Daily report for 26 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は水曜日も続けられ、少数の問題に関し結論書草案の交渉が行われた。適応に関する題目別専門家会議は終了した。
SBI
気候変動の影響に伴う損失と損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)の2019年レビューの委任条件(ToR):共同進行役のMarianne Karlsen (ノルウェー)は、附属書にToRを記載する結論書草案を提示し、多数のものはこれを歓迎し、このToRはバランス良い妥協案であり、レビューの指針として有用であるとの見方を示した。
ある締約国は、IPCCへの言及が成されていない理由を尋ねた。ある開発途上国グループは、この文書に反対し、同グループの意見が含まれていないと述べた。ある締約国は、ガバナンス問題に予断を加えることを回避する脚注を提案した。共同進行役のKarlsenは、ガバナンス問題の決定は別途行うことがこの会議室での共通の理解であったが、この点をToRにどう記載するかでは締約国の意見が一致し無かったと述べた。同共同進行役は、ToRを付した結論書草案を審議に向けSB議長に送致することを提案したが、ある開発途上国グループは反対した。SBI議長は、締約国と協議する予定。
SBSTA
科学研究及び組織観測に関係する問題:長時間の議論の後、参加者は、2018年の地球規模気候状況に関する世界気象機関(WMO)ステートメント及びWMO温室効果ガス速報に言及するパラグラフを削除するという妥協案で合意した。これに代わり、締約国は、第10回研究ダイアログ会議に関するSBSTA議長のサマリー報告書にある特定のパラグラフに言及する脚注を保持することで合意した、このパラグラフでは、締約国が不確実性を除去できる方法、世界カーボンプロジェクト(Global Carbon Project)の作業を支援する方法を詳しく記述し、ダイアログで提示された研究を取りまとめている。共同進行役のRichard Muyungi (タンザニア)及びChristiane Textor (ドイツ)は、SBSTA用にクリーンな文書を作成する。
気候変動に関する政府間パネルの1.5°Cの地球温暖化に関する特別報告書:参加者は、共同進行役のAnnela Anger-Kraavi (エストニア)及びLadislaus Chag’a (タンザニア)が提出した結論書草案をレビューした。ある締約国は、多数のもの支持を得て、「手法論の課題(methodological challenges)」及び特別報告書関係の科学知識に関するパラグラフをスリム化するという橋渡し案を提示した。2つの締約国は、これに強く反対し、パラグラフごとに審議を進めるべきという議事進行方法を論じた。SBSTA議長のPaul Watkinson (フランス)はここで意見をはさみ、議論を歓迎し、科学の重要性、科学者社会とUNFCCCとの関係の重要性を強調した。同議長は、プレナリーでの結論書提出を確保するため、共同進行役と協議する予定。
パリ協定における手法論問題:コンタクトグループ会合で、締約国は、結論書草案で合意したが、事務局に対し締約国の意見をまとめる統合報告書の作成を要請することには、ある開発途上国グループ及びある開発途上国が反対し、結論書草案からは除かれた。共同進行役は保留されている問題に関しSBSTA議長と協議する予定。
支援のための共通箇条書きフォーマット(CTFs):共同進行役のSeyni Mafo (マリ)は、最後の非公式協議における共同進行役の非公式ノートについて、締約国の意見表明を招請した。一部の先進国は、柔軟性、時間の経過と共の進化、基礎となる手法論、新規で追加的な支援に対する言及には一貫性がなく、MPGsを正確に反映していないとして、削除すべきだと述べた。一部の開発途上国グループは、これに反対し、非公式ノートは締約国の意見を集めたものだと述べた。
柔軟性に関し、先進国は、供与され、受け取られた支援に関する章では柔軟性に明確な言及がされておらず、代わりに、特定の形で運用可能にされていると指摘した。ある開発途上国グループは、柔軟性はMPGsの章で特別で法的な定義づけがされていると述べた。別な開発途上国グループは、これらの章では柔軟性は異なる形で運用可能にされており、開発途上国は柔軟性規定の利用に関し報告する必要がないと指摘、別な開発途上国グループと共に、柔軟性は協定第13条(強化された透明性枠組)の重要な規定であると強調した。
