Daily report for 15 November 2013

終日、SBI、SBSTA、ADPでは、数多くのコンタクトグループと非公式協議が開催された。主な会合としては、ADPの2015年合意の要素とワークストリーム2での前進策に関するオープンエンド型協議;SBIの国家適応計画(NAP)に関する非公式協議;SBSTAのREDD+の方法論に関するガイダンスについての非公式協議;SBI/SBSTAの技術の開発と移転に関する非公式協議; SBI/SBSTAの対応措置に関するフォーラムに関するコンタクトグループ;SBI/SBSTAの適応委員会に関する非公式協議;SBI/SBSTAの2013-2015年レビューに関するコンタクトグループ等がある。また、COP議長による非公式なストックテイキング・プレナリー(訳注:進捗状況を報告するプレナリー)が夕方から開催された。

議長の非公式ストックテイキング・プレナリー

COP議長のKorolecが夕方から非公式なストックテイキング・プレナリーを開催。それぞれ進展のペースは異なるものの各種問題についての議論は前進しているとし、これまでの会議について肯定的な評価を示した。

SBSTA議長のMuyungiは、SBSTAでは10項目の作業を終えたとし、もっと時間が必要で第1週を越えそうな項目としては特にREDD+制度的アレンジがあると述べた。また、土曜日には、その他の問題の下で、ブラジル提案について議論するための会合を再び実施してほしいと締約国から要望を受けたと述べた。

SBI議長のChruszczowは、損失と被害や、対応措置、国際協議及び分析(ICA)の技術専門家チームの構成・モダリティー・手続き、予算といった政治的にデリケートな問題を検討するための時間がもっと必要だと強調した。

ADP共同議長のKumarsinghがADPの両ワークストリームともに建設的かつ実質的な協議が行われたと報告し、土曜日にADPのストックテイキング・プレナリーが開催されると伝えた。

フィジーは、G-77/中国の立場から、懸案となっている技術の問題や損失と被害についての合意を促し、交渉が透明性の高い方法で進められるというADPの両共同議長からの再保証が欲しいと強調した。

ナウルは、AOSISの立場から、損失と被害に関するドーハのマンデートを履行するよう要請した。また、2013-2015年レビュー、いくつかの技術の項目については良好な進展が見られたと言及した上で、資金については更なる取り組みが必要だと強調した。

ネパールは、LDCの立場から、損失と被害、REDD+、NAPについて、作業を遂行する必要があると強く主張し、ADPについては、両ワークストリームの下でスケジュール通りに成果を出すようCOP19に要請するとともに、資金に関して明確なロードマップを策定するよう求めた。

スイスは、EIGの立場から、第1週目の交渉に“失望感”を示し、締約国にはADP両ワークストリームの進展について強いシグナルを送り、カンクンのMRVに関するマンデートを履行し、損失と被害についてはドーハのマンデートを実施するよう要請した。

ロシアは、ワルシャワの戦略目標として新たな共通合意を策定するための道を明らかにし、フォローアップ行動に関する強いメッセージを送り、UNFCCC予算の十分な配分を担保する必要があると強調した。

フィリピンは、損失と被害や資金関連の諸問題について前進が無いとして“深い憂慮”を示し、一部の締約国が数値目標を大幅に引下げていることを“危険だ”と述べた。

COP議長のKorolecは、月曜に次回ストックテイキング・プレナリーを行うと述べた。

ADP

2015年合意の内容と要素:キャパシティビルディング:ADPの下で開催された午前のキャパシティビルディングに関するオープンエンド型協議で、Kumarsingh共同議長は、キャパシティビルディングを2015年合意と2020年以降の期間の制度的アレンジに反映させる方法について検討するよう締約国に求めた。

締約国は、キャパシティビルディングについて、横断的な問題である;2015年合意でも目立つ形で盛り込むべき;各国主体で行うべき内容だと認識した。多くの途上国は、キャパシティビルディングが緩和と適応の両方に焦点をあてるべきだと述べた。

パキスタンはLMDCの立場から、ドミニカとネパールはLDCの立場から、キャパシティビルディングに関する支援の必要性を強く主張した。セントクリストファー・ネーヴィス(AOSISの立場)や、中国、韓国は、条約の資金メカニズムの下でキャパシティビルディングの窓口を設けることを要請した。EUは、特に技術面における民間セクターの役割を強調した。

