネルギーサミット(WFES)及び国際水サミット(IWS) 2014年、EcoWASTE 2014の直前に開催される、これらの会議を合わせてアブダビ持続可能週間(ADSW 2014)を構成する。 日付:2014年1月18-19日 場所:アラブ首長国連邦、アブダビ 連絡先:IRENA事務局 電話:+971-2-417-9000 電子メール: secretariat@irena.org www:http://www.irena.org/
世界未来エネルギーサミット2014年:世界未来エネルギーサミット(WFES) 2014年では、会議や展示、「プロジェクトと資金の村(Project and Finance Village)」、「若者の未来エネルギーリーダープログラム(Young Future Energy Leaders program)」など、多数の再生可能エネルギー関連のイベントが行われる。主催者は、アブダビの再生可能エネルギー会社のマスダール(Masdar)で、国際的な政策決定者、産業界の専門家、投資家、マスメディアが出席する予定、将来のエネルギーの課題に対する、実際的で持続可能な解決策について議論する。 日付:2014年1月20-22日 場所:アラブ首長国連邦、アブダビ 連絡先:Sheila Baranda 電話:+971-2-409-0302 電子メール: sheila.baranda@reedexpo.ae www: http://www.worldfutureenergysummit.com/
再生可能エネルギーの雇用に関する国際会議:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、世界未来エネルギーサミットと並行してこのイベントを開催する。この会議では、再生可能エネルギー部門が重要な雇用者となっていること、今後、世界中で数百万の雇用を創設する可能性があることを議論する。専門家や政策決定者に対し、再生可能エネルギーでの雇用創設に関する知識や経験、ベストプラクティスの情報交換をする機会を提供する。さらに再生可能エネルギーの雇用創設での動向やダイナミックス、雇用創設の可能性を最大限に拡大するために必要な政策や経済環境についても議論する。 日付:2014年1月21日 場所:アラブ首長国連邦、アブダビ 連絡先:IRENA事務局 電子メール: ireValue@irena.org www: http://irevalue.irena.org/event_detail.aspx?id=2
第5回隔年C40市長サミット:C40都市気候リーダーシップ(C40)は、世界の大都市の市長や都市及び気候変動のリーダー数百人を集める3日間のサミットを開催、一連のラウンドテーブル会合及び作業部会で温室効果ガスの測定及び気候への適応に焦点を当てて議論する。C40は、2005年に発足、世界中の都市のネットワークで、気候変動への適応や緩和を目的とした地方での具体的な行動実施を目指す。 日付:2014年2月4-6日 場所:南アフリカ、ヨハネスバーグ 連絡先:Linda Phalatse 電話:+27-11-587-4251 または +27-83-544-0998 電子メール: contact@c40.org www: http://c40summitjohannesburg.org/
緑の気候基金理事会第6回会合:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の緑の気候基金(GCF)理事会の第6回会合は、インドネシアで開催される。 日付:2014年2月19-21日 場所:インドネシア 連絡先:緑の気候基金事務局 電話:+49 228 815-1371 ファクシミリ:+49-228-815-0349 電子メール: isecretariat@gcfund.net www: http://gcfund.net/
強化された行動のためのダーバンプラットフォーム特別作業部会:ADPは、2014年3月に、第2回会合第4部を開催する。 日付:2014年3月10-14日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール: secretariat@unfccc.int www: http://unfccc.int
森林アジア会議:ASEANの緑の成長(Green Growth)のための持続可能な景観:国際林業センター(CIFOR)が計画するこの会議は、国際森林の日の世界的祝賀行事の一環であり、東南アジア諸国連合のポスト2015年持続可能な開発努力における持続可能な森林の景観について議論する。この会議では、緑の回帰、気候変動の緩和と適応、エネルギー及び低炭素開発、食糧安全保障及び栄養を目的とした森林管理のためのガバナンス、貿易、投資に焦点を当てる。 日付:2014年3月20-21日 場所:インドネシア、ジャカルタ 連絡先:Adinda Hasan, Regional Communications Officer, CIFOR 電話:+62-(0)-811-860-9338 電子メール: a.hasan@cgiar.org www: http://www.cifor.org/forestsasia
