Daily report for 18 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は火曜も続けられた。広範な問題でコンタクトグループ及び非公式協議が開催され、この中には予算、パリ協定における手法論問題、第6条(市場及び非市場アプローチ)、損失と損害、対応措置が含まれた。農業に関するコロニビア共同作業及びジェンダーに関するワークショップも開催された。
SBI
非附属書I締約国の報告:専門家諮問グループ(CGE)の委任条件(TOR):Sin Liang Cheah (シンガポール)及びGetraud Wollansky (オーストリア)を共同進行役とする非公式協議において、締約国は、CGEの任期を8年間延長したCOP 24の結果に則り、更新されたTORの要素について提案した。提案された要素には次のものが含まれた:現行のTORを起点とする;学習事項に基づき現在の条項を強化、強化された透明性枠組と関係づける; 4年後のTORの更新を可能にする。あるグループは、CGEのマンデートが拡大されたことから、事務局のサポート及び資金支援が必要だと指摘した。一部のものは、CGEの作業が’隔年更新報告書から隔年透明性報告書(BTR)にシフトするタイムラインを盛り込むことに対し警告し、あるものは、BTRsの導入について柔軟性が持たされていると指摘した。共同進行役は、文書草案を作成する。
適応基金関係の問題:適応基金理事会のメンバーシップ:共同進行役のFiona Gilbert (オーストラリア)は、冒頭の意見発表を求めた。パレスチナはG-77/中国の立場で発言し、理事会の再構成は回避するという手順上の決定を支持した。アルゼンチンは、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイを代表して発言し、全てのパリ協定締約国が資格を有すると確認する決定書を希望した。ウガンダは、LDCsの立場で発言し、EIGの立場で発言したスイスと共に、適応基金が専らパリ協定のみに役割を果たす場合の理事会の構成を明確にするよう求めた。EUは、米国と共に、「将来の保証(future proof)」決定書を求めた。サウジアラビアは、適応基金が第6.4条(メカニズム)に加え、第6.2条(国際的に移動する緩和成果)からも収益の一部(share of proceeds)を受け取る場合、理事会の構成を変更する意思があると表明した。アフリカングループは、指名候補者決定における地域グループの特権を指摘した。締約国は、理事会の構成を再度審議する必要があるかどうかで意見が分かれた。締約国は、それぞれの意見を提出文書にして提出することが求められる。
事務管理上、死因上、制度上の問題:2020–2021年の2か年プログラム予算:事務局は、予算案を提出し、決定書及びマンデートの実現に焦点を当てたほか、予測可能かつ適切な資金源を提供していると指摘した。
締約国は、それぞれの優先順位を表明したほか、基幹予算と補正予算の間の資金バランスに関し、異なる懸念を表明した。多数のものは、資源の配分でバランスをとるよう主張した。一部のものは、予算案作成において事務局が「ボトムアップ」方式を強めているとして、これを称賛した。ある締約国は、未納の寄付金の集金に懸念を提起、条約の締約国でパリ協定の締約国ではない締約国については、寄付金の規模に差異を付けるよう主張した。別なものは、寄付をするものに対し、プラスのインセンティブを導入するよう提案し、予算を増額して寄付金の不足を補うべきでないと指摘した。議論が続けられる。
SBSTA
科学及びレビューに関係する問題:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書:Annela Anger-Kraavi (エストニア)及びLadislaus Chag’a (タンザニア)が非公式協議の共同進行役を務めた。多数の締約国は、この報告書を歓迎し、大きな制約がある中、「確固とした有用な(robust and useful)」科学文書を提供したIPCCの努力を称賛し、一部のものは、この報告書が既に各国の政策に影響を及ぼしていることに注目した。
一部のものは、「実質的な相互作用(substantive interaction)」を求め、他のものは、この報告書の主要部分に基づく一連のワークショップ開催を提案した。 ある締約国は、報告書の更なる議論に反対を主張した。
締約国は、結論書草案を提案するという共同進行役の提案を否決した。締約国は、この報告書の内容に関し更なる議論をすることで合意した。
