Summary report, 17 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は、国連気候変動枠組条約及び同条約のパリ協定の実施推進を目的とする数件の議題のうち、2019年12月のサンチャゴ気候変動会議を期限とする問題に関し、議論を進めることが期待された。参加者は多数の問題に関する進捗状況を検討した、この中には次のものが含まれた:
- パリ協定第6条(市場及び非市場の協力的手法):カトヴィチェ気候パッケージで唯一保留されていたパリ協定ルールブックに関し、締約国は、カトヴィチェで行われた作業を振り返り、共同進行役作成の文書草案に全意見が反映されていることの確認作業を行った。締約国は、サンチャゴ会議では、共同進行役の文書に基づき作業することで合意した;
- 気候変動の影響に伴う損失と損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)のレビューに関する委任条件:: The ToRは採択され、開発途上国にとり重要なメカニズムであるWIMのレビューの範囲、インプット、その他の要素を規定した;
- パリ協定の下での透明性枠組に関係する報告用の表形式及び他の問題:締約国は、会合期間外の作業について合意、サンチャゴでの議論を進めるため、共同進行役作成の非公式ノートを送致した;
- 農業に関するコロニビア共同作業:各国は、近く開催される会合期間外ワークショップを歓迎し、持続可能な土地及び水の権利、並びに耐性及び持続可能な生産を高める実施方法及び技術の規模拡大を目指す戦略及びモダリティというテーマを設定した;
締約国は、適応基金理事会のメンバーシップ問題など、数件の問題で進展を得ることができなかった、また締約国は、理事会が京都議定書でも役割を果たすことから、パリ協定のみで役割を果たすように転換した後、理事会を改革する必要があるかどうかで意見が分かれた。将来の国家決定貢献(NDCs)の共通時間枠に関する議論成果は、手続き上だけのものとされ、会合期間外の作業なしの審議継続、または合意達成の期限での合意となる。
少数の締約国は、科学問題関係の議論成果に深い失望感を表した。最も注目されたのは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃地球温暖化特別報告書での審議成果に対するいら立ちを表すのに「科学は交渉できるものではない(Science is not negotiable)という錦の御旗を掲げてデモをし、繰り返し述べたことである。締約国は、この報告に関するIPCCの作業に感謝することで合意したが、多くの者が希望したように、報告書の結論に関する実質的な審議に入ることはなかった。
ボンにおけるこの2週間の会議には、3300名を超える参加者が集まり、その中には、1900名以上の政府関係者、1300名を超えるオブザーバー組織代表、このうち1100名近くは非政府組織の代表、さらにメディア関係も60名近くが参加した。この会議は、実施に関する補助機関(SBI)及び科学上技術上の助言のための補助機関(SBSTA)のそれぞれ第50回の会合で構成された。
UNFCCCの簡略史
気候変動に対する国際的な政治的対応は、1992年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる、この条約は、「気候系に対する危険な人為的干渉(dangerous anthropogenic interference with the climate system)」を回避すべく、温室効果ガス(GHGs)の大気濃度安定化を目的とした、国際的な気候変動協力の基本の法的枠組及び原則を規定する。この条約は1994年3月21日に発効、197の締約国を有する。
UNFCCCの効果性を高めるため、1997年12月、京都議定書が採択された。この議定書は、 was 採択した in 12月 1997. It commits 先進工業国及び市場経済移行国が、6つのGHGsバスケットに量的な排出削減目標達成を約束するものである。京都議定書は、2005年2月16日に発効、192の締約国を有する。その第1約束期間は2008年から2012年で行われた。2012年ドーハ改定文書は、2013年から2020年という第2約束期間を設置した。この文書は144か国が批准したところで発効する。これまでに128の締約国がドーハ改定文書を批准した。
2015年12月、締約国は、パリ協定を採択した。この協定の規定により、全ての国は、NDCsを提出し、緩和、適応、実施手段に関する全体的な進捗状況をグローバル・ストックテイク制度により5年ごとにレビューする。パリ協定は2016年11月4日に発効、これまでに185の締約国がこの協定を批准した。
最近の重要な転換点
ダーバン・マンデート:パリ協定の交渉マンデートは、2011年、南アフリカ、ダーバンでの国連気候変動会議で採択された。締約国は、強化された行動に関するダーバンプラットフォーム特別作業部会(ADP)の設立で合意した、この作業部会のマンデートは遅くとも2015年までに「条約の下で、全ての締約国に適用可能な議定書、他の法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果を作成する(to develop a protocol, another legal instrument or an agreed outcome with legal force under the Convention applicable to all parties)」、さらにこれを2020年に発効することである。加えて、ADPは、2℃を大きく下回る地球温暖化で抑制するとの目標と比したプレ2020年の野心とのギャップを縮める行動の探求も委任された。
リマ:2014年、ペルー、リマでの気候変動会議は、「気候行動のリマ宣言(Lima Call for Climate Action)」を採択した、この宣言は、交渉文書草案の要素、及び約束草案()の提出及び統合プロセスを推敲すると同時に、プレ2020年の野心にも対処した。
パリ:2015年、フランスのパリで国連気候変動会議が開催され、12月12日、パリ協定を採択するに至った。この協定には、地球平均気温を産業革命前水準比で2℃を十分下回る温度上昇に抑えるという目標を示したほか、1.5℃で抑制する努力を追及することも記載された。さらに、この協定は、気候変動の悪影響に適応する締約国の能力向上、及び低GHG排出及び気候耐性の開発に向けた経路と合致するよう資金フローを作ることも記載された。この協定は、各国の異なる事情に鑑み、共通するが差異のある責任及びそれぞれの能力の原則(CBDR-RC)、及び衡平性を反映する形で実施される。
パリ協定の下、各締約国は、5年間隔で、連続してNDCsの野心を引き上げ、これを連絡することとする。2020年までに、2025年までの時間枠のNDCsを有する締約国は、新しいNDCを連絡することが要請され、2030年までの時間枠のNDCを有する締約国は、その貢献分を連絡する、もしくは更新することが要請される。
パリ協定の主な特徴には、透明性枠組、さらにはグローバル・ストックテイクと称されるプロセスが含まれる。 2023年、締約国は、このプロセスを5年間隔で開始し、緩和、適応、実施手段に関する全体の進捗状況をレビューする。さらにこの協定には、適応、資金、技術、損失と損害、遵守の条項も記載される。
パリ協定採択時、締約国は、協定の運用規則詳細を作成するパリ協定作業計画(PAWP)の設置した、これにはパリ協定特別作業部会(APA)、SBI、SBSTAによるものも含まれる。締約国は、パリ協定の長期目標に向けた全体の進捗状況を検討するための促進ダイアログの2018年開催で合意した。このプロセスは現在タラノア・ダイアログと称される。
パリにおいて、締約国は、パリ協定の目標達成には、全ての締約国及び非締約国利害関係者が一層強力でさらに野心的な気候行動を推進する必要があることで合意した。数名の非締約国利害関係者は、パリにおいて、リマ-パリ行動アジェンダを土台として、ユニラテラルな緩和プレッジを行い、1万件を超える行動の登録がなされた。非締約国利害関係者の行動に対する注目は、2016年に発足したグローバル気候行動のマラケシュ・パートナーシップにおいても継続した。このパートナーシップは、国家行動者及び非国家行動者における協力強化を目指す。各年において、現在の議長及び次期議長は、自主的で協力的な行動を推進するハイレベル・チャンピオンを任命する。
マラケシュ:: The UN 2016年11月7-18日、マラケシュで国連気候変動会議が開催されたが、この会議において第1回のパリ協定締約国会議(CMA 1)も開催された。締約国は、他の決定の中でもPAWPの交渉は2018年までに終了させるべきことで合意した。
フィジー/ボン:2017年11月6-17日、フィジーの締約国会議(COP)議長職の下、ドイツのボンで気候変動会議が開催された。COPは、タラノア・ダイアログを発足、「実施のフィジー・モーメンタム(Fiji Momentum for Implementation)」を設立した、これはプレ2020年の実施及び野心を優先するとの決定である。さらにCOPは、 PAWPの完成に関するガイダンスを提供し、CMA 1-3までに決定がなされることを条件に、適応基金がパリ協定でも役割を果たすと決定した。締約国は、さらに次の組織に対し、ガイダンスを追加策定する、またはガイダンスを提供する:地方自治体及び先住民プラットフォーム、WIM執行委員会、資金常任委員会、適応基金。
カトヴィチェ:カトヴィチェ気候変動会議は、2018年12月1-14日、ポーランドのカトヴィチェで開催され、 PAWPの審議推進を目的にバンコクで追加の交渉会合を行うなどした、多忙な一年を終わらせた。COP 24において、締約国は、カトヴィチェ気候パッケージを採択した。このパッケージは、PAWPのほぼすべての項目を最終決定したが、この中には、 NDCsの緩和セクションに関するパリ協定の共通の解釈及び実施を促進する決定書、適応国別報告書、透明性枠組、グローバル・ストックテイク、資金の透明性などが含まれた。協定第6条の下での協力的手法に関する作業は終了しなかった。締約国は、2019年チリでのCOP 25を、この作業の期限とすることで合意した。COP 24では、1.5℃の地球温暖化に関するIPCC特別報告書を「歓迎する(welcome)」か、それとも「留意する(note)」かでも合意できなかった。
会議報告
ボン気候変動会議は、6月17日月曜日の朝、開会、SBI及びSBSTAの作業を省みる開会ステートメントが発表された。
パレスチナはG/77-中国の立場で発言し、適応支援を促進することの重要性を強調し、実施手段での進捗を求めた、この中には、緑の気候基金(GCF)の再補填も含まれる。同代表は、特に次の項目での進捗を促した:第6条(市場及び非市場の協力的手法);技術移転;キャパシティ・ビルディング;共通時間枠。
スイスは環境十全性グループの立場で発言し、確固とした規則を設置し、二重計算を回避し、第6条における環境十全性を確保することが必要だと強調した。同代表は、共通時間枠はCOP 25で合意されるべきだとし、適応基金理事会のメンバーシップ及び予算に関する議論に焦点を当てた。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、信用ある市場は投資を容易にすると強調し、パリ協定のマンデートの線に沿い、第6条を推進するよう求め、COP 25では決定書の主要要素に焦点を当てるよう求めた。
欧州連合は、特に、2020年までに1千億米ドルという資金目標を全体で動員し、非締約国利害関係者及び若者世代の参加を促すことを支持した。
イランは、有志途上国グループの立場で発言し、全ての作業分野において共通するが差異のある責任(CBDR)の原則を反映させ、適応と緩和を同等に扱うよう求めた。同代表は、共通時間枠における柔軟性を求め、NDCのタイプに基づく、第6条の参加制限をなくすよう求めた。
ベリーズは小島嶼諸国連合(AOSIS)の立場で発言し、COP 24での合意を再交渉することなく、透明性枠組関係の作業を終了させるよう促した。同代表は、WIMのレビューにおいては、確固としたToRの作成を求めた。
エジプトはアフリカングループの立場で発言し、提供された支援に関してはリアリティチェックを入れる必要があると述べ、議題に適応が入っていないとして懸念を表明した。同代表は、WIMに対しては、COPが権限を持つべきだと強調した。
ブータンは、後発開発途上国(LDCs)の立場で発言し、WIMはCOPとCMAの両方の下にあるべきだと述べ、第6条の下での市場の確固とした規則を求めた。同代表は、LDCs関係の問題では進捗が限定的だとして、懸念を表明した。
サウジアラビアは、アラブグループの立場で発言し、社会経済的にマイナスの影響を及ぼさない対応措置を求めた。同代表は、全ての締約国は選択さえすれば協力的手法への参加ができるようにすべきだとし、第6条はNDCsのボトムアップな特性を反映すべきだと述べた。
コスタリカは、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言し、共通時間枠、次回定期レビューの範囲、WIMレビューにおける具体的な成果を求めた。
コンゴ民主共和国は、熱帯雨林諸国連合の立場で発言し、非森林化及び劣化による排出量の削減(REDD+)プロセスの実施及び推進の必要性に注目した、これにはREDD+の窓口会議も含まれた。
透明性メカニズムの実施及び適応に注目するよう求めたブラジルは、ブラジル、南アフリカ、インド、中国の立場で発言し、CBDRの原則を強調し、先進国は資金フローを「率先して行う(take the lead)」必要があると強調した。
ベネズエラは、米州ボリバル同盟(ALBA)の立場で発言し、「差別なし(without discrimination)」の資金フロー拡大を求めた。
アルゼンチンは、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルを代表して発言し、開発途上国では十分な資金源及び技術の欠如が気候行動を妨げているとのIPCCの結論に注目した。同代表は、GCFの資金補填は相当規模のものにすべきだと強調した。
中国は、第6条に関し、実質的な交渉に移る必要があると強調し、予算の状況に注目した。
ウクライナは、ロシアの国別報告書にクリミアの排出量及びその他のデータが含まれているとして異議を唱え、これを排除するよう求めた。ロシアは、自国全体の全領域に関する情報を提供するという義務を果たしたと述べた。米国及びカナダは、ロシアのクリミアの「不法な併合(illegal annexation)」を拒否した。
気候行動ネットワークは、損失と損害及び最も脆弱者社会のニーズへの適切な対応に向けた追加的資金の流れを求めた。
気候正義ナウ!は、化石燃料ロビーストによる妨害を防止するため、利益相反政策を採択するよう促した。
農業従事者グループは、F農業部門における大幅な変換には資金、イノベーション及び技術移転の規模拡大、さらには女性や将来の農業従事者の暮らしを中心にすえる必要があると強調した。
先住民の組織は、気候変動のため世界中で20億ヘクタールもの土地が劣化したとの結論に注目し、特に先住民の土地への影響を強調した。
地方政府及び地方当局は、早期プロジェクトを可能にし、キャパシティーを構築するメカニズム、さらには適応及びe-輸送に焦点を当てるよう求めた。
研究及び独立の非政府組織(NGOs)は、締約国に対し、UNFCCCにおける科学の役割を高める形でIPCCの報告書を検討するよう促した。
女性とジェンダーは、ジェンダーに対応し、人々を中心とし、世代間の正義を高める行動を求めた。
ビジネス及び産業NGOsは、強力かつ一貫性のある長期の政策、さらには第6条問題で顕著な進捗をし、必要な投資を解放する必要があると強調した。
