Daily report for 20 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は、木曜日も続けられた。参加者は、透明性報告書フォーマット、及び第6条(市場及び非市場アプローチ)などを議論した。 第11回研究ダイアログ、キャパシティ・ビルディングのダーバン・フォーラム、緩和に関する技術専門家会議も開催された。
SBI
適応基金関係問題:: 適応基金理事会のメンバーシップ:非公式協議の共同進行役は、Amjad Abdulla (モルディブ)が務めた。SBI 50で適格性問題を議論する必要があるかどうかで、意見が分かれ、一部のものは、これはCMP及びCMAからのマンデートであると強調した。あるグループは、京都議定書締約国のみの代表という現状は問題だとし、 パリ協定締約国も理事会で役割を果たせるはずだと述べた。数名のものは反対し、適応基金はパリ協定においても役割を果たすとする決定書が、理事会で役割を果たすという協定締約国の適格性を証明していると述べた。一部のものは、適応理事会タスクフォースからのインプットを得た後、第6条の交渉結果が出た後で、この問題を議論することができると提案した。協議が続けられる。
気候変動の影響に伴う損失と損害に関するワルシャワ国際メカニズムの2019年レビューの委任条件(ToR):Marianne Karlsson (ノルウェー)及びPepetua Latasi (ツバル)が共同進行役を務めた。締約国は、WIMのレビューに関する自国の優先度について意見陳述を行った、この中には、効果性及び効率、過去及び将来を展望するレビューの範囲、長期ビジョンの重要性などが含まれた。一部の締約国は、進捗状況評価に対する適切なベンチマークの推敲を促した。
ある締約国は、締約国による審議を受けるノン・ペーパーの提出を提案した共同進行役に対し、ToR草案の提出を要請した。
一部のものは、更なる審議時間を求めた。共同進行役は、参加者がレビューの長期ビジョンを議論できるよう、追加の非公式協議を設けることで合意した。一部の締約国は非公式な非公式協議を続けた。
政府間会合のアレンジ:非公式協議において、オブザーバーは、市民団体の参加に関するUNFCCCの「限られたキャパシティ(limited capacity)」を批判し、大半のものは民間の利益団体の参加による不透明さを制限するための利益相反政策を求めた。
COP 25に関し、各国はビザに関する懸念を提起した。チリは、COP参加者専用のオンライン・ビザ・ポータルが作られているとし、2019年12月2日のハイレベル・セグメントに各国首脳及び政府要人を招待することを示唆した。
SBSTA
条約の下での手法論問題:共通の計算方式:Clifford Mahlung (ジャマイカ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、結論書草案に関しコメントした。
一部のものは、共通の計算方式は透明性の問題よりも科学の問題であると強調した。多数のものは、ワークショップ及び特別イベントなど、過去の決定及び活動を反映させるよう主唱した。ある締約国は、決定書の想起に反対し、SBSTAによる提言作成に警鐘を鳴らした。
数名のものは、IPCCの第6次評価報告書まで、共通の計算方式の更なる審議を延期するよう提案した。ある締約国は、それまでにこの議題項目の結論を出すよう提案した。他のものは、反対し、技術面の議論を求め、共通の計算方式は長期世界目標達成に向けた政策に関連すると強調した。共同進行役が文書を改定する予定。
パリ協定の下での手法論問題:Xian Gao (中国)がコンタクトグループの共同議長を務めた。締約国は、全ての小項目に関する共同進行役の報告を聴き、進捗の現状を知った。
国別インベントリ報告書の共通の報告用表形式(CRTs)に関し、AILACは、非公式ノートにオプションを記載し、SBSTA 51において、現在のソフトウェアの使用経験に関するワークショップを開催するよう求めた。
技術専門家レビューにおける技術専門家の参加を目的とする訓練プログラムに関し、ブラジルは、訓練プログラムの開発と訓練用教材の作成を区別した。AOSISは、訓練モジュールは時間の経過と共に進化していくと指摘した。オーストラリアは、訓練プログラムを2021年以前に終わらせることは可能だと述べた。AILACは、テクニカルペーパーを提案した。
柔軟性に関し、EUは、スイスと共に、全ての表の内容を議論し、その後、それぞれの柔軟性を議論することを提案した。多数の開発途上国は、柔軟性の一般的な議論をし、さらに特定の表の内容における柔軟性を議論する必要があると強調した。
