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国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での強化された行動のためのダーバンプラットフォーム特別作業部会第2回第6部会合(ADP 2-6)が本日ドイツ・ボンにて開幕した。同ADP会合は2014年10月20日-25日迄の日程で行われ、2014年12月にペルー・リマにて開催予定のCOP20(UNFCCC第20回締約国会議)のための主要文書について集中討議する。
ワークストリーム1(2015年合意)の下では、引き続き2015年合意の最終形をつくるための土台となる交渉テキスト原案の要素を練ることになる。また、ADPは各国が約束草案(INDs)を通知する際に提供する情報の内容種別や、そうした約束草案がどのように検討されるかという点などを記載する決定書草案についても作業する予定だ。この決定書草案はリマの審議に提出される。
ワークストリーム2(2020年までの野心)の下では、技術専門家会合 (TEM)でCO2以外の温室効果ガス(GHG)や炭素回収利用貯留(CCUS)に関する取組みの機会について重点的に取り組む。各国はリマで検討する2020年までの野心に関する決定書草案を作成する。
ADPのこれまでの経緯
気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択から始まった。UNFCCCは、気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため、大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度の安定化を目指して、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在は196の締約国を有する。
ダーバン:南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動会議は、2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果として広範なトピックが網羅されたが、特に京都議定書の第二約束期間の設置や「条約下で全ての締約国に適用可能な、議定書、法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とする新組織ADP発足についての合意があった。ADPでの交渉は2015年中に完了予定であり、2020年に新たな合意の発効を目指す。さらに、ADPには2℃目標との関連で2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索するという役割も付与された。
ADP-1:第1回ADP会合(ADP 1)は、ドイツ・ボンで2012年5月17-24日に開催されたボン気候変動会議と並行して開催され、議題や役員選出などのトピックを中心に議論が行われた。約2週間にわたる議論の後、ADPプレナリーは、役員選出に合意し、議題を採択。決定書1/CP.17のパラグラフ2-6に関するワークストリーム1(2015年合意)と同決定書パラグラフ7-8に関するワークストリーム2(2020年までの野心)という2つの部会を開始した。
ADP-1非公式会合: ADP非公式会合は、タイ・バンコクで、2012年8月30日-9月5日に開催され、ADPに対する各国のビジョンや抱負、期待する作業成果やその達成方法などについて議論する円卓会合も行われた。さらに、いかに野心を引上げるかという手段や実施手段の役割、国際協力のイニシアティブの強化法、ならびにADPの作業の枠組みを決める要素などについても議論が行われた。
ADP 1-2: ADP 第1回会合第2部(ADP 1-2) は、カタール・ドーハで開催されたCOP 18に連動する形で、2012年11月27日-12月7日に行われ、実質的な論議の速やかな開始、2013年のより集中的な作業方式への移行、締約国の政府代表や認定オブザーバー組織などの幅広い参加の奨励などについて特に集中的な議論が成された。
ADP 2-1: ADP第2回会合第1部(ADP2 -1) は、ドイツ・ボンで、2013年4月29日―5月3 日に開催された。ADP 2-1は、ADPの 2つのワークストリームを網羅しつつ、ワークショップや円卓会合での議論を中心に構成された。2015年合意によって2020年までに更なる緩和行動が実施され、それらが様々な分野において実施されるよう、主要な要素に関する具体的な提案を集めて今後の議論のたたき台を作成することを目指した。
ADP 2-2: ADP第2回会合第2部(ADP2 -2) は、2013年6月4-13日にドイツ・ボンで開催されたボン気候変動会議と並行する形で行われ、2つのワークストリームに関するワークショップや円卓会合を中心に構成された。同会合では、2014年に少なくとも1回は会議を開き、ワークストリーム1及び2の下で、2014年の作業計画に向けた今後の活動について締約国やオブザーバーからの意見提出を求めることで合意した。また、ADP第2回会合第3部 (ADP 2-3)の審議に向けて、寄せられた意見を基に、バランスの取れた集中的かつより公式的な作業方式のための案を出すよう次期共同議長に招請した。しかし、公式な議論に入るための手段として、コンタクトグループを1つ設置するか複数設置するかという問題について意見が分かれ、合意には至らなかった。
ADP 2-3: ADP第2回会合第3部 (ADP 2-3)は、2013年11月12-23日、ポーランド・ワルシャワで開催されたCOP 19と並行する形で行われた。第1週目の作業は、共同議長からの問題提起に沿って2つのワークストリームの下で行われた。ワークストリーム1 では、適応、緩和、 技術・資金・キャパシティビルディング、 透明性の問題を含む、2015年合意の内容と要素について、オープンエンド型の協議が行われた。ワークストリーム 2では、今後の方策に関するオープンエンド型の協議、ならびに他の多国間の環境条約での意義深い経験から学んだ教訓に関するワークショップや、2020年までの野心、都市化の問題、都市部の気候対策を促進するための政府の役割などに関するワークショップで議論が行われた。また、締約国に対して約束草案に向けた国内準備の開始や強化を奨励し、バリ行動計画の完全実施と2020年までの野心を加速するための決意を記した決定書を採択した。
