Summary report, 24 February 2015

気候変動に関する政府間パネルの第41回総会 (IPCC-41)は、2015年2月24-27日、ケニアのナイロビで開催された。IPCC-41の議題は、IPCCの将来作業であり、この中には、 IPCC将来作業に関するタスクグループの提案の審議、IPCC議長団及び他の全てのタスクフォース議長団の人数、組織構造、構成に関する決議の議論が含まれる。このほかIPCC-41では、次の議題を議論した:議長代理の任命に関係する手続き上の問題;コミュニケーション及びアウトリーチ活動、これには専門家会議招集というノルウェーの提案も含める;IPCC利益相反方針の実施;国連気候変動枠組条約及び他の国際機関に関係する問題。約200名がこの会議に出席した。

開会の前に、IPCC議長のRajendra Pachauriは、国連事務総長のBan Ki-moonに辞表を提出した。IPCC副議長のIsmail El GizouliがIPCC議長代理に任命された。

パネルは、IPCCの将来作業に関する一連の決定書を採択した、この中には次が含まれる:IPCCの制作物の作成とそのタイミング及び有用性:IPCCの組織構造;IPCC事務局及びIPCCテクニカル・サポート・ユニット(TSU)のそれぞれの役割;調整役代表執筆者及び代表執筆者の選抜とこれら執筆者に対する支援に関するオプション;執筆及び査読プロセスの改善。さらに決定書は、途上国の参加についても記載、この中には途上国からの適格な専門家を引き寄せ、IPCCへの参加を強化し、容易にするための追加措置を含める。

これに加えて、パネルは、ノルウェーの提案どおり、コミュニケーション及びアウトリーチに関する専門家会議を開催し、地域的な気候予測と影響やリスクの分析研究への活用に関するワークショップを開催すると決定した。パネルは、IPCC-42を2015年10月5-8日、クロアチアのドゥブロヴニクで開催することで合意した。

IPCCの経緯

IPCCは、1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された。人間の諸活動が原因となっている気候変動に伴うリスクや今後の影響、適応策や緩和策の理解に関する科学、技術、社会経済情報の評価を目的として設立された。ただし、IPCC自体では新たな研究は行わず、気候関連データのモニタリングも行わない。その代わりIPCCは発表済みの査読を受けた科学技術文献に基づいて知見の評価を行う。IPCCの報告書は、政策中立性をめざし、政策規範的にはならないことを意図している。

IPCCは3つの作業部会(WG)を有する。WG Iでは、気候系および気候変動の科学的な局面を扱う。WG IIでは、気候変動に対する社会経済システム及び自然システムの脆弱性、気候変動の影響および適応策を扱う。WG IIIでは、温室効果ガス(GHG)の排出を抑制し、気候変動を緩和するための施策を扱う。IPCC-41まで、各WGでは、2名の共同議長、6名の副議長が務めていたが、WG IIIでは第5次評価サイクルの期間に限って3名の共同議長が立てられた。共同議長は、パネルが各WGに課した任務が果たされるよう指導し、その任務遂行のためテクニカルサポートユニット(TSU)の支援を受ける。

さらに、IPCCは、国別温室効果ガス(GHG)インベントリに関するタスクフォース(TFI)を有している。TFIは、IPCCの国別GHGインベントリ・プログラムを監督するためのもので、同プログラムは、各国のGHG排出量・除去量の計算と報告書作成のため、国際的に合意された手法やソフトウェアを開発・改善し、こうした手法を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国が利用するよう推進する。

IPCCのパネルはビューロー(議長団)を選出し、1つのIPCC評価報告書に係わる期間全体を任期として務める。議長団の役割は、IPCCの作業に関する計画、調整、監視においてIPCC議長を補佐することであり、議長団メンバーは全ての地域を代表する気候変動の専門家で構成される。現在、議長団は31名のメンバーで構成されている。IPCC議長、副議長、3つのWGの共同議長および副議長、TFIの共同議長という構成だ。2011年には、この議長団に加え、会合間隙中の作業ならびにWG間の調整を支援するための執行委員会を設置した。執行委員会は、IPCC議長、IPCC副議長、WGおよびTFIの共同議長のほか、事務局トップやTSUの長4名を含める諮問メンバーで構成される。IPCC事務局はスイスのジュネーブに設置され、WMOがホスト機関となっている。

IPCCの成果:設立当初からIPCCは総合評価報告書、特別報告書、技術報告書を作成。専門家や政府による厳しい査読を受けた気候変動に関する科学情報を国際社会に提供してきた。第1次評価報告書は1990年、第2次評価報告書は1995年、第3次評価報告書は2001年、第4次評価報告書(AR4)は2007年に公表された。

現在、評価報告書は、各WGがそれぞれ作成した報告書をまとめた3部構成となっていて、それぞれの報告書の中に、政策決定者向け要約(SPM)、技術要約(テクニカルサマリー)、そしてその根拠となる評価報告書の本体が収められている。全ての報告書は徹底した3段階の査読を受ける。第1段階では専門家による査読、第2段階では専門家と政府による査読、第3段階では政府による査読が行われる。各SPMは、管轄のWGにより、一行ごとの承認を受ける。また、評価報告書には、統合報告書(SYR)も含まれるが、これは3つのWG報告書の中でも最も重要性の高い項目に焦点を当てたものであり、SYRのSPMは、IPCCパネルによる一行ごとの承認を受ける。

IPCCは、総合評価報告書のほか、特別報告書、手法論報告書(メソドロジー・レポート)、技術報告書(テクニカルペーパー)を作成し、気候変動の個別の問題に集中的に取り組んでいる。これまでにIPCCが作成した特別報告書は以下の通り。「土地利用、土地利用変化、森林(lulucf)」(2000年);「二酸化炭素回収貯留」(2005年);「再生可能エネルギー源および気候変動緩和 (SRREN) 」 (2011年)。「気候変動への適応推進に向けた極端現象および災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX) 」(2011年)等がある。また、技術報告書としては「「気候変動と水」(2008年)等が作成されている。

さらに、IPCCは、各国のGHGに関する報告を支援するための手法論についての報告書やガイドラインも作成している。グッド・プラクティス・ガイダンス報告書は、2000年、2003年にパネルの承認を得たものであり、最新版のIPCC国別GHGインベントリ・ガイドラインについては2006年にパネルの承認を得た。さらに、2013年には「国別GHGインベントリ:湿地のための2006年ガイドラインに対する2013年版補遺」ならびに「京都議定書の手法およびグッド・プラクティス・ガイダンス2013年補遺改訂版」も採択された。

IPCCは、2007年12月、「人為的気候変動に関する知識の構築、普及、変動への対応に必要な基礎の構築」というIPCCの作業と努力に対し、米国のアル・ゴア元副大統領とともに、ノーベル平和賞を受賞した。

IPCC-28:ハンガリー・ブダペストで開催された総会(2008年4月9-10日)では、第5次評価報告書(AR5)の作成とWGの現行体制の継続で合意した。また、AR5の新シナリオの顕著な利用を可能にするため、パネルは、議長団に対し、WG Iの報告書を2013年の早い時期に提供し、他のWG報告書とSYRを2014年の出来るだけ早い時期に完成させるよう要請した。

IPCC-29:この総会(2008年8月31日-9月4日、スイス・ジュネーブ)は、IPCC設立20周年を記念する祝賀会合となった。新しいIPCC議長団がパネルによって選出され、Rajendra Pachauri(インド)がIPCC議長として再任された。また、IPCCの将来に関する議論を継続し、ノーベル平和賞の賞金を基に、開発途上国出身の若い気候変動科学者を対象とした奨学金制度を創設することでパネルが合意した。

IPCC-30:総会(2009年4月21-23日、トルコ・アンタルヤ)は、近い将来のIPCCのありかたを中心に議論し、AR5スコーピング会議の指針を提示した。スコーピング会議は2009年7月13-17日、イタリア・ベニスで開催された。

IPCC-31:この総会(2009年10月26-29日、インドネシア・バリ)における議論の焦点は、スコーピング会議の参加者が作成したAR5各章の概要案の承認であった。さらに、開発途上国や経済移行国の科学者の参加、電子技術の活用、IPCCの長期展望など、IPCC-30の決定の実施進捗状況についてパネルで検討された。

インターアカデミーカウンシル(IAC)のレビュー:AR4の中の不正確な記述をめぐるIPCCへの批判や、こうした批判に対するパネルの対応ぶりを受けて、国連の潘基文事務総長とIPCCのRajendra Pachauri議長は、IPCCのプロセスと手順について第三者レビューを行い、IPCCの強化と報告書の質の確保を図る勧告を提出するようIACに要請した。2010年8月、IACはレビュー結果をまとめた報告書を提出。IACのレビューでは特に次の点が勧告された:IPCCの管理体制;危機対応計画を含めたコミュニケーション戦略;参加者の選出基準や評価対象の科学技術情報のタイプを含めた透明性;不確実性をめぐるWG間の定義の一貫性。

IPCC-32: この総会(2010年10月11-14日、韓国・釜山)では、IACのレビュー勧告が取り上げられた。パネルは、いわゆる「灰色文献」や不確実性の扱い、過去の報告書での誤記対応プロセスなど、多くの決定が採択された。パネルは、さらに精査が必要な勧告内容について議論するため、プロセスと手順、コミュニケーション、利害相反(COI)政策、ガバナンスと管理に関するタスクグループを設置した。また、AR5 SYRの概要改訂版が受理された。

IPCC-33:総会(2011年5月10-13日、アラブ首長国連合・アブダビ)では主にIACレビューのフォローアップに焦点が当てられた。パネルは、執行委員会を設立、COI政策を採択し、IPCC報告書の手順に数件の変更を加えた。また、パネルは、AR5の進捗状況を検討した。

IPCC-34:総会(2011年11月18-19日、ウガンダ・カンパラ)では、IPCCの評価報告書の作成・レビュー・受理・採択・承認・刊行の改訂手順を採択し、COI政策の実施手順および公表様式が採択された。

IPCC-35:総会(2012年6月6-9日、スイス・ジュネーブ)は、IAC勧告に関するパネルの審議を総括するものとなり、IPCC事務局やTSUの機能、コミュニケーション戦略が承認された。

WG I-12IPCC-36: この特別作業部会および全体総会(2013年9月23-26日、スウェーデン・ストックホルム)開催中に、WG-1が「気候変動2013:自然科学的根拠」と題するAR5 報告書を完成させた。その後のパネルでWG-1のSPMが承認され、テクニカルサマリー(技術要約)と附属書を含む報告書本体が受諾された。

IPCC-37:   この総会(2013年10月14-17日、グルジア・バトゥミ)で、「2006年国別GHGインベントリ・ガイドラインに対する2013年追補:湿地」と「2013年京都議定書の補足的方法論およびグッド・プラクティス・ガイダンス改訂版」という2つのメソドロジー報告書が採択された。また、IPCCの将来像についても初期の議論を行った。

WG II-10IPCC-38: この総会(2014年3月25-29日、日本・横浜)において「気候変動2014:影響・適応・脆弱性」と題した第2作業部会(WG II)のAR5報告書が完成した。その後、WG IIのSPMが承認され、技術要約と附属書を含む報告書本体も受理された。