若者NGOsは、大胆な行動、全ての締約国が5年時間枠とすること、利益相反政策を求めた。
本報告書は、SBI及びSBSTAの各議題書に合わせ構成されている。SBI及びSBSTAの両方で検討された議題は次のとおりで、それぞれ別なセクションで取りまとめられている:
- 農業に関するコロニビア共同作業;
- WIMレビューの委任条件;
- 条約、京都議定書、パリ協定で役割を果たす対応措置の影響に関するフォーラム;
- 条約の下での長期世界目標の次回定期レビューにおける範囲、及び目標達成に向けた進捗状況の次回定期レビューの範囲。
SB50の前、及びその期間中、多数の義務化イベントや関連のイベントが開催された、これには次のものが含まれた:対応措置実施の影響に関するカトヴィチェ専門家委員会(KCI)の第1回会合;地方自治体及び先住民プラットフォーム(LCIPP)の執行作業部会第1回会合;緩和及び適応に関する一連の技術専門家会議。
SBI 50
SBI議長のEmmanuel Dlamini (eSwatini)は会合を開会し、そのモットーはより大きな野心と実施の強化であると発表した。
締約国は、非附属書I締約国の国別報告書に記載される情報という小項目を保留した上、議題書及び作業構成書(FCCC/SBI/2019/1)を採択した。
多国間評価: 次の諸国が自国の2020年目標に向けた進捗状況を発表した:オーストラリア、クロアチア、デンマーク、フィンランド、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、リヒテンシュタイン、マルタ、モナコ、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スウェーデン、英国。
促進的意見交換:次の各国が隔年更新報告書を提出した:アルメニア、ブラジル、ナイジェリア、北マケドニア、韓国、南アフリカ、タイ、ウルグアイ、ベトナム。
議長以外の役員の選出:SBIは、報告官としてAyşin Turpanci (トルコ)を選出した。SBI議長のDlaminiは、 Turpanci報告官及びSBI副議長のNaser Moghaddasi (イラン)はパリ協定締約国の出身ではないと指摘した。SBIは、パリ協定締約国から、追加の副議長としてYeonachul Yoo (韓国)を、追加の報告官としてConstantinos Cartalis (ギリシャ)を選出した。
附属書I報告書:第7回国別報告書及び第3回隔年報告書の提出状況及びレビュー:この項目は開会プレナリーで議論された。SBIは、この情報(FCCC/SBI/2019/Inf.7)に留意した。
第2回及び第3回隔年報告書のとりまとめ及び統合:この項目はプレナリーで議論され、その後Sin Liang Cheah (シンガポール)及びGetraud Wollansky (オーストリア)が共同進行役を務める非公式協議に回された。議論の焦点は、国別GHGインベントリ・データの報告書、非附属書I報告書作成に関係する問題、具体的には専門家諮問グループ(CGE)のToR及び資金援助及び技術支援の条項であった。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.11)において、SBIは、この項目の審議継続で合意する。
1990-2016年の期間における国別GHGインベントリ・データ報告書:この項目はプレナリーで議論された後、多様な附属書I及び非附属書I報告の問題に関し招集された非公式協議で議論された。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.11)において、SBIは、 SBI 51でのこの項目の審議継続で合意する。
国際的評価及びレビューのモダリティ及び手順の再検討:SBIは、これらのモダリティ及び手順よりもパリ協定透明性枠組のモダリティ、手順、及びガイドライン(MPGs)が優先すると指摘した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.7)において、SBIは、SBI 54でのこの項目の審議継続で合意する。
「条約附属書I締約国の国別報告書作成に向けたガイドライン第II部:UNFCCC国別報告書作成ガイドライン」の改定:この項目はプレナリーで議論された。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.5)において、SBIは、COPが次を行うことを提案した:
- 附属書に記載される「条約附属書I締約国の国別報告書作成ガイドライン、第II部:UNFCCC国別報告書ガイドライン」の改定版を採択する;
- 附属書I締約国は、その第8回国別報告書からこのガイドラインを使用するものとする;
- 附属書I締約国からの第8回国別報告書及び第5回隔年報告書の提出期限を、2022年1月1日から変更し、「インベントリ年度2022年の年次温室効果ガスインベントリ提出文書をUNFCCCに提出次第」とする、ただし2022年12月31日より遅れないことと決定する。
非附属書I報告書:国別報告書記載の情報:この項目は保留された。
専門家諮問グループ(CGE)の委任条件:この項目は初めにプレナリーで議論された。CGE議長のGervais Ludovic Itsoua Madzous (コンゴ)は、現在のマンデート及びToRの下でのCGEの作業について口頭で報告した。この項目は、多様な附属書I報告書問題及び非附属書I報告書問題を議論するため招集された非公式協議で議論された、この非公式協議ではSin Liang Cheah及びGetraud Wollanskyが共同進行役を務めた。
非公式協議では、CGEの任期を8年延長したCOP 24の決定に則り、更新ToRの要素に焦点を当てて議論した。これらの要素には下記が含まれる:
- 現在のToRを起点として用いる;
- 学習事項に基づき、現在の条項を強化し、これらを強化された透明性枠組と関係づける;
- 4年後のToR更新を認める。
あるグループは、CGEのマンデート拡大のため、事務局の支援及び資金源が必要だと指摘した。一部のものは、CGEの作業が隔年更新報告書から隔年透明性報告(BTRs)にシフトする時期に関するタイムラインを含めることに警告し、あるものは、LDCs及び小島嶼開発途上国(SIDS)はBTRs導入に関する柔軟性があると指摘した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.11)において、SBIは、SBI 51でのこの項目の審議継続で合意する。
資金援助及び技術支援の提供:この項目は最初にプレナリーで審議された。地球環境ファシリティ(GEF)は、下記のものなど、GEFの活動に焦点を当てた:国別報告書及び隔年更新報告書の作成用の資金;国別適応計画(NAPs)に関するグローバル支援プログラム;透明性に関するキャパシティ・ビルディング・イニシアティブ、これはGEF信託基金から資金割当を受けている。この項目はm、多様な附属書I及び非附属書Iの報告書作成問題を審議する非公式協議で議論され、その共同進行役は、Sin Liang Cheah及びGetraud Wollanskyが務めた。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.11)において、SBIは、SBI 51でのこの問題の審議継続で合意する。
隔年更新報告書の技術分析に関するサマリー報告書:SBIはこの情報に留意した。
国際的協議及び分析のモダリティ及びガイドラインの改定:SBIは、パリ協定透明性枠組のMPGsがこれら国際的協議及び分析のモダリティ及びガイドラインより上位にあると指摘した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.8)において、SBIは、SBI 54でのこの問題の審議継続で合意する。
共通時間枠:この項目は初めプレナリーで議論され、その後、Grégoire Baribeau (カナダ)及びGeorge Wamukoya (ケニア)が共同進行役を務める非公式協議で議論された。
非公式協議において、少数のグループは、全ての締約国がNDCsに共通時間枠を適用し、これを2031年から、それ以後も実施するとしたカトヴィチェの決定書(決定書6/CMA.1 )を称賛した。
2つのグループは、非公式ノートに2つのオプションを追加した。一部の締約国は、新しいオプションの一つはあいまいに解釈されかねないと指摘し、締約国は独自の時間枠を選択する、またはNDC提出を選択することが可能であると解釈されるとした。このオプションを提案したグループは、これは時間枠の選択のみを認めるものだと明言した。
今後の進め方に関し、多数の先進国及び開発途上国は、文書提出及び提出文書の統合報告書を提案したが、2つのグループは反対した。少数のものは、2019年中の共通時間枠の決定を求め、将来のNDCsの計画及び策定におけるこの決定の重要性を指摘した。2つの開発途上国グループは、決定書の日付を特定することに反対した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.10)において、SBIは、CMAにおける審議及び採択を目指す決定書草案を提案するとの観点から、SBI 51でこの問題の審議を続けることで合意する。
京都議定書メカニズムに関係する問題:クリーン開発メカニズム(CDM)のモダリティ及び手順のレビュー:この項目は初めプレナリーで議論された。閉会プレナリーにおいて、SBIは、協議は結論に至らなかったと指摘、このことは手順規則書草案の10(c)項及び16項に則り、この問題がSBI 51に回されることを意味する。
CDM執行理事会の決定に対する上訴の手順、メカニズム、制度アレンジ:SBIはこの項目の審議をSBI 52まで延期することで合意した。
LDCs関係問題:この項目は、プレナリーで提起され、続いて非公式協議で議論された。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.14)において、SBIは特に次を行う:
- LDC専門家グループ(LEG)の2019-2020年間における2か年ローリング作業計画を歓迎する;
- NAPsの策定に関するGCFの用意準備支援プログラムから資金供与を受けた77件の提案のうち7件がLDCsからのものであったと指摘する;
- LDC基金(LDCF)から合計で1億60万米ドルを得る11件のプロジェクト及びプログラムの承認を指摘する;
- LDCFに対する、ベルギー政府(Walloon地域)、デンマーク、フィンランド、フランス、アイルランド、オランダ、スイスからの合計7130万米ドルの資金プレッジを歓迎する;
- LDCFに対する追加の資金貢献及びLEG作業計画の実施支援を求める;
- GEFは、LDCの立場を卒業する各国に対し、LDCF評議会で承認されたプロジェクトの完了まで、承認された資金供与を継続するとし、この旨をGEFに対するガイダンスの中で推奨すると決定する;
- UNFCCCプロセス参加信託基金に関するLDCに特定した資金供与規定、及びUNFCCCの基幹予算に対する信託基金への供託金の規模割合を、LDCの立場を卒業した国には、卒業後3年の間、延長するよう、COPに提案することで合意する;
- LEGに対し、 LDCの立場を卒業した国に対するキャパシティ・ビルディング支援の供与を卒業から3年間継続するよう要請する。
技術開発及び移転:技術移転に関するポズナニ戦略計画:この項目は、技術移転に関するポズナニ戦略計画の最新の評価に関する技術執行委員会(TEC)の報告(FCCC/SBI/2019/7)、及びCOP 24に対するGEF報告書(FCCC/CP/2018/6)を含め、プレナリーで提起された。締約国は、その後、Elfride-Anna More (オーストリア)及びStella Gama (マラウィ)が共同進行役を務める非公式協議で議論した。
議論の焦点は、ポズナニ戦略計画の最新の評価に関するTECの報告書であり、特にアフリカ気候技術センターのサブサハラ・アフリカ諸国への支援の効果性及び効率に焦点が当てられた。一部のものは、TEC報告書の中の一部の提案について懸念を表明した。数名のものは、このプログラムの地域気候技術移転・資金センターでの学習事項、及びGEFの第4次資金補填サイクルにおけるパイロットプロジェクトでの学習事項に関する表現を提案した。一部のものは、これらのプロジェクトに対するGEFの支援継続を提案するよりも、より一般的に技術開発及び移転に対するGEFの支援継続に関する表現を希望した。GEFに対し、地域センター及び気候技術センター・ネットワーク(CTCN)との協力強化を推進することなどで、意見が分かれた。一部のものは、GEFを地域センターと積極的にかかわる組織とはみなしていないが、他のものは、地域センター改善に指針を提供するというGEFの役割を指摘した。締約国は、TEC報告書におけるポズナニ戦略計画の最新の評価について、関連の提案を審議するようCOPからGEFに招請するという提案の審議を続けた。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.6)において、SBIは、技術メカニズムの効果性向上を目指し行われたTEC報告書に留意し、2019年12月のSBI 51においてその提案の審議継続で合意する。SBIは、事務局に対し、技術的ニーズの評価に関する最新の統合報告書を作成するよう要請する、これには世界的なTNAプロジェクトのフェーズIIに参加した締約国のTNAs及び技術行動計画を含めるほか、プロジェクトのフェーズI及びフェーズIIの最終評価を考慮に入れることとし、この報告書を2020年6月のSBI 52での審議にかけるよう要請する。
さらにSBIは:
- CTCN及びTECに対し、TEC報告書に記載される主要なメッセージ及び関連する提案への対応方法について、両組織の2019年合同年次報告書における情報記載を招請する;
- イノベーションなど、技術開発及び技術移転に対するGEFの資金供与継続を歓迎する、さらに地域気候技術移転・資金センター及びCTCNとの現在の協力関係継続を歓迎する;
- GEF、地域センター、CTCNに対し、開発途上締約国における緩和及び適応行動強化のための技術関係行動を、バランスのとれた形で規模拡大をはかるため、追加支援を提供する観点から、協力関係継続を奨励する;
- GEF窓口及び技術開発・移転の国内認定組織との協力に関するGEFのCOP 24への報告書で提供された情報に留意し、技術移転活動のためGEF及びCTCNが提供する支援の一貫性を高めて、協調を強化するよう奨励する;
- GEF及びCTCNに対し、適切な場合は協調を促進するよう奨励する;
- 経験及び学習事項に関する報告書記載の情報を歓迎し、関連する利害関係者に対し、それぞれの地域センターにおける課題など、ベストプラクティス及び学習事項を考慮するよう奨励する。
適応基金に関係する問題:理事会のメンバーシップ:この項目は、プレナリーで提起され、続いてAmjad Abdulla (モルディブ)及びFiona Gilbert (オーストラリア).が共同進行役を務める非公式協議で議論された
SBI 50で適格性問題を議論する必要があるかどうかでは、意見が大きく分かれ、一部のものは、この問題は京都議定書締約国会議(CMP)及びCMAからのマンデートであると強調した。あるグループは、京都議定書締約国の代表のみがメンバーという現況は問題だとし、これはパリ協定締約国も理事会で役割を果たすべきだからだと述べた。このグループは、理事会における地域グループの代表の仕方も変更するよう求めた。他のものは、適応基金はパリ協定でも役割を果たすとする現在の決定書では、理事会での代表の仕方の変更は要請していないと指摘した。これらのものは、パリ協定の締約国である京都議定書の非締約国は、理事会で役割を果たす資格を有し、広く用いられる制度に則り代表される可能性があると論じた。一部のものは、この問題は適応理事会タスクフォースからのインプットを受けた後、さらに第6条(市場及び非市場協力手法)の下での交渉が成果を挙げた後、議論できると示唆した。
