Daily report for 16 May 2016

Bonn Climate Change Conference - May 2016

ボン気候変動会議は、月曜日、開会した。午前中、開会ステートメントが発表された後、SBSTAの開会プレナリーが開催された。午後、SBI開会プレナリーが開会、続いてSBSTA開会プレナリーが再開した。クリーン開発メカニズム(CDM)の利用及び資金調達に関する会合期間中ワークショップ、SBSTAコンタクトグループ、SBSTA及びSBI、非公式協議は、午後、開催された。

開会ステートメント

COP 21/CMP 11議長であるフランスのSégolène Royalが開会を宣言した。業績に感謝する満場総立ちの拍手で迎えられたUNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、「今日は、我々全てのものにとり、新しい時代の幕開けを意味する」と宣言した。

COP 22/CMP 12議長に指名予定のモロッコのSalaheddine Mezouarは、COP 22は行動する会議となると述べ、気候資金、農業、回復力が焦点になると強調した。

COP 21議長のRoyalは、交渉担当者に対し、パリで敷かれた基礎の上に建設する「建設者(builders)」として行動するよう求めた。

開会ステートメントの発表の中で、少数のグループは、パリ協定に則り構築し、プレ2020年の行動をとり、実施手段(MOI)を提供することの重要性を強調した。

タイはG-77/中国の立場で発言し、適応行動及び損失・被害は2020年以後に先延ばしできないと強調した。

EUは、INDCsの国内での実施の重要性を強調した。オーストラリアはアンブレラグループの立場で発言し、COP 22は「実施し行動するCOP」であると称した。

スイスは環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、パリ協定の実質的な内容を保持し、バランスを保つ必要があると強調した。コロンビアは独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言し、CMAに対し一貫性がありバランスのとれた一連の提案を行うよう提案した。

コンゴ民主共和国はLDCsの立場で発言し、脆弱な諸国はパリ協定を行動に転換する道を先頭に立って進んでいると指摘した。

パナマは熱帯雨林諸国連合(CFRN)の立場で発言し、透明性及び市場メカニズムに関する明確な規則を求めた。

マリはアフリカングループの立場で発言し、COP 22では次の項目を優先すべきだと述べた:包括的で規則ベースのプロセスの確保:適応行動の具体化;技術枠組の精緻化。

小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言したモルディブ、及び中米統合機構(SICA)の立場で発言したホンジュラスは、気候行動の規模拡大を求めた。

サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、共通だが差異ある責任及びそれぞれの能力 (CBDRRC)の原則、手続きの透明性、及び参加性における約束を強調した。

インドはブラジル、南アフリカ、インド、中国(BASIC)の立場で発言し、支援を含め、透明性枠組が重要であると指摘した。

ヨルダンは有志途上国(LMDCs)の立場で発言し、全ての問題に均等な重要性を持たせて扱い、必要な場合は各組織の議題を再調整するよう求めた。

地方政府及び地方当局(LGMA)は、(国連人間居住会議)ハビタットIIIプロセス等、他の組織との協調を求めた。

WOMEN AND GENDER(女性と性別グループ)は、独りよがりに陥ることに警告し、野心を引き上げるべきだと述べた。

YOUTH NGOs (YOUNGOs:若者NGOs)は、パリ協定での世代間の平等の認識を歓迎した。先住民グループは、先住民の専門知識を指摘し、人権を尊重し、保護し、実現する必要があると強調した。

気候行動ネットワーク(CAN)は、透明性確保での市民社会の役割を強調した。

CLIMATE JUSTICE NOW! (CJN!)は、未完の技術を用いたパリ協定の実施に警告した。

BUSINESS AND INDUSTRY NGOs (BINGOs:ビジネス産業NGOs)は、測定及び報告の共通規則の定義付けに対する自分たちの専門知識の提供を待望した。

FARMERS(農業従事者グループ)は、気候変動に対する世界的対応策で食糧生産が脅かされないことを確保する必要があると強調した。

SBSTA

議長であるベリーズのCarlos Fullerが開会を宣言した。

組織上の問題:締約国は、IPCCの評価及びグルーバル・ストックテイクに関する議題小項目を「IPCCの評価がパリ協定14条規定のグローバル・ストックテイクに情報を提供できる方法に関する助言」と改定した上で、議題書(FCCC/SBSTA/2016/1)を採択し、作業構成書で合意した。