制度的アレンジについては、EUと日本が、キャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラムの強化を求めた。南アフリカは、ダーバン・フォーラムが“力量を発揮する”チャンスを得ていないと述べた。インドネシアは、同フォーラムの国家フォーカルポイントの役割を強く主張した。米国は、キャパシティビルディングを実施している既存の条約諸機関の振興を求めた。アルジェリアは、これらの機関に十分な支援を提供するべきだと強く主張した。韓国と日本は、2015年合意のすべての側面でキャパシティビルディングを中心に組み込むよう提唱した。

サウジアラビアは、各国のキャパシティビルディングのニーズを特定するための国家のキャパシティ構築を要請し、キャパシティビルディングに関する作業部会の設置を求め、中国やスワジランド(アフリカン・グループ)がこれを支持した。AOSISは、独立機関の設置を強く主張した。

LDC、AOSIS、南アフリカ、キューバ等は、キャパシティビルディングの実現に関するMRVを求めた。EUと米国は、キャパシティビルディング活動に関する各々のレポートについて強調した。

締約国は、過去のキャパシティビルディングの取り組みの評価や教訓を共有することの重要性について留意し、キャパシティビルディングについては、条約のすべての機関とその他の機関との連携が必要だと特定した。コロンビアは、キャパシティビルディングの受け入れと増殖を特定するための“革新的なスタイル”を求めた。米国は、それらを可能にする環境の構築に向けた途上国のニーズを強調した。

透明性:行動と支援の透明性については、多くの締約国が、支援のMRVについて更なる作業の必要性を強調した。スワジランドは、アフリカン・グループの立場から、具体的な数量やスケジュール、資金源を明確化することによって資金、技術、キャパシティビルディングのコミットメントの透明性を改善する必要性があると強く主張した。セントルシアは、早期開始資金から学んだ教訓を踏まえた強固で透明なMRVシステムや、支援のインパクトに関する評価のための指標、先進国の報告のための標準化フォーマット、途上国の報告の簡素化などを求めた。米国は、透明性が支援の供与を強化すると強調し、支援国と被支援国の両方に等しく透明性のルールが必要だと主張した。

LMDCは、コミットメントと報告の面で、先進国と途上国の責任は異なると強調し、全世界共通で適用するアカウンティング・ルールを策定しようとする動きは行動と前進を遅らせることになると警告した。アフリカン・グループは、アルジェリアからの支持を受け、途上国に過度の負担をかけ、附属書I国と非附属書I国の義務を同等にすることに警戒感を示した。

コミットメント及び事後のMRVの両方についての情報に対して、共通する透明性とアカウンタビリティ(説明責任)の枠組みを求め、オーストラリアは、どんな状況下でも全締約国に同一のルールを適用したり、不合理な負担をかけたりすることは意図していないと明確にした。また、スイスとともに、締約国の能力は時間の経過とともに進化していくものだと強調した。

緩和のコミットメントの透明性については、米国が、参加を最大限にするための段階的なアプローチとして、全てに適用される単一だが柔軟な一連のルールに基づき各国で決定された緩和コミットメントの提出、世界的な協議プロセス、実施段階での定期的なレビューを求めた。

EUは、緩和コミットメントを設定する際の情報の要件として、目標及び目標の期間や、対象ガス及び対象セクター、使用する方法論、市場メカニズムへのアプローチ、土地利用部門のアカウンティング制度などの点についての情報を求める一方で、柔軟性の必要も認識した。

先進国の緩和の MRVについては、ネパールが、LDCの立場から、正確で完全かつ定期的なレビューの実施を求めるとともに、MRV基準の引下げは避け、京都議定書の遵守制度を強く主張し、中国の支持を受けた。

適応:ADPのKumarsingh共同議長は、現在の適応枠組みの強化策や、提案されている国際目標を盛り込むことも含めた2015年合意における適応について検討するよう締約国に促した。

多くの国がNAPの中心的な役割を認識し、世界、地域、国、ローカルな次元での適応を強調した。ペルーは、NAPの強化とギャップ特定のための国別報告書の活用を提唱するAILAC案について改めて主張した。サウジアラビアは、NAPは全締約国の必須項目とすべきだと述べた。インドネシア、中国、韓国は、適応と持続可能な開発のつながりについて強く主張した。