WG III-12IPCC-39:この総会(2014年4月7-12日、ドイツ・ベルリン)において、「気候変動2014:気候変動の緩和」と題した第3作業部会(WG III)のAR5報告書が完成した。その後、WG IIIのSPMが承認され、技術要約と附属書を含む報告書本体も受理された。また、IPCCの今後やCOI等について討議が行われた他、IPCCの将来の作業に関するTGFの初会合が4月6日に開催された。

IPCC-40この総会(2014年10月27-11月1日、デンマーク・コペンハーゲン)において、IPCCの3つの作業部会の知見を総合したSYRについての審議が行われ、完成の運びとなった。11月1日には、SYRのSPMについて一行ごとの承認作業が行われ、SYR本体についてもセクションごとに承認された。

IPCC-41レポート

IPCC-41開幕に先立って、2月24日(火)に歓迎式典が開催された。国連環境計画(UNEP)のAchim Steiner事務局長は、世界に気候変動への対処行動を起こさせるというIPCCの役割に焦点を当てつつ、2015年以降の開発アジェンダと気候変動への対応策との関係性について強調した。また、将来のIPCCの役割を検討する上で、IPCCはその中核業務に専念する方針を維持し、すべての意思決定者にとって関連性が高く、確実に汎用性ある作業を行っていくべきだと主張した。

世界気象機関(WMO)のJeremiah Lengoasa事務次長は、5月に予定されるWMO総会について触れ、世界気象計画の活動に関する決議や現在も行われている地域規模の知識の探求、ジオエンジニアリング分野の研究・モニタリング・ガバナンス枠組み等、IPCCにおいても関心が高いと思われるテーマを扱っていることを指摘した。また、UNFCCC交渉への参加を含め、様々な層に関与するIPCCに賛辞を送った。

ケニア環境・水・天然資源省のJudi W. Wakhungu長官は、気候変動の現実を世界に知らしめたAR5の役割を強調するとともに、ケニア国内では、気候変動行動計画の承認など、気候変動に取り組むための制度的な調整が進められていることを指摘した。また、IPCCが開発やリスク管理に関する重要不可欠な情報を提供しているとし、最も脆弱な人々に便益をもたらすよう理解しやすい形でIPCCが効果的な情報アクセスを確保していくよう求めた。

IPCC事務局長のRenate Christは手続き事項を審議するためのビューロー会合の開催を発表した。

開幕会合

ビューロー会合に続き、IPCC副議長Ismail El Gizouli(スーダン)が正式にIPCC-41を開会。ビューロー会合がRajendra Pachauri議長の辞表コピーを受けとった後に開催されたと述べ、El Gizouli現副議長をIPCC議長代理に任命することでビューロー側が合意したと説明した。その後、IPCC事務局長のRenate Christが、国連事務総長宛に提出されたPachauri氏の辞表を読み上げた。

El Gizouli議長代理は、IPCCを過去13年間にわたり率いたPachauri前議長に感謝の意を伝えるとともに、すべての参加者が4日間の会期に、オープンで前向きな対話を行うよう促し、とりわけ途上国出身の科学者の参加強化策を模索する上でAR5のプロセスから学んだ教訓を足がかりにしていくよう求めた。

WMOのLengoasa事務次長は、IPCC議長の職責を果たしたPachauri氏に謝辞を述べるとともに、今次総会がおそらく任期最後となるIPCCのChrist事務局長の尽力に感謝の意を示した。

UNFCCCのChristiana Figueres事務局長は、全体総会に寄せたビデオメッセージの中で、気候変動に関して山積する課題意識の高まり、各国政府による大量動員や民間部門における気候リスクへの意識向上と市民社会の不安増、および脆弱性の高まりが、3つの転換点であると指摘した。また、IPCCの今後の作業については、長期的な2℃目標の評価におけるIPCC制作物の活用や、気候影響の理解向上と知識提供を通じた脆弱な人々の地位向上、さまざまな都市の首長や投資家ならびに一般市民を含む意思決定者とのコミュニケーション等を挙げた。さらに、 “世界市民のためのサマリー”を作成して、SPMを補完するという案を提唱した。

IPCCのChrist事務局長は、今回で最後の総会になることから、全体会合の場で、これまでの歳月に共に作業をしてきた人々全てに感謝すると述べ、IPCCの発展は、政策決定者向けの情報提供のための一モデルになると話した。また、コミュニケーションとアウトリーチ活動、事務局のキャパシティや組織的な手続きにおける発展についても焦点をあてる一方で、IPCCには引き続き政府の自主的な貢献の基盤を拡大していく必要があると指摘した。また、IPCCの制作物、特にUNFCCC報告書の範囲と時期や、早い段階におけるWG間の協働、社会科学や哲学などの幅広い学術領域での対話の強化、IPCCプロセスの堅牢性と厳格性を維持しつつ、ますます増大する文献を活用するための革新的アイディア、途上国出身の執筆者や政府関係者の参加を強化するための推進策について検討する必要があると指摘した。

その後、議題(IPCC-XLI/Doc.1, Rev.1;及び IPCC-XLI/Doc.1 Add. 1)がパネルで採択された。

IPCC40回総会の報告書案の承認

IPCCのChrist事務局長は、IPCC第40回総会の報告書案(IPCC-XLI/Doc. 2, Rev.1)を紹介し、予算及び進捗報告書に関してドイツが要請した改訂案について言及した。また、米国から寄せられた質問を受けて、事務局は、2014年に専門家会合が開催された場合の予備費について、今次総会で行われた関連決議すべてを意味すると説明した。報告書案は追加的な改訂が入れられることなくパネルで採択された。

IPCC事業予算

Christ事務局長は、収支報告書案や2015年度の承認済み予算に対して要請のあった修正事項、その他の問題などが盛り込まれた事業予算 (IPCCXLI/Doc. 11)を紹介した。

Nicolas Bériot (フランス) 及びAmjad Abdulla (モルディブ)が共同議長を務める財務タスクチーム(FiTT)が設置され、会期末の全体会合で報告を行うことが決まった。FiTTの会合は会期中に何回も行われた。

FiTT 共同議長 Bériotは金曜午後、FiTTの作業成果 (IPCC-XLI/Doc.11)を紹介。また、FiTTのAbdulla共同議長は、2017年指標予算や、IPCC予算への寄付者数の減少、予算文書の利用し易さを向上させるための新たな色別コード・システム等について強調した。この結果については、パネルでの合意が得られた。

オブザーバー機関の認定

IPCCのChrist事務局長は、議題項目 (IPCCXLI/Doc.7)を紹介し、新たなオブザーバーとして3つの機関[Action Jeunesse pour le Développement(コンゴ共和国); Global Carbon Capture and Storage Institute(オーストラリア); School of Public and Environmental Affairs(米インディアナ大学)]がパネルで承認された。

今後のIPCCの作業

    火曜午後、議長代行のEl GizouliからIPCCの今後の作業に関する議題項目の紹介があった。Gizouli議長代行は、TGFからの提言の検討 (IPCC-XLI/Doc. 4); IPCC ビューロー及びあらゆるタスクフォース・ビューロー (TFB)の規模・体制・構成 (IPCC-XLI/Doc.15) 、IPCCの任命及びレビュー・プロセス–事務局レポート(IPCC-XLI/Doc.3)等の小項目を一緒に取り上げることを提案した。

その後、Christ事務局長は、議題の小項目に関して、TGFでは、複数のオプションのある報告書を実効性ある各種オプションを記載した一連の提言書の形に変えたことに触れ、IPCCビューローの規模と体制に関する決議を採る必要があることや、IPCC第42回総会の前に選挙規則を改正すべき点などを指摘した。

影響・気候分析のためのデータ・シナリオ支援に関するタスクグループ(TGICA)共同議長のBruce Hewitsonは、TGICA及びIPCCデータ配送センター(DDC)の将来 について取り上げ、TGICAの強化とDDCの改善を支持し、それにより、WG間の知識共有化の改善や当局によるアーカイブ資料の参照、会合への参加以上のTGICA活動における関与等、ニーズにマッチした新たな選考プロセス等のメリットがあると説明した。さらに、TGICAやDDC、事務局、各WG間の活動の調整役として、フルタイムのTGICAプログラム支援専門家を任命することを提案した。また、DDC改善については、技術の専門知識が少なくリソースにも乏しい読者層に適したコンテンツ作りや、データ利用者のための支援拡大、データセット指数の創設、DDC基準に則ったアーカイブ・データ量のアップ等の追加活動を挙げ、そのためにはDDC改善用の資金アップが必要だと指摘した。

スイスは、TGICAの強化案について質問し、DDCについては、IPCCの将来に係わる全ての要素についての決議に不可欠だとして議論するよう求めた。

TGFの提言についての検討: 今会期を通してパネルで議論されたのは、TGFからの提言で、IPCCの制作物、タイミング、利用度; IPCCの体制; 事務事項やIPCC事務局および IPCC TSUのそれぞれの役割; 調整役主幹執筆者 (CLAs)、 主幹執筆者s (LAs) 、査読編集者(RE)の選考と支援; 資格要件を満たした途上国出身の専門家を勧誘し、IPCCへの参加を推進するための追加措置等の内容であった。

火曜午後、 TGF 共同議長s Helen Plume (ニュージーランド) およびTaha Zatari (サウジアラビア)が提出したTGFの提言 (IPCC-XLI/Doc. 4)に関する議論が議長代行 El Gizouliによって開始された。

IPCC制作物のタイプ とタイミング: 総合的な評価報告書の準備については、今後も5~7年ごとに作成を続けると記したパラグラフについてパネル合意が成されたものの、評価サイクル中の特別報告書の作成や、評価報告書を補足するための最新速報版、評価報告書を補完するための地域別報告書の作成等、3つの補足案は多くの議論を呼んだ。

特別報告書については、ノルウェーが、ベルギー、ブラジル、パキスタン、サウジアラビア、南アフリカの支持を受け、特別報告書はできるだけ早い時期に検討を開始し、当該サイクルのすべての制作物と関連させて実施していくことを提案した。

ノルウェー、英国、南アフリカ、スロヴェニア等の国々は、特にUNFCCCのニーズに合わせるために最新速報版を作成するというコンセプトを支持したものの、ブラジル、米国、マリ等が、信頼性と精度を保ちつつ作成できるかという点や、新情報の可用性の頻度や査読手続き、執筆者の追加負担等が懸念されると指摘した。WGIのThomas Stocker共同議長は、中国、南アフリカ、ベルギーの支持を受け、 “速報”という用語は明確ではないと指摘した。

地域別報告書の作成については、多くの締約国が、 もっと地域に焦点を絞る案を支持した。パキスタンは、ブラジルの支持を受け、特別報告書の問題と併せて対処することを提案した。オランダは、ブラジルの支持を受け、オンラインデータベースや柔軟に比較可能な地域情報や気候モデルを提供するためのメソドロジー整備を推奨した。WGIのStocker共同議長は、ベルギーの支持を受け、“地域”の定義を疑問視し、新たなIPCCの制作物は全て、IPCCの対象範囲や査読、最終承認という要素を満たす必要があると指摘した。IPCCのChrist事務局長は、地域別報告書の作成にあたり、地域に特化した特別報告書、または完成した評価報告書をベースにした技術報告書という現行の2つ手続きのいずれかが使えると指摘した。ロシアは、ドイツの支持を受け、地域別報告書を作成すればIPCCの作業負担は増大すると嘆いた。