下記の項目に関し短時間の審議が行われ、その後、コンタクトグループに回された:長期世界目標の次期定期レビューの範囲;対応措置;フォーラム及び作業計画の改善;パリ協定における法性、作業計画、機能;パリ協定9.7条に則った資金会計の法性。

下記の項目に関し短時間の審議が行われ、その後非公式協議に回された:

  • 議定書2.3条(対応措置)に関係する問題;
  • ナイロビ作業計画;
  • パリ協定10.4条の下の技術枠組;
  • 農業;
  • 研究及び体系的観測;
  • パリ協定14条規定のグルーバル・ストックテイクにIPCCの評価から情報を提供できる方法に関する助言;
  • GHGデータ・インターフェース;
  • 共通の計算方式;
  • 土地利用、土地利用変化、森林;
  • 国際航空輸送及び海上輸送の排出量
  • 附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューを行うレビュー専門家訓練計画;
  • 議定書附属書A記載のGHGsを測定する計算方式選択の影響;
  • 枯渇森林;
  • 協力手法に関するガイダンス;
  • GHG排出量の緩和に貢献し、持続可能な開発を支援するためのメカニズムの規則、法性、手続き;
  • 非市場手法枠組の下での作業計画

他の国際機関との協力:午後、事務局は、協力活動に関し報告した。(FCCC/SBSTA/2016/INF.3)  IPCCは、産業革命前水準比1.5°Cの地球温暖化の影響に関する特別報告書作成等、IPCC 43における決定に関し報告した。

その他の問題:締約国は、提案されている森林の排出量参照水準、そして/または森林の参照基準プロセスの技術評価に関する統合報告書に留意した。(FCCC/SBSTA/2016/INF.2)

SBSTAは、その後中断、5月18日(水)に再開される予定。

コンタクトグループ:パリ協定9.7条に則り、公的介在を通じて提供され、動員される資金会計の法性:コンタクトグループ会議において、参加者は、作業モードについて議論した。AOSISの立場で発言したモルディブ、及びオーストラリア、ニュージーランドは、SBSTA及び資金常任委員会(SCF)のこれまでの作業に基づく議論を提案した。中国は、COPは一部のSCF報告書を採択していないと指摘した。共同議長のOuti Honkatukia (フィンランド)は、事務局は過去の報告書を利用できるようにすると述べ、5月17日(火)、非公式協議を開催する予定であると述べた。

GHGsのCO2換算量計算の共通の計算方式:非公式協議の中で、一部の締約国は、SBSTAの下でのこの項目の審議終了を希望し、APAにはこれを審議する義務があると指摘した。他の締約国は、SBSTAの下で技術的な議論を行うことを希望した。締約国は、5月18日(水)、結論書草案の審議を行う予定。

SBI

議長でポーランドのTomasz Chruszczowが開会を宣言した。

組織上の問題:議長のChruszczowは、締約国に対し、条約非附属書I締約国の国別報告書に記載される情報に関する小項目を保留とし、暫定議題書(FCCC/2016/SBI/1)を採択するよう招請した。同議長は、SBI副議長のZhihua Chen(中国)が、この小項目に関する非公式協議を行う予定であると述べた。

タイはG-77/中国の立場で発言し、NDCsレジストリに関する議題項目からパリ協定4.12条(NDCs公開レジストリに関する)への言及を削除するという変更を提案し、サウジアラビアはこれを支持したが、アンブレラグループの立場で発言したオーストラリア、及びEUはこれに反対した。議長のChruszczowは、多数の締約国が公開レジストリにおける適応努力の把握を検討するよう提案したと報告した。

一定の議論が行われた後、議長のChruszczowは、非附属書I国別報告書に関する小項目を保留し、NDCレジストリに関する議題項目を除き、議題書を採択するよう提案し、締約国は同意した、このNDCレジストリに関し、締約国は、今後の進め方について追加協議を行うことで合意した。

