Daily report for 11 May 2017

Bonn Climate Change Conference - May 2017

ボン気候変動会議は木曜日も続けられた。非公式協議及び義務化されたイベントが、一日を通し開催された。APAコンタクトグループは、午後会合した。

SBSTA

パリ協定6.8条(非市場手法):共同進行役のKelley Kizzier(EU)は、決定書の文章に盛り込む要素、題目、基準に関する意見を求めた。2,3の締約国は、第6条(協力的手法)の各構成部分では義務付けられた課題が異なるとし、これらを横断する作業モードも異なるものにする必要があると指摘した。締約国は、次の項目を特定した:マンデート;目的;具体的手法を付した対象範囲(scope);非市場手法のタイプと分類基準;ガバナンス(統治)及び制度アレンジ;第6条の他の要素と一致する報告作成要項及び透明性の必要条件;他のメカニズム及び制度アレンジとのリンク付け。締約国は、NDCsの中に、非市場手法を特定するウェブ上のプラットフォーム、報告されたニーズ及び利用可能な資源とを結びつけるマッチングの機能、各国の経験の概要説明を設置するよう求めた。ある締約国は、分類基準は柔軟性の「障壁(barriers)」になる可能性があるとし、作業計画では「どのようにするか(how)」という方法面の疑問に焦点を当てるよう促した。締約国数か国は、ワークショップ、ラウンドテーブル、提出文書のとりまとめなどの形の作業を追加する必要があると指摘した。

SBI

キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会(PCCB):SBI議長のTomasz Chruszczowは開会を宣言し、UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaと共に、PCCB第1回会合の出席者を歓迎した。PCCBは、Matti Nummelin(フィンランド)及びMohamed Nbou(モロッコ)を2017年の共同議長に選出し、議題書(PCCB/2017/1/1-2)を採択し、作業構成書で合意した。

共同議長のNbouは、PCCBがパリ協定の長期世界目標に対する各国の貢献を助ける基盤を構築するよう希望すると述べた。条約の資金メカニズム及び構成機関の運営組織代表は、キャパシティ・ビルディング関連作業の最新情報を報告した。

手順のモダリティ及び規則(PCCB/2017/1/3)の作業に関し、PCCBは、会合期間外での準備作業を強化する方法、及び同委員会の審議におけるオブザーバーの役割を強化する方法について議論した。その後、PCCBは、モダリティ及び手順を採し、事務局に対し、全てのメンバーの全面参加を確保する技術的解決策の探究を要請した。共同議長のNummelinは、オブザーバーは各議題項目での決定が行われる前にコメントを発表することが招請されると明言し、オブザーバーに対し、文書の提出を求めた。

2016-2020年のキャパシティ・ビルディング作業計画及び2017-2019年のPCCB作業計画(PCCB/2017/1/4)の実施に関し、 PCCBメンバーは、継続更新される作業計画の議論を開始し、その構成についてコメントすると共に、事務局が作成した作業の取りまとめ及び順序づけの表と、この作業計画とを結びつける可能性についてもコメントした。PCCBは、NDCs実施のための2017年キャパシティ・ビルディング活動の主要テーマを2018年まで延長すると決定した。

UNFCCCキャパシティ・ビルディングのウェブ・ポータルの維持及び更なる発展(PCCB/2017/1/5)に関し、参加者は、次の項目に焦点を当てた:可視化(visibility);相互作用(interactivity);専門化(specialization);強化(enhancing);データの集約及び正確性(data aggregation and accuracy);ポータルと各国のニーズのリンク付け;最善の実施方法(best practices)及び学習事項を含めること;既存のツールとの合体の可能性。

条約の構成機関とのリンク(PCCB/2017/1/6)に関し、PCCB及び構成機関は意見交換を行った。

PCCBは、2016-2020年作業計画(PCCB/2017/1/4-6)に関連する問題について、更なるインプットを得た後、審議を再開し、5月13日土曜日に、残りの問題の審議を行う。

技術メカニズムの定期評価の対象範囲及びモダリティ:Elfriede More(オーストリア)が共同進行役を務めた。定期評価のモダリティに関し、締約国は、次のようなプロセスを提案した:費用効果性及び結果ベースを志向;技術枠組との整合性;技術メカニズムを改善するという目的に特化;利害関係者の参加性。対象範囲(スコープ)に関し、締約国は、パリ協定の実施強化を目的とするよう提案し、インプットには受益国の経験を含めるよう提案した。 この評価をCMAの下におくか、それともCOPの下に置くかでは意見が分かれた。共同進行役は、リフレクション・ノートを改定する予定。