特別報告書と地域別側面に関する文章の統合をめぐり数々の提案が出され、その後、事務局とTGFは水曜朝に改訂文を紹介。その中で、特別報告書については、地域の情報や優先課題に焦点を当てつつ、特にUNFCCC等からの新たな要望に応え、特別報告書やメソドロジー報告書、技術文書のための意思決定枠組みと整合性をもたせながら、当該サイクルの制作物すべてとの関係で、出来るだけ早い時期に決定すべきだと主張した。

ブラジル、南アフリカ、ニカラグア、メキシコ、モルディブは、地元コミュニティや先住民の参加; ピアレビューを受けた文献のない非常に脆弱な地域におけるワークショップからの情報入手などによる証拠集め等、文言を追加する必要があると強調したが、この案は受け入れられなかった。

チリ、タンザニアは、AR5 WGII 報告書や評価報告書の地域別側面の強化を望む声とのギャップが生じているため、地域別の側面に関するパラグラフ案を出したと述べた。El Gizouli議長代行は、最新速報に係わる懸念は、意思決定枠組みとの整合性に関する文章でカバーされたと述べ、統合した文章が修正なしで採択された。また、評価報告書の間隔に関する前のパラグラフは、評価報告書の地域的側面にスポットを当てる形に変更された。

早い段階での横断的テーマ(クロス・カッティング・イシュー)の対象範囲の決定(スコーピング)に関して提案されている条項やWG間の協働作業の重要性の高まり、IPCCの主要成果物たるSPMやSYRについての言及に関しては、WGII 共同議長のChris Fieldが、IPCCの全ての制作物を強調する必要性があると主張した。これを援護する形で、米国は報告書の重要度についてヒエラルキーをつくってはいけないと警告したが、他方サウジアラビアは、 SPMとSYRこそが主要成果物だと強調した。

その後の議論で、SPM、SYR、ならびに横断的テーマ(クロス・カッティング・イシュー)に関するスコーピングの早期開始; WG間協力強化の重要性の強調; 過去の評価報告書からの教訓を勘案しつつ、この点を新ビューローが特に意識することを要請する等、いくつかの提案が出された。

ドイツは、エジプトの支持を受け、完全な報告書よりもSPMのスコーピング版の方が、焦点を絞って作業負荷を軽減させられるので良いと主張した。WGIのStocker共同議長は、スウェーデン及びノルウェーの支持を受け、SPMは従来、評価報告書に不可欠な部分であり、これまで一度もスコーピング作業の対象となったことはないと強調した上で、SYRならびに全ての横断的テーマのスコーピングを提案した。 WGII 共同議長 Fieldは、横断テーマは必ずしもスコーピングせずに早い段階で検討すべきだと明言し、さらなる議論の後、SYRのスコーピング 条項について合意が成立した。また、早い段階で横断テーマに注目することや、WG間の協力強化の重要性の高まりに関する条項についても合意が成された。

その後パネルでは、WG 報告書のタイミングについて、2つの代案が議論された。一つの案は、各WGの報告書を2~3カ月おきに段階的に作成し、1年以内に評価報告書を発表する案、もう一つの案は、一つのWG報告書で紹介された内容が他のWGの報告書や統合報告書(SYR)の中でも適切に反映できるようWGの報告書ごとの公表間隔をもっと空けるという案である。ニュージーランドは、段階的アプローチでは各報告書のタイムラグが数年に及ぶ可能性があるとし、ある程度柔軟性を持たせた上で1年以内に評価報告書を公表するという案を支持した。ベルギーは、段階的アプローチによって、IPCCがより長くメディアの注目を集めることができると示唆した。また、米国も、現在の同時並行的なレビュー作業の難しさを指摘した上で、段階的アプローチを採用する方が良いと述べた。モルディブも段階的アプローチを支持し、1年という期間の中で報告書についてコメントするにはキャパシティに制約があると強調した。

WGIII 共同議長 Ottmar Edenhofer は、どのような評価報告書のスケジュールを選ぶかは、全てのWG間の成果をまとめる手順が整っているかどうかという点にかかっているとし、手筈が整っているならばタイトなスケジュールが良いと提案した。 WGIのStocker共同議長は、WG報告書の全情報をタイムリーな形でSYRに集約できるような柔軟なアプローチを提案した。

El Gizouli議長代行は、2つの代案をまとめる形で文章を再構成し、評価報告書の全てのパートを1年以内に公表し、WG報告書で紹介された全ての情報を他のWG報告書やSYRでも十分に反映できるように段階的なアプローチを採るよう求める文章を紹介した。

ドイツが、 この文章を支持して、WG報告書の順序については変更することもやぶさかではないと述べたのに対し、El Gizouli議長代行は、スコーピング会合の間に順番を決めると返答した。

中国は、作成スケジュールを18カ月に延長する案を支持したが、スロヴェニアは、 18カ月以内に収める法が良いと主張した。EUは、もっと短期間で作成した方がもっと付加価値が上がるとし、AR5のシナリオ変更点が第6次評価報告書(AR6)の中でも繰り返し記載される事はおそらく無いだろうと指摘した。

当該の文章は 「WG報告書は12-18カ月以内に公表される」という修正文が入れられた上で、採択された。

その後、地域や国ごとの科学的評価報告書において各国や各地域の能力を向上させ、支援していくための具体的なメソドロジー報告書またはグッド・プラクティス・ガイダンス(優良実践事例ガイダンス)報告書の作成に関する規定が取り上げられた。議論の中心となったのは、IPCCがそうした報告書について “will”/“may” “develop” (作成を検討する/検討してもよい)とするか、 “further consider whether to develop”(作成をさらに検討する) と記載するかという点であった。

この文章は不明瞭であり、将来的にいつでもそうした決議を採ることは可能だとし、英国は、パラグラフ自体の削除を提案したが、ドイツ、オランダ、エクアドル等が反対を唱えた。一方、 あまり規範的にしないように留意しつつ、メソドロジー報告書やグッド・プラクティス・ガイダンス報告書の必要性を認識することが重要との点については、概ねメンバーの合意を受けた。

正確な文言についてはその後も議論が続いたが、ベルギー案を若干修正し、「IPCCは、地域や国別の科学的な評価報告書の作成を推進するため、例えば、メソドロジー報告書またはグッド・プラクティス・ガイダンス報告書の作成を検討する」“IPCC will consider developing methodology reports or good practice guidance reports…(中略)”という一文にすることでパネルの合意が成立した。

その他の関連する国際機関や評価機関との連携強化策のさらなる模索については、報告書作成における関係団体とのパートナーシップも含め、日本は、今後パートナー機関のリストの中に、地域や国際的な研究機関やネットワークを含めることを目指すべきだとし、こうした機関が様々な地域の科学者の能力向上を支援しているたことを理由に挙げた。インドとモルディブは、国立の諸機関を含めるよう求めたが、両者の提案は最終的に受け入れられなかった。

WGIのStocker共同議長等が、 IPCCの評価報告書に関連情報を提供しているその他の国際機関や研究団体もリストに含める対象に拡大すべきだとする文章を提案した。 英国、ペルーは、“研究” 機関ではなく、むしろ“科学”機関という表現の方が良いと主張し、この意見が最終的に受け入れられた。

オランダは、共同作業による報告書づくりが完全にIPCCの諸規定や手続きを守るよう改めて保証するよう求めた。Christ事務局長は、 その他の機関とIPCC との協力事例を上げ、それらの全てがIPCCの諸規定や手続きを守っていると述べた。

技術文書に関する協働について記した箇所を削除することで合意が成立した後で、サウジアラビアは、ブラジル、モルディブ、タンザニアとともに、そうした団体のリストを含め、その他の団体とのパートナーシップにおいて、“報告書の作成と明記した” 文言の削除を提案した。スイスは、ドミニカ、タンザニア、米国、サウジアラビア、モルディブの支持を受け、協働作業の性質について明記する案は余りに限定的だとして反対した。この文言の削除案は合意を受けた。最終的に「IPCCは、その他の関連する国際機関や科学団体との連携強化策をさらに模索する」と記載することが決まった。

最終結果: IPCCの報告書のタイプとタイミングについては、パネルで行った決定は以下の通り:地域的な局面を含めて補完する特別報告書を含め、5-7年おきの総合評価報告書の作成を継続;今後の報告書とタイミングの決定においてはUNFCCCの作業に配慮; 12-18カ月以内に評価報告書の全てのパートを公表する。

また、パネルは以下の決定も行った。: 早い段階でSYRのスコーピングを実施; WG間の協力強化; 国別GHGインベントリに関するメソドロジー報告書及びその他のメソドロジー報告書やグッド・プラクティス・ガイダンスの報告書等の作成を継続;関係する国際機関や科学機関との連携強化策を模索。

 さらに、特別報告書やメソドロジー報告書、テクニカルペーパー向けの意思決定枠組みによってUNFCCCからの要請について検討することをパネルで決定。

IPCC報告書のさらなる利用度向上: SPMへのコミュニケーション・スペシャリスト の関与については、多くの国が、SPMだけでなく、IPCCの全ての制作物についてスペシャリストが関与する必要があると指摘した。米国は、ノルウェーの支持を受け、草案作成の全期間にわたりスペシャリストの参加を求めた。その他の国が、参加するスペシャリストの役割や資格についてさらに検討する必要があると指摘した。カナダは、米国の支持を受け、コミュニケーションのスペシャリストと科学専門のライターの両方が参加する必要があると指摘した。

WGIの報告書の「よくある質問と回答」(FAQ)の部分やSPMの見出しの文章に科学の専門ライターが関与している事例を挙げつつ、WGIのStocker共同議長はスペシャリストが可能な役割について強調した。一方で、IPCCの制作物については執筆者の権利を維持していく必要性もあると指摘し、WGIIのField共同議長もこの点を支持した。

El Gizouli議長代行は、草案作成期間にIPCC制作物の利用度向上や読みやすさの改善に向けて科学ライターやコミュニケーションのスペシャリストがいかに補佐することができるのかIPCCはさらに検討すると記した修正文章を紹介した。

エジプトは、IPCCの手続きを踏まえる必要があると強調し、この新たな文章への懸念を示し、草案作成期間を通じて関係ある専門家からの支援を求めるべく、代わりの文章案を提案した。

ノルウェーは、オランダの支持を受け、IPCC-41にコミュニケーションのスペシャリストを参加させるための明確な決議を採るよう求めたが、サウジアラビアが本件は審議継続中であり、これを反映した文言を入れることを支持した。

カナダは、英国の支持を受け、もっと直接的に行う必要があると強調した新しい 文章を提示し、今次会議で採決することを提案した。他方、ブラジルは、カナダの修正決議案に反対を唱え、SPM一極集中性の排除やIPCC制作物の読みやすさを高めるため各種専門家の助言を求める方針等を盛り込んだWGIのStocker共同議長提案を検討するよう求め、この提案が合意を受けた。