非附属書I締約国からの報告:資金援助及び技術支援の提供:GEFは、隔年更新報告書(BURs)の作成に関係する活動について報告した。イランは、プロジェクト支援を受けていない理由に関する自国の問い合わせに対する、GEF事務局の非対応性を指摘した。議長のChruszczowは、結論書草案を作成するため関心ある締約国と非公式協議を行う予定。

BURsの技術分析に関するサマリー報告書:SBIは、SBI 43以後に発表されたBURsの技術分析に関するサマリー報告書に留意した。

次の項目に関し短時間審議した後、コンタクトグループに回された:

  • 国別適応計画;
  • 適応基金の第3回レビュー;
  • 条約の下でのキャパシティビルディング枠組実施の第3回レビュー;
  • 議定書の下でのキャパシティビルディング枠組実施の第3回レビュー;
  • キャパシティビルディングに関するパリ委員会の委託条件;
  • 対応措置実施の影響に関するフォーラムのパリ協定の下での法性、作業計画、機能;
  • 議定書3.14条に関係する問題;
  • 決定書1/CP.10の実施に関する進捗状況;
  • 条約の下の長期世界目標における次回の定期レビューの範囲及び目標達成に向けた全体的な進捗状況;
  • 性別問題;
  • 政府間会議のアレンジ。

次の項目に関し短時間の審議が行われた後、非公式協議に回された:

  • 附属書I締約国の第6回国別報告書及び第1回隔年報告書の取りまとめ及び統合;
  • パリ協定の実施支援に関係する技術メカニズムの定期評価の範囲及び法性;
  • UNFCCC第6条に関するドーハ作業計画のレビュー;
  • 国際的な協議と分析プロセスの下での意見交換推進;
  • 附属書I締約国の第2回隔年報告書の提出状況及びそのレビュー;
  • 第1回国際的評価及びレビューの成果(2014–2015年);
  • 国別報告書に関するUNFCCC報告作成ガイドラインの改定;
  • CDMの法性及び手続きのレビュー;
  • 共同実施ガイドラインのレビュー;
  • CDM執行理事会(EB)の決定に対する上訴の手続き、メカニズム、制度アレンジ;
  • LDCs関係問題。

議長のChruszczowは、会合を中断、5月17日火曜日に再開の予定。

ワークショップ:国際的な気候金融機関による資金調達及びCDMの利用

このワークショップでは、CDMプロジェクトにおける資金調達の経験について議論し、気候資金調達活動支援においてCDMを利用する場合の障壁及び機会を探求した。発言者は、CDMのプロジェクト・パイプラインにおいてGCFの気候資金を利用できるようにすることを提案、伸びてはいるが自称が主であるグリーン債券市場において、CDMは最小限の役割しか果たしていないと指摘し、NDCsに合致する資金の認証を主唱した。あるパネリストは、結果ベースの資金供与は成果を上げられる多数の金融ツールの一つであると強調した。他のものは、会計上の確実性と登録のスピード感との相殺関係を認識するよう促した。CDMへの提案には、EBを政治的組織から専門性ある組織に変換する、炭素原単位等新しい計算方式を検討することが含まれた。参加者は、適応への資金供与におけるCDMの潜在的可能性について議論し、気候資金調達をオフセットと区別する必要があると強調した。

廊下にて

当然受けるべき交渉の休憩期間を終えた交渉担当者は、気持ちを新たにしてボンの世界会議場に姿を現した。多数の締約国は、「パリ協定の骨組への肉付け」を開始する用意はできていると指摘した。実際、「連帯(unity)」とか「モーメンタム」と言う言葉があらゆるところで使われ、ある参加者は、既に177の締約国がパリ協定に署名したことが強力なメッセージであると指摘した。

ある参加者は、「陶酔感に目がくらまされる(dizzy with euphoria)」ことの危うさを警告したが、一部の懸念が浮上、パリ会議の成果で義務付けられたNDCsレジストリに関するSBIの議題項目は適応を適切に反映していないのではないかと指摘された。他のものは、提案されているAPAの議題に懸念を表明したが、今回の協議ではAPAの実質的作業の円滑な開始に向けた道が開けると希望的に考えているようであった。大半の諸国は、実際、パリから始まった善意の「波に乗る」決意を示していたようだ。

(IGES-GISPRI仮訳)

Further information

Participants

Tags