資金については、マレーシア(G-77/中国)が、インド、中国、ケニア、エジプトとともに、適応に対する資金供与の不足に懸念を示した。マリは、NAPへの資金拠出を求めた。インドは、技術移転に対する資金供与について強調した。米国は、適応支援に対する同国のコミットメントを示した。

制度的アレンジについては、多くの国が、条約下での適応に対する現在の制度を強化するよう求めた。

G-77/中国、バングラデシュ、ケニア等は、排出シナリオに応じて適応ニーズの推定から決定する、アフリカン・グループ提案をベースにした、国際適応目標を求めた。オーストラリア、ノルウェー、韓国、米国は、適応に関する情報を集約して国際的な数値目標を設定することは技術的に困難だと強く主張した。また、米国は、そうした数値目標を設定することは非生産的だと述べた。ADPのKumarsingh共同議長は、適応の国際目標に関する提案について、アフリカン・グループ、オーストラリア、米国などで協議するよう促した。

ネパール及びフィリピンとAOSISの立場のナウルが、緩和と適応のつながりを強く主張した。AOSISは、小島嶼開発途上国がいくつかの気候変動の影響に適応することができないだろうと強く主張し、野心的でタイムリーな緩和によってのみ損失と被害を低減できると強調した。

技術:午後は技術に関して、ADPのオープンエンド型協議が引続き行われた。ADPのKumarsingh共同議長は、2015年合意における技術開発と移転や2020年以降の制度的アレンジについて考察するよう締約国に要請した。多くの締約国が強く主張したのは、技術メカニズムが2015年合意の重要な構成要素であること;制度に関連した強化の必要性;緩和と適応の両方に取組むことの重要性である。また、多くの締約国が資金および資金メカニズムとの連携を求め、アルゼンチンが“我々はクルマを持っているが、今はタンクをガソリンで満たす必要がある”と述べた。

米国は、カナダとともに、知的所有権(IPR)がイノベーションに決定的だと主張した。カナダは、IPR問題は他のフォーラムでは十分な対応されていると強調。米国、EU、スイスは、IPRは技術移転の主な障害ではないと主張した。フィリピンは、午前の技術に関するSBI/SBSTA非公式協議の“行き詰まり”に焦点を当てつつ、2015年以降の合意の意義深い活動に向けて、技術に関する行動の強化が要求されると指摘した。また、南アフリカとスワジランドは、アフリカン・グループの立場から、支援の妥当性に対処するためのレビュー・メカニズムを組み込んでおくことを求めた。

また、アフリカン・グループは、附属書I国による民間セクター支援に投資することや、他の多国間合意の経験からの学びなどを求めた。EUは、2015年合意で国際技術協力を促進させることを提案し、CTCNの役割や官民のセクターの重要性について強調した。さらに、技術メカニズムが2020年以降の技術の構成要素となるべきだとし、それらを可能にする環境の重要性について強調した。

また、TNAを通じた技術ニーズのマッピングや伝統的なあるいは先住民の知識移転の支援、重複防止に向けた他の政府間組織との取り組み、技術メカニズムの機関との間のシナジー促進などが締約国から要請された。

Kumarsingh共同議長は、IPRに関する議論を更に行うよう締約国に求めた。

ワークストリーム 2午後のワークストリーム2の前進策に関するオープンエンド型協議の中で、ADP共同議長のRunge-Metzgerは、ワルシャワで決定書にたどり着けるように、達成できることに集中するよう締約国に要請した。

エクアドルは、2020年までの野心のギャップを埋めるべく進めることが、ワークストリーム1の下で前進させるための出発点だと主張した。ベネズエラは、LMDCの立場から、特に、途上国のニーズを特定するための資金と支援の明確化、対応措置の実施による経済社会の影響への対応、GCFの迅速な資本化と運用開始を求め、クウェートやアルジェリアの支持を受けた。

南アフリカ、ミクロネシア、ボリビアは、緩和、実施、資金および技術のギャップについて強調した。カメルーンは、COMIFAC(中央アフリカ森林協議会)の立場から、緩和のギャップを埋めるには森林減少の低下・停止・反転の役割が重要だと強調した。南アフリカは、非附属書I国向けの実施手段を増やすよう求めた。マリは、1000億米ドル目標に立脚するよう求め、南アフリカとともに、必要な支援と資金供給をマッチングさせるためのポータル開設を提案した。