IPCC報告書に英語以外の言語で書かれた文献をより良く反映するための方策については、TGFのテキストには、パネルで議長団向けの勧告を採択し、下記の措置を検討することが提案された。 (1)非英語言語の文献へのアクセス改善のため既存の委員会やネットワークを活用または設定; (2) 個別トピックに関する専門家の意見や具体的な助言を受けるため、そうした文献の執筆者にアプローチ; (3) 非英語言語で、特に途上国で出版された関連文献を特定。 また、この文章案によると、本件に関して、そうした文書の翻訳に国連の言語サービスが役立つ可能性があると示唆し、関連トピックについては、そうした文献の執筆者に専門家の意見や具体的な助言を求めるためにアプローチすることも可能だと示唆している。

1点目については、WGI Stocker共同議長が、英語以外の言語の文献を特定する上で、IPCCのフォーカルポイントや議長団のメンバーが貴重な役割を果たせると指摘した。米国、日本、カナダは、非英語文献へのアクセス改善にあたって委員会やネットワークを新設するよりも、既存のものを活用する方がいいと主張した。 他方、韓国は、いま存在している委員会に絞る案に反対を唱えた。

2点目については、WGIIのField共同議長が、そうした執筆者に専門査読者や貢献執筆者、各章の科学者になってもらうよう働きかけるという案を出し、この案が合意された。

3点目については、米国が、ドイツ、カナダ、スイスとともに、国連言語への翻訳サービスを利用して文献を完訳することには翻訳コストや必要性の面で疑問があるとして反対した。しかし、エジプトが反論した。ブラジルをはじめとする国々が、関連トピックについて、専門家としての意見や具体的な助言を提供してもらうため、そうした文献の執筆者にアプローチすると記載することに反対した。

TGFのPlume共同議長は、TGFはあくまでも議長団に本件の検討を提案しただけであり、全てはリソースの利用可能性との兼ね合いで決定を下すもので、TGF内でも強くこれらの見解が示されていたと改めて説明した。

その後のパネルで修正案が合意され、議長団に対して、以下の提案を行うことが決まった。英語以外の言語の文献へのアクセス改善のため、地域別の委員会やネットワーク、IPCCフォーカルポイントやWG副議長を活用; そうした文献執筆者に専門査読者や貢献執筆者、各章の科学者として務めてもらうよう働きかける; 特に途上国で出版された非英語言語の文献を特定、国連の言語サービスによる翻訳支援を活用。

最終結果: IPCC報告書の利用度アップについては、以下のパネル決定が行われた: 情報交換や情報配信にデジタル技術の活用を推進・強化を行うようIPCC事務局に要請; IPCC制作物の読みやすさの改善のため適宜スペシャリストの助言を要請。

IPCCにおける非英語文献の評価向上非英語文献については、議長団に下記を行うようパネルが要請。英語以外の文献へのアクセス改善; 各国政府や国際機関と協力の上、その他の言語の科学文献を特定; IPCCのプロセスに関係ある非英語文献の執筆者が関与するよう奨励。

IPCCの組織構造:水曜日午後、議長団及びTFBの組織構造、構成、規模に関する草案パラグラフに関し、議長代理のEl Gizouliは、現状維持もしくは改定という二つのオプションを指摘、31名の議長団メンバーに関する2012年IPCC決定書に言及した。同議長代理は、議長団の地域配分はアフリカから5名、アジアから5名、南米から4名、北米及び中米カリブ海から4名、南西太平洋から4名、欧州から8名であると指摘した。同議長代理は、各地域は執行委員会及び3つの作業部会全ての共同議長または副議長に代表を送り込んでいると指摘した。

サウジアラビアは、インド、韓国、モルディブ、中国の支持を受け、アジアの議長団メンバーを5名から7名に増員することを提案した。

エジプトは、アルジェリアの支持を受け、議長団のアフリカ代表の人数を5名から7名に増員することを提案した。

議長代理のEl Gizouliは、議長団の人数を31名から35名に増員する場合は新しいメンバーの作業部会への配分を検討する必要があると警告した。

ペルーは、IPCC議長団の地域配分はWMOの規則に基づくものであると強調し、この問題は将来会合まで保留するよう求めた。事務局長のChristは、IPCCの規則の下では、議長団の人数及び組織構造は選挙会合の少なくとも一つ前の会合で検討されるべきとなっていると応えた。ペルーは、ブラジルとカナダの支持を受け、現在の組織構造の維持を支持すると表明した。エチオピアは、WMOの執行委員会は37名であると指摘し、これに従うよう求めた。事務局長のChristは、IPCCは世界の地域分けではWMOの地域範囲を用いているが、地域代表席の配分はWMOの配分どおりではないと強調した。

クロアチアは、いかなる地域が新しい代表の席を得ても、ドミノ効果が生まれると警告し、議長団の人数増員の費用負担や効果に疑問を投じた。カナダは、特定の国の提案は「自国を利する特性(self-serving nature)」があり、これらの提案に対する同地域の支持にも同じ特性が見られるとして反対した。エジプトは、一部の参加者が自国の提案は自国を利するものと発言していることに不快感を表明し、そのような提案にはいかなる利点もなく、これを支持する理由もないと述べた。

マダガスカルは、議長団の各地域代表の人数と、各地域の国の数との不一致を指摘し、欧州は52か国で8名の代表を出しているが、アフリカの54か国からは5名の代表しか出ていないと指摘した。事務局長のChristは、代表の人数は各地域最低4名をベースにしており、これは3つの作業部会全てと執行委員会に代表を出すためであると指摘、その上に各地域の国の数や地域の多様性に基づき代表を出していると指摘した。モルディブは、アジアは世界の人口の大半を占めており、最も複雑多様な地域だと指摘した。サウジアラビアも、アジアにおける関心事や気候、脆弱性、開発レベルの多様性を指摘した。ロシアは、各地域代表を1名分増員する、または議長団の人数の現状維持を提案した。

議長代理のEl Gizouliは、非公式グループの設置を提案した。カナダは、フランスの支持を受け、非公式グループ会合の前に、アジアとアフリカが議長団の代表人数増員を要求している理由を明らかにすることを提案した。フランスは、IPCCの作業や承認の会合は極めてアンバランスだが、議長団の人数はこれとは無関係であると指摘した。更なる審議の後、IPCC副議長のHoesung LeeとJean Pascal van Yperseleを共同進行役とするオープンエンドな非公式グループ会議開催で合意した。非公式グループは木曜日の午後と金曜日の午前中に会合した。

金曜日の午前中、共同進行役のLeeとvan Yperseleは、議長団での最善の地域代表方法に関する非公式グループの議論についてプレナリーに報告し、同グループでは、パネルが将来、議長団の地域配分を再検討することを条件に、アフリカに2名の代表の立場、アジアに1名の代表の立場を追加することで合意したと述べた。

ニカラグアは、手続きに対する不快感を口にし、自国の地域からもう1名議長団に追加することができたと述べた。オランダは、議長団の人数に対する合理性の無さに深刻な懸念を表明し、会議報告書に自国の深刻な留保を記録するよう求めた。

その後、パネルは、議長団の人数を34名に増員し、各WGsに1名のWG副議長を加える形で追加人数を配分することで合意し、この結果、WGI及びWGIIIは副議長6名が7名に、WGIIでは副議長が7名から8名に増員された。

更なる審議の後、パネルは、将来の議長団の人数と構成を決定する方法について、IPCC-43から検討を開始すると合意した。

パネルは、IPCC作業統治原則の付録Cの附属書Bを改定し、議長団の人数、組織構造、構成の変更を反映させることで合意した。

オランダは、この改定は将来の議長団の人数削減の可能性を排除するものではないとの表現の追加を提案したが、アフリカ地域の立場で発言した中央アフリカ共和国、マダガスカル、マリ、サウジアラビア、ベネズエラは反対した。オランダは代案として、決定書の序文を、「IPCCは効率的に作業を進めるため努力し、可能な限りコストを削減していく(the IPCC strives to work efficiently and to reduce costs as far as possible)」と記述することで議論を再開するよう提案した。一部のメンバーは合意された表現の議論再開に反対し、どちらの提案も受理されなかった。

TGICAのマンデート及び実施に関し、南アフリカは、TGICAのマンデートは保持する一方、その実施を強化することを支持した。スイスは、DDCの役割に合わせてマンデートを再検討し、強化する必要があると強調した。ドイツ及びその他は、IPCC-43において、各国政府や専門家、オブザーバーの見解を取り入れた最新のTGICAビジョンペーパーに基づき、この問題を再検討することを提案した。

米国、カナダ、ベルギーは、TGICAの機能について、たとえばWMOの気候サービスの地球規模枠組と重複しているとして懸念を表明し、この問題に関する更なる議論を推奨した。

南アフリカは、タンザニアの支持を受け、TGICAの実施強化に関する表現を文章に盛り込むよう求めた。スイス、ドイツ、日本、その他は、この表現を含めることに反対し、TGICAのマンデートを決定する前に、そのような表現を追加するのは時期尚早であると指摘した。南アフリカとタンザニアは、マンデートを議論する前に実施を強化する必要性を支持した。TGICA共同議長のTimothy Carterは、TGICA強化のオプションにはそのビジョンペーパーが含まれると指摘した。

TGICAとそのデータの利用者との協議を推進するため、カナダは、IPCC-43の前に専門家会議を計画するよう提案し、他の数か国もこれを支持した。ブラジルは、そのような専門家会議では開放的な方式を維持するよう提案し、ワークショップの方がより適切ではないかと指摘した。

非公式協議の後、WGI共同議長のStockerは、パネルはTGICAのマンデートを再検討する予定であること、事務局に対し、次に基づきビジョンペーパーを更新することを要請するとの妥協的な表現を提起した:TGICA共同議長との協議;科学者、IPCC議長団、政府、オブザーバー組織の意見;事務局が計画する専門家会議からの提案。南アフリカは、IPCC-43においてTGICAのマンデートを再検討するとの表現を入れるよう求めた。改定されたとおりの妥協案が採択された。

最終成果:IPCC組織構造に関し、最終文書は、パネルが特に次の項目を決定するとする:

• IPCC議長団の人数を34名に増員し、地域I(アフリカ)の代表を5名から7名に、地域II(アジア)の代表を5名から6名に増員する、これらの増員分は各作業部会間に均等に割り当てられる、さらに将来の議長団の人数と構成を決定する方法について、IPCC-43で検討を開始する;

• 3つの作業部会及びTFIの現在の組織構造及びマンデートは保持する;

• IPCC-43において、TGICAのマンデートを再検討し、事務局に対し、TGICA共同議長と協議の上、IPCC-43向けにTGICAのビジョンペーパーを更新するよう要請する。

事務管理上の問題及びIPCC事務局とIPCC TSUsのそれぞれの役割:TSUの機能については多くの議論が続けられた。ドイツと米国は、追加のTSUs設置に反対し、ドイツは、これは資金拠出組織やホスト国次第であると述べた。これらの代表は、IPCC-35で決定されたTSU機能の保持を希望した。南アフリカ、サウジアラビア、エジプト、ベネズエラ、マリ、ブラジル、その他は、異論を唱え、追加TSUsへの言及を保持する必要があると強調し、多くの途上国は途上国でのTSUs設置を希望していると指摘した。

議長代理のEl Gizouli及び事務局長のChristは、ドイツ及び米国の質問に応え、追加TSUsの設置はIPCCの共通の慣行であると説明し、AR5 SYR及びLULUCF SRのためのTSUs設置を想起した。