理事会の構成について再検討する必要性があるかどうかでも締約国の意見は分かれた。ある開発途上締約国は、理事会の再構成に反対した。ある開発途上国グループは、全てのパリ協定締約国の適格性確認を希望した。別な開発途上国グループは、候補者を決定する地域グループの権利を指摘した。2つの締約国グループは、適応基金が専らパリ協定のみで役割を果たす時の理事会の構成を明らかにするよう求めた。少数の先進締約国は、「将来保証型の(future proof)」決定書を求めた。ある開発途上締約国は、適応基金が協定6.4条(メカニズム)だけでなく、6.2条(国際的に移動される緩和成果)においても収入のお一部を受け取るのであれば、理事会の構成を変更する意思があると表明した。
締約国は、共同進行役の非公式ノートを議論し、結論書草案においてこれに言及する、もしくは会合で表明された意見を捕捉する付録書を追加するかどうかで合意できなかった。提案されている決定書草案文書に関し、締約国は、京都議定書及びパリ協定の締約国が理事会で役割を果たす資格を有するとすると、SBIで決定するのか、それともこれを確認するのかどうかで、意見が一致しなかった。締約国は、適応基金がパリ協定のみで役割を果たし始めた際、CMAに対し、理事会のメンバーシップのモダリティを検討するよう招請するとのパラグラフで異なる意見を表明した。
閉会プレナリーにおいて、SBIは、協議は結論を出すに至らなかったと指摘、さらに手順規則書草案の規則10(c)項及び16項に則り、この問題はSBI 51の暫定議題書に送られると指摘した。
開発途上国のキャパシティ・ビルディング関係の問題:条約の下で、これにはキャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会(PCCB)の制度アレンジ強化及びレビューを含める:この項目はプレナリーで提起された(FCCC/SBI/2019/2及びAdd.1; FCCC/SBI/2019/3; FCCC/SBI/2019/Inf.3)。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.15)において、SBIは特に次を行う:
- 締約国及びオブザーバーに対し、2019年10月31日までに、PCCBのレビューに関する文書を提出するよう招請する;
- 事務局に対し、SBI 51での審議に向け提出文書の統合文書を作成するよう要請する;
- SBI 51において、結論書に付随するToRに基づき、PCCBのレビューに関する審議を継続することで合意する;
- 条約の下での開発途上国のキャパシティ・ビルディング枠組実施に関する第4回包括レビューを開始する;
- パリ協定の実施に関係しては現在及び新しく発生するキャパシティ・ビルディング分野が存在し、これらは条約の下での開発途上国のキャパシティ・ビルディング枠組実施の第4回包括レビューの内容において考慮されると指摘する;
- 締約国及びオブザーバーに対し、2019年9月30日までに、第4回レビューに関する意見を提出するよう招請する;
- キャパシティ・ビルディングの制度アレンジ強化に関する決定書草案を、COP 25での審議及び採択に向け提案するとの観点から、SBI 51でのこの項目の審議を継続することで合意する。
京都議定書の下で:この項目は、条約の下でのキャパシティ・ビルディング(FCCC/SBI/2019/2及びAdd.1; FCCC/SBI/2019/3)に合わせて審議された。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.13)において、SBIは特に次を行う:
- 決定書2/CP.7において設置された開発途上国のキャパシティ・ビルディング枠組の実施に関し事務局が作成した統合報告書、及び条約とその京都議定書の下で設置された組織におけるキャパシティ・ビルディングの作業を歓迎し;
- 条約の下での開発途上国のキャパシティ・ビルディング枠組の実施に関する第4回包括レビューの成果を、議定書の下での第4回レビューへのインプットとして検討することの重要性を強調する。
条約第6条(教育及び訓練)に関するドーハ作業計画のレビューに対するToR:この項目は、Helmut Hojesky (オーストリア)が進行役を務める非公式協議で簡単に提起され、その後議論された。
SBI結論書: 結論書(FCCC/SBI/2019/L.3)にいて、SBIは、特にSBI 50において開催された気候エンパワーメント行動に関する第7回ダイアログの成果を認識し、ドーハ作業計画のレビューに関するToRの決定書草案(FCCC/SBI/2019/L.3/Add.1)を、2019年12月のCOP 25での審議及び採択に向け提案する。この決定書草案に付されたのはToRであり、これにはレビュー及び期待される成果に関するマンデート、目的、情報源、モダリティの4つのセクションを含める。
COP決定書草案において、COPは特に次を行う:
- SBIに対し、SBI 52において、条約第6条に関するドーハ作業計画の実施のレビューを、附属書に記載するToRに基づいて開始し、条約第6条及びパリ協定第12条(ドーハ作業計画)の実施を強化する将来の作業を検討し、レビュー後は、2020年11月のCOP 26での審議及び採択を目指す決定書草案を作成するよう要請する;
- 事務局に対し、条約第6条及びパリ協定第12条の実施強化に向けた将来作業に関する提案及び意見の議論を進めるべく、気候エンパワーメントの行動に関する第8回会合期間中ダイアログを2020年に開催するよう要請する。
ジェンダー及び気候変動:この項目は初めにプレナリーで提起され、その後Penda Kante Thiam (セネガル)及びColin O’Hehir (アイルランド)が共同進行役を務める非公式協議に送られた。
協議において、参加者は、共同進行役提出の非公式ノートを採択した、このノートは、ジェンダー行動計画の優先分野、ジェンダーに関するリマ作業計画、そのほか締約国からの提案、さらに次のステップに関するものなど、締約国の暫定的な意見を詳述している。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.4)において、SBIは、特に、女性及び男性で異なる気候変動の影響差異化に関する事務局の統合報告書を歓迎し、気候政策、計画及び行動におけるジェンダーへの配慮統合、さらには各国の気候代表団におけるジェンダーバランスの強化の進捗状況を歓迎する。さらにSBIは、2019年8月30日を期限とする締約国の提出文書、(ジェンダーに関する)二つの活動の下で作成された報告書、及び非公式ノートに基づき、SBI 51においても、ジェンダーに関するリマ作業計画及びジェンダー行動計画のレビューの審議を続けることで合意する。
政府間会合のアレンジ:この項目はプレナリーで提起され、 Una May Gordon (ジャマイカ)を議長とするコンタクトグループに送られた。
議論において、参加者は、会合の頻度などの問題を審議した。数か国の先進国は、パリ協定の下では実施が最優先されるべきであり、最終的な意思決定機関の会合頻度は少なくできると述べた。数か国の開発途上国は、実施におけるCOPの価値を強調し、2030年までは活動の報告またはレビューするというマンデートを指摘した。
非締約国利害関係者の参加に関し、多数のものは、UNFCCCプロセスの政府間という特性を指摘した。一部の先進国は、気候野心を高めるためより多くの参加を求め、この議題項目の下でのマラケシュ行動パートナーシップの議論を求めた。ある開発途上国グループは、非締約国利害関係者の参加で条約の目標が弱体化することがないようにする枠組または政策の策定を求めた。ある開発途上国は、他の支持を得て、開発途上国からのオブザーバーの参加支援を提案した。
オブザーバーは、市民社会の参加に対するUNFCCCの「限定的な能力(limited capacity)」を批判し、大半のものは、有害な私的利益団体の参加を制限する利益相反政策を求めた。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2019/L.12)において、SBIは特に:
- 事務局に対し、COP 25、CMP 15、CMA 2の暫定議題項目の可能性ある要素についての各締約国の意見に留意するよう要請する;
- 実施支援に向けたオブザーバー組織の貢献の価値を再確認し、オブザーバー組織の効果的な参画を更に高める方法についての意見を歓迎した;
- オープン・ダイアログの開催においては、「若者を含める関連の利害関係者(relevant stakeholders, including youth)」と議論するようにとの、将来の議長職に対する招請を再度述べる。
事務管理上、資金上、及び制度上の問題:2020-2021年の2か年のプログラム予算:この項目は最初プレナリーで提起された。UNFCCC事務局次長のOvais Sarmadは、2020–2021年の2か年プログラム予算、事務局の機能及び運営のレビュー、他の資金問題について報告し、締約国の寄付金未払いという喫緊の問題を指摘した。締約国は、Kishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)及びTalieh Wögerbauer (オーストリア)を進行役とする非公式協議を開催したほか、Jozef Buys (欧州連合)を進行役とする国際取引ログの予算案に関するスピンオフグループの会合も開催した。
コンタクトグループにおいて、事務局は、予算案を提示、これは決定書及びマンデートの実現に焦点を当てているほか、予測可能で適切な資源を提供することにも注目していると指摘した。締約国は、それぞれの優先性を表明したほか、基幹予算と補正予算の資金バランスに関し、それぞれ異なる懸念を表明した。多数のものは、資源の配分におけるバランスを求めた。
SBI結論書: SBIは、2020-2021年の2か年プログラム予算(FCCC/SBI/2019/L.2, Add.1, 2, 3)を採択した、この文書では基幹予算に対する寄付金未払いの額が多額であることへの懸念が表明され、締約国に対し、寄付金額を遅滞なく全額払込むよう強く促している。
その他の資金及び予算上の問題: 開会プレナリーにおいて、国連監査り理事会は、2017年の収支報告及び2018年の収支報告草案について報告し、未払い寄付金の問題(FCCC/SBI/2019/INF.4, INF.5, INF.6)、長期雇用者の福利保障責任、及び遵守の問題を指摘した。締約国は、予算の非公式協議でこの問題を審議した。
年次報告: SBIは、2018年の第2回年次報告及びそのサマリー(FCCC/SBI/2019/8)に留意した。
本部契約の実施:SBIは、開会プレナリーにおいて、Nicole Wilke (ドイツ)が提示した施設建設に関する最新情報を聴いた。
SBI結論書:SBIは、本部契約実施に関する結論書(FCCC/SBI/2019/L.9)を採択した、この結論書では、提供された情報に留意し、ホスト国政府及び事務局に対し、新しい展開があれば全て報告するよう招請する。
会合報告書:SBIは、この報告書(FCCC/SBI/2019/L.1)を採択した。
SBSTA 50
SBSTA議長のPaul Watkinson (フランス)は、二酸化炭素濃度の上昇を示すキーリング曲線(Keeling Curve)の図を示しながら、この会合の開会を宣言し、さらなる行動の必要性を強調した。Watkinson議長は、非公式協議ではIPCCの1.5℃特別報告書について、本会合での実質的な議論成果に予断を加えることなく、さらにこの項目に関し規則16を行使することなく、別な議題項目として審議することで合意に達したと指摘した。この理解の下、締約国は、議題書及び作業構成書(FCCC/SBSTA/2019/1)を採択した。
ナイロビ作業計画:この項目は初めプレナリーで提起され、続いてMonika Antosik (ポーランド)及びMajid Shafipour (イラン)が共同進行役を務める非公式協議に送られた。
議論では、漁業、ジェンダー、農業に関する作業とのシナジーの可能性を検討した。一部の締約国は、各国の適応ニーズの評価はグローバル・ストックテイクに情報を提供するはずだと指摘した。
SBSTA結論書: SBSTAは結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.2)において、特に:
- ナイロビ作業計画の年次報告及び2019-2020年の作業計画を歓迎し;
- 多数の組織及びパートナー機関からの助言を歓迎する、この中には作業計画のマンデート実現に関する適応委員会からの助言も含まれる;
- 事務局に対し、知識を広め、知識の利用者からのフィードバックを募り、既存のモダリティを強化するとともに、NWPの知識製品に関係する普及及びコミュニケーションの新しい方法を探求するよう要請する;
- 事務局に対し、SBSTA 48において委任された次の作業計画の題目分野を優先するよう要請する:熱波、鉄砲水、砂嵐及び砂塵、サイクロン及び豪雨豪雪などの極端な天候現象;干ばつ、水不足、土壌の中性度の劣化;森林及び草原;海洋、沿岸部、及び生態系、これには大デルタ地帯、サンゴ礁、マングローブなどを含める;農業及び食料安全保障。
科学及びレビューに関係する問題:研究及び組織的観察:この項目は初めプレナリーで提起され、Richard Muyungi (タンザニア)及びChristiane Textor (ドイツ)が共同進行役を務める非公式協議へ送られた。
非公式協議において、締約国は、共同進行役の結論書草案について議論し、大まかには意見の一致をみたが、2018年の気候の状況に関する世界気象機関(WMO)のステートメント及びその温室効果ガス・ブレティンを「警戒感(alarm)」を持って指摘する、または「懸念(concern)」を抱くとするパラグラフを含めるかどうかでは意見が一致しなかった。締約国は、このパラグラフを削除することで合意したが、研究ダイアログの第10回会議に関するSBSTA議長のサマリー報告書を参照するとの脚注は保持した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.6)において、SBSTAは特に:
- 組織的観測に関し、数か所の国内及び国際的な観測イニシアティブを指摘し;締約国に対し、気候サービスの発展を強めるよう促し;締約国及び関連の組織に対し、組織的観測を維持し、強化し、高めるよう奨励する;
- 研究に関し、第11回研究ダイアログのテーマを歓迎し;科学者社会の代表から、さらに地域社会や最も気候変動に脆弱な人々から直接に聞くことの重要性を指摘し;締約国に対し、SBSTA 52 (2020年6月)での研究ダイアログ会議において可能な題目及び検討事項について、意見を提出するよう招請する。
1.5℃の地球温暖化に関するIPCC特別報告書:この項目は、初めプレナリーで提起され、その後Annela Anger-Kraavi (エストニア)及びLadislaus Chag’a (タンザニア)を共同進行役とする非公式協議に送られた。
この協議において、締約国の意見は、大きく分かれた。多数の締約国は、この報告書を歓迎し、顕著な制約条件の下で「確固とした有用な(robust and useful)」科学を提供したIPCCの努力を称賛し、一部のものは1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書がすでに個々の国内政策にいかに影響を与えているかを強調し、これを示す表現を提案した。ある締約国は、当初はこの特別報告書について更なる議論をすることに反対し、この報告書において指摘された知識と手法論上のギャップなどへの誇張された懸念を表明した。SBSTA議長のWatkinsonは、2回、介入し、議論を歓迎すると共に、UNFCCCと科学者社会の関係の重要性を強調した。
