Daily report for 9 November 2021

Glasgow Climate Change Conference

グラスゴー気候変動会議は続けられ、資金に関する議論で占められた。非公式な非公式協議、閣僚主導の議論、議長主導の議論が、一日中、開催された。

再開されたハイレベルセグメント

開会にあたり、COP 26議長のAlok Sharma (英国)は、ハイレベルでの美辞麗句を行動に換えるよう求め、野心的な成果を達成するため、交渉での「ギアチェンジ(change in gear)」を促した。

イランのAli Salajegheh副大統領は、自国は国際援助を受けることができなければ、気候コミットメントを果たすのは不可能だと嘆いた。

ガンビアのIsatou Touray副大統領は、緊急の行動の必要性を強調し、自国は公平な割合以上のことを行っているとし、他の国は過去のプレッジを履行すべきだと述べた。

ロシアのAlexey Overchuk副首相は、2060年までにネットゼロを達成するとのロシアの目標を指摘し、ロシアは信頼できるエネルギー供給者であり続けると述べた。

ウズベキスタンのAziz Abduqaxxorovich Abdukhakimov副首相は、2億本の樹木を植林するコミットメントを強調し、締約国に対し、2022年のグリーンエネルギーに関するハイレベル国際フォーラムへの参加を招待した。

ステートメントは、午後一杯、続いた。

COP

資金に関係する問題:長期資金(LTF)非公式協議の共同進行役のGeorg Børsting (ノルウェー)は、文書草案のバージョンに関する意見を招請した。

ある開発途上国グループは、1千億米ドルの年次目標達成にむけた先進国の努力継続「に留意する(noting)」ではなく、「の欠如に対する失望感を表明する(expressing disappointment with the lack of)」とするよう求めた。

適応に関し、参加者は、次を議論した:適応資金の規模拡大、先進国は倍増に異議を唱えた;公的資金への言及、及び民間資金の動員を可能にする環境。

参加者は、気候資金に関する合意された定義の欠如に言及するかどうかも議論した。開発途上国は、これに関して、新しい集団数量目標に合わせ、COP 28までに合意するよう求めた。先進国は、そのような要素は資金常任委員会(SCF)での議論で取り上げるべきだと強調した。ある先進国は、いかなる合意された定義でも支援の報告には影響する、さらに何を気候行動とするかにも影響すると警告した。別な先進国は、合意された定義は適応の範囲拡大に合わせる必要があると述べた。非公式協議が続けられた。

技術の開発及び移転:気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の諮問理事会の構成のレビュー:非公式協議の共同進行役はMareer Husny (モルディブ)が務め、CTCNの代表は諮問理事会のメンバーの会議参加費及び諮問理事会の効果性に関する締約国の質問に答えた。

ある非附属書Iの国は、諮問理事会のメンバー数を16名から18名に増員し、UNFCCCの地理的地域グループの各地域から公平な代表を追求するよう提案した。あるグループは、理事会には後発開発途上国(LDC)の代表が必要だと強調した。

ある先進国は、一部の開発途上国の代表を強化する必要性には賛同したが、理事会のメンバー数自体は増員しないことを希望した。同代表は、先住民組織、若者NGOs、女性とジェンダーの代表を入れることを提案し、他もこれを支持した。別な先進国は、次の必要性を強調した:附属書I諸国、非附属書I諸国、及びNGOs間のバランス;地域バランス;組織の効率確保。

共同進行役は、文書草案を作成する予定であり、非公式な非公式協議が続けられる。

CTCNの第2回レビュー:非公式協議では、共同進行役のMadeleine Diouf Sarr (セネガル)は、締約国に対し、決定書草案に関するコメントを招請した。

各国は、決定書草案の中で国連工業開発機関(UNIDO)を認識するかどうか、認識する場合はどのように認識するかを議論した。少数の開発途上国及びグループは、「UNIDO」を「UNEPコンソーシアムのメンバー(members of the UNEP consortium)」に置き換えることを希望し、UNEPとUNIDOの間のアレンジはCOPでは決められないと強調した。少数の先進国は、UNIDOの資金貢献を指摘し、文書での言及保持を支持した。

その後、一人のUNIDO代表は、UNIDOのUNEPとの協力関係について報告した。

締約国は、この意見の不一致はひとまず置いておき、決定書草案の残りの作業を非公式な非公式協議で継続すると合意した。

非附属書I締約国の報告:専門家諮問グループ(CGE)非公式協議で、共同進行役のGertraud Wollansky (オーストリア)は、CGEの委託条件の改定に関し、決定書草案の附属書へのコメントを招請した。Wollansky共同進行役は、締約国に対し、CGEの構成に関係する文章で意見の違いが残る箇所の議論を控えるよう求め、代わりに意見の一致が見られる箇所に焦点を当てるよう求めた。締約国は、パラグラフごとにコメントし、特別な配慮を必要としているとして、特に、LDCs及びSIDSと共にアフリカにも特別な言及をするかどうか、あるいは代替として、「最も脆弱な諸国(most vulnerable countries)」という一般的な表現を用いるかどうか、意見交換をした、さらにCGEはCMAが提供する可能性がある他のいかなるマンデートも実施するものとするという一般条項を削除するかどうかでも意見交換をした。