更に参加者は、TSUsの機能に関する表現でも論争し、多くの国は総じて、機能への言及を可能な限りオープンにし続けることを希望したが、WG共同議長及びその他は、特定する言及を希望し、同じWGに複数以上のTSUsとなる場合の運用上の困難さに懸念を表明した。

多くの議論や非公式協議が重ねられ、この文章は、次を反映するように改定された:パネルは、要請どおり、AR6サイクルの期間中、IPCC作品の作成及び活動を支援するTSUs設置を決定できる;TSUsは、それぞれの担当するIPCC WGs及びTFIに対し、科学的、技術的、運用上の支援を提供する;TSUsは、SYRの作成、もしくはパネルを構成する全ての他のタスクフォースまたはグループを支援する目的で設置することが可能である;TSUの機能は IPCC-35での決定どおりとする。この改定された文書はその後承認された。

効率を高め、冗長部分、重複部分を削除するため、事務局とTSUsのそれぞれの役割と責任の更なる明確化、並びにTSUs間のそれぞれの役割と責任の更なる明確化が求められるとの覚書(MoUs)への明記を要請するパラグラフに関し、米国は、柔軟性が必要だと強調し、そのような役割の明確化は効率向上のために「求められる(is required to)」というより、「可能であるれ(can)」とすることを提案し、合意された。米国は、日本、ドイツ、ノルウェーと共に、MoUsへの言及削除を求めたが、サウジアラビアは反対した。ドイツは、WGII共同議長のFieldの支持を受け、役割の明確化を支持したが、そのMoUへの記載には反対し、数か国の代表は、MoUが法的影響を与える可能性を指摘した。

日本は、事務局はTSUの活動やTSUスタッフの募集を監視すべきでないと述べた。事務局長のChristは、このパラグラフはTSUsと事務局間の作業努力の重複におけるこれまでの経験に基づいていると明言した。

WMOは、パネルはアレンジに関する情報取得に関心があると強調した。スイスは、だれかがTSU/事務局のアレンジを担当しなければならないと述べた。議長代理のEl Gizouliと事務局長のChristは、この責任は執行委員会のマンデートを超えるものだと指摘し、執行委員会の主な担当業務はIPCCの作業プログラムの実施を強化し、推進し、WGsとタスクフォース(TFs)間の協調を強めることであると述べた。

米国は、サウジアラビア、オランダ、日本、ドイツ、ベルギーの支持を受け、事務局及びTSUsに対し、それぞれの役割と責任について協議を行うよう要請し、この問題についてパネルに定期的に報告することを勧めるとする別な表現を提案した。ブラジルは、事務局及びその他に対し、役割の明確化を強めるためのアレンジのオプションを探るよう「要請する(requesting)」との強い表現を希望した。日本は、IPCC-42においてTSUホスト国が決定される時点で、全てのアレンジの内容を議論することが可能だと指摘した。

英国は、ノルウェーの支持を受け、米国の表現はIPCCの多様な組織間での意見の不一致を示唆すると受け止められる可能性があると警告し、パネルは「IPCC事務局とTSUsの間、並びにTSUs同士の作業アレンジに関し、情報を受け続ける(kept informed about working arrangements between the IPCC Secretariat and TSUs, and among TSUs)」との表現を提案した。ブラジルは英国案に、パネルへの定期的な報告要請を付すことを支持した。

更なる審議の後、オーストラリアは、IPCC事務局及びTSUs に対し、AR6作成での協力、役割、責任に関し、パネルに定期的に報告するよう要請するとの表現を提案した。TFI共同議長のThelma Krugは、この表現はWG TSUsのみを意味する可能性があるとし、AR6ではなく第6次評価サイクルへの言及を支持した。このような改定及び他の若干の改定の後、この文書は承認された。

TSUホスト国による専門スタッフ募集に関し、議長代理のEl Gizouliは、次の2つのオプションを提起した:地域を代表する、特に途上国を代表することを目指す国際的なスタッグ募集、及び募集や実績評価、契約延長へのIPCC議長及び事務局の参画;ホスト国または制度手順に合わせたTSUの選択。

マリは、多数の途上国の支持を受け、特に途上国出身者のスタッフ募集の強化を強調した。エジプトは、マリを支持し、TSUsにおける多様性を求めると共に、広範な代表になるよう求めるとの表現を提案した。

日本は、ドイツ、ニュージーランド、米国の支持を受け、IPCC議長及び事務局の参画はスタッフ募集や管理プロセスを複雑なものにすると警告し、募集の透明性を求めた。

スイスは、米国の支持を受け、募集プロセスをホスト国及び組織の規則や法的枠組に合致させるよう求めた。

WGII共同議長のFieldは、敬意あふれる仕事場、多様で協力的、参加性の高い政策及び実施方法を奨励するとの文章を冒頭に追加するよう提案した。追加の改定を受けた後、この文章は冒頭ではなく決定書の中に組み込まれた。

適用される規則や法的枠組の遵守を保持し、決定に関するWGの両共同議長の参画を得ることを目的として、地域の多様性を伴う国際的なスタッフ募集、及び募集や実績評価、契約延長でのIPCC議長及び事務局の参画に関するオプションは、改定された通りの文章で採択された。

TSUsの主催に関し、TGF提案では3つのオプションが提示された:(1) TSUは、先進国WG/TF共同議長の出身国に置かれ、管理される;(2) TSUは、途上国及び先進国の両方の組織で構成されることが可能であり、WG/TFの両共同議長が共同で管理し、その資金は「数か国の資金源 [及びIPCC信託基金]」から拠出される可能性があり、関係する組織[そして][または] IPCC事務局により管理され、調整される;(3) TSUは、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)に基づき、各国政府から受理した申し出を受けて、設置することが可能であり、このTSUsはIPCC事務局長そして/またはWG/TF共同議長、そしてSYR TSUの場合は、IPCC議長に報告する。第2のオプションは、TSUの設置を検討して合同のアレンジを提供する国家にガイダンスや支援を提供するため、 UNEPとWMOの金融及び行政の専門家、さらには他のものの可能性もある専門家で構成されるタスクグループを設置する可能性にも言及する。

エジプト、南アフリカ、ベネズエラ、サウジアラビア、エクアドル、イラン、アルジェリア、ブラジル、インド、シリア、マダガスカル、マレーシア、モルディブ、エルサルバドル、チリ、マラウィを含める多数の途上国は、第2のオプションを希望すると強く主張し、現在のアレンジでは両共同議長が同等の立場に立てないと指摘した。これら諸国は、多様な資金源を得てTSUsを途上国と共同で管理する機会を希望した。ブラジルは、このオプションの資金源に関し、IPCC信託基金への言及維持を求めた。

ノルウェー、日本、韓国、その他は、第2のオプションの長所には賛同したが、IPCC-42の前にアレンジに関する明確で持続可能な決定が必要であるとして、TFI共同議長のTaka Hiraishiと共に、その実施可能性に疑念を表した。

第2のオプションの場合、TSUが途上国と先進国の両方の組織で構成できるようにするための資金はどこがだすのかと尋ねた米国は、カナダやその他のものと共に、TSUを先進国WG/TF共同議長の出身国で主催し、管理するとの第1のオプションを希望した。米国は、TSUの透明性は広範な懸念事項であるとし、別な形での途上国共同議長への支援強化を提案し、これには博士号課程の学生の支援も含めると述べた。カナダは、適切な資源を有する場合にのみWG TSUの候補を指名できるとの明記追加を求めた。

中国は、AR5 WGIでの経験を踏まえ、途上国共同議長がTSUから受ける支援は既に改善されていると指摘し、これまでの進展を続けるよう求め、安定した資金拠出の重要性を強調した。

WGI共同議長のStockerとWGIII共同議長のEdenhoferも、WG共同議長間の十分な協力体制を想起し、WG/TFに複数以上のTSUがある場合の運営上の複雑さへの懸念を指摘、途上国共同議長への支援を強化する他の方法の探求を提案した。

WGIII共同議長のYouba Sokonaは、重要な問題は全てのWG共同議長がチームとして機能し統合されることを確保することだと述べ、途上国共同議長専属のフルタイムの科学者及び管理補佐を提案した。

カナダ、南アフリカ、中国は、IPBESはモデルとして試されていないとし、IPBESに基づくオプションの削除を提案したが、日本と韓国は反対した。

WGI共同議長のStockerは、その後、次の妥協案を提示した:TSUは、共同議長の一方もしくは両方が合同で主催する;一方の出身国のみが主催する場合、パネルはもう一方の共同議長への支援を推奨し、当該共同議長とWG/TF TSUの強固なリンク付を行うことを推奨する;TSUは、WG/TFの両共同議長合同で管理することが可能であり、SYR TSUの場合はIPCC議長が管理する;資金源は数か国から求めることができる。

参加者は、この提案を歓迎した。エジプト、ノルウェー、サウジアラビア、マダガスカル、その他は、支援を「推奨する(encourages)」よりも強い表現を求め、参加者は「要請する(requests)」との表現で合意した。さらに資金源を更に明確にすべきかどうかでも議論がなされたが、参加者は、規範的にはしないことで合意した。

明確化のための追加編集が行われた後、この妥協案は、若干の改定を経て合意された。

最終成果:事務管理上の問題及びIPCC事務局及びTSUsのそれぞれの役割に関し、パネルは次のように決定した:

• IPCC事務局の事務管理上のアレンジ及び事務局の機能は、IPCC設立時のWMO及びUNEP間の覚書で合意された通りとする;

• パネルは、AR6のサイクル期間におけるIPCCの作品の作成及び活動を支援するため、TSUsを設置すると決定する可能性があり、このTSUsは、SYRまたはパネルを構成する全てのTFもしくはグループを支援するため設置される可能性がある。

• IPCC事務局及びTSUsに対し、AR6サイクル期間中のそれぞれの協力、役割、責任に関し、パネルに定期的に報告するよう要請する;

• 事務局及び全てのTSUsに対し、敬意ある作業場を指揮し、多様性や公平性、協調、参加性を高め、専門職のスタッフを国際的に、特に途上国から募り、関連する共同議長の両方が合同でその選抜、実績評価、契約の延長を行うよう要請する;

• TSUは、WGまたはTF共同議長の両方の出身国の一方、または両者合同で主催される、一国のみがTSUを主催する場合、パネルは他の共同議長に対する支援を要請する、さらにTSUは、WG/TFの両共同議長合同で管理することが可能であり、SYR TSUはIPCC議長が管理する、その資金源は数か所から得る可能性がある。

CLAs及びLAsの選抜及びこれら執筆者への支援に関するオプション及び執筆や査読プロセスの改善:CLAs及びLAsの選抜とこれら執筆者に対する支援に関し、参加者は、CLAs及びLAsの指名に関する小パラグラフ草案の3つの代案について議論した。

CLAsそして/またはLAsに対する資金援助提供の可能性探求に関するパラグラフは、固有のニーズを明らかにし、IPCC信託基金に与える資金面の影響特定を目的としているが、このパラグラフでは多くの議論がなされた。米国は、ドイツ及びスイスの支持を受け、いかなる資金的なインセンティブにも反対し、それはIPCCの特性を変えるものだと主張、ただし米国は、より包括的な支援を提供できないか、方法を探ることは支持した。スイスは、ただ単に、適切な場合は参加拡大を可能にする手法を探求するという広範な表現を提案した。