APA

コンタクトグループ会合で、共同議長のSarah Baashan(サウジアラビア)は、5月13日土曜日に予定されるコンタクトグループ会合では、締約国とSBI、SBSTA及び(条約)構成機関との相互交流が可能になると指摘し、5月16日火曜日には、会合期間外の作業を議論するため、代表団の長による会合が開催されると指摘した。全ての議題項目に関する共同進行役は、それぞれの進捗状況を報告した。

多様な諸国グループは、概念の交渉から文章の議論への移行を歓迎し、2時間の会合も歓迎した。モルディブはAOSISの立場で発言し、1時間の会合から2時間の会合への移行を提案した。

エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、文章の議論に移る意思があると表明したが、緩和、適応、MOIのバランスをとり、パリ協定の解釈のし直しは避け、差異化を保持するよう促した。イランはLMDCsの立場で発言し、緩和項目が適応項目及びMOIの項目より進展しているとして懸念を表明した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、時間配分のバランスをとることなど、全ての項目を同じ作業モードを保持しつつ、進めるよう促した。

スイスはEIGの立場で発言し、透明性枠組では時間の制約を理由に一つの要素しか議論されていないとして懸念を表明、バランスのとれた時間配分を促した。

EUは、議題項目の進捗速度には「劇的な違い(dramatic difference)」はないと述べた。

AOSISは、COP 23の前に追加の技術作業を行うよう求め、可能なCOP 24決定書について、共同進行役が非公式ノートを作成し、主要題目の骨格などを示すよう提案した。グアテマラはAILACの立場で発言し、文書草案において可能な題目の議論に焦点を当て続けるよう求めた。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、APAの作業とのリンク付けに注目する構成機関からの最新情報の報告を歓迎した。エチオピアはLDCsの立場で発言し、トルコと共に、APAと他の補助機関と合同の議論を求めた。ウルグアイは、アルゼンチン及びブラジルに代わり発言し、APAの項目同士のリンクを議論するよう促した。

共同議長のBaashanは、共同議長が結論書草案を作成し、火曜日の締約国による審議にかけると述べた。

決定書1/CP.21の緩和セクションに関係する追加ガイダンス:Gertraud Wollansky(オーストリア)が共同進行を務めた。多数の締約国は、決定書1/CP.21の27項に記載する、締約国NDCs報告書に記載すべき情報要素の利用を支持した。対象範囲(scope)に関し、数か国の先進締約国及びグループは、この項目は緩和に限定されると論じた、しかし開発途上国グループのいくつかはこれに反対した。差異化に関し、数か国の締約国は、先進締約国が提供すべき情報と開発途上国に合わせた柔軟性とを区別した。一部のものはこれに反対し、NDCsの国家決定の特性から、差異化は既に運用されていると述べた。目的に関し、締約国は、他の締約国が何を行うのかの理解を深め、進捗状況を追跡する情報を取りまとめ、利用可能なMOIを評価するよう促した。

適応報告書:共同進行役のNicolas Zambrano Sanchez(エクアドル)は、適応報告書の目的に焦点を当てるよう求めた。ある開発途上国グループは、次の項目を含める最初の草案を提出した:適応行動及び計画の報告;適応努力の認定;適応行動及び支援の強化;世界適応目標の達成;適応への注目を高め、緩和との同格性を推進する。別な締約国は、会合前ワークショップの結果との照合を披露した、これには次が含まれる:適応への注目を高める;適応努力の認定;世界適応目標に向けた実施強化と進展;学習、協力、支援の促進;優先分野、実施及び支援方法、計画及び行動の報告。議論が続けられる。

行動と支援の透明性枠組:Andrew Rakestraw(米国)が共同進行役を務めた。締約国は、パリ協定第9条から第11条の下で提供される、資金、技術移転、キャパシティ・ビルディングの支援に関する情報について、その要素を記載した共同進行役のリストを考察した。多数の開発途上国は、次を求めた:運用の目的と原則;「他の諸国が提供する支援(other countries providing support)」への言及削除;先進国による支援の供与は自主的なものでないことの明確化。一部のものは、気候資金の定義を支持し、開発途上国による行動強化に必要な資金援助額を特定する作業について、これを支援するプロセスの設置を支持した。一部のものは、(資金)動員及び支援を追跡する特定情報に特徴的なものの例証を挙げた。