多くの途上国は、ドーハでの京都議定書改正の批准、京都議定書締約国の約束に係わる野心の引き上げ、ならびに京都議定書の締約国ではない先進国からのコミットメントを要請した。

ボリビアは、途上国の気候変動対策を可能にするための特許へのフリー・アクセスや、2020年までの期間に対して執行理事会と資金ファシリティをともなった、損失と被害に対処する運営機関を求めた。

米国は、双方が納得のいくような緩和の機会を特定することによって野心を引き上げるための作業計画を支持した。また、2020年までの野心を理解するべく各国の誓約の明確化を奨励し、カンクン誓約未提出国に対しても同様のことを求め、透明性を確保と排出削減量の二重カウントを防止するFVA(訳注:Framework for Various Approaches)に基づくシステムの構築を提案、2020年までという時間の枠内で準国家レベルの排出削減行動を前進させるための国際的な取り組みを提唱した。アラブ首長国連邦は、グリーンエネルギー都市開発における都市間協力イニシアティブを歓迎した。

コンタクトグループと非公式協議

REDD+(SBSTA)午前中、REDD+方法論に関するガイダンスについてのSBSTAの非公式協議では、森林参照排出レベル案及び/若しくは森林参照レベルについて締約国から寄せられた意見書について技術評価を行うためのガイドライン及び手続きに関して、決定書草案に盛り込みうる要素について審議した。

議論の中心になったのは、森林参照排出レベル及び/若しくは森林参照レベルの開発及び評価を、先進国及び関連する国際機関に支援を要請するテキストである。資金に係わる幅広い問題では、意見の相違が残った。締約国からの意見書についての技術評価を行うためのガイドライン及び手続きのスコープに関するテキストでは進展があった。

非公式協議が午後も続けられる。

国家適応計画(SBI)NAPに関する非公式協議が午前に開催され、締約国はCOP決議案について検討した。NAPプロセスのための最初のガイドラインでの経験に関する締約国と関連機関の情報提供に係わるテキストを中心に議論が進められた。非公式協議が続けられる。

技術(SBI/SBSTA)午前の技術の開発と移転及び技術メカニズムの実施に関する非公式協議では、以下の決定書草案(CTCN及びその諮問会議のモダリティー及び手続きに関する報告書;技術移転に関するポズナニ戦略プログラム;非附属書I国の技術ニーズ関する第3回統合報告書;TEC及びCTCNの合同年次報告書)がレビューされた。決定書草案については、合同年次報告書の草案を除き、概ね合意が形成された。

合同年次報告書については、世界知的所有権機関(WIPO)や世界貿易機関(WTO)等の国際機関にオブザーバー参加することをTECに対して検討するよう要請するとのテキストをめぐって一部の先進国から懸念が表明された。また、決定書2/CP.17(CTCNに対する支援)への参照を前文に移動する提案がなされた。いくつかの途上国からは、個別のパラグラフを再検討することになれば既に合意済みのテキスト案での妥協案があらためて蒸し返されることになるとの懸念が示された。ある締約国は、交渉の行き詰まりを回避し、TEC及びCTCNの重要性に関する強いメッセージを送る必要があると強調した。

何らの合意に至らず、共同議長はSBI及びSBSTA議長の助言を仰ぐことになった。

2013-2015年レビュー(SBI/SBSTA)2013-2015年レビューに関する非公式協議とSBI/SBSTAコンタクトグループが午前に開催された。コンタクトグループ会合で、一部修正を行った後、結論書草案について合意に至った。結論書草案では、特に:2014年の組織化された専門家ダイアログ追加会合;IPCC WG II及びIIIのAR5報告書やその他の情報の検討;ADP作業に対するレビュー情報の提供に関する意見の提出等について記載されている。Charles共同議長は、“素晴らしい議論”を行った締約国に謝意を示し、各締約国の懸念事項についての理解が促されたと述べた。

対応措置に関するフォーラム(SBI/SBSTA):午前、対応措置の実施の影響に関するフォーラムについてのSBI/SBSTAコンタクトグループが行われた。SBSTA副議長のNarcis Paulin Jeler (ルーマニア)は結論書草案について更に作業が必要だと説明し、“積極的な参加者および希望者すべて”のために“議長を置かない草案グループ”を設置することを提案した。また、SBSTAのJeler副議長は、結論書草案及び決定書草案に盛り込む要素について副議長が作成したペーパーを検討するよう締約国に提案した。これに対して、G-77/中国は、時期尚早だと反対を唱え、締約国が摘出したテキストをベースに議論を進める方がいいと主張した。