アルゼンチンは、途上国と先進国の両方の執筆者に対するインセンティブを提案した。WGI共同議長のStockerは、ノルウェーの支持を受け、一部の国では異なる形の支援を提供していると指摘し、総合評価の負担を認識し、資金的「もしくは運用上の支援(or operational assistance)」を提供する方法の探求を提案した。日本は、これに反対し、科学的なキャパシティビルディング活動はIPCCのマンデートに含まれていないと論じた。

2つの代案をめぐり議論が行われた:IPCC副議長のvan Yperseleは、IPCCは「CLAs及びLAsがIPCCの作業遂行への適切な支援や科学文献へのアクセスを必要とする場合には、これらを提供する可能性を探求する(explore the possibility of providing adequate support and access to scientific literature to CLAs and LAs who need it to do their IPCC work)」ことを提案したが、WGI共同議長のStockerは、ノルウェーの支持を受け、IPCCメンバーに対し、「総合評価の負担増を認識し、CLAs及びLAsに対する支援を強化する方法を探求する(to explore ways of enhancing the assistance to CLAs and LAs in recognition of the increasing burden of a comprehensive assessment)」ことを推奨するとの文章を提案した。

スイスとニュージーランドは、「支援(support)」及び「援助(assistance)」というのは通常資金支援または資金援助を意味すると警告したが、エジプトは異論を唱えた。米国は、適切な「技術的及び事務管理上の(technical and administrative)」支援と特定することを提案し、ドミニカはこのリストに「資金的(financial)」を加えることを提案した。エジプトは、「適切な支援(adequate support)」への言及保持を希望した。

タンザニアは、エジプトと共に、IPCC副議長のvan Yperseleの表現を支持し、「特に途上国における(particularly in developing countries)」CLAs及びLAsと資格を限定するよう要請した。Van Ypersele副議長は、先進国の執筆者も困難を抱える場合があると指摘したが、エジプトは、南アフリカ及びサウジアラビアの支持を得て、このフレーズは途上国のみに支援を限定するわけではないと指摘した。オランダは、「低所得(low-income)」国という表現に変えることを提案したが、ペルーは、IPCCの手順には「低所得(low-income)」という分類はないと応じた。

米国は、タンザニア、南アフリカ、サウジアラビアの支持を受け、二つの提案を一つにまとめ、「IPCCは、総合評価報告書活動の負担増を認識し、特に途上国のCLAs及びLAsに対し、科学文献へのアクセスを含める技術的及び事務管理上の支援を強化する方法を探求する」とすることを提案した。非公式協議後、エジプトは、途上国のCLAs及びLAsに対する資金援助について資格を限定し、「必要な人物(who require it)」とすることを提案した。オランダは、この提案は受け入れ可能と述べ、米国の妥協案はこの改定を持って合意された。

最終成果:CLAsLAs、査読編集者の選抜及びこれらの者に対する支援に関し、決定書の文章は、パネルが次を決定すると記述する:パネルは、指名プロセスの拡大について更に検討することとし、この場合IPCCの政府間組織という特性やその資金面への影響を考慮に入れることとする;研究アシスタントもしくは各章の科学者は、CLAs及びLAsの作業を支援することが推奨される;パネルは、総合評価作業の負担増を認識し、CLAs及びLAsで必要とするものがあれば、特に途上国のCLAs及びLAsで必要とするものがあれば、科学文献へのアクセスを含める技術的及び事務管理上の更なる支援を提供する方法について探求する。

資格を有する途上国出身専門家を勧誘する追加措置及びこれら専門家のIPCCへの参加を強化し、推進するための追加措置:ドイツは、これらは探求可能な追加措置であると明記するよう推奨し、提案での過度に詳細な議論に警告した。

サウジアラビアは、途上国の参加を高めることに関する決定書を論じないのはIPCC-37からの「マンデートに対する怠慢(failing the mandate)」だと強調し、新しい評価サイクルに入る前にこの問題を議論するよう求めた。

パネルは、TSUs、執筆者チーム及び査読者として途上国の参加を得ることに関し、共同議長及び他の議長団メンバーに大きな責任を負わせ、必要な場合は議長団への委託条件を改定するとの提案を議論した。TGF共同議長のPlume は、議長団の構成を統括する規則の改定に関する表現は意見対立を招く可能性があると指摘し、このような表現は削除する一方、議長団メンバー及び共同議長に対し、TSUsや執筆者チーム及び査読編集者としての途上国の参加推進を奨励するとの表現保持を提案した。

WGII共同議長のFieldは、執筆者招集に関する表現だけだなく、評価サイクル全体を通した執筆者の参加にも焦点を当てる表現を提案した。この提案は他の若干の改定を経て承認された。

IPCCの可視性を高めるため、途上国における専門家会議及びワークショップを増加することに関し、パネルは、能力向上及び広範な利害関係者の参加、組織の可視性向上のため、途上国の会議参加を増やす必要があることで、意見が総じて一致した。

米国は、EU、ノルウェー、その他の支持を得て、途上国での会議開催の割合を高めることを提案した。オランダは、IPCCの会議を利用して気候変動に関する知識の普及を図ることを支持する一方、途上国での会議増加に伴うカーボン・フットプリントを認識するよう求めた。事務局長のChristは、IPCCの会議場所に関し事務局が行ったカーボン・フットプリントの分析では明確な差があるとの証拠はないと指摘した。

WGI共同議長のStockerは、他の支持を得て、「会議(meetings)」というのを拡大し、IPCCの全ての「活動(activities)」とするよう提案した。スイスは、途上国におけるIPCCの活動を増やす必要性を強調する新しい表現を提案した。この文章は改定されたとおりに採択された。

最終成果:パネルは、途上国出身の有資格専門家をより多く勧誘するため、多数の追加措置をとることが適当であり、IPCCへの参加を強化し、推進することになることでと、更なる合意をした、これには次のものが含まれる:

• 共同議長及び他の議長団メンバーに対し、TSUsや執筆者チームにおいて、及び査読者などとしての途上国出身の専門家の参加を推奨する;

• 途上国におけるIPCC活動の件数を増やす;

• たとえばIPCC会合前などで、政府代表に対するブリーフィングやトレーニングのための会合を手配する;

• IPCCプロセスに関する情報、及びIPCCの作業への専門家の参加方法に関し、コミュニケーション及びアウトリーチ活動の中で、情報を提供する。

(若年)科学者への支援及び訓練のオプション、同時に訓練及びキャパシティビルディングはIPCCのマンデートの枠外であることの再確認:ペルーは、このセクションの多様なオプションは、単なる提案の取りまとめに過ぎず、IPCCのマンデートを超えていることから詳細を議論する必要はなく、結論書のための交渉を行う必要もないと指摘した。ドイツは、このセクションを決定書としてではなく、会議報告書に入れることを提案した。TGF共同議長のPlume及び他のものは、冒頭の文章について議論し、多様なオプションは現状のまま残すことを提案した。パネルは、次のことで合意した:訓練とキャパシティビルディングは、IPCCのマンデートの「外(outside)」というより、マンデートを「超える(beyond)」ものと解釈されるよう表現を改定する;このセクションは、多様なオプションと共に、決定書の中にではなく、会議報告書の中に記載する。

金曜日午前中、事務局長のChristは、IPCCの将来に関する決定書全体の冒頭文を提出した、この文章では、パネルはその将来作業を検討し、次の評価サイクルでの作業の指針となる一連の決定を行うと記述する。さらに冒頭文では、これらの決定を実施する場合の予算への影響、及びIPCC活動のカーボン・フットプリントを最小限に抑えることを考慮すべきと記述する。この文章は提示されたとおり承認された。

IPCC議長団及び他の全てのタスクフォースの議長団の人数、組織構造及び構成に関する決定書:金曜日午前中、パネルは、IPCC組織構造に関する議論の下で説明された通り、議長団の地域代表に関する非公式協議を行い、その結果、議長団の人数を34名に増やし、追加人数は、各WGのWG副議長を1名ずつ加えることで割り当てると合意した。

事務局長のChristは、議長団の任期についても決定する必要があると指摘し、新しい議長団の任期は2015年10月に開始され、2022年の後半のAR6完成で終了すると提案する文章を提示した。

カナダは、ドイツ、米国、ノルウェー、エチオピアの支持を得て、AR6においても5-7年というサイクルを維持するとの決定を指摘し、最終日を特定することに反対し、議長団の任期は7年を超えないとすることを提案した。

スイスは、ベルギー及びエジプトと共に、最終日特定の事務局案を支持し、各国政府は予算に影響を与える問題の明確化を希望するものだと指摘した。マリは、サイクルの長さを事前に決定することに警告した。

中国は、AR6は2022年の後半の終了が期待されると明示する文章の改定を提案した。スイスはこの提案を支持した。この問題に関する最終成果は、AR6サイクルの時間枠の暗示を含め提案された改定をを盛り込んだ上で採択された、この成果には(議長団の)任期はAR期間の長さであるとし、AR6の最終作品を承認する会合から1年後に終了することとし、遅くとも2022年の後半には終了することが期待されることが反映された。

IPCCプロセスの検討可能性に関する専門家会議報告書―IPCCの参加に対する指針原則の提案:事務局は、この議題項目(IPCC-XLI/Doc. 9, Rev.1; IPCC-XLI/INF. 4)を提起した。WGIII共同議長のSokonaは、2015年1月28-29日にスイスのジュネーブで開催されたこの専門家会議の議長を務め、その成果の概要を本会合に提示した。パネルはその後、専門家会議から回された提案書を承認した。ブラジルは、IPCC-41の報告書に含めるステートメントを読み上げ、提案書を歓迎し、特に:いずれのプロセスにおいても、途上国出身の社会科学者に均等な機会を与えることを考慮すべきと指摘し;途上国の参加抑制に警告し;IPCCを研究する研究者にとり重要なのは機密性であると強調し;この問題の継続審議を支持した。

その他の問題:事務局長のChristは、この議題項目を提起し、承認会合を取り仕切る方法に関する学習事項の文書(IPCC-XLI/Doc.6)を提出した。同事務局長は、この文書では次を論じていると述べた:会合前及び会合期間中における各文書へのタイムリーなアクセス;多様なWGによる相互の作品に対する理解の深化;承認会合のスケジュール作り;途上国による承認会合出席のための資金拠出増額。この議題項目に対するコメントはなかった。

WGI共同議長のStockerは、地域の気候予測及び影響リスク分析研究とその活用に関するIPCCワークショップ開催提案(IPCC-XLI/Doc.13)を提出し、このワークショップの成果はAR6スコーピングプロセスに情報を提供する上で重要であり、このためAR6スコーピング会議に先立ち開催すべきだと指摘した。同共同議長は、次を提案した:この会議は8月中旬から9月中旬のどこかの時点で3日半から4日間開催されるべき;途上国及び経済移行国からの参加者に対し、IPCC信託基金から40人分の旅費を拠出可能にする;WGI TSUはこのワークショップ支援を提供する用意があると述べた。

ブラジルは、このワークショップの提案を歓迎し、ブラジルの国立宇宙研究所本部で開催し、必要なインフラが利用できるようにすると申し出た。同代表はさらにワークショップを主催する場合、ブラジルは、中学生や広範な気候変動専門家のためのアウトリーチイベントを開催し、WGI及びWGIIの結論の周知を図ると述べた。オランダもこのワークショップ主催を申し出た。