6月27日木曜日、SBSTAは、プレナリーにおいて結論書を採択したことから、SBSTA議長のWatkinsonは、科学はSBSTAの活動において中心的な役割を果たすだけでなく、気候変動への対応で必要とされる行動においても中心的な役割を果たすと強調した。結論書採択の後、AILACの立場で発言したコスタリカ、LDCsの立場で発言したツバル、AOSISの立場で発言したベリーズは、全ての締約国が「科学のメッセージを受け入れ(accept the messages of science)」なかったことへの失望感を表明し、この報告書の実質的な中身が十分に議論されなかったとして嘆き、LDCsは、小島嶼諸国における気候変動の「生存上のリスク(existential risk)」を指摘した。スイスは、環境十全性グループの立場で発言し、「科学は交渉できるものではない(science is not negotiable)と強調した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.8)において、SBSTAは特に:
- COPの招請に応え、可能な限り最善の科学を反映する特別報告書を提供したIPCC及び科学者社会に対し、有難さと感謝の意を表する;
- 1.5℃の地球温暖化に関する科学的知識を高める方法に関し、表明された見解を指摘し、この議題項目小項目での作業は完了したことで合意する。
条約の下での手法論問題::附属書IのGHGインベントリに関する技術的レビューのレビュー専門家訓練プログラム:この項目は初めプレナリーで提起され、その後Jae Hyuk Jung (韓国)及びHarry Vreuls (オランダ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.4)において、SBSTAは、訓練プログラムの実施を2020年から2022年まで延長し、SBSTA 54 (2021年5月から6月)において、訓練プログラムの継続的な利用及び実施期間を評価することで合意する。
附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビューに関するレビュー専門家訓練プログラム:この項目は初めプレナリーで提起され、その後Hyuk Jung及びHarry Vreulsを共同進行役とする非公式協議で議論された。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.5)において、SBSTAは、訓練プログラムの実施を2020年から2022年まで延長し;SBSTA 54 (2021年5月から6月)において、訓練プログラムの継続的利用及び実施期間を評価することで合意する。
GHGデータ・インターフェース:この項目は初めプレナリーで審議され、その後Takeshi Enoki (日本)及びClifford Mahlung (ジャマイカ)を共同進行役とする非公式協議へ送られた。
非公式協議において、締約国は、非附属書I締約国からの提出文書の件数増加を指摘するかどうか、さらに事務局に対し、GHGデータ・インターフェースに提出文書を掲載するよう要請するかどうかで意見が分かれた。
閉会プレナリーにおいて、SBSTAは、協議は結論を出すに至っておらず、このことは手順規則書草案の規則10(c)項及び16項に則り、この問題をSBSTA 51の暫定議題書に送ることを意味すると指摘した。
GHGsの二酸化炭素換算量を計算する共通の計算方式:この項目は初めプレナリーで提起され、その後Takeshi Enoki及びClifford Mahlungが共同進行役を務める非公式協議に送られた。
非公式協議で、数名のものは、共通の計算方式の更なる審議をIPCCの第6次評価報告書まで延期するよう提案した。他のものはこれに反対し、技術的な議論を求め、共通の計算方式は長期世界気温目標達成を目指す政策と関連性があると強調した。
閉会プレナリーにおいて、SBSTAは、協議は結論を出すに至らなかったと指摘し、このことは手順規則書草案の規則10(c)項及び16項に則り、この問題がSBSTA 51の暫定議題書に回されることを意味すると指摘した。
バンカー燃料:この項目は初めプレナリーで審議された。国際海事機関(IMO)は、船舶からのGHG排出量削減に関するIMOの戦略を進める行動について報告し、この中には船舶のエネルギー効率に関する改定も含まれると報告した。その後、この項目はLuiz de Andrade (ブラジル)及びBert van Loon (ベルギー)を共同進行役とする非公式協議に送られた。
非公式協議において、締約国は、この問題の審議継続で合意し、国際民間航空機関(ICAO)及びIMOの提供する情報に留意することでも合意した。ICAO及びIMOに対し報告の継続を招請するかどうか、SBSTA 51で議論を続けるかどうかで意見が分かれた。
閉会プレナリーで、SBSTAは、協議は結論を出すに至らなかったと指摘し、このことは手順規則書草案の規則10(c)項及び16項に則り、この問題がSBSTA 51の暫定議題書に回されることを意味すると指摘した。
京都議定書の下での手法論問題:議定書第3.3条及び3.4条」(附属書IのLULUCF報告)及びCDMにおける土地利用、土地利用の変化、森林(LULUCF):SBSTAは、この小項目をSBSTA 52まで先送りすることで合意した。
CDMに枯渇林の土地への再植林を含めることの影響:SBSTAは、この小項目をSBSTA 52に先送りすることで合意した。
パリ協定の下での手法論問題:この項目は初めプレナリーで提起され、続いてXiang Gao (中国)及びHelen Plume (ニュージーランド)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。小項目は.非公式協議で議論された。代表団長会議において、NDCsに向けた進捗状況を追跡する共通の表フォーマット(CTFs)については、第6条に関する交渉成果を待ち、議論を控えることで合意した。
コンタクトグループ会議において、締約国は、各議題項目での進捗状況をまとめた報告を聴き、結論書草案について議論した。締約国は、 MPGsを超える柔軟性を議論し、「後退なし(no backsliding)」の原則を尊重することなどについて、それぞれの意見を表明した。
長時間の議論の後、締約国は、結論書草案をSBSTAへ送ることで合意したが、事務局に対し締約国提出文書の統合ペーパーを作成するよう要請するかどうかの合意はなかった。
プレナリーにおいて、SBSTAは、既存の訓練プログラムの概要を示すテクニカルペーパーの作成という事務局への要請を削除した後、結論書を採択した。
GHGsの排出源ごとの人為的排出量及び吸収源ごとの除去量の国別インベントリ報告書に関する共通の報告用表形式(CRTs):非公式協議の共同進行役は、Xiang Gao及びHelen Plumeが務めた。
非公式協議で、事務局は、附属書I締約国が用いている共通の報告枠組用表形式を提示した、これは全ての者に共通する表を議論する場合の始点になる表として先進国が使用を希望しているもの、さらに事務局は非附属書I締約国が国別報告書に用いている表も提示した、これは数か国の開発途上国が開発途上国用の表を議論する場合の始点にすることを希望している表形式である。
これらの表において柔軟性をどう反映させるかに関し、締約国は、CRTsでのMPGsの柔軟性の条項に言及し、これにより国別報告書に柔軟性条項を適用した箇所がどこであるかれビューワーに情報を提供することを提案した。他のものは、異なる箇条書きフォーマットの可能性を提案した。一部のものは、サマリーの表の補足的な特性を強調した。2024年までの報告に対するCRTsの利用に向けた柔軟性に関し、ある締約国は、段階的な手法を提案、これは当該の移行期に提供される支援及びキャパシティ・ビルディングと結びつけることができると述べた。
キャパシティ・ビルディングに関し、一部のものは、現在の報告ソフトウェアへのアクセス及び使用訓練の必要性を強調した。数名のものは、現在のソフトウェの利用可能性、国別のニーズに対する適用可能性、IPCC報告作成ツールとのリンクの可能性を指摘した。他のものは、情報を集約することが可能であり、パリ協定第15条(実施及び遵守メカニズム)ともリンクできると強調した。
協定第4条の下でのNDCs実施及び達成においてなされた進捗状況を追跡する上で必要とされるCTFs:Xiang Gao及びHelen Plumeが非公式協議の共同進行役を務めた。
緩和政策及び措置、行動及び計画のCTFsに関し、締約国は、経済全体の排出削減数量目標の達成に向けた進捗状況に関する隔年報告書の既存のCTFを議論の開始点としてレビューした。数か国の先進国は、この表を透明性枠組のMPGsに合わせるには多少の変更で済むと述べた。開発途上国は、MPGsのこのセクション(決定書18/CMA.1の附属書に記載する第3d章)における柔軟性を指摘、これには一部の情報は厳密には要求されないこと、さらに予想され達成されたGHG排出削減量の推計値に関する情報は、「可能な限り(to the extent possible)」提供されるものとすることが含まれると指摘した。あるものは、締約国は列(columns)を削除できるようにすべきだと述べ、他のものは、柔軟性を適用した箇所を示す方法は一貫性のあるものにするよう求めた。あるグループは、適応行動及び経済多角化計画の結果として生じる緩和の共同便益を含めるよう求めた。
体系的なサマリーに関しては、既存のモデルは存在せず、この項目でさらなる議論をする必要があることでは、総体的な合意がなされた。最初の意見交換で、全ての締約国は、これは「するものとする(shall)」という要請事項であると再確認し、異なるNDCsのタイプに合わせる必要があることを想起した。数か国の先進国、及び2,3の開発途上国は、体系的なサマリーは表だけのものと考えたが、一部の開発途上国は、表、ストーリー、または両方の必要性を指摘した。一部の開発途上国は、体系的なサマリーのフォーマットを各国が決定できるようにすることを提案した。
提供され、動員された資金援助、技術開発及び移転の支援、並びにキャパシティ・ビルディング支援のCTFs、及び必要とされ、授与された支援: Delphine Eyraud (フランス)及びSeyni Nafo (マリ)を共同進行役とする非公式協議において、国別報告書、隔年更新報告書、及びCGEからのガイダンスといった他のプロセスに倣い、既存の隔年報告書用CTFsに則って構築することで総体的な合意がなされた。多数のものは、必要とし授与された支援に関する情報はレビューの対象ではなく、相当な規模の柔軟性が組み込まれていることで合意した。さらに多数のものは、次の二つの法的義務の違いを指摘した:先進国は提供した支援に関する情報を提供「するものとし(shall)」、他の諸国は、そうすることが「奨励される(encouraged)」;そして開発途上国は受け取った支援に関する情報を提供「すべきである(should)」る。
提供された支援に関し、複数以上の開発途上国グループは、提供される詳細度に関し、先進国は「後退しない(no backsliding)」よう求めた。開発途上国は、提供されたデータの分散化法方法を提案した、これには次の項目に関する詳細が含まれた:
- 報告された二国間、地域内、多国間の資金;
- 適応及び緩和の支援に関する情報;
- 報告に関する部門別コード;
- 無償グラントの等価及び額面に関する情報;
- 提供され、利用された資金の勘定に関する特定の手法論。
必要とし受け取られた支援に関し、数か国の開発途上国は、既存の表を使う場合の困難を伝えた。一部のものは、予想時間枠や予想される手段など、報告が難しい情報を特定した。
多数のものは、二重計算されないことを確保するため、相互参照(cross-reference)をする、または提供され受け取られた資金、提供され受け取られた技術開発及び移転またはキャパシティ・ビルディングのリンクがあるかどうかを何らかの形で示す必要があると指摘した。
隔年透明性報告書(BTR)、国別インベントリ文書、及び行動と支援のための透明性枠組のMPGsに則った技術専門家レビュー報告書の概要:Xiang Gao及びHelen Plumeが非公式協議の共同進行役を務めた。
BTRの概要に関し、多数のものは、議論の開始点としてMPGsに言及、一部のものは柔軟性条項の適用や損失と損害などの追加題目の必要性を指摘した。数か国の開発途上国は、BTRs及び国別報告書は2,3年以内に期限を迎えると指摘、その概要は努力の重複を避ける方法についてガイダンスを提供するはずだと指摘した。
国別インベントリ報告に関し、数名のものは、既存の概要及び技術専門家レビューが優れた議論の土台になると指摘した。ある開発途上国は、締約国は必要があれば国別インベントリ文書の概要を改定できると述べた。
技術専門家レビュー報告書の概要に関し、数名のものは、既存の専門家レビューをモデルとして参照した。実施と遵守メカニズムのリンクでは、意見が分かれた。
技術専門家レビューに参加する技術専門家の訓練プログラム: Jae Hyuk Jung及びHarry Vreulsが非公式協議の共同進行役を務めた。参加者は、このプログラム及び認証プロセスをアクセスしやすくする方法について議論した、この中には、オンライン試験を行うことも含まれた。一部の開発途上国は、CGEによる訓練プログラム及び資料の作成を希望したが、先進国及びある開発途上国グループは、事務局が筆頭レビュー者の支援を得てこの課題に取り組むことを希望した。ある開発途上国は、プログラムの策定とプログラムのための資料つくりとを区別した。プログラムをCOP 26までに完成させるべきかどうかでは意見が分かれた。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.3)において、SBSTAは特に:
- 非公式ノートの特定の要素とMPGsとの一貫性に関して、締約国間で意見が分かれたことを指摘する;
- SBSTA 51において、本議題項目の下で、決定書18/CMA.1 (透明性枠組強化のためのMPGsの採択)に定義する柔軟性条項の運用開始方法に絞った議論を行うことで合意する;
- GHGインベントリ、緩和政策措置、GHG排出予測、及び提供された資金援助、技術開発及び移転の支援、並びにキャパシティ・ビルディング支援のための既存のガイドライン及び表、さらには現行の計測、報告、検証システムは、優れた議論の始点を提供すると指摘する;
- 締約国に対し、マンデート達成に関係する問題について、それぞれの意見を提出するよう招請する、これに含まれるのは:国別GHGインベントリのIPCCガイドライン2006年版の利用経験、共通報告フォーマット、国別GHGインベントリのIPCCガイドライン2006年版への移行、及びこの移行作業における各国の経験、さらにはGHGインベントリの報告を容易にする国別のツール;NDCsの実施達成の進捗状況を追跡するCTFs;必要とされ、受理された支援、さらには動員された支援に関し報告するための表;それぞれの能力に鑑み、柔軟性を必要とする開発途上締約国に対し、柔軟性の運用を可能にするためのアプローチ;
- 事務局に対し、技術専門家レビューのための既存の訓練プログラムの概要を示すテクニカルぺーパーの作成を要請する、これには学習事項、及び関連の統計など訓練コースの目的においてこれらの学習事項をどう活用できるかといった項目を含める。
パリ協定第6条(協力的手法)に関係する問題:この議題項目の3つの小項目については、SBSTA議長のPaul Watkinson (フランス)を議長とするコンタクトグループのセッティングで、さらにはHugh Sealy (バルバドス)及びPeer Stiansen (ノルウェー)が共同進行役とする非公式協議において、議論された。