共同進行役は、進捗状況を議長職に報告し、残る問題は議長職に回す予定。

CMA

資金関係問題:気候資金の新しい集団数量目標:非公式協議で、共同進行役のOuti Honkatukia (フィンランド)及びZaheer Fakir (南アフリカ、ビデオで進行役を務める)は、文書草案の第3版を提起し、意見の集約分野に関する意見を招請し、残るオプションを絞り込む方法に関する意見も招請した。締約国は、この文書をさらなる議論のたたき台として歓迎した。

次の項目では広範な意見の一致が聴かれた:新しい資金目標はパリ協定の長期気温目標を反映し、これに貢献すべきと強調する;協議でのハイレベルチャンピオンの不適切性。

制度構造に関し、特別委員会か、特別作業部会、それともワークショップにすべきかでは意見の不一致が残った。ある開発途上国グループは、ワークショップのオプションではどこに交渉のスペースがあるのかを問い、一部の先進国は、CMA議題項目を示唆した。他の開発途上国は、特別委員会か作業部会を希望すると表明する一方で、柔軟性に注目した。一部の先進国は、ワークショップを希望する一方で、特別作業部会での議論には柔軟な姿勢を示した。

実質的要素に関し、少数の先進国は、最終的な決定書に予断を加えないことが必要だと強調した。一部の開発途上国グループは、この目標には質と量、さらにはアクセスの特性、透明性のアレンジを含めるべきだと述べた。他のものは、1300億米ドルという数字を含めること、緩和と適応を50%でバランスさせることを促した。

タイミングに関し、多数の開発途上国は2023年が良いとしたが、多数の先進国は2024年を希望、ある先進国は柔軟性を表明した。

他のコメントは次に関係した:指針となる質問のリスト;利害関係者の参加範囲、一部の先進国は利害関係者を要素の協議に入れるべきだが、目標の決定や構成には入れるべきでないと述べた;特別作業部会または特別委員会の委託条件を規定する附属書の中の要素、これは決定書に含めるべきである。

非公式協議が続けられた。

パリ協定第95項(事前の資金透明性)に関係する情報の隔年報告書のとりまとめ及び統合、並びにこれに関する会合期間中ワークショップのサマリー報告書:非公式協議の共同進行役であるCarlos Fuller (ベリーズ)は、文書草案に関する意見発表を招請した。

参加者は、決定書12/CMA.1 (提供されるべき情報のタイプ)の附属書に規定する「全てのタイプの情報(all types of information)」の報告を先進国に求めることについて議論し、先進国は、一部の情報は「入手可能であれば(as available)」、あるいは「当てはまる場合は(as applicable)」報告することを強調した。

ある開発途上国グループは、情報源を提供する他の締約国の報告に関する言及の削除を求め、このような報告は自主的なものだと指摘した。

第1回の隔年報告書からの識見をとらえることについても議論し、開発途上国は、先進国は次回の報告書作成での改善分野に関し、この識見を考察する必要があると強調した。共同進行役は、文書草案の新しいバージョンを作成する予定。

適応委員会報告書及び適応に関する世界目標(GGA)SBI議長のMarianne Karlsen (ノルウェー)が協議の進行役を務め、GGA作業プログラムに関するノートを提起した。このノートには序文及び構成とタイムラインも関するオプションの概要、範囲、モダリティが記載される。

序文に関し、一部の開発途上国グループは、パリ協定第2条(温度目標)への明確な言及、適応委員会の作業における手法論、概念、政治的な課題への明確な言及を提案した。一部の先進国は、同委員会が提案する解決策を含めるよう求めた。

組織構成に関し、作業プログラムを遂行しうる組織について、3つのオプションが示された:補助機関(SBs):CMA議長職の権限の下;または適応委員会。少数の締約国及びグループは、第1のオプションを希望し、毎年持ち回る議長職にしても委員会にしても多大な作業量を抱えていると指摘した。ある開発途上国は、第2のオプションを希望し、この作業はハイレベルなガイダンスを必要としていると述べた。少数のものは、委員会がサポートや技術面で役割を果たせることで合意した。少数の先進国は、第3のオプションを希望したが、ある開発途上国グループは、反対した。