バンカー燃料:Luiz de Andrade (ブラジル)及びBert van Loon (ベルギー)が共同進行役を務めた。一部の締約国は、会合が行われている理由に関し手順上の混乱があると表明し、結論書では合意がなされたと理解していたと述べた。一部の締約国は、SBSTAはこの問題に関する審議を続けると指摘し、国際民間航空機関(ICAO)及び国際海事機関(IMO)が提供した情報に留意し、締約国の意見に留意するパラグラフのみを採択するよう希望した。ある締約国は、国際民間航空機関及び国際通貨基金(?)の事務局に対するUNFCCCへの報告招請について橋渡し案を提案した。ある締約国は、問題の審議を将来のSBSTAまで延期するという規則16の適用を強く推奨した。締約国は、最終的な結論書で合意できなかった。共同進行役は、今後の進め方に関しSBSTA議長と協議する。
第6条(市場及び非市場アプローチ):Hugh Sealy (バルバドス)及びPeer Stiansen (ノルウェー)が共同進行役を務めた。締約国は、共同進行役の文書草案の審議を再開、この会合では、第6.2条(ITMOs)に焦点を当てた。ある締約国は、提案されたが文書には記載されていないアイデア、提案されていないが文書に記載されている表現を明らかにするよう共同進行役に求めた。共同進行役のSealyは、この文書はアイデアの進化を捉えようとするものだと指摘し、新しいバージョンに修正を反映させようとの精神で意見を述べるよう招請した。
第6.2条に関し、締約国は、次の項目などの問題を提起した:多数年の累積アプローチ;世界の排出量の増加ゼロという原則;CMAへの報告頻度;国内登録簿と国際取引ログとの接続;現在の部門及びガスをNDCsの範囲内に収めるにする追加ガイダンス作成の作業計画。ある締約国グループは、ある締約国の支持を得て、パラグラフ77d (透明性モダリティ、手順、ガイドラインにおける相応の調整)は議論に予断を加えるとして懸念を表明し、このパラグラフに代わる決定書を求めた。
午後、SBSTA議長のWatkinson (フランス)は、コンタクトグループ会合を開会し、このグループの目的は作業の成果を議論し、結論書草案で合意することだと説明した。共同進行役のPeer Stiansen (ノルウェー)は非公式協議の成果について報告し、 この文書の新しいバージョンが作成されたと指摘し、変更点は黄色でハイライトされていると述べた。その後、締約国は、結論書草案に関するSBSTA議長の提案を審議した。多数の締約国及びグループは、文書草案の新しいバージョンをレビューする適当な時間なしで結論書草案を議論することに異議を唱えた。他のものは、この結論書を歓迎し、自分たちの意見はこの文書の新しいバージョンの立場に予断を加えていないと指摘した。多数の締約国及びグループは、会合期間外の作業を支持したが、他のものは反対した。ある締約国は、単独の結論書草案を提案するのではなく、この問題3つの小項目ごとの結論書を促した。議長のWatkinsonは、この文書の新しいバージョンを審議するよう締約国に求めた。締約国は、6月27日、コンタクトグループの形で会合する。
SBSTA/SBI
農業に関するコロニビア共同作業:締約国は、共同進行役のHeikki Granholm (フィンランド)及びMilagros Sandoval (ペルー)が提出した文書草案を承認、一部の締約国は、一部の問題の明確化を求めた。採択後の審議で、締約国は、進展を歓迎した、一部の締約国グループ及び締約国は、実質的な進展もないまま農業に関し「終わりのない議論をする(talking endlessly)」ことを回避するには、将来の行動の実施手段を確保することの重要性に留意した。さらに一部の締約国は、将来のUNFCCC補助機関会合において農業を常設の議題とする必要があると強調した。