多数のものは、報告を明確かつ一貫性のあるものにするなら、作業の重複は減り、GSTが促進されることに賛成した。一部のものは、技術移転及びキャパシティ・ビルディングへの支援に関する情報はこれまで以上に定量的なものとなる可能性があると指摘した。議論が続けられる。

グローバルストックテイク(GST):Xolisa Ngwadla(南アフリカ)が共同進行役を務めた協議では、GSTのアウトプット、成果、モダリティを議論した。多様な締約国は、GSTには技術フェーズと政治フェーズを含めるべきことで合意した。多数の締約国は、GSTのため国際協力を拡大し、最善の実施方法(best practices)、実施障壁、及びそれを克服する機会を明らかにするよう求めた。多様な開発途上国は、衡平性をGSTの ワークストリームの一つにするよう提案し、別なものは、損失と被害を含めるよう求めた。さらに締約国は、GSTの各フェーズの時間枠、非締約国の参加についても議論した。

実施推進及び遵守促進委員会:共同進行役のJanine Felson(ベリーズ)は、措置及びアウトプットに関する意見陳述を招請した。締約国は、パリ協定における拘束力のある条項と非拘束性の条項で異なるアウトプット、及び共通のアウトプットについて議論した。多様な開発途上国は、遵守メカニズムとMOIとのリンク付けを求めた。資金援助とのリンク付けに関し、ある開発途上国のグループは、多様な先進国の支持を得て、逆インセンティブを作ることになると警告した。一部の開発途上国は、「早期警告(early warnings)」または不順守勧告に反対した。ある開発途上国は、遵守委員会の作業の指針となる一連の原則で合意するよう求め、他の開発途上国と共に、運用上の差異化の必要性を強調した。非公式協議が続けられる。

更なる問題:適応基金:María del Pilar Bueno(アルゼンチン)が共同進行役を務めた。締約国は、可能な要素リストを検討し、多数の開発途上国は「議論すべき問題としてリストアップされた問題は、パリ協定において役割を果たす基金の必要条件ではない(listed issues to be addressed are not prerequisites for the Fund to serve the Paris Agreement)」と強調した。これら諸国は、これらの問題を解決するため、将来、パリ協定の制度及びメカニズムが明確にされた後、解決プロセスを設置するのが可能ではないかと提案した。ある先進締約国は、同意できないとし、マラケシュ合意ではこの基金は「これらの問題を明確化した上で(following clarification of these issues)」(パリ)協定で役割を果たすとされていることを想起した。

多数の開発途上国は、この基金のCOPの権限の下での運用を支持したが、他のものは、CMPの権限の下での運用を見越し、この場合は京都議定書の柔軟性メカニズムに関係する問題に限定されると説明した。ある先進国は、これに反対し、この基金をCMAの権限の下に置くことを希望した。議論が続けられる。

適応基金以外の問題:APA共同議長のJo Tyndall(ニュージーランド)が共同進行役を務めた。この会議では、隔年報告書情報のモダリティ、資金メカニズムの運用機関に対する指針を検討した。一部の締約国は、情報についての議論は義務であるが、モダリティについては同様の義務はないと論じた。他のものは、パリ協定に規定される明確な義務以外の議論に入ることに反対すると論じた。ガイダンスに関し、多数の締約国は、既存のガイダンスが準用されるので、「行き場がない(homeless)」わけではないと指摘した。議論が続けられる。

廊下にて

四日目を迎え、(外の)変わりやすい天気は、交渉の場の雰囲気を映し出しているようだった。国連大学ビルの23階では、キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会が明るい雰囲気のうちに開始され、初代の共同議長を選出し、その作業計画に関し活発な議論を繰り広げた。オブザーバー用の席は限られていたが、共同議長は積極的な参加を奨励、多くのものはこれを好意的に受け止めていた。他方、予算の議論は曇りがちであった。締約国は、補足文書の大きな手直しを要求、数名のものは、名目上ゼロ成長という予算案について、詳細な説明を求めた。事務局の予算増額案を検討する意思を表明したものも、議論を続けるため、更なる情報を提出するよう求めた。そのような文書がなかったことから、本日の議論は延期され、多数のものは、二極化した立場の橋渡しに残された時間が短いことを嘆いた。ある参加者は、主要締約国(米国?)の予算貢献をめぐる不確実性から、一部のものが懸念していた20%の予算減額と比べると、(予算の増額)ゼロのオプションは、良いニュース(good news)」だと指摘した。

以上

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