午後も非公式協議が続けられた。

各種アプローチのための枠組み(SBSTA)各種アプローチのための枠組みに関するCOP決定書草案についての非公式協議が午後、行われた。テキストに幾つかの括弧書きが挿入され、夕方にも非公式協議が続けられた。

CDMの手続き及びモダリティーに関するレビュー(SBI)午後、CDMのモダリティー及び手続きに関するレビューに関するCMP決定書とSBI結論書の要素について非公式な協議が行われた。

現在までに受け付けられたCDMのモダリティー及び手続きに係わる数々の変更案の、共同議長がとりまとめたリストをSBIがどのような形で参照するべきかという問題を中心に議論が行われた。さらに、テクニカルペーパーの中に盛り込むべき問題について意見交換が行われた。夕方も非公式協議が続けられた。

適応員会に関する報告(SBI/SBSTA)午後の適応委員会の報告書に関する非公式協議では、COP決定書テキストの議長改訂案について審議が行われた。

手続きルールの変更や、資金不足、適応委員会の3カ年作業計画のタイムリーな実施と成功のための締約国に対する潤沢な資金提供の要請などの対応を中心に議論が行われた。ある締約国は、カンクン適応枠組みを盤石にするため適応委員会を強化する必要があると強く主張した。COPに送る決定書テキストについて合意がなされた。

廊下にて

交渉5日目には、多くの参加者の頭に会議場のレイアウトを理解し、円形スタジアムの構造を自分のものとしたようだ。しかし、いくつかの問題に関する議論も、ぐるぐる“堂々巡り”をしているとの印象を抱く参加者もあった。ADPの技術の議論については、IPRに関するお馴染みの論争が浮上した。SBI/SBSTAの技術の議論では、WTOとWIPOへの委託の是非をめぐる論争が繰り広げられた。また、国家適応計画についての進捗が遅れているとのコメントも聞かれ、ある政府代表によれば、それが損失と被害について意識を集中する上で障害となった模様だ。「会議スケジュールの実況画面に“loss and damage: 4 pm until …”と短く表示されているのを見ると、現時点では損失と被害の交渉を完了するための日程も、終了時刻も、まったく予測できないという状況だということが分かる」と交渉官の一人は語る。REDD+をはじめとする幾つかの項目については、こうした型が破られ、比較的順調に進んだ。とはいえ、ある政府代表は、REDD+での進展は、その他の項目で合意がなかなか得られないという“窮地を救おうとする”試みだったと見る。

UNFCCCのChristiana Figueres事務局長は、午後の“CDM Changing Livesフォト&ビデオコンテスト”でのCDMプロジェクトを紹介する写真に注目することで議事進行にインスピレーションを与えようとした。事務局長は、こうした写真はCDMが“難解なしろもの”ではないという証拠であるとし、新市場メカニズムの開発に取組んでいる最中の交渉官にとってCDMはアイディアとツールの“宝庫”だと述べた。しかし、市場メカニズム関連の様々な議題の交渉はすんなり進んでいる訳では無い。各種アプローチのための枠組みに関するテキストは多数の括弧書きで埋め尽くされており、CDMのモダリティーと手続きの修正案については交渉官らが合意点探しに苦闘している状況だ。会議も中盤に差しかかる中、ある交渉官は「ワルシャワで成功裡に意義ある成果を達成するには、大胆な策を講じて、情熱と妥協の精神を発揮できるかどうか今後が注目される。」とコメントしていた。

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Jennifer Allan, Beate Antonich, Alice Bisiaux, Elena Kosolapova, Ph.D., Kati Kulovesi, Ph.D., Mari Luomi, Ph.D., and Annalisa Savaresi, Ph.D. The Digital Editor is Francis Dejon. The Editor is Pamela S. Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donor of the Bulletin is the European Commission (DG-ENV). General Support for the Bulletin during 2013 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety (BMU), the Ministry of Environment of Sweden, the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN), the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), and the United Nations Environment Programme (UNEP). Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA. The ENB Team at the Warsaw Climate Change Conference - November 2013 can be contacted by e-mail at <kati@iisd.org>.

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