パリ協定の下での手法論問題:これらの小項目に関する非公式協議の共同進行役は、Xian Gao (中国)とHelen Plume (ニュージーランド)が務めた。
排出源からの排出量及び吸収源での除去量の国別インベントリ報告書に記載される情報を報告する共通の報告様式表(CRTs):数か国の締約国は、現在の共通表形式をCRTsの作業の開始時点で使用し、柔軟性及びキャパシティ・ビルディングのニーズ及び追加負担は、透明性枠組のモダリティ、手順、及びガイドライン(MPGs)に則り対処することで合意した。
表に柔軟性を反映させる方法について、締約国は、国別報告書で柔軟性条項が適用される箇所に関し、レビュワーに情報を提供するため、CRTの中のMPGの柔軟性条項を参照するよう提案した。他のものは、異なる表形式を使う可能性を提案した。一部のものは、サマリーの表の補足的な特性を強調した。2024年までの報告にCRTを用いる柔軟性に関し、ある締約国は、段階的な手法を提案、これを転換段階に提供される支援及びキャパシティ・ビルディングと結びつける可能性を示唆した。
キャパシティ・ビルディングに関し、一部のものは、現在の報告作成ソフトウェアへのアクセス、及び利用するための訓練が必要であると強調した。数名のものは、現在のソフトウェアの利用しやすさ、各国のニーズへの適応可能性、IPCCの報告ツールとのリンクの可能性を指摘した。他のものは、情報は取りまとめて、協定第15条(実施及び遵守メカニズム)とリンクすることができると強調した。CRTの内容及び構造に焦点を当てた議論が続けられる。
NDCsの実施及び達成における進捗状況の追跡に必要とされる情報を報告する場合の共通の表形式:締約国は、この小項目の作業について、最初に、MPGs(進捗状況追跡に関する第3章)のどの要素を表形式で示し、どの要素を物語方式で示すかなど、議論する範囲を定める構成をとることで合意した。さらに締約国は、進捗状況を非公式ノートで示すことでも合意した。
数か国の先進国は、現在の報告用の表は有用な開始点になると指摘した。一部の開発途上国は、これらの表は全てのNDCsのタイプに使えるよう修正する必要があると指摘した。
全てのものが、進捗状況に関する体系化されたサマリーのテンプレートの欠如を指摘した。一部のものは、定量化した情報を付した表、もしくは定量化された情報と定性化された情報の混合を付した表を支持した。ある開発途上国は、情報の提示方法に関する各国の選択を認めることを支持した。
数か国の開発途上締約国は、第6条の議論が進行中であると指摘、先に第6条の議論を終わらせることを希望した。一部の先進国は、MPGsは報告されるべき情報についてガイダンスを提供すると指摘した。第6条とのインターリンケージをどうするかが決定されるまで、ここでの議論は中断された。
第6条:SBSTA議長のPaul Watkinsonが、コンタクトグループの議長を務めた。同議長は、非公式協議において3つの小項目を議論し、必要な場合はスピンオフグループで議論することを提案した。締約国は、この提案を支持し、多数のものが平行するスピンオフグループは避ける必要があると指摘した。
透明性枠組とのリンクに関し、LMDCsの立場で発言したサウジアラビア、アラブグループの立場で発言したエジプト、南アフリカ、セネガルは、重複を避けるよう促した。ブラジルは、透明性グループにおける第6条の議論を回避するか、本項目の議論に移すことを提案した。ツバルはLDCsの立場で発言し、透明性の議論が第6条の作業を先取りすることがないとの再保証を求めた。米国、EU、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは、各グループのマンデートを尊重する必要があると指摘し、議長に対し、現在進められている作業の「協調(coordinate)」を図るよう求めた。ノルウェーは、透明性に関するカトヴィチェの決定書は第6条の議論との一致の必要性を明確に示していると述べた。LMDCsは、第6条の議論が解決するまで、透明性交渉での第6条の議論を保留するよう提案した。議長のWatkinsonは、議論を中断し、今後の進め方に関し合意に達すべく、代表団長会議を開催すると述べた。
SBSTA/SBI
対応措置実施の影響に関するフォーラム:Delano Verwey (オランダ)及びXolisa Ngwadla (南アフリカ)がコンタクトグループの議長を務めた。SBI議長のDlaminiは、このグループでは当該フォーラムの6年間の作業計画に関し、明確なアウトプット及びタイムラインを付した提案が作成されるとの期待感を表明した。