マダガスカルは、このワークショップの開催を支持し、地域レベルでそのような作業を行うことは重要であると指摘した。WGII共同議長のFieldは、脆弱でリスクの高い地域共同体の参加を強化する機会を歓迎し、これらの問題を議論するワークショップの計画は不可欠であるとの確信を表明し、このワークショップではリスクと脆弱性を議論すべきだと述べた。

パネルは、次を行うことで合意した:地域の気候変動予測及び影響リスク分析研究とその利用に関するワークショップの開催;WG会議の予備費から、途上国及び経済移行国からの参加者40名分の参加費用を拠出。

オランダは、オランダとブラジルとの協議の結果、オランダが主要な資金を寄付し、ブラジルがこの会議を主催することになったと報告した。TFI共同議長のKrugは、ブラジルにおいてこのワークショップを合同で計画することに同意したオランダに感謝した。

続いてモナコは、海洋に関するIPCC特別報告書(IPCC-XLI/INF.3)作成という自国の提案を提示し、このような報告書で便益を得る組織は多数あり、その中にはUNFCCC、生物多様性条約、国連海洋法条約が含まれると指摘した。同代表は特に:そのような報告書は海洋の重要性に関し強力なシグナルを送るものであり;3つ全てのWGsの協力が必要であり;地域の側面を議論すべきだと述べた。アルジェリアは、気候変動と砂漠化の結び付きに関する特別報告書の作成を提案した。

マダガスカル、チャド、エジプト、マリ、サウジアラビア、ヨルダン、スペイン、フィリピン、クウェート、その他は両方の提案を支持した。

砂漠化に関する特別報告書について、ペルーは、国連砂漠化防止条約とのシナジー及び協調の範囲に注目した。インドは、海洋と砂漠化の関係に注目し、この両方に関する特別統合報告書を提案した。マラウィは、海洋報告書の中で熱帯サイクロンや極端な天候現象を取り上げることを推奨した。

日本は、提案された海洋に関する特別報告書の題目を絞り込むよう提案し、探求可能な固有の題目としてはたとえば海洋の酸性化や海面上昇があると指摘した。同代表は、UNESCO-IHE水教育研究所、世界気候研究計画などの研究機関で行われている海洋の研究に注目した。

カナダ、韓国、ノルウェー、ブラジル、ベネズエラ、メキシコ、米国、その他など多数のメンバーは、AR6のスコーピングプロセスに照らし合わせ、これらの提案の更なる検討を行うよう提案した。ベルギーは、これらの問題を検討する専門家会議を提案した。

ノルウェーは、スウェーデンの支持を受け、SRsの追加テーマに関し、各国政府に提案提出を招請するよう提案した。

パネルは、SRsで可能なテーマについて、各国政府から意見を求めると決定し、WG共同議長からのインプットを得た上で、IPCC-43において、この問題の更なる審議を行うと決定した。

コミュニケーション及びアウトリーチ活動

IPCC事務局のコミュニケーション及びメディア関連の長であるJonathan Lynnは、コミュニケーション活動のこれまでと今後の計画に関する進捗状況報告書の要点を提示した。(IPCC-XLI/Doc. 20) 同氏は、メディアとの関係構築に向けたIPCCの長年の努力が実ってきたと指摘し、IPCCの努力に対するUNEPとWMOの支援に感謝した。さらに同氏は、2015年における極めて野心的なIPCCアウトリーチ計画を指摘し、この先頭に立っていたのは前のIPCC議長であるが、今日でのこの計画の遂行はAR5の執筆者に依存すると指摘した。同氏は、IPCC-41の直前に、ケニアのナイロビで開催された学生や科学者のためのワークショップについて説明し、これは現在行われているアウトリーチ活動の好例であると述べた。

ノルウェーは、AR6におけるコミュニケーションやアウトリーチ活動を強化し、AR5でのこれらの活動で得られた各国の経験を共有する目的で、先進国及び途上国から広範な参加者を得た専門家会議の開催を提案した。同代表は、この会議にはIPCC事務局やTSUs、専門家や窓口組織などを含めるべきだとし、多数の途上国代表にはIPCC信託基金から旅費を提供するよう提案した。さらに同代表は、ノルウェーは自国の費用でこの会議を開催する意思があると指摘した。

多数の国がこの提案を支持すると表明し、そのタイミングや資金を中心に議論した。数名の参加者は、そのような専門家会議にはIPCC-42で選出された後の新議長団が参加すべきかどうか、それともその選挙の前、AR5の執筆者がIPCCプロセスから離れる前に行うべきかどうか質問した。フランスは、2015年後半には気候政策やコミュニケーションに関する活動が激しくなると予想されることを指摘した。

スイスは、適正な参加者を募るため、「コミュニケーション(communications)」というよりも「IPCCの作業内容の伝達(transmission of the content of the work of the IPCC)」を強調する提案を要請した。事務局は、学術界やメディアの代表など、IPCCの外部のものも有用な貢献をする可能性があると指摘した。

この決定書では4つのオプションが提示された:そのうちの二つは2015年に関するもの、二つは2016年に関するものである。さらに、これらのオプションのうち2つは、信託基金からの資金拠出に焦点を当て、他の2つは途上国代表の旅費に対する予備費からの支給に言及する。事務局は、既存の資金から小規模な旅費を支給することは可能だが、その分既存のアウトリーチ活動が犠牲になると指摘した。同代表は、より強力なイベントにしていくため、別な資金からの支給を希望した。

最終成果:合意されたオプションは、専門家や窓口、その他のIPCC代表の会議を2016年に開催し、経験や最善の実施手法及びAR5を取り巻くコミュニケーション及びアウトリーチで学んだ学習事項に関する情報を交換し、IPCC-43への報告書作成を求めている。さらに20名分の旅行を可能にする予算改正を要請する。

IPCC執行委員会活動報告

IPCC事務局次長のCarlos Martin-Novellaは、執行委員会の活動報告書を提出した。コメントはなかった。

IPCC COI政策の実施

IPCC副議長でCOI委員会議長のLeeは、IPCC COI政策の実施についてプレナリーに最新情報を提供し、このCOIはIPCCの健全性にとり極めて重要であると述べた。同副議長は、COI 委員会のメンバーはCOI政策のマンデート遂行に最善を尽くしたと述べた。コメントはなかった。

IPCC誤謬プロトコルの実施

IPCC事務局長のChristは、IPCC誤謬プロトコルの実施に関する議題項目(IPCC-XLI/Doc.12; IPCC-XLI/Doc.17)を提起した、これは発表前及び発表後の誤謬のオンライン掲載を可能にするいくつかの方法を説明する。執行委員会はこの問題について更なる審議を行い、IPCC-42に報告する。

進捗報告書

TFIの進捗報告書:TFI共同議長のKrugは、TFI進捗報告書の要点を提示した、これには次が含まれる:2014年に湿地補足報告書の英語版及び京都議定書補足報告書の英語版を発刊;科学の発展及びデータの入手可能性を評価するIPCCインベントリ・ガイドラインの技術評価の迅速な実施;能力開発に貢献する、インベントリ・ツールの利用しやすさなど部門を横断する技術の評価実施を目指す;多様な国際会議及びワークショップにおけるTFIの活動推進及びその作品の広報を図る努力を続ける。

コメントはなく、この報告書は提出された通りで承認された。

IPCC奨学金プログラム:IPCC事務局長のChristは、奨学金プログラムの進捗報告書(IPCC-XLI/Doc.18)を提出した。同事務局長は、最初の2回の募集奨学生は「極めて良い進歩」を見せていると指摘、第3回の募集は進行中であり、これにはこのプログラムの科学技術委員会及びAR5執筆者が関与していると述べた。同事務局長はモナコのアルバートII世大公基金及びクオモ基金が第3回募集の資金拠出を続けていると指摘した。

Christ事務局長は、パネルはこのプログラムの新しい評議会を任命する必要があると指摘し、IPCC科学理事会はIPCC-42での選挙に向けパネルに候補者を提案すると述べた。同事務局長はさらに、作業負担の配分を改善するため、構成を変更し、IPCC議長の代表及び各WGの副議長を含めるよう提案した。

議長代理のEl Gizouliは、メンバーに対し、理事会で役を務める能力に関し、事務局に連絡することを奨励した。

パネルが開催を委任した専門家会合に向けての準備:近く開催予定の気候変動、食糧及び農業に関する専門家会議(IPCC-XLI/Doc.23)に関し、WGII共同議長のFieldは、この会議は予定通り2015年5月27-29日にアイルランドのダブリンでの開催に向け、軌道に乗っているとし、この専門家会議の成果はパネルに将来の作品に関する情報を提供すると述べた。

ブラジルは、対応措置の悪影響を含めるよう求め、食糧部門での排出削減のため、食糧生産を犠牲にするわけにはいかないと指摘した。同代表は、食糧需要予測について、緩和に加え適応及び影響も盛り込み、その枠組を再検討することを求め、食糧システムの多様性を認識した地域予測を求めた。

アルゼンチンは、マリ及びニカラグアと共に、適応に大きな力点を置くよう求めた。キューバ及びドミニカ共和国は、小島嶼開発途上国の固有の状況やこれら諸国の食糧システムの脆弱性に配慮するよう求めた。

ドイツは、緩和戦略への注目を求め、英国及びニュージーランドもこれを支持した。

「食糧・水・エネルギー・気候」ワークショップの小題目に関し、サウジアラビアは、エネルギーへの言及削除を求め、エネルギーは既に他のIPCCの作品で議論されていると指摘したが、英国はこれに反対した。更なる議論の後、サウジアラビアは、バイオエネルギーの検討を支持した。エクアドル、ドミニカ共和国、キューバは、専門家会議の開催計画に多くの途上国が参加することを求めた。

WGII共同議長のFieldは、議論に基づき、この会議概要が改定されると述べた。

シナリオに関する合同専門家会議(IPCC-XLI/Doc.16)について、WGIII共同議長のEdenhoferは、準備が進んでいると報告した。この会議では:AR5におけるシナリオの利用について議論し、緩和、適応、及び気候影響のより包括的な評価を達成する方法を探り、将来のIPCC作品におけるシナリオの役割可能性を探る;新しい社会経済シナリオに関する議論の進捗状況を調べる。同共同議長は、この会議は2015年5月18-20日、オーストリアのラクセンブルグで開催されると報告した。

その他の進捗状況報告:議長代理のEl Gizouliは、WG共同議長の最新報告を求めた。

WGI共同議長のStockerは、次の点に焦点を当てた:SYR作成におけるWGIの参画;世界気候研究計画で学んだ学習事項に関する報告書の作成;2014年気候サミットでのものも含めたアウトリーチ活動;UNFCCCの下での構造的専門家協議(SED)への参加(IPCC-XLI/Doc.14)。

WGII共同議長のFieldは、次項について議論した:WGII報告書の印刷版発行;気候変動・食糧・農業に関する専門家会議の開催計画;各章エグゼキュティブサマリーの多様な言語への翻訳を含めるアウトリーチ活動(IPCC-XLI/Doc.21)。