タイムラインに関し、少数の開発途上国グループは、CMA 3において2か年の作業プログラムを「設立し、立ち上げ(establishing and launching)」、作業自体は2022年に開始し、CMA 4(2022年)から年次報告を開始することを希望した。

範囲に関し、締約国は、文章の変更を提案した、これには次に言及するかどうかも含まれた:共通するが差異のある責任の原則;GGAの「概念上の理解(conceptual understanding)」;開発途上国に対する「追加負担(additional burden)」または「追加の報告負担(additional reporting burden)」を回避する;国内小地域レベル;気候変動に関する政府間パネルの作業。

Karlsen議長は、(CMA)議長職及び適応議論をリードすると任命された閣僚らに報告する予定。

COP/CMA

SCFに関係する問題:非公式協議では、共同進行役のRichard Muyungi (タンザニア)及びGard Lindseth (ノルウェー、ビデオで進行役を務める)は、COP決定書草案及びCMA決定書草案に関する締約国のコメントを求めた。Muyungi共同進行役は、COP決定書草案を提起した、これには、気候資金フローの第4回隔年評価及び概要、条約及びパリ協定の実施に関係する開発途上締約国のニーズ決定の第1回報告書(NDR)、SCF報告書が含まれる。

ある先進国は、自国の書面での提出文書の多くの要素が文書から失われていると述べた。Muyungi議長は、全ての締約国の意見に基づき、バランスのとれた文書を作成しようとしたと説明した。

隔年評価に関する議論の大半は、この決定書において、気候資金の合意された定義づけがないことを強調する必要があるかどうか、SCFに作業継続を要請する必要があるかどうかに焦点を当てた。多数の開発途上国は、明確な定義づけがあることの重要性を強調し、COP 25はSCFに対し、気候資金の運用上の定義づけに関する作業を委託していると指摘した。

少数の先進国は、異議を唱え、ある国は、パリ協定のボトムアップ手法からすると、合意された定義は価値のあるものなのかと質問した。

一部の開発途上国は、パリ協定の実施を確保するよう締約国を促す場合には、第2条1 (c)項(資金フローを低GHG排出経路及び気候レジリエントな開発経路と合致させる)に加え、第2条(目的)にも言及することを提案した。

NDRsに関し、先進国は、NDRの周期を4年から2年に変更することに反対した。

SCF報告書に関し、ある開発途上国は、パンデミック関連の課題などを強調し、他の少数の者の支持を得て、SCFが資金メカニズムの運用機関に対するガイダンス草案を作成するとのマンデートを守れなかったのは「遺憾である(regretting)」とすることに反対した。

共同進行役は、文書草案の新しいバージョンを提供する予定であり、非公式な非公式協議は続けられる。

廊下にて

第2週で、COPsはいつも「刃の先(knife edge)」にいるようだと、ベテランの参加者は説明し、今回の会議も例外ではないと付け加えた。マドリードの最後の会議では、各国は第6条での合意に「極めて近づいて(very, very close)」いたが、最後の瞬間で崩れ去った。グラスゴーでもこれを試みる中、彼は、そして多くのものは、パリ・ルールブックがようやく仕上がるのではと希望している。

一部の要素はまとまりつつあるようだ。閣僚らは、現在、共通時間枠のオプションを9つから2つに減らした。第6条の技術的な議論は済み、締約国は、現在、シンガポール及びノルウェーの閣僚級進行役らと共に、厄介な問題(crunch issues)に関する懸念を共有している。これは技術的なレベルから政治的なレベルへのデリケートな転換でありうる、特に全ての問題が一度に移行されない場合はそうである。決定書は、パッケージで出される場合が多く、これは全ての部分を即時に見ることができるようにする。次の数日は、足元を安定させる必要があり、あるベテランは、「プロセスをどう扱うかに大きくかかってくる(depends a lot on how the process is handled)」と説明した。

この刃の先でのバランスを覆す可能性があるのは、休眠中の問題(sleeper issues)である。ワルシャワ国際メカニズムのガバナンスは、まさにそのような問題の一つである。パリ協定への米国の再加入にも拘らず、それぞれの立場にはこれまで以上に大きな溝があるようだ。問題は、損失損害問題を最終的に統治するのはパリ協定の統治組織だけなのか、それとも条約の統治組織と共に統治するのかである。各国の立場はさまざまで、一部のものは、一つの組織の下での決定を他に投影(mirror)することを希望したが、あるベテラン参加者いわく、これは明らかに(clearly)うまくいかない(be a no go)。

そして、もちろん、パンデミックの出現である。G-77/中国の資金コーディネーターを含め、数名の交渉担当者がCOVID-19の検査で陽性となり、他のものも自主隔離しなければならなかった。この中には議論の成果にとり、重要な,交渉担当者もいた。彼らの健康は、グラスゴーでの健全な成果のカギとなる可能性がある。

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