コンタクトグループにおいて、締約国は、第6条と、透明性枠組での作業(特に透明性枠組のMPGsの77d項)との間のリンケージについて長時間議論した。コンタクトグループでは、行き詰まりを打開できなかったことから、SBSTA議長のWatkinsonは、問題解決に向け、代表団長会議を開催した。締約国は、SBSTA議題項目10(b) (NDCs達成に向けた進捗状況を追跡するCTFs)の下では第6条問題に関する作業の「優先度を下げる(de-prioritize)」ことで合意し、さらに別な場所での議論がこの議題項目の下での第6条に関する交渉に予断を加えないことでも合意した。
非公式協議で、共同進行役のStiansenは、今後のステップの概要を説明した:交渉文書には複数以上のバージョンが存在しており、交渉文書草案の「安定化(stabilize)」を図る;スピンオフグループでの協議を含め、更なる議論が求められる問題を特定する;スピンオフグループからの結果の報告を受ける;残された問題を議論する。締約国は、当面「安定化文書(stabilization text)」なしで進めることで合意した。
締約国は、第6条の全ての部分に関する意見交換を行い、交渉文書草案に記載されるべき表現及びオプションを特定した。共同進行役は、6月25日火曜日、第1版を作成した。共同進行役は、文書草案には締約国の要請どおり、SBSTA 49において作成された決定書草案文書(SBSTA49.DT.i11av2)からの再挿入分、「アイデアの進化(evolution of ideas)」、さらにはこの会合で提起された橋渡し案を盛り込んでいると指摘した。共同進行役は、これが最初の草案であることを強調した。文書の第1版に対するコメントを集めた後、共同進行役は、6月26日水曜日に、第2版を作成した。
最後のコンタクトグループ会合において、SBSTA議長のWatkinsonは、ある締約国の要請したとおり、この議題の小項目ごとに一つ、合計3つの別々な結論書草案が作成されたと指摘した。多数の締約国は、12月の交渉に向けた進捗を図る方法として、文書の第2版を歓迎し、この文書での議論を進めていくことで合意した。2,3の締約国は、この文書は満場一致の文書ではないと強調した。ある締約国は、第6.8条(非市場メカニズム)への注目が十分でないとして嘆き、3つの小項目を横断してバランスをとるよう求めた。テクニカルペーパーの作成など、会合期間外での作業の必要性について、締約国の意見は分かれた。SBSTA議長のWatkinsonは、会合期間外での作業に関するプレースホールダーを結論書草案から外すよう提案する一方、締約国に対し、会合期間外ではそれぞれ独自の準備作業にとりかかるよう招請し、解決されていない技術的な詳細が多数あると強調した。SBSTA議長のWatkinsonは、結論書の脚注に、この文書草案は全締約国の意見の一致を示すものではないとする注意書きを入れるよう提案し、締約国もこれに同意した。
SBSTAは、閉会プレナリーにおいて、各小項目に関する結論書草案を採択した。
協力的手法(協定第6.2条)に関するガイダンス:第1回の意見交換において、締約国は、特に単一年と多数年での計算、及びNDCの範囲に関する、相応の調整を明確にするよう求めた。収入の一部の規定に関する適用可能性、及び世界の排出量全体の緩和に関する意見は分かれた。締約国は、議論が必要な未解決の問題を提起、これには次が含まれた:国際的に移動可能な緩和成果(ITMOs);6.2条と6.4条のリンケージ;ガバナンス及び監視;NDCのタイプ、これには範囲とタイムラインを含める;報告、レビュー、記録、追跡;収入の一部。
ITMOsの定義づけに関し、締約国は、次の項目など、その多様な特性を明らかにした:定量化;二酸化炭素換算への変換;排出回避の適格性;国家決定。あるグループは、NDCの達成や国際的な移転以外の目的で利用される緩和成果とITMOsとの区別を明らかにした。一部のものは、異なる単位を用いる締約国がITMOsを移動し交換できるようにする緩衝登録簿の能力に注目した。
排出回避を含めるかどうかで、意見は分かれた、反対意見のものは、環境十全性に対するリスクについて、懸念を表明した。他のものは、適切なセーフガードがあれば、排出回避を含める意思があると表明した。ある締約国は、異なる計算方式の変換と取り組み、環境十全性を確保する手段を明らかにする作業計画を求めた。あるグループは、緩和成果の生成ではなく、緩和成果の移動に焦点を当てるよう提案した。
ITMOsに関する第6.2条の規定の監視、報告、レビュー、記録、追跡、NDCの計算の順序だて、及び遵守など、ガバナンスに関し、多数の締約国は、カトヴィチェ文書をベースに作業する意志があると表明し、その「バランスの悪さ(precarious balance)」を指摘した。締約国は、ITMOsに関する最初の報告書の役割に関し、意見交換をし、これがBTRsとどう関係すかについても意見交換をした。あるグループは、BTRsに加え、年次情報を年次報告書に記載するよう提案した。
多数の締約国は、第6.2条の監視を支援した。締約国は、必要とされるITMOsの追跡方法の種類について異なる意見を保持した。一部のものは、リアルタイムの追跡を提案したが、他の者は反対し、一部は、ITMOsは「単位(unit)」ではなく「金額(amount)」だと指摘した。2つのグループは、NDCsに関し必要条件を課すようなシステムは避けるよう促した。しかし他の者は、一国のNDCはそれが第6条の条項とそう係るかを決定するはずだと指摘した。あるグループは、第15条(順守)とのリンクを提案したが、別なグループは、反対した。
セーフガードと限度に関し、締約国は、作業をどう構成するのが最善かを議論した。一部の締約国は、第6条のガイダンスで合意された後、セーフガードを議論する順序だて手法を提案した。他のものは、これに不同意で、セーフガードはパッケージ全体にとり切り離せないものだと指摘した。多数の締約国は、排出量の増加は避けるが、決定書の附属書にセーフガードをリストアップし、将来、これらの運用を可能にする作業計画をマンデートとするという原則での合意を含める中間の立場を提案した。締約国は、ユニラテラルな措置やクレジット価格の流動、特定のセーフガードに関し、意見が分かれた。
締約国は、収入の一部を第6.2条に適用可能かどうかでも意見が一致しなかった。一部のグループは、第6.2条と第6.4条の間で「土俵を整える(levelling the playing field)」よう促した。他の者は反対した。多数の締約国は、発行時の5%徴収を提案したが、他の者は、監督委員会にニーズに基づく提案策定の作業を課すことを支持した。収入の一部が使えるようになる前の暫定期間について、ある締約国グループは、CDM信託基金の利用を提案したが、他の者は、反対した。
グローバル排出量の全体的な緩和(OMGE)の実現に関し、締約国は、第6.2条と第6.4条の両方での適用可能性を含む運用可能性に関し、意見が分かれた。数か国の締約国は、保守的なベースライン及び排出係数を支持したが、他の者は反対した。あるグループは、オフセット手法を超越するよう提案したが、その手法は「ゼロサム(zero sum)」と称された。多数の締約国は、ユニットのキャンセル(取り消し)を希望した。
対応措置に関し、二つのグループは、第6.2条及び第6.4条の実施により生じる影響に関する情報を対応措置組織に送るプロセスを求めた。一部のものは、対応措置への対処に対応措置フォーラム及び委員会を利用することを希望した。
アカウンティングに関し、一部の締約国及びグループは、共通のアカウンティングシステムを主唱し、一部のものは中央に集約した登録簿を求め、メニュー方式に警鐘を鳴らした。締約国は、ITMOs及び第6.4条の活動、NDCの範囲に関し、異なる意見を保持した。一部のものは、第6条活動をNDCの範囲に制限することと、範囲外での行動を認めることとの、着地点の可能性を指摘し、NDCsに進展への明確なインセンティブをつけて、NDCsの範囲外からの移動を認めるよう提案した 単一年/多数年の亜カウンティ部に関し、一部の締約国は、リアルタイムの亜カウンティ具を希望すると表明したが、他のものは、BTRsとの調和を求めた。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/L.9)において、SBSTAは、決定書草案文書に記載するとおり、この小項目に関する作業を指摘し、SBSTA 51においても決定書草案文書の審議を継続すると合意する。
メカニズム (協定第6.4条)の規則、モダリティ、手順:最初の意見交換において、多数の締約国は、監督組織、京都メカニズムからの移行問題に焦点を当てる必要があると強調した。締約国は、活動、ベースラインと手法論、全体の緩和、メカニズムのガバナンスなど議論すべき問題に注目した。
第6.4条メカニズムのガバナンスに関し、締約国は、監督組織と締約国の間の責任のバランスに関し、多様な意見を表明し、あるグループは、ホスト締約国のさらなる参画を可能にすべきだと提案した。参加者は、理事会メンバーの有限の任期の必要性に関し、意見が分かれた。
第6.4条メカニズムに関し、締約国は、監督理事会のメンバーに関する意見を交換し、多数のものは、ジェンダーのバランスのとれた理事会を支持した。活動の設計に関し、一部のものは、全ての部門及びガスを適格とすべきだと提案した。多数のものは、第5条(森林)に関係する活動の除外に反対した。人権に関する締約国の意見は分かれ、これを盛り込むことに反対意見のものは、活動は当該国であまねく敷かれている法律に合致させるべきと提案した。あるグループは、橋渡し提案として、パリ協定序文への言及を提案した。活動の設計及びNDCの範囲に関し、2つの締約国グループは、もっぱら締約国のNDCsの範囲を拡大する締約国への支援に焦点を当てた。他のものは、確固としたアカウンティングが可能な限り、NDCの範囲外の活動を支持した。
ベースライン及び追加性に関し、歴史的でビジネスアズユージャルなベースラインの利用に関し、意見が分かれた。あるグループは、LDCs及びSIDSに対する追加性要項の免除を求めるよう提案した。数か国の締約国は、次を提案した:手法論の策定では規範的な手法を避ける;NDCsを反映するベースライン;達成された排出;達成された排出削減量が既存の各国の政策をいかに補うものであるか。あるグループは、不確実性を考慮に入れ、第6.4条活動による正味のリーケージについても考慮に入れるよう促した。
ベースラインの設定に関し、締約国は、利用可能な最善の技術、及びビジネスアズユージャル/歴史的アプローチを反映する実績ベースの手法を志向するかどうかで異なる意見を表明した。後者を志向するものは、開発途上国に対する制約のある手法を避けるよう促した。締約国は、開発途上国も緩和目標を有するという概念をどう反映するかでも意見が分かれた。一部の締約国は、クレジットの発生はNDCの水準以下でも発生させるよう提案したが、他のものは、そのようなアプローチは厳格すぎると称した。締約国は、ベースラインがOMGEの運用開始の根拠を提供するかどうかでも意見が一致しなかった。さらに締約国は、附属書B諸国(京都議定書の下で目標を有する先進国)の約束が無い場合でも、クレジットの発行は附属書B締約が可能化どうかでも意見が一致しなかった。
第6.2条及び第6.4条のリンク、及び第6.4c条及び第6.5条(二重計算)の運用開始に関し、多数の締約国は、第6.4条ユニットが国際的に移動された場合、相応の調整を適用することを支持した。ある締約国グループは、移動時ではなく発行時での相応の調整の適用を提案した。多数の締約国は、発生したクレジットの二重計算されるリスクを避けるため、NDCsの範囲外でのクレジット発生を支持した。締約国は、このグループのマンデートに第6.4条の下での計算方法のガイダンスを作成することがあったかどうかで意見が分かれた。2つの締約国グループは、活動が各国のNDCsの範囲内で行われるようにするため、各国に対するキャパシティ・ビルディング支援を求めた。
移行に関し、一部の締約国及びグループは、移行プロセスがうまくいくよう、新しいアレンジを特定する必要があると強調したが、一部の締約国は、パリ協定の環境十全性を保全することが重要だと強調した。他のものは、京都議定書ユニットが不適格となることで、民間部門の信頼が損なわれるのではと懸念した。一部のものは、京都議定書活動を、監督委員会の権限下のものとし、登録の迅速化を可能にするよう提案した。締約国は、未解決の問題のリストに関する意見交換を終えた。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/L.10)において、SBSTAは、決定書草案に記載されたとおり、この小項目に関する作業をしたと指摘し、SBSTA 51においても、決定書草案文書の審議を続けることで合意する。
非市場アプローチ(協定第6.8条)の作業計画;締約国は、最初の意見交換において、作業計画のガバナンスのアレンジに焦点を当てる必要があることで合意し、一部の締約国は、より恒久的なアレンジを求めた。締約国は、恒久的な組織が必要かどうかで意見が分かれた。ある締約国グループは、第6.8条は第6条に不可欠な特性を持つと指摘し、この問題の審議をさらに先送りすることに反対した。他のものは、オプション間の橋渡し的な余地を見つけようとし、作業計画はガバナンスアレンジの機能と特性の両方を議論することをマンデートとされる可能性があると指摘した。
多数の締約国は、カトヴィチェで作成された議長職文書の構成を支持した。他のものは、SBSTAバージョンを希望する一方、詳細が組み込まれるなら、議長職文書で作業する意思があると表明した。あるグループは、キャパシティ・ビルディング及び技術移転の機会に明確な焦点を当てることを提案した。一部の締約国は、適格な活動の特定を支持したが、他のmのは、範囲の絞り込み回避を促した。
SBSTAプレナリーは、6月27日木曜日結論書を採択した。
SBSTA結論書: 結論書(FCCC/SBSTA/L.11)において、SBSTAは、決定書草案文書に記載されるとおりの、この小項目に関する作業を指摘し、SBSTA 51におてもこの決定書草案の審議を継続することで合意する。
条約の下での市場及び非市場アプローチ:締約国は、第6条に関する作業が進行中であることから、この項目の議論は行わないことで合意した。
他の国際機関との協力:SBSTA議長のWatkinsonは、この項目を提起し、関連する協力活動に関する事務局の情報ペーパー(FCCC/SBSTA/2019/INF.2)を指摘、関心のある締約国に対し、同議長自身との協議を招請した。6月18日火曜日、組織同士の活動に関する特別イベントが開催された。
開会プレナリーにおいて、IPCCは、2019年は「多忙な一年(busy year)」であると指摘、その中には、各国政府によるGHG排出量及び除去量の推計に用いる手法論についてのガイドライン改定、二つの特別報告書などが含まれる。
WMOは、最近の発見事項について、2018年における記録的な温暖化、GHGsの増加傾向継続、海面上昇率の増加などが示されたと報告した。
世界気候研究プログラムは、緊急時計画を強化するため、極端な現象に対するモニタリング能力を強化し、予報精度を改善する必要性など、残された課題と気候研究とを協調させる上で達成された進捗状況に焦点を当てた。
地球気候観測システムは、その地域委員会及び運営委員会会合、さらにそのタスクチームからの報告を受けた、この中には、特に陸上生物圏の分布及び季節学で観測された変化を議論する気候変動性の影響の陸上観測に関するチームからの報告も含まれた。
政府間海洋学委員会(IOC)は、海洋専門の研究ダイアログのテーマを歓迎し、海洋及びカーボンの研究に関するIOCのプラットフォームに注目した。
気象衛星探究の欧州機関(EUMETSAT)は、宇宙機関がいかにとしてSBSTAの作業に情報を提供できるか説明、たとえば宇宙で観測可能な気候の基本的な変動要素に関するウェブ上のインベントリを通じる情報などをあげた。