IPCC WGII 第10回会合及びIPCC-38:IPCC WGIIは、AR5のWGII報告書を承認、受理を目的に会合する。WGIIは、気候変動に対する社会経済システム及び自然システムの脆弱性、気候変動のマイナス、プラスの影響結果、気候変動への適応オプションを評価する。続いて、AR5 WGII報告書承認のため、IPCC-38が開催される。 日付:2014年3月25-29日 場所:日本、横浜 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208 ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール: IPCC-Sec@wmo.int www: http://www.ipcc.ch/
IPCC WGIII第12回会合及びIPCC-39:IPCC WGIIIは、AR5のWGIII報告書の承認と受理を目的に会合する。WGIIIは、気候変動の緩和に焦点を当てる。この会議に続いてWGIII報告書承認のため、IPCC-39が会合する。 日付:2014年4月7-13日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208 ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール: IPCC-Sec@wmo.int www: http://www.ipcc.ch/
気候変動適応の第3回国際会議:「適応の未来、2014年」というテーマのこの会議は、地域規模、地球規模での気候変動への適応情報について、研究者社会と情報の利用者を結びつける。 日付:2014年5月12-16日 場所:ブラジル、フォルタレザ 連絡先:UNEP事務局 電子メール: adaptationfutures2014@inpe.br www: http://adaptationfutures2014.ccst.inpe.br/
第46回GEFカウンシル会議及びGEF総会:地球環境ファシリティー(GEF)の総会は、第46回GEFカウンシル会議に続けて、メキシコで開催される。CSOコンサルテーション、GEFカウンシル、LDCF/SCCFカウンシル会議は5月25-27日に開催され、カウンシル会議の場合は5月25日に開始、5月27日にはCSOコンサルテーションと半日オーバーラップする。総会は、5月28-30日に開催される。GEFの最も新しい加盟国である南スーダンを含め、183の加盟国全てが集まる。 日付:2014年5月25-30日 場所:メキシコ、カンクン 連絡先:GEF事務局 電話:+1-202-473-0508 ファクシミリ:+1-202-522-3240 電子メール: secretariat@thegef.org www: http://www.thegef.org/gef/5th_assembly
UNFCCC第40回補助機関会合:SBI 40及びSBSTA 40は、2014年6月に開催される。 日付:2014年6月4-15日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール: secretariat@unfccc.int www: http://unfccc.int
2014年気候サミット:これは国連事務総長のBan Ki-moonが開催する会議で、UNFCCCプロセスを通し、野心的な法的合意を得るための政治的意思の高揚を目指す。 日付:2014年9月23日 場所:米国、ニューヨークの国連本部 www: http://www.un.org/climatechange/summit2014/
CBD COP 12:生物多様性条約のCOP 12では、戦略計画及び愛知目標の実施に関する中間レビューが行われる。この会議のテーマは「持続可能な開発のための生物多様性」である。バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書の締約国会議も、COP 12の直前に開催される。 日付:2014年10月6-17日 場所:韓国、平昌 連絡先:CBD事務局 電話:+1-514-288-2220 ファクシミリ:+1-514-288-6588 電子メール: secretariat@cbd.int www:http://www.cbd.int/meetings/
IPCC-40:IPCC-40は、AR5 SYRの採択と、そのSPMの承認を目的に開催される。 日付:2014年10月27-31日 場所:デンマーク、コペンハーゲン 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208 ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int www: http://www.ipcc.ch/
UNFCCC COP 20及びCMP 10:UNFCCC第20回締約国会議(COP 20)及び京都議定書第10回締約国会合は、ペルーのリマで開催される。 日付:2014年12月1-12日 場所:ペルー、リマ 連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール:secretariat@unfccc.int www: http://unfccc.int
追加の会合及び最新情報については右記を参照: http://climate-l.iisd.org/
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