対応措置:コンタクトグループ会合で、共同議長は、非公式文書を提出し、次のように述べた、この文書には:フォーラム及び対応措置実施の影響に関するカトヴィチェ委員会(KCI)の6年作業計画を作成するという共同議長の原案を含める;作業計画の活動に関する締約国の提出文書及び意見発表を捕捉する。共同議長のRuben Verwey (オランダ)は、締約国に対し、この文書を附属書として付す手順上の結論書を検討することを提案した。ある開発途上国グループは、時間枠及びモダリティに関する議論に参加し、作業を続けるよう主唱した。多数のものは、この会合において、意見の一致に達しない作業計画の実施可能性を問うた。あるものは、KCIの暫定的な6年作業計画に焦点を当てることを提案した。共同議長のVerweyは、暫定的な作業計画には本会合で締約国が合意した活動も含まれる可能性があると指摘した。
締約国は、結論書草案のパラグラフごとの審議を行い、KCIはいつどのような活動を行うのか、そしてKCIの手順規則案について、長時間の議論に参加した。
ある締約国は、KCIの第2回会合は作業計画採択後に開催すると規定するよう求めた。数か国の先進国は、会合期間中のKCI会合を希望すると表明した。2つの開発途上締約国グループは、学習事項及びベストプラクティスの情報交換に関係して、締約国がこの会合で合意した活動を、KCIに与えることが重要であると強調した。
この会合における進捗をどう捕捉するか、その方法では意見が分かれた。2つの開発途上国グループは、フォーラムとそのKCIに関し、締約国が議論した活動をリストし、6年作業計画を策定するとした附属書を、共同議長の提案に付してほしいと希望した。数か国の先進国は、共同議長が6月26日に提出し、締約国がこの会合で表明した意見に留意し、さらに今後の進め方に関する共同議長の提案を示した最新のバージョンを希望した。
KCIの手順規則書(RoP)草案に関し、締約国は、KCIが暫定的にRoPを適用して作業を進められるかどうか質問し、これを確認した。さらに締約国は、一部の問題は次回の会合における更なる議論を必要とする可能性があると理解した上で、次のとおり合意した:補助機関はKCIが作成したRoP草案に留意する、フォーラムはRoP草案をSB 51で審議し、その採択に向けCOP/CMP/CMPに送るとの観点から、KCIに対し、フォーラムに関するKCIの年次報告書にRoP草案を付すよう要請した。
技術専門家会議 – 適応
適応に関する2019年技術専門家会議は、適応資金に関する会合の開催で終了した、具体的には次の問題を議論した:国内、国内小地域、地域社会レベルにおけるマルチな大きさの適応計画策定及び資金調達;気候耐性及び適応における民間部門の参画;透明性及び信用。あるパネリストは、気候適応行動に「突き進む(go for it)」必要があると強調し、聴衆に対し、このプロセスは繰り返しのものだとして、次の点を想起した:我々は全て実行することで学ぶのだと認識することが主要なニーズである。別なものは、プロジェクトのモニタリング及び実施を成功させる上で、市民社会組織が果たせる重要な役割を強調した。
廊下にて
補助機関会合の最終日前日、問題は最終局面を迎え、SB議長らは、フィニッシュに向け参加者を鼓舞しようとした。SBSTA議長のWatkinsonは、「問題を整理すべく(sort things out)」、IPCC特別報告書の協議など、少数の交渉の場に招かれた。
透明性の議論は、午後、非公式な非公式会議で時間を費やし、締約国の提出文書をまとめるペーパーが必要かどうか、支援の透明性に関する非公式ノートでの締約国の意見対立をどう扱うか、議論した。第6条のコンタクトグループ会合から出てきた、ある熱心な参加者は、明日、今後の進め方で合意できる可能性を希望した。別な、おそらくはより現実的な見方をする参加者にとっては、 カトヴィチェ会議から出てきた多くのもののうち、どの文書を用いるかで合意するだけでも、「本当の一歩前進(real step forward)」である。
木曜日の最終プレナリーの開始を控え、外の世界がUNFCCCをどう受け止めているか、その重みが感じられるようになった;ある参加者が嘆いたとおり、「我々のプロセスの信頼性を確認する成果(an outcome that confirms the credibility of our process)」を確保しなければならないとの圧力が増している。
ボン気候変動会議の地球交渉速報(Earth Negotiations Bulletin)によるサマリー及び分析は、2019年6月30日日曜日、右記のURLで入手可能である: http://enb.iisd.org/climate/sb50/