生物多様性及び生態系サービスン関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)は、2019年のグローバル評価の結論を報告、バイオエネルギーの大規模な展開は生息地を転換することから生物多様性の脅威を示すものだと報告した。
国連海洋機構は、地球温暖化及び海面上昇の影響が一層明白になってきたと強調し、持続可能な開発の海洋科学の十年(2021-2030年)は知識を高め、政策に情報を提供し、解決策を明らかにするための重要なプラットフォームであると強調した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2019/L.7)において、SBSTAは特に:
- 統治組織の提供する既存のマンデートの範囲内で事務局が協力することの重要性、これに合わせ緩和、適応実施手段を含める気候行動に関する締約国の野心引上げ努力を、国連組織及び他の政府間組織が支援することの重要性を指摘、さらに持続可能な開発の2030年アジェンダの実施に向け貢献することの重要性を指摘する;
- UNFCCC及びパリ協定は、気候変動に対する地球規模の対応を交渉する主要な国際的、政府間のフォーラムであると認識する。
会合報告書:SBSTAはその報告書(FCCC/SBSTA/2019/L.1)を採択した。
SBI/SBSTA
農業に関するコロニビア共同作業: この項目はプレナリーで提起され、Milagros Sandoval (ペルー)及びHeikki Granholm (フィンランド)が共同進行役を務める非公式協議に送られた。
締約国は次に関する2つのワークショップに参加した:
- 適応、適応共同便益、気候耐性を評価する手法及びアプローチ;
- 草原及び耕作地、並びに廃棄物管理を含める統合システムの下での土壌カーボン、土壌の健全性、土壌の肥沃度の改善。
1番目のワークショップにおいて、締約国は、次の題目のものなどでのプレゼンテーションを受けた:食糧安全保障のための適応アプローチ;適応のためのモニタリング及び評価の実施方法、並びにこれらと国別適応枠組との相互作用;気候リスク評価を目的に少数の組織が行っている個別のアプローチ。2番目のワークショップにおいて、参加者は、次を議論した:適応基金;土壌有機炭素モニタリング・システム;土壌管理でのエコ農業アプローチ。
非公式協議において、一部の開発途上国は、農業に関するカトヴィチェ共同作業を続けるための恒久的な制度を創設する必要があると強調した。あるグループは、国連食糧農業機関(FAO)が行っている作業を認識し、委任することを提案したが、開発途上国は、FAOはオブザーバーであると指摘した。
SB結論書: 結論書(FCCC/SB/2019/L.2)において、両SBsは特に、事務局に対し、持続可能な土地と水の管理、並びに気候耐性を高め、持続可能な生産を増加するための実施方法及び技術の規模拡大を図る戦略及びモダリティを議論する会合期間外ワークショップを、ニュージーランドの主催で、SB 51と52の間に追加開催するよう要請する。
WIMの2019年レビューの委任条件:この項目(FCCC/TP/2019/1)は、6月17日月曜日に簡単に紹介され、続いてMarianne Karlsen (ノルウェー)及びPepetua Latasi (ツバル)が共同進行役を務める非公式協議で議論されたほか、非公式な締約国主導の議論でも話し合われた。
締約国は、WIMのレビューにおけるそれぞれの優先策に関する意見を交換した、この中には、次のものが含まれた:効果性及び効率;過去及び将来を見据えるレビュー範囲;長期ビジョンの重要性。一部の締約国は、進捗状況を評価する適切なベンチマークを推敲するよう促した。締約国は、レビューのマンデート、及びToRの要素も検討した、これには次が含まれた:目的、インプット、プロセス、モダリティ、タイムライン、期待される成果。
多数のものは、このレビューにおいてはWIMが下記を行ったかどうかに焦点を当てるべきだと提案した:
- その機能を発揮した、WIMのどの構造が機能発揮を可能にしたか;
- 行動及び支援に取り組んだ;
- パリ協定第8条(損失と損害)の実施を推進した;
- 関連する決定書及び提案に応えた;
- 条約内外で行われた関係作業と協力し、WIMの努力を強化した。
多数のものは、COP 25の前にガバナンス問題の議論は控えることで合意した。
長期ビジョンに関し、多数のものは、ToRにおいては過去の決定書、特に決定書3/CP.18 (損失と損害に対するアプローチ)及び2/CP.19 (WIM)に示された、長期ビジョンに関する締約国の共通の理解を明示すべきことで合意した。多数のものは、長期ビジョンはWIMを強化できる方法に関する提案の定義づけを助けるはずだということで合意したが、それをどのように行うかでは意見が分かれた。ある締約国は、過去を振り返るレビューを行った後、長期ビジョンを議論するよう提案した。
あるグループは、開発途上国での実施を実現し、実施手段にアクセスすることは最も脆弱なものによる気候変動の悪影響への対応可能性を確保する上で極めて重要であると強調した。ある締約国は、ギャップ及びニーズのリストアップに反対し、締約国に対し、優先策及び利用可能な資源に焦点を当て、優先分野でWIMが最も有用となる場合はどこかに焦点を当てるよう求めた。
締約国は、ToRの要素に関する文章交渉を行った、この要素には、目的、インプット、レビュー範囲が含まれた。ToRの目的に関し、あるグループは、更なる行動及びアレンジを特定することなど、WIMがその機能を満たせることを確保するよう強調した。インプットに関し、あるグループは、学習事項の考慮を求めた。あるグループは、締約国及び関連組織からのレビュー、インプット、提出文書を考慮すべきという過去の合意を指摘した。一部のグループは、1.5°C地球温暖化に関するIPCC特別報告書を参照するよう求めたが、別な締約国は反対した。
レビューの範囲に関し、一部のグループは、過去と将来の両方を見据えたアプローチの必要性を強調した。他のものは、将来面はレビューの概念にそぐわないと述べ、グローバル・ストックテイクへの言及の置き場所を誤ってはいけないと警告した。少数のグループは、条約への言及を含める広範な文章とするよう希望した。他のものは、実施手段を含め、行動と支援を強化するというWIMの機能が発揮されたかどうかに注目するよう求めた、あるグループは、「利用可能性(usability)」及び「行動可能性(actionability)」への言及に反対した。別なものは、最も脆弱な諸国のニーズへの言及を期待したが、3番目の発言者は、レビューではジェンダー、脆弱な地域社会、先住民を網羅する原則を検討すべきだと述べた。あるグループは、WIMの設立以後ではなく、直前のレビューからレビューを開始することを希望した。
パリ協定第8条(損失と損害)への言及は、多くの先進締約国が希望していたが、これに関する意見は分かれた。2つのグループは、協定の特定の条項を「単独で取り出す(singling out)」ことに警告した。別なものは、ToRのさらに多くのセクションを通して第8条に言及することを希望した。
他のグループはこれに同意せず、決定書2/CP.19 (WIM)に規定するとおり、WIMの機能への言及拡大を求めた。あるグループは、WIMを強化する方法に焦点を当てるべきだと強調した。ある締約国は、WIMのビジョンは時間の経過と共に変化してきたと述べ、パリ協定に至るまでの決定書を指摘した。同代表は、損失と損害を「最小限に抑える(minimizing)」ことは最も脆弱な諸国にとっての問題であるとして、このようなWIMの役割を反映させるよう求めた。
数か国の開発途上締約国は、たとえば「最小限に抑える(minimizing)」ことといったパリ協定の表現の使用、及びパリ協定第8条への言及に反対した。これら諸国は、COP 25において執り行われると予想されるガバナンス決定書に予断を与えることに警告した。あるグループは、.執行委員会(ExCom)の作業計画には協定第8条に特に言及してはいないと指摘し、「関連の決定書に鑑み(in the light of the relevant decisions)」行われるレビューという、ガバナンス問題に触れない表現を提案した。ある先進締約国は、締約国はガバナンス決定書の必要性に関する意見など、特定の意見を単独で取り上げる、または意見に予断を加えるべきでないと述べた。
非公式協議において、共同進行役は、SB 50での議論を盛り込み、ToRを記載する附属書を付けた結論書草案を提示した。多数のものは、この文書を歓迎し、ToRはバランスのとれた妥協案であり、レビューに向けた有用なガイドになると述べた。ある開発途上国グループは、この文書に反対し、自分たちのグループの意見が取り入れられていないと述べた。別な締約国は、ガバナンス問題に予断を加えないための脚注を提案した。共同進行役のKarlsenは、ガバナンス問題の決定書は別なところで行われることはこの部屋での共通の理解になっているが、それをToRにどう反映させるかでは締約国の意見が一致しなかったと述べた。同共同進行役は、ToRを付した結論書草案を、SBI及びSBSTA議長の協議に回すことを提案したが、ある開発途上国グループは、反対した。
閉会プレナリーにおいて、SBSTA及びSBIは、ToRを附した結論書を採択した。
SB結論書: 結論書(FCCC/SB/2019/L.3)で、SBSTA及びSBIは、SB 51において、ToRをベースにするレビューを行い、このレビューの成果を適切な組織(単数または複数)へ送ることで合意する。2つの脚注では、「これらの結論書またはToRに記載するいかなるものも、締約国の意見に予断を加えるものではなく、WIMのガバナンスに関係する問題についての成果に予断を加えるものではない(nothing in these conclusions or ToR prejudices parties’ views or prejudges outcomes on matters related to the governance of the WIM)」、及び「委任条件にパリ協定への言及を入れることは、WIMのガバナンスに関係する問題の審議の成果に予断を与えるものではない(inclusion of references to the Paris Agreement in the terms of reference does not prejudge the outcome of the consideration on the matters related to the governance of the WIM)」と明記する。さらに結論書ては、締約国及び他の利害関係者に対し、ToRに基づくWIMのレビューに関する意見を、2019年10月16日までに提出し、SB 51での審議に欠けるよう招請する。
付されたToRには、マンデート、目的、範囲、インプット及び情報源、モダリティ、期待されるアウトプットに関する6つのセクションが含まれる。
条約、京都議定書、パリ協定で役割を果たす対応措置の影響に関するフォーラム:このSBI及びSBSTA合同のフォーラムは7月17日月曜日に提起された。対応措置実施の影響に関するカトヴィチェ専門家委員会(KCI)共同議長のBirgit Aru (エストニア)及びAlbara Tawfiq (サウジアラビア)は、2019年6月13-14日に開催されたKCIの第1回会合について報告した。Aru共同議長は、KCIは下記項目の決定に成功したと述べた:
- 年次報告書の概要;
- 会議報告書の報告様式;
- 運営のための手順規則書;
- フォーラム及びそのKCIの作業計画策定に向けた意見。
Delano Verwey (オランダ)及びXolisa Ngwadla (南アフリカ)を共同議長及び進行役とするコンタクトグループ及び非公式協議で、議論が続けられた。コンタクトグループ会合を開くに当たり、SBI議長のDlaminiは、このグループの会合では、明確なアウトプット及びタイムラインを示す6か年のフォーラム作業計画に関する提案が成されることを期待すると述べた。KCI共同議長のAruは、作業計画に関してはKCIにおいて異なる意見があると報告した。同共同議長は、議論では次の項目に焦点が当てられたと述べた:利用可能な科学及びパリ協定と合致する気候行動を可能にする;ベスト・プラクティス及び経験を共有する;影響を評価し、政策に情報を与えるキャパシティ・ビルディング。
非公式協議で、締約国は、作業計画は下記を行うべきことを明らかにした:
- 箇条書きフォーマットを作成する;
- 6年の全期間における作業計画の4つの分野全てを網羅する;
- ビルトイン柔軟性を入れる;
- タイムライン、活動、及びアウトプットと責任を明記する;
- フォーラムとKCIの間のワークフローを特定する。
ある締約国は、他の支持を得て、次の3つのワーク・ストリームを提案した:脆弱な部門を特定する手法論;対応措置の影響の評価;これらの影響に対処する措置。多数のものは、信頼を確保するため、明確で連続するタイムラインをもつ活動を示す作業計画を支持した。
締約国は、共同進行役が提示した作業計画の表について検討した、その項目は次のとおり:活動;テーマ/クラスター;責任;モダリティ;アウトプット;さらには2019年から2025年の数件の欄がある。少数の締約国は、この表のスリム化を求め、一部のものは、リストされた115の活動が予算に与える影響に警鐘を鳴らした。他のものは、この提案は過去に用いられたモデルに基づいていないとして嘆いた。あるグループは、活動のタイムラインへの言及が役立つだろうと述べた。
締約国は、改定されたペーパーでも活動について検討した。次の項目については、意見が分かれた:ニーズ及び資金に関する活動への言及;懸念される特定農門及び政策問題に対処すべきかどうか;経済多角化のガイドライン策定、ただし規範性にならないよう注意する。
続いて、共同議長は、非公式文書を提出、これにはフォーラム及びKCIの6か年作業計画作成の原案が含まれ、作業計画の活動に関する締約国の提出文書及び干渉も捕捉していると説明した。多数のものは、この会合において、作業計画で意見の一致に達する実施可能性に疑問を呈した。ある開発途上国グループは、時間枠及びモダリティを議論する作業継続を主唱した。一人のものは、KCIの6か月の暫定作業計画に焦点を当てることを提案した。
締約国は、結論書草案をパラグラフごとに審議し、KCIがいつどの活動を行うか、さらにはKCIの手順規則草案について、長時間の議論を行った。今回の会合における進捗状況を捕捉する方法については、意見が分かれた。
閉会プレナリーにおいて、SBI及びSBSTAは結論書を採択した。
SB結論書: 結論書(FCCC/SB/2019/L.4)において、SBI及びSBSTAは特に:
- KCIが作成した手順規則草案に留意し、KCIに対し、フォーラムに対するKCIの年次報告書に手順規則草案を付し、SB 51でフォーラムの審議にかけ、それをCOP、CMP、CMAでの採択に向け送るよう招請する;
- フォーラムに対し、SB 51において、フォーラムとKCIの6か年作業計画を最終決定するよう要請し;
- 共同議長が自身の責任で作成した非公式文書で、相互の上下関係がない文書に留意する、これらの非公式文書は特に位置づけはされておらず、締約国の一致した意見を反映している;
- KCIは、その第2回会合において、締約国による対応措置実施のプラスとマイナスの影響の分析及び評価に関し、学習事項及びベスト・プラクティスに関する情報交換を行い、フォーラムに報告することで合意する。
条約の下での長期世界目標の次回定期レビューの範囲及び当該の目標達成に向けた全体的な進捗状況の次回定期レビューの範囲:この項目は、初めプレナリーで提起され、Leon Charles (グレナダ)及びMadoka Yoshino (日本)が共同進行役を務める非公式協議に送られた。