対応措置実施の影響に関するカトヴィチェ専門家委員会(KCI)の共同議長Birgit Aruは、作業計画に関しKCIでは異なった意見があると報告した。同共同議長は、議論では次の項目に焦点が当てられたと述べた:入手可能な科学及びパリ協定とも一致する気候行動を可能にする;影響を評価し、政策に情報を提供するためのキャパシティ・ビルディング。
共同議長のNgwadlaは、提出文書に関する事務局の統合プレゼンテーションを提案した。サウジアラビアは、G-77/中国の立場で発言し、アフリカングループの立場で発言したガーナ、モルディブ、中国、インドと共に、この提案を支持した。ノルウェー、米国、オーストラリア、日本、カナダは、締約国から直接聴くことを希望した。議論が続けられる。
条約の下での長期世界目標の次回定期レビューの範囲、及び目標達成に向けた全体の進捗状況に関する次回定期レビューの範囲:Leon Charles (グレナダ)及びMadoko Yoshino (日本)が非公式協議の共同進行役を務めた。参加者は、長期世界目標の次回定期レビューの範囲に関し、最初の意見陳述を行い、多数の締約国は、戦略的な関連性、価額に基づくインターフェース、2013-2015年定期レビューのアウトプットを祝した。
多数の締約国は、長期世界目標の適切性に関する再評価に警告し、他のものは、レビューン範囲は目標達成方法のみに絞るべきだと強調した。定期レビューとパリ協定のグローバルストックテイクとの間の作業の重複に関し、懸念が表明された。一部のものは、シナジーを指摘、定期レビューの結果をグローバルストックテイクにフィードインできるなど、プロセスの補足性を示唆した。
気候変動の影響に伴う損失と損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)の2019年レビューに関するTOR:Marianne Karlsson (ノルウェー)及びPepetua Latasi (ツバル)を共同進行役とする非公式協議において、締約国は、レビューのマンデート及びTORの要素に関し、初めの意見交換を、これには次が含まれた:目的、インプット、プロセス、モダリティ、タイムライン、予想される成果。目的に関し、あるグループは、更なる行動及びアレンジを明らかにするなど、WIMの機能発揮の確保を強調した。インプットに関し、あるグループは、学習事項を検討するよう求めた。
多くのものが、将来と過去に目を配るレビューを支持した。ある参加者は、過去の決定の再検討に警告した。別なものは、レビューの実施はCOP決定書の実施を助けるはずだと述べた。多数のものは、COP 25以前でのガバナンス問題の議論は控えることで合意した。
あるオブザーバーは、500億米ドルから始め、2030年までに年間3000億米ドルとする資金源を付け、WIMの運用を開始する必要があると強調した。非公式な非公式協議が開催される。
農業に関するコロニビア・ワークショップ:Milagros Sandoval (ペルー)及びHeikki Granholm (フィンランド)が共同進行役を務める再開ワークショップが開催され、適応、適応共同便益及び体制を評価する方法及び手法が議論された。
緑の気候基金のJanie Riouxは、農業での適応に対する資金調達で学んだ事柄について、意見交換した、この中には、気候科学に基づくプロジェクトの重要性、目的の明確な定義づけ、適応共同便益の測定が含まれた。地球環境ファシリティのChizuru Aokiは、農業の一部の適応プロセスは間接的で定量化できない場合が多い特性があるなどの課題を指摘した。適応基金のCristina Dengelは、インド、エリトリア、ウルグアイ、モロッコでの作業例のプレゼンテーションを行った。
議論の中で、参加者は、国内の農業プロジェクトにおける農業従事者の限定的な参画、気候分析能力でギャップを経験する国での資金調達の困難さ、気候耐性の基準の定義づけに関し、意見交換を行った。参加者は、農業従事者、ジェンダー、若者世代、地方共同体、先住民からの意見も聴いた。
廊下にて
第6条の会議室は、火曜日、早くもヒートアップしてきた。カトヴィチェでは未解決で残された、ただ一つの主要なパリ・ルールブックの問題であり、締約国は、第6条の成果に予断を加えない形で透明性の議論が行われる中、第6条の議論をどう進めるか、こう着状態に陥った。これから抜け出すべく、代表団のトップは、解決策を模索し、結局、透明性での第6条の議論を「優先させない(deprioritize)」との合意で落着した。ある「代表団トップ(HOD)」は、夕方、会議場を離れながら、「全てのことで合意されるまでは何の合意もされない(nothing is agreed until everything is agreed)」といういつもの常套句を想起した。