AOSISは、LDCs及びその他と共に、適応報告に高い優先度を付けた。アフリカングループは、この問題が適応委員会に負担をかけるとして警告した。
今後の進め方に関し、多数のものは会合間隙中の作業を議論することに躊躇感を示した。アフリカングループは、インドと共に、COP 25の前の文書提出を目指すよう提案した。
共同議長は、結論書草案を作成し、共同進行に対し非公式ノートの草案作成を求める。
国別インベントリ報告書のCRTs:事務局は、附属書I締約国が用いる共通の報告枠組(Common Reporting Framework (CRF))の表を提示した、この表は、全てのものに共通する表、並びに非不蔵書I締約国の国別報告書の表における原点の表として用いたいと先進国が希望している表であり、数か国の開発途上国も、開発途上国が用いる表の原点として使用を希望している。
国家決定貢献の実施及び達成の進捗状況を追跡する上で必要とされる情報報告の共通の箇条書きフォーマット(Common tabular formats (CTF)):Helen Plume (ニュージーランド)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、経済全体の排出削減数量目標の達成に向けた進捗状況に関する隔年報告書で用いられる既存のCTFを、緩和政策措置、行動、計画を報告するフォーマットの原点として検討した。数か国の先進国は、この表に若干の変更を加えるだけで、透明性枠組のモダリティ、手順、ガイドラインs (MPGs)に沿う表になると述べた。開発途上国は、MPGs (章3d)のセクションでの柔軟性を指摘、この中には、一部の情報は厳密には要求されていないこと、予想される及び期待されるGHG排出削減の推計値の情報は「可能な限り(to the extent possible)」提供されるものとすることが含まれた。ある参加者は、締約国は表の列を削除できるようにすべきと提案し、他のものは、柔軟性が適用される場合を一貫性のある形で示すよう求めた。あるグループは、適応行動及び経済多角化計画の結果として生じる緩和共同便益を含めるよう求めた。議論が続けられる。
資金、技術開発及び移転、キャパシティ・ビルディングに対する支援のCTF:Delphine Eyraud (フランス)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、公的な資金援助の供与に関する表にMPGsをどのように反映させる必要があるかコメントした:すなわち二国間、地域、及び他のチャンネルを通した貢献など。次のような提案がなされた:適応への支援と緩和への支援に関する情報を分ける;報告には部門別のコードを用いる;多国間支援を報告する。開発途上国は、グラント等価額と額面に関する情報の列(columns)を追加し、プロジェクト情報を記入するスペースを設け、キャパシティ・ビルディングまたは技術移転とのリンクを示すよう提案した。締約国は、二重計算のリスクに焦点を当て、特定の手法論を適用した方法に関する情報を提供するなど、セーフガードを求めた。共同進行役は、「簡潔な(straightforward)」MPGs及び締約国のコメントを入れて、この表を更新する、次回の議論では、必要かつ受理した資金援助に焦点を当てる。
技術専門家レビューに参加する技術専門家の訓練プログラム:Jae Hyuk Jung (韓国)及びHarry Vreuls (オランダ)を共同進行役とする非公式協議で、参加者は、このプログラム並びに認証プロセスをアクセスしやすくする方法について議論した。一部の開発途上国は、専門家諮問グループによる訓練プログラム及び資料の作成を希望したが、先進国及び一つの開発途上国グループは、筆頭レビュワーの支援を受け、事務局がこれを行うことを希望した。プログラムをCOP 26までに終了させるべきかどうかで、意見が分かれた。
ナイロビ作業計画:非公式協議では、Monika Antosik (ポーランド)及びMajid Shafipour (イラン)が共同進行役を務めた。題目分野に関し、グループは、SBSTA 48で合意された題目を支持した。少数のグループは、追加分野として、人の移住、地域移民、国の安全保障を提案した。一部のものは、漁業、ジェンダー、農業に関する作業とのシナジーの可能性を検討するよう提案した。一部の締約国は、各国の適応ニーズの評価はグローバル・ストックテイクに情報を提供するはずだと指摘した。共同進行役は結論書草案を作成する。
第6条:共同進行役のPeer Stiansen (ノルウェー)は、意見交換の目的は文書作成に向け、優れた基礎を築きあげることだと述べた。