非公式協議では、長期世界目標の定期レビューの範囲に関し、締約国の意見が分かれた。少数の先進国は、レビュー終了のオプションを求め、一部のものは、パリ協定の下でのグローバル・ストックテイクと重複する可能性を指摘した。一部の開発途上国は、定期的レビューとグローバル・ストックテイクは補い合い、シナジーを有するものだと論じた。
閉会プレナリーにおいて、SBSTAとSBIは結論書を採択した。
SB結論書: 結論書(FCCC/SB/2019/L.1)において、SBSTA及びSBIは特に:
- 締約国はこの問題で意見交換を行ったと指摘する;
- グローバル・ストックテイク、2018年タラノア・ダイアログ、及び現在進行中の技術検証プロセスに関する決定書 19/CMA.1に留意する;
- SB 51におけるこの問題の審議継続で合意する。
会合の閉会
結論書及び会合報告書の採択に続き、参加者は閉会ステートメントを発表した。
パレスチナは、グループ77/中国の立場で発言し、条約こそこの体制の基礎であり、CBDR-RC及び各国の異なる国情に鑑みた責任の原則を保持すべきだと述べた。同代表は、全ての問題を横断して作業をバランス良く扱うよう求めた。
EUは、第6条の交渉は「挑戦的(challenging)」であると評し、WIMレビューのToR採択を歓迎し、レビューの実施を待望すると述べた。
オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場で発言し、WIMレビュー、キャパシティ・ビルディング、対応措置に関する成果を歓迎した。同代表は、バンカー燃料、適応基金理事会のメンバーシップなど、合意がなかった分野を指摘した。
イランは、有志途上国グループの立場で発言し、条約はパリ協定を築いた礎であると述べ、パリ協定は新しい体制ではなく、条約の実施を強化する一つの方法であると強調した。同代表は、適応と緩和の問題に均等に注意を払うよう求め、第6.8条は第6.2条及び第6.4条と同じく確固としたものにすべきだと述べた。
コンゴ民主共和国は、熱帯雨林諸国連合の立場で発言し、今回郷中に開催されたREDD+国家窓口会議への支持を表明し、REDD+をITMOsの例として挙げた。
エジプトは、アフリカングループの立場で発言し、パリ協定の下での適応及び資金に対する関心の欠如に深い懸念を表明し、条約が中心であると強調した。同代表は、WIMの更なる運用開始及び強化を求め、対応措置に関する進捗の無さに懸念を表明した。
メキシコは、環境十全性グループの立場で発言し、透明性に関する作業及び第6条に関する作業は、将来的な作業の進展に向けた出発点であったとして歓迎した。同代表は、「科学は交渉できるものではない(science is not negotiable)」と再度発言し、更なる建設的な議論への期待感を表明した。
ベリーズは、AOSISの立場で発言し、WIMレビューのToR、及び透明性の議論に満足していると表明したが、MPGsの再交渉はすべきでないと発言した。同代表は、資金及びIPCC特別報告書の成果をめぐり、懸念を表明した。市場に関し、同代表は、環境十全性を確保すべきだと強調した。
ブータンは、LDCsの立場で発言し、WIMに関する明確なガイダンスを求め、これには支援に関する制度アレンジも含まれると述べ、第6条の成果は更なる議論に向けた優れた土台であると評した。
進捗状況は期待ほどではないと述べたコスタリカは、AILACの立場で発言し、,共通時間枠、IPCC特別報告書、長期世界目標の定期的レビューは気候行動にとり重要であるとして、その成果への懸念を表明した。
サウジアラビアは、アラブグループの立場で発言し、条約の原則を尊重し、その再活性化を図る必要があると強調し、全ての問題をバランスよく扱うよう求めた上で、対応措置で合意がなかったことへの懸念を表明した。
アルゼンチンは、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイの立場で発言し、IPCC特別報告書の議論が実質的な結論に結びつかなかったことへの失望感を表明し、この報告書では技術へのアクセスに対する障壁を指摘していると述べた。同代表は、共通時間枠の成果を歓迎し、これは全てのオプションを記載し、予算についても記載しており、全てのニーズに対応することが極めて重要であると強調していると述べた。
ブラジルは、ブラジル、南アフリカ、インド、中国の立場で発言し、パリ協定の作業では条約の原則、特にCBDR-RCを尊重しなければならないと強調し、UNFCCCへの資金供与及びGEFの資金募集は「重要なシグナル(crucial signals)」であると評した。
インドネシアは、WIMにおいては地理的に特殊な状況に置かれた国を認識し、さらに開発途上国での報告様式作成での柔軟性を認めるよう求めた。
フィジーは、太平洋SIDSの立場で発言し、UNFCCCにおいて海洋に関する作業計画策定を求めた。
次期COP 25議長職のチリは、多国間主義へのコミットメントを強調し、次の3つの優先分野に焦点を当てた:海洋、循環式経済、森林。
気候行動ネットワークは、現在の寄港対応は「適切というには程遠い(far from adequate)」とし、参加者に対し、国連事務総長の気候サミットに野心的なプレッジを持ってくるか、それとも「(悪い)結末に直面する(face the consequences)」かだと、それぞれの指導者に伝えるよう述べた。
気候正義ナウ!は、利益相反政策の策定を促し、「このプロセスが受け入れられると考えるものは、受け入れられない(what this process considers acceptable, is not acceptable)」と強調した。
先住民の組織は、伝統知識が果たす役割を強調し、ITMOsが発生する国家に対し、ITMOsを報告し、先住民の権利を尊重するよう求めた。
地方政府及び市町村当局は、この会議の期間中に開催された、自分たちの変革を進める(Driving Change)イベントについて、気候の野心を引き上げられる革新的なモデルの例であるとして、焦点を当てた。
研究及び独立NGOsは、締約国に対し、科学を行動に取り入れ、科学がUNFCCCプロセスを指導するだけの余地を提供するよう求めた。
労働組合NGOsは、正当な転換の実施が重要であると強調し、対応措置での進捗の無さへの懸念を表明した。
女性及びジェンダーは、具体的で、機知に富み、ジェンダーに対応する解決策を求め、さらに損失と損害に対応するものも含め、資金及び支援の実現を図るよう求めた。
若者NGOsは、「科学は交渉できるものではない(science is not negotiable)」との声を挙げつつ、IPCC特別報告書に関する議論で政治的な論議に終始した締約国に対し、失望感を表明し、気候変動は生きるか死ぬかの問題であり、全ての若者に国境を越えて影響すると強調した。
ビジネス及び産業NGOsは、実施やイノベーション、さらには低炭素技術に対するものも含めた投資を推進するため、第6条に関する明確なガイダンスをCOP 25から打ち出すよう求めた。
会合は午後10時7分、閉会した。
会合の簡易分析
「年齢の最大の罪は、具体的な抽象を作り出すことだ(The greatest sin of the age is to make the concrete abstract)」 Nicholas Berdyaev(ロシアの哲学者)
毎週のように気候のためのストライキを行っている学生から、そして西ヨーロッパ全体を襲う熱波、気候変動が生物多様性に与える破滅的な影響について警鐘を鳴らす科学者社会まで、大胆な気候行動を求める声が、耳をつんざくばかりに聞こえる中、2019年ボン気候変動会議の参加者は、一連の決定的に技術的な課題に直面することとなった。
この会合の議題は、複雑であると同時に平板なようにも見えるが、COP 25で高度な決定を行うための舞台作りに欠かせない項目であふれていた。参加者は、パリ協定の第6条というカトヴィチェでのルールブックの交渉で保留されていた項目において、各国が排出量削減で協力する方法を交渉する土台となる文章を作成する必要があった。他の項目は、運用上の問題であった。たとえば、透明性の議論には、各国による排出量の報告及び計算の方法を明確化することが関わっていた。重要なこととして、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局の予算を承認する必要があった、これは各国のプレッジを果たす努力を支援すべく、この組織がどれだけの能力を有する必要があるかを定めるものである。これら全てン事項は、パリ協定の実施を継続する上で必要とされる基礎を敷くはずであり、この中には、サンチャゴでの次回の締約国会議(COP)において、実質的な決定を行うことが含まれる。
UNFCCC補助機関の今回の会合では、特定の痛みの強まりーあるいは弱まりかもーを感じた会議でもあった:SB会合に合わせ特別部会の会合が行われなかったのは2005年以来、初めてであった。技術的な問題により多くの時間と関心を割けたことから、締約国は、交渉から実際の実施に動き、パリ協定を導き出した抽象的な考えを具体的な気候行動へ換えていくという課題に直面した。この簡易分析は、根深い政治問題が依然として存在する中、締約国はこの転換への動きをどれだけ引き継いできたか、この実施への転換は気候野心にとり、どのような意味があるかを考察する。
具体的な抽象概念作り
SBsの作業は技術的な特性があるとはいえ、パリの前、そしてパリの後の世界からの根深い政治的な底流を反映している。気候科学をうけいれるかどうかから、排出量の緩和で市場がどのような役割を果たすかを見極めることまで、多様な問題が気候体制の根幹に切り込んでいる。
パリ会議よりはるか前から、国際社会は、気候変動が現実のもの、人為的なもの、そして既に人類に影響を与えているものだと受け止めてきた。パリで、締約国は、世界の平均気温を2℃の上昇で抑えると同時に「産業革命前の水準より1.5℃の上昇で制限するための努力を追求する(pursuing efforts to limit the temperature increase to 1.5oC above pre-industrial levels)」ことで合意し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に対し、そのような目標の影響、すなわち基本的には1.5℃と2℃の間の違いを明らかにし、そのような目標がどれだけ実施可能かを検討し、報告するよう招請した。この数値は次の考えの妥協の産物であった:締約国は、この目標を協定の第2条に入れたが、その代り、その実施可能性を科学的井にレビューするよう求め、一部のものは、その当時、科学は1.5℃の温暖化と2℃の温暖化との差を実証できるほど成熟していない、あるいは緩和コストが高すぎるだろうと確信していた。しかし、1.5℃の地球温暖化に関するIPCC特別報告書の最終版は、0.1℃の温暖化の違いが重要であることを驚くほどの確信度で示したほか、緩和の実施可能性においても重要であることを示しており、公的にお政治的にも相当な関心を呼び起こしたほか、1.5℃が、ある参加者の言では「真の気候野心を見極めるシンボル(the symbol that defines real climate ambition)」になった。
このような確信度にも拘わらず、2018年のカトヴィチェCOPは、プラスマイナスが混ざったメッセージを送り出した。締約国は、主にサウジアラビア、米国、ロシア、クウェートの努力のおかげで、数年前に作成を依頼していた同じ報告書を「歓迎する(welcome)」のか、「留意する(note)」のかで合意できなかった。交渉の行きづまりに直面した科学的技術的助言のための補助機関(SBSTA)は、手順規則書草案の規則16項を発動、この問題の議論を次回の会議まで延期した。
ボン会議での行きづまり打開の努力として、SBSTA議長のPaul Watkinsonは、締約国はこの会合で、結論書に予断を加えることなく報告書の影響に関する実質的な討議をし、規則16項は発動しないこととし、いかなることがあっても、SBSTAは、この会合の閉会時で、IPCC特別報告書に関する審議を終了するという「紳士協定(gentleperson’s agreement)」で交渉した。この実質的な議論というのは、締約国が経験やこの報告書を気候行動で用いる方法についての考えを交換しあうことを意味した。しかし、一連の長い緊迫した議論では、同じ締約国が同じ問題に抵抗し、多数の参加者は閉塞感を覚えた。報道によると、脆弱な諸国は、この報告書の結論の正当性に疑問を投げかけ、他の大半の諸国が解決したものと考えていたIPCCのプロセスにも疑問を投げかけて実質的な議論を妨害したとしてサウジアラビアを糾弾した。
結局、SBSTA結論書は、科学者社会に対し、「謝意と感謝を表明し(expressed its appreciation and gratitude)」、IPCC特別報告書は「利用可能な限り最善の価額を反映している(reflects the best available science)」と述べた。これは多くのもの、特に市民社会にとっては、不満の残るメッセージであった。しかし最終 プレナリーで明らかになったことは、SBSTAでの実施的な議論の欠如も、各国がIPCC特別報告書を用いて、国内政策に情報を入れることを妨げるものではないということである、「科学は交渉できるものではない(science is not negotiable)」と、一部のものは勧告し、他のものはメッセージ付きのTシャツを提供した。あるものが「戦闘(a battle)」と呼んだ論争の再燃は、今後の会合でも明らかになってくるとみられる:2019年中に、IPCCは二つの特別報告書を発表し、2020年に向け、IPCCの主要な報告書である第6次評価報告書のレビュー及び議論もまとめらっれる予定である。
長時間の議論された第2の項目は、パリ協定第6条を取り巻くものであった、これは排出削減に向けた国家決定貢献(NDCs)の実施において、締約国間の協力を可能にする規定である。このことは、市場アプローチを用いた、国家間での排出削減量の生成及び移動が可能となり、NDCsとして計算できるようになることを意味する。あるいは、各国が、非市場アプローチを用いて、そのNDCs実施で協力できるようになることを意味する。この項目は、パリ協定ルールブックで唯一、カトヴィチェでは解決できずに残された項目であった。ボンでの交渉における手元の課題は、あまり難しいものではなかった、すなわち:サンチャゴでの合意の基礎となりうる文書草案で合意する;解決の必要があるハイレベルでの意見の不一致事項を明らかにする。
交渉時間の大半を費やしたのは、一つの文書へのとりまとめを確保することであった。その成果は圧倒的に手順上のものであったが、実質的に明確な勝利となったのは、参加者がサンチャゴでの第6条の議論をする文書を手にしたことであった。しかし、意見の一致をみるための代償となったのは、各締約国がそれぞれの希望するオプションを再挿入しようと、文書が再び「膨らんだ(ballooned)」ことであった。結果として、締約国は、より長文で括弧書きの多い文書をてにすることになった、しかしこれは、多くの参加者が安堵したように、だれもが受け入れることができるものであった。
気候変動に対処する手段としての市場の効果性及び望ましさという従来からの議論を反映した多数の政治的な疑問に取り組む必要があり、それにより締約国は、カトヴィチェで既に採択されたガイダンスと同様、サンチャゴにおいて、第6条に関する運用ガイダンスの採択が可能になる。世界の排出量の全体的な緩和を達成することなど、このプロセスでいかにして環境十全性を確保していけるのか?国際的に移動された緩和成果 (ITMOs)をどう計算するのか、そしてこの収益の一部は共有されるのか? 気候野心に拍車をかけるため、市場を用いるのであれば、どのように用いるのか?このような議論が参加者を悩ませてきた、それは2011年のカンクン会議で初めて、国際協力の問題が市場アプローチと非市場アプローチに分けられ、「多様なアプローチの枠組(framework for various approaches)」という一連の議論にされて以来のことで、この項目では未だに合意に至っていない。