ADP 2-4: ADP第2回会合第4部 (ADP 2-4)は2014年3月10-14日、ドイツ・ボンで開催された。ワークストリーム 1 では、適応やINDC、議題項目3についてのオープンエンド型の協議が行われ、適応、INDC、資金・技術・キャパシティビルディング (実施手段) 、野心、衡平性、緩和、行動や支援の透明性、その他に各要素に絡む諸問題などについて議論された。また、インセッション・ワークショップでは、 INDC のための国内準備の問題が取り上げられた。ワークストリーム 2では再生可能エネルギー及びエネルギー効率に関する技術専門家会合を実施。さらにコンタクトグループの設置と今後のADP会合でも同じ方式で議論を継続することで合意した。
ADP 2-5: ADP第2回会合第5部(ADP 2-5) は、ドイツ・ボンで行われたボン気候変動会議と並行する形で、2014年6月4-14日に開催された。ADP 2-5 は、ワークストリーム 1 と ワークストリーム 2を中心に構成されたコンタクトグループ会合を実施。ワークストリーム 1では、緩和、適応、資金・ 技術・キャパシティビルディング (実施手段)、透明性、INDC、その他の要素に関する諸問題などについて討議した。INDCと2015年合意との関係や、全体的な野心レベルの評価法等といった課題は数々残っているものの、2015年合意に盛り込むべき幾つかの要素については意見の収束も見られた。また、ワークストリーム 2では、都市の環境問題や土地利用に関する技術専門家会合が行われ、緩和と適応の分野における都市や地方自治体の役割に関するフォーラムも実施された。
会合間のハイライト
エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第19回、第20回会合: エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)第19回会合は2014年7月10-12日、フランス・パリで開催され、気候資金やINDC、これらの貢献に関する国際協議期間、行動や支援の透明性・説明責任・モニタリングに係わる諸規定や会計基準などについて集中的な討議が行われた。第20回会合は2014年9月21日に米国・ニューヨークで開催。閣僚会議では、米国のジョン・ケリー国務長官が2015年の野心的な国際気候合意の成立に向けて、堅固な気候目標を提起するよう参加閣僚に呼びかけ、そこからの共同便益を確保するための方法について模索するよう奨励した。MEFには世界の8割の排出量とエネルギー消費を占める「GHG排出大国」が参加している。
第5回ペータースベルク気候対話: 「緊急性への対応―我々の貢献の増強に向けて―」をテーマに掲げ、リマ気候変動会議の準備に向けた新たな戦略について議論することを目的に、2014年7月14-15日、ドイツ・ベルリンで開催された。対話の中で、2015年パリでの将来の気候レジームの主な要素の合意成立、“野心と実効性、公平性ある気候合意”の採択、2℃目標の遵守を実現するようタイムリーな方式による2015年気候合意に向けて全ての関係各国による確実なINDC提出、緩和・適応が経済に利する措置であるというメッセージを伝え、低炭素技術を開発するインセンティブの形成、等々の方法について話し合いが行われた。
気候変動に関する第18回、第19回BASIC閣僚会議: ブラジル、インド、 南アフリカ、中国 (BASIC)の第18回閣僚会議は2014年8月7-8日、インド・ニューデリーで開催され、COP 20での2015年合意をめざす交渉テキスト案の要素を最終的にとりまとめる必要があると強調する内容の共同声明が採択された。また、共同声明は、2015年の成果のための中核的な6要素として、緩和、 適応、資金、技術の開発と移転、行動と支援の透明性、キャパシティビルディングを挙げ、UNFCCCの諸原則すべてに則ったプロセスで成果をあげるべきだとし、先進国が気候変動の取組みで先導すべきであり、すべての締約国は出来るだけ早期に緩和、適応、 資金、技術、キャパシティビルディングの内容を盛り込んだINDCを通達しなければならないと強調した。第19回BASIC閣僚会議は2014年10月8-10日、南アフリカ・サンシティーで開催された。共同声明には、2014年国連気候サミット、2020年までの野心の強化、リマ気候変動会議、2015年合意、適応、途上国への支援、透明性、INDC、UNFCCCに基づく既存の諸機関やメカニズムの2020年以降の役割等を中心とする様々なテーマに対するBASIC各国の見解がまとめられた。
国連気候サミット2014: 国連気候サミットは潘基文事務総長の主催で2014年9月23日、米国ニューヨークの国連本部で開催された。気候変動に関する2015年の国際合意成立に必要な政治的意思を動員するべく、世界100ヶ国以上の国家元首に政府閣僚や国際機関、産業界、財界、市民社会や地域コミュニティーのリーダー達が集結した。サミット期間中、各国の代表は、気候変動に関する一連の国家行動について約束し、緑の気候基金のために総額23億米ドルを拠出すると宣言した。さらに、民間セクターの代表は「森林に関するニューヨーク宣言」と題されたイニシアティブを発表し、32の政府により採択された。また、新たなグローバル・メイヤーズ・コンパクト(世界の市長による協約)も発表された。
This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Alice Bisiaux, LLM, Mari Luomi, Ph.D., Annalisa Savaresi, Ph.D., and Anna Schulz. The Digital Editor is Brad Vincelette. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMATE) and the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for coverage of this meeting has been provided by the Kingdom of Saudi Arabia Ministry of Petroleum and Mineral Resources and Aramco. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA. The ENB team at the Bonn Climate Change Conference - October 2014 can be contacted by e-mail at <alice@iisd.org>.