第6.8条の枠組のガバナンスに関し、締約国は、常設機関の必要性について異なる意見を表明した。ある締約国グループは、第6条の中の第6.8条の包括的な特性を指摘し、この問題の審議の更なる延期に反対した。他のものは、オプション同士をつなぐ根拠を見出そうとし、作業計画はガバナンス制度の機能と共にその特性の両方を議論するよう義務化できると指摘した。
第6.4条メカニズムのガバナンスに関し、締約国は、監督機関と加盟国の責任のバランスについて多様な意見を表明し、ある締約国グループは、ホスト締約国による一層の参画を可能にすべきと提案した。締約国は、理事会メンバーの人気に制限を設ける必要があるかどおうかでも意見が分かれた。
午後、締約国は、第6.4条メカニズムのガバナンスに関する議論を再開し、その後、活動の設計、及び国際的に移動可能な緩和成果(ITMOs)の定義について議論した。第6.4条メカニズムに関し、締約国は、監督機関のメンバーシップに関し意見交換を行い、多数のものは、ジェンダーのバランスを取った理事会を支持した。
活動の設計に関し、一部の締約国は、全ての部門及びガスを適格とすべきと述べた。多数の締約国は、第5条(森林)に関係する活動の除外に反対した。人権に関する締約国の見解も分かれた、人権お挿入に反対するものは、活動は(当該国で)広く適用されている国内法に従うと指摘した。あるグループは、仲裁案として、パリ協定序文への言及を提案した。活動の設計及びNDCの範囲に関し、2つの締約国グループは、締約国によるNDCの範囲拡大への支援に特に注目した。他のものは、確固とした計算が可能な限り、NDCの範囲を超える活動を支持すると述べた。
ITMOsの定義づけに関し、締約国は、多様な特性を明らかにした、この中には、定量可能性(quantifiability)、CO2換算の表現、排出回避の適格性、国家決定の特性が含まれた。あるグループは、NDCの順守または国際的な移転以外の目的で用いられる緩和成果とITMOsとの違いを識別した。一部のものは、異なるユニットを有する締約国が移行ITMOsに交換できるようにする緩衝(buffer)登録簿の能力に注目した。未解決問題のリストに関する議論が続けられる。
SBSTA/SBI
条約の下での長期世界目標(LTGG)の次回定期レビューの範囲、及び目標達成に向けた全体的な進捗の次回定期レビューの範囲:次回定期レビューの範囲に関し、意見交換を行った一部の締約国は、LTGGの定義し直しの可能性を拒否、一部は目標の理解を深めるべく最善の科学情報を用いるレビューの可能性もあると述べた。
進捗を評価するメカニズムに関し、締約国は、定期レビューとグローバル・ストックテイクは、補い合うと同時にシナジーもあると主張したが、他のものは、条約の中の他のプロセスも含め、重複があると主張した。ある締約国は、定期レビュー終了のオプションを保持するよう提案した。共同進行役のLeon Charles (グレナダ)及びMakoda Yoshino (日本)は、審議用にオプションを付けた結論書草案を作成する。
農業に関するコロニビア共同作業:共同進行役のMilagros Sandoval (ペルー)及びHeikki Gransolm (フィンランド)は、非公式協議を開会し、前回のワークショップの結論に関する締約国の意見を求めた。参加者は、カトヴィチェでの第1回ワークショップの報告を歓迎した。多数の締約国は、2020年3月のワークショップを開催するというニュージーランドの提案を歓迎し、一部のものはワークショップの範囲決定を支援するチームを結成するよう提案した。
一部の開発途上締約国は、農業に関するコロニビア共同作業の作業継続に向け、恒久的なメカニズムを創設する必要があると強調した。
廊下にて
UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、この日の午前中、オブザーバーとの会議の中で「家が火事だ(The house is on fire)」と述べ、きたる国連事務総長サミットを宣伝するTシャツのスローガスに応えていた。世界難民デーのこの日、気候の影響というテーマは、会議の間中、繰り返された:多様な意見発表では、国家の安全保障、移住、移民問題が気候危機の影響と密接に絡められ、発言の火花が散った。あるオブザーバーは、昨日の3時間に及ぶ非公式な非公式会議を経て、ようやく今日、損失と損害の議論が再度取り上げられたと嘆き:「それもレビューの委任条件に過ぎない(it’s only a terms of reference of a review)」だと想起した。