話が続けられる中、ある参加者は、過大の相互に作用しあう複雑さを考えると、締約国は机上に上がった全てのオプションの意味合いを十分に理解しているかどうか疑問視した。協力に関係するメカニズムは、透明性や遵守など、協定の他の箇所とも関係しており、ある一つの分野での交渉の妥結が、他の部分をも揺るがすことになる。この点が、会合期間外での技術的作業に一部の国が反対を主張している点であり、これがこのプロセスを最も妨げるものとなりかねない。締約国は、情報が欠けている問題に関し、決定を行うのを躊躇する可能性がある。
パリ協定の採択で派生した問題の中には、新たな問題を招くものもある。開発途上国は、適応基金は京都議定書に加えパリ協定でも役割をお果たす必要があると長く主張してきた。これら諸国の要求は、カトヴィチェにおいて実を結び、京都議定書及びパリ協定の意思決定機関は適応基金がパリ協定でも役割を果たす「ものとする(shall)」ことで合意した。しかしこの決定で解決されていなかった部分は、適応基金が京都議定書では役割を果たさなくなった時点で、理事会の構成を変更するかどうか、変更する場合はどう変更するか、京都議定書の締約国でないものも含まれるかどうかであった。先進国は、カナダのような非京都締約国を含める先進国が同基金に最も多額の資金貢献を行ったことを考慮し、理事会での席の追加なしでは自分たちの影響力が薄まるとして、より多くの代表を送り込もうと、長年主張してきた。論じてきた。開発途上国は、これに対し、席の配分変更のマンデートはないとし、先進国は席の合計数を増やすことなく、理事会の席にだれが座るか、先進国間で決定すべきだと応じた。ボンでは堂々巡りの議論に終始したことから、締約国は、再度、先送りを決定した。この行きづまりは一時的なものである:第6条からの収入の一部が利用可能になれば、適応基金理事会は、専らパリ協定で役割を果たすようになり、この問題は解決せざるを得なくなる。
パリ協定をめぐり期限が迫っているもう一つの項目は、強化された透明性枠組の下での第1回隔年透明性 報告書の期限である。第1回の報告書は2024年が期限とされ、開発途上国に対する柔軟性を除くと、全ての締約国を共通の報告システムの下に公式に取り入れることになる。システムの柔軟性に関するパリでの妥協は、カトヴィチェで巧みに運用可能にされ、共通の報告フォーマットという概念を生んだ。今回の対話は円滑に進んでいるように見えたが、多くの参加者は、一部の開発途上国が、異なる表、フォーマット、あるいは自国の報告書完成予想を提案し、「カトヴィチェの再交渉(renegotiating Katowice)」をしているとして懸念した。ある参加者は、提供され受理した資金に関する報告は「再度パリ協定第9.5条となる可能性がある(might become [パリ協定 Article] 9.5 again)」として嘆き、先進国のプレッジでは詳細さが必要で、開発途上国の資金援助の要求は明確でなければならないなど、一貫性のないルールブックの交渉を想起した。
具象を具体的にする
ボン会合は、京都議定書及びカンクン合意を離れて、パリ協定の下でプロセスの統合を図るという里程標を示すものであった。 議論の多くは、古いプロセスに則りプロセスを構築すると同時に、各国を新しい協定に取り込むことをめぐるものであった。一部の国は、現在、相反する見方のはざまに立たされている:パリ協定にあるとおり、自国による決定に重みを置き続けたいと希望するものもいれば、京都の精神に基づき、国際的なルールと監督メカニズムの重要性を強調するものもいる。
予算の議論は、この転換を示す重要な指標であった。予算における活動は、交渉の支援から実施の仲介へと事務局の姿勢が変化したことを反映する。参加者は、事務局がその運営を全額賄うため21%の増額を要求する中、どういった予算の増額であれば自分たちが支援できるかを議論した。結局、参加者は、わずか5%の増額という、原案には程遠い増額を受け入れることで合意した。ある参加者は、基幹予算に十分な資金がつぎ込まれないなら、事務局は予測不可能で寄付者の気分や優先度に左右される補助的な寄付金に頼らざるを得なくなるとして嘆いた。しかし補助的な寄付金への依存はより大きな問題の一部に過ぎない。事務局が報告したとおり、各国からの払い込みの遅れが続いており、一つの推計では、未払い額は1900万ユーロという数字にのぼっている。ある参加者は、各国政府の発言と比較して行動をおこすことにどれだけ真剣なのか、懐疑的であった。「予算が優先策をおらわすものなら、各国はそれほど真剣に実施を考えていないのは明らかだ」と、その参加者は述べた。
さらに事務局の活動は、非国家行動者の参加に対する疑問を呼んでいる。マラケシュ・パートナーシップは、政府と年、地域、ビジネス、投資家との協力関係構築を目指すものである。そのマンデートは、2020年末で終わりをと月ことから、このパートナーシップのチャンピオンは、非公式ながら、今年度に、そして将来、パートナーシップが行える活動の判別を始めている。この議論に関わった参加者の一人は、パートナーシップには「心温まるほどの」支援があり、さらに広く言えば、パートナーシップのビジョンに支援があると指摘した。非国家行動者は、NDCsの再活性化を推進でき、各国政府は、政府の行動に対する市民社会の支持を知ることで、前進する確信を得られる。とはいえ、これらの話の大半は議場の脇でのものであり、チリの次期議長職そして未だ確定されていない2020年のCOPの議長職が、このパートナーシップを賞し、気候行動への貢献が確実で証明されているパートナーシップをどれだけ強力につづけていくかは、まだわかっていない。
抽象的概念を具体化する
閉会の槌が打たれ、締約国が12月のCOP 25に目を向ける中、ある参加者は、予算やIPCCの1.5℃特別報告書、第6条といった課題の多い項目の一部について、ボンで一定の進捗が見られ、各国はサンチャゴでの政治的決定を行う準備ができたとして、安堵の溜息を洩らした。しかし、たのものは、議論の長さや多少感情的になる場合が多かったことから、「締約国間の信頼は壊れやすくなっている」ことを示しているとして、懸念した。
補助機関の作業がどれだけ技術的な特性をもっていても、信頼や政治は無視できないものである。多数のオブザーバーは、ボンでは緊急性が明らかに欠けていたとし、気候変動で行動をとる必要性について、一般人がこれまでになく声高に懸念の声を上げる中、科学を再度覆そうとするものがいることに戸惑いをかくせなかった。国連事務総長のAntónio Guterresは、9月の国連気候サミットで野心引上げを大きく推し進める準備をする中、パリ協定はその高い目標と目標達成に必要とされる勇気ある作業とのバランスをとることができるのか、疑問が残る。つまるところ、抽象的な野心というものは、それを法的、技術的、社会的に達成しようとするなら、具体的なものに根差す必要がある。
市民社会は、会議の週領事、参加者に明確な警告を送った:「政治的に可能なことは受け入れることができない(What is politically possible is not acceptable)とし、「これは生きるか死ぬかの問題なのだ(This is a matter of life or death)」と述べた。まさにその理由で、ボンで議論された細かな内容が重要なのである。交渉を行う基礎で合意しなければ、締約国は、地に足を付けた実施を支援できないであろう。とはいえ、この会合は、COPs間でどれだけの技術的モーメンタムが築き上げられようと、古い政治的な対立はた技術的なモーメンタムは、サンチャゴへの道にも残っている。パリ協定実施に向けた形造りが、このプロセスを未来に向けて推し進めるのか?それとも将来は過去に近いものに見えるのか?
今後の会議予定
気候行動サミットに向けた準備におけるストックテイキング会議:アラブ首長国連合(UAE)は、ストックテイキング会議を開催する、これは気候行動サミットの準備会合となるものである。この会議では、サミットにおいて提示可能な行動及びパートナーシップを特定するため、サミットに先立ち設置された9つの連合の報告をレビューする。連合は、次の9つのトラックの下で設置された:緩和戦略;社会的政治的推進要素;若者とモービリゼーション;エネルギー変換;気候耐性と適応;自然ベースの解決策;インフラ、都市、地方政府;気候資金と炭素価格化;産業。. 日付:2019年6月30日―7月1日場所:アラブ首長国連合、アブダビwww: https://www.un.org/en/climatechanage/abu-dhabi.shtml
モントリオール議定書締約国のオープンエンド作業部会第41回会合:この会合ではモントリオール議定書の第31回締約国会議(MOP31)に向けた準備のため同議定書の実施に関係する問題を審議する。 日付: 2019年7月1-5日 場所:タイ、バンコク www:http://conf.montrealprotocol.org/
第23回GCF理事会会合:緑の気候基金理事会の第23回会合は、開発途上国による気候の課題達成に向けた同基金の支援を指導するため、会合する。 日付:2019年7月6-8日 場所:韓国、Incheon www: https://www.greenclimatefund/who-we-are/upcoming-engagements
HLPF 2019:年:Convening under the auspices of the国連経済社会委員会の権限の下開催されるのは、今年のハイレベル政治フォーラム(HLPF)では、次のテーマを議論する:「人々に力を、参加性と平等を確保(Empowering People and Ensuring Inclusiveness and Equality)」。 この会議では、毎年レビューされている持続可能な開発目標(SDG)の17項(目標に向けたパートナーシップ)に加え、SDG 4項(質の高い教育)、SDG8項(良い仕事と経済成長)、SDG 10項(不平等の減少)、SDG 13項(気候行動)、SDG 16項(平和、正義、強力な制度)に関する詳細なレビューを行う。このフォーラムの議題の中には、4年ごとに発行されるグローバルな持続可能な開発報告書の検討も含まれる。 日付:2019年7月9-19日 場所:ニューヨーク、国連本部 www: https://sustainabledevelopment.un.org/hlpf/2019
IPCC-50:IPCC第50回総会は、気候変動と土地に関する特別報告書の政策立案者向けサマリーの承認が期待される。 日付::2019年8月2-6日 場所:スイス、ジュネーブ www: http://www.ipcc.ch/calendar
2019年中南米カリビアン気候ウィーク:中南米カリビアン気候ウィーク(LACCW)2019年は、地域の気候行動推進を目的に企画された。その目的は、LAC諸国のNDCs実施、並びにSDGs実現の行動を支援することである。このイベントは.国連気候サミット2019年への踏み石となることが期待される。LACCWは、毎年、アフリカ、中南米カリビアン、アジア太平洋で開催される地域気候ウィークの一環である。地域気候ウィークは、開発途上国によるSDGsの準備作業及び実施を支援するナイロビ枠組パートナーシップが開催する。 日付:2019年8月19-23日 場所:ブラジル、サルバドル www:https://www.regionalclimateweeks.org/
2019年アジア太平洋気候ウィーク:2019年アジア太平王気候ウィーク(APCW)は、地域の気候行動推進を目的に企画された。その目的は、アジア太平洋諸国のNDCs実施、並びにSDGs実現の行動を支援することである。APCWは、国連気候サミット2019年への踏み石となることが期待される。地域気候ウィークは、開発途上国によるSDGsの準備作業及び実施を支援するナイロビ枠組パートナーシップが開催する。日付:2019年9月2-6日 場所:タイ、バンコク www: https://www.regionalclimateweeks.org/
技術第19回技術執行委員会会合(TEC 19):2010年に創設された技術執行委員会(TEC)は、技術メカニズムの政策を担当する委員会である。この会合では、低排出で気候耐性のある技術の開発及び移転を加速化できる政策の識別に焦点を当てる。. 日付:2019年9月16-19日 場所:ドイツ、ボン www:https://unfccc.int/ttclear/tec/meetings.html
IPCC-51:IPCC第51回総会は、変動する気候における海洋及び雪氷圏特別報告書の政策立案者向けサマリーの承認が期待される。 日付:2019年9月20-25日 場所:モナコ www: http://www.ipcc.ch/ calendar
国連2019年気候サミット:国連事務総長のAntónio Guterresは、国連気候サミットを招集する、そのテーマは、「勝利可能な競争、勝利しなければならない競争(A Race We Can Win. A Race We Must Win)」であり、持続可能な開発目標の多くを実施可能にする気候行動の推進をめざし、政治的、経済的なエネルギーを最高レベルにまで持っていくことを目指す。国家、地域、都市、企業、投資家、市民に対し、次の9つの分野における行動の更なる推進という課題を課すのが目的である:緩和;社会及び政治の推進要素;若者及び一般人の動員;エネルギー転換;気候資金及びカーボンの価値化;産業の転換;自然ベースの解決策;インフラ、都市、地方の行動;回復力と適応。 日付:2019年9月23日 場所:ニューヨークの国連本部 www: http://www.un.org/climatechange/
SDGサミット:持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)は、国連総会の権限下にあり、2015年9月の2040年アジェンダ採択以降、これまでに達成された進捗状況を評価し、2030年アジェンダ及びSDGsの実施推進を支援する今後の道筋に関し、指導力を発揮し、指針を与える。 日付:2019年9月24日から25日 場所:ニューヨーク、国連本部 www:https://ustainabledevelopment.un.org/sdgsummit
第34回適応基金理事会会合:適応基金(AF)は京都議定書の下で設立され、開発途上国の脆弱な地域社会による気候変動への適応を支援するプロジェクト及びプログラムに資金を提供する。基金は、16名のメンバー及び16名のメンバー代行で構成され、一年を通し会議を開催するAFBという組織により、監督及び管理される。世界銀行は暫定ベースでAF評議員を務める。日付:2019年10月7日から11日 場所:ドイツ、ボン www: https://www.adaptation-fund.org
第31回モントリオール議定書締約国会議(MOP31):MOP31は、HFCの管理、実施、その他の問題などを審議する。 日付:2019年11月4日から8日 場所:イタリア、ローマ www:http://conf.montrealprotocol.org/
サンチャゴ気候変動会議(UNFCCC COP 25):サンチャゴ気候変動会議は、UNFCCCの第25回締約国会議(COP 25)、第15回京都議定書締約国会議(CMP 15)、第2回パリ協定締約国会議(CMA 2)の開催が予定され、合わせてUNFCCC補助機関会議も開催される。会合前プロセスは、2019年11月26日から12月1日を予定。 日付:2019年12月2日から13日 場所:チリ、サンチャゴ www:https://unfccc.int/santiago
追加会合の予定は右記を参照:http://sdg.iisd.org/