WGIII共同議長のRamón Pichs-Madrugaは、WGIIIの主要な活動に焦点を当てた、これには次が含まれる:AR5 WGIII報告書の発行と配布;WGIII TSUによるSYR支援;SED及びIPCCコミュニケーション戦略の実施などアウトリーチ活動;ウェブサイトmitigation2014.org の主催(IPCC-XLI/Doc.19)。

UNFCCC及び他の国際機関との関係問題

事務局長のChristは、IPCCはUNFCCC関連会議で多数のイベントを行ってきたと報告し、ジュネーブでのSEDにおけるWGの代表参加を指摘した。さらに同事務局長は、IPBESとの相互交流及び両組織間の協議強化を目的とする合意を指摘、これには将来のシナジーを明らかにするための土台づくりワークショップに参加するよう、IPBESの専門家を招待することが含まれる、さらにIPCCとWMO間で進められている活動についても指摘した。

UNFCCC事務局のFlorian Vladuは、IPCC議長役への感謝の意を表し、さらにSEDでのものも含め、ボンやリマ、ジュネーブでのUNFCCC気候会議で貴重な貢献をした事務局への感謝の意を表した。同氏は、最近のUNFCCC会議におけるIPCCに関連する成果について、参加者に情報を提供し、IPCC-41に対するUNFCCCの提出文書、UNFCCC事務局からの書簡(IPCC-XLI/Doc.22)の提出に焦点を当て、この書簡は、IPCC作品への感謝も含め、UNFCCCプロセスにおけるIPCCへの言及を指摘し、将来作業を要請すると共に、その結論を交渉プロセスのどこで利用するか指定することを要請する。同氏はさらに、UNFCCCはその科学的技術的助言に関する補助機関の第42回会合(SBSTA-42)で開催される気候と砂漠化に関する次回の研究ダイアログへのIPCCの参加を要請すると指摘した。同氏は、UNFCCCとIPCCのサイクルの同調に関しリマで議論があったとし、ジュネーブで作成された交渉文書の数か所でIPCCとの関連性に言及していると指摘した。

その他の事項

WGII共同議長のFieldは、IPCCが困難な時を経てきた事に鑑み、他の組織が行っている通り、IPCCの基本的価値感を明記し、性の平等、尊重及び衡平性に対するIPCCの約束を強調するため、IPCCのウェブサイト上に「基本的価値(core values)」ステートメントを掲載するよう提案した。同共同議長は、事務局によるそのような文書草案の作成を求めた。

クロアチアは、IPCCはその実施において、多くの透明性や信頼を反映するに足るだけ、成熟した組織であると指摘し、このためWMO執行カウンシルで行われているとおり、全てのメンバーの議長団会議への出席を認めるよう求めた。同代表は、非議長団メンバーは、議長団メンバーの助言者として行動する場合を除き、発言権を持つべきではないと指摘し、この透明性措置は、特定問題に関する議長団会合の生中継が行われる場合には適用されないと指摘した、しかし、この方式で議長団会合を開くなら、取り上げられた問題がだれのものであるかをより明確にすると述べた。

手続問題

水曜日午前中、手続き上の問題の新しい議題項目が提起された。IPCC副議長のLeeは、この議論において、パネルの議長役を務めた。

UNEPの環境法及び条約部局のDeputy DirectorであるMasa Nagaiは、IPCC議長団がWMO及びUNEPの法律顧問と共に作成したこの問題に関する決議案を提出した。議長団は、IPCCが次を行うことを推奨した:(1) IPCC手順規則の11項の最初の文章、IPCC議長が辞任した場合、離任したIPCC議長の残余任期を務める新しいIPCC議長を次の会合において選出すると規定する文章の適用を一時的に停止する;(2) 現在の会合で指名された議長代理は、2015年10月の第42回会合において、AR6の期間を任期とする新しいIPCC議長が選出されるまで、その職務を続けると決定する。

詳細な文章及び手順に関し多少の議論が行われ、ロシアは、自国の中央政府と協議するための時間を求めた。この後、パネルは、IPCC手順規則の11項の最初の文章を一時的に停止するとの前提条件を含め、この決定書で合意した。

金曜日午後、IPCC副議長のvan Yperseleは、南アフリカが発案したこの議題項目の下での決定書の審議で議長を務めた。

南アフリカは、この議題項目に関する決定書に対し自国が留保していることを記録するよう求め、パネルはこのようなことを行う手順の規則が規定されない中で、規則を停止したと述べ、このため、パネルは手順規則を停止するとする決定書の最初の文章には法的根拠がなく、政府間組織は規則停止の法的根拠なしでも規則を停止できるとの前例を作ることになると述べた。同代表は、南アフリカはIPCC内、または他のいかなる政府間組織においても、そのような決定書に拘束されることはないと発表し、パネルに対し、IPCC-42において、手順停止に関する新しい議題項目の下で、停止規則の緊急の議論を行うよう求めた。

事務局長のChristは、南アフリカの要請に留意し、事務局はこの問題を議論するため、法律顧問と共に準備作業を開始すると確認した。アイルランドは、最近の異常な一連の事態からするとパネルは適切な行動をとったとの意見を強調した。同代表は、これは規則11の弱点に光を当てるものだと指摘し、これを将来会合で議論するよう求め、事務局及び法律顧問チームは今後同様なことが起こらないよう、全ての手順規則をレビューすべきだと付言した。

スイスは、議長代理任命の権利をIPCC議長団に対してではなくIPCCに対し与えるという規則の改定を提案し、この手順に関するガイダンスを求めた。事務局長のChristはこれに応じて、規則38の下では手順規則改定案は全て、会合の少なくとも8週間前までに事務局に通知し、事務局がメンバーに通知する文書に記載できるようにしなければならないと述べた。同事務局長は、手順規則を批判的にレビューするとのアイルランドの提案を支持すると表明し、南アフリカの提案する議題項目を拡大し、この点も対象とすることを提案した。

サウジアラビアは、一件の特殊な事例の結果、IPCCでの手順規則の議論を開始することに異論を唱え、手順規則はこれまで成功裡に遵守されてきたとの意見を述べた。

米国は、アイルランドの支持を得て、IPCCは独自の選出規則を有する特異な組織であると指摘し、このため、発生する可能性がある状況を全て予見するのは不可能であると指摘した。同代表は、今回の事例では決定は適切であったようだとするサウジアラビアに同意したが、全ての手順規則の包括的なレビューが望ましいとするアイルランドを支持した。同代表は、IPCCはその高度な健全性を維持するため実施方法改善の努力を続けていくとの確信を表明した。

次回会合の日時と場所

事務局長のChristは、IPCC-42は2015年10月5-8日、クロアチアのドゥブロヴニクで開催され、続いて10月9日に新しく選出された議長団の会議が開催されると発表した。

会合の閉会

議長代理のEl Gizouliは、閉会にあたり、事務局長Christの激務に対する感謝の意を表した。サウジアラビアはChrist事務局長の経験と知識は真に貴重なものであるとし、同事務局長の最善を祈念した。Christ事務局長は、議長代理及び長年共に作業を行ってきた全てのものに感謝し、さらにこの会合の開始時におけるUNEP専務理事の貴重な助言に感謝した。議長代理のEl Gizouliは午後5時57分、IPCC-41を閉会した。

IPCC-41の簡易分析

評価報告書採択後で初めてとなるIPCC会合は、あまり厄介な問題もなく、単純明快で、比較的平穏な会議であるのが通常である。しかしIPCC-41が始まろうとする時点で、パネルは、IPCC議長Rajendra Pachauriの辞任というニュースを受け取ることになった。IPCC議長団がこの状況への最善の対応方法を決められるよう、正式な会合開会は2時間延期された。

結局、会議は計画とおりに進められ、IPCC-41は予定通りに閉会した。パネルは、IPCCの将来に関するタスクグループの提案について議論し、一連の決定を行い、次の7年間の作業の土台を築いた。これらの決定は、過去の実施事項から大きく離れるものではないが、パネルは一部の決定を行うにあたり、AR6プロセスに一定の柔軟性と開放性を持たせた。

Pachauri議長の辞任という予想外の事態にも拘わらず、手続き上の問題で会議が停滞しなかったという事実は、組織としてのIPCCのパワーや回復力を示すものであり、手元の問題に集中し専念し続ける能力を示す。下記は、IPCC-41の簡単な分析であり、主要な成果及びナイロビ会議での決定事項に焦点を当てるほか、新しい議長団の選出及びスコーピング会議開始時での、これらの決定の意味合いを示す。

進捗状況及び進展

IPCCは、7年前に前回の進捗状況会議を開催、AR5の作成作業に必要な決定を行ったが、この時点のIPCCを取り巻く状況はかなり異なっていた。パネルは、そのちょうど4カ月前にノーベル賞を受賞し、AR4における悪名高い誤謬はまだ発見されていなかった。IPCCは、その頂点に達し、ある参加者が述べたとおり「IPCCは、後は下るだけ」であった。

実際、報告書の正確さに関する疑問、気候政策に対するIPCCの不偏性に関する疑問が出てきた直後に、インターアカデミーカウンシル(IAC)によるIPCCの規則、政策、手順の徹底的なレビュープロセスが行われ、その結果、IPCCの管理構造の根本的な改革が提案された。IPCCは、このIACの提案への対応プロセスを終了させるのに、ほぼ2年間を費やしたが、結局のところ、IPCCはこれで、より強力で信頼性のある組織として再浮上した。

ナイロビ会議の議論は、多くの意味で、2008年4月のブダペストでの会議と同様の問題に焦点が当てられた、両方の会議とも、主要な評価報告書の完成を受けて開催され、次の問題に議論が集中した:情報に対する要求拡大に対応するため、IPCCの更新頻度を高める必要性;途上国の科学者による参加の改善;地域への注目強化;コミュニケーション及びアウトリーチの必要性にも焦点が当てられた。

しかし、今日、これらの問題の議論は緊急性を帯びてきた。報告書へのアクセス改善、及びIPCCの全ての面での途上国の参加改善は、IPCCの関連性において極めて重要とみなされる。IPCC報告書の利用者の範囲が増幅し、拡大し、多くのレベルの政策決定者が気候変動問題に対応せざるを得なくなり、利用しやすい制作物を求める声は広く、絶え間なく聞こえてくる。このことから、速やかな更新をし、政策決定者のニーズに柔軟に対応し、地域情報に更なる注目をし、一部のコミュニケーション専門家の参加を増加することが提案された。

よりアクセスしやすく、速やかに対応するIPCC

AR6評価サイクルの議論は、1年半前、IPCCの将来に関するタスクグループが初めて設置された時に開始された。ナイロビで、パネルは、このタスクグループの提案を取り上げ、AR6制作物に関する基本的な決定を行い、その詳細に関する議論は将来のスコーピング会議で行うことを予定した。

パネルは、総合評価報告書を各サイクルの主要制作品として維持すると決定し、多数の参加者は「これはIPCCが行える最善のものだ」と説明した。既に気候の影響は感じられていることから、多数のものは、科学は頻繁な報告を必要とする速度で変化しており、政策決定者がタイムリーな形で対応できるようにするには、5-7年というサイクルは長すぎると主張した。他のものは、そのような急速な更新はUNFCCCの下での政策決定に対し、より良い情報を提供するためにも必要だと論じた。

多数の国は、地域報告書をIPCCの制作物として独立させることを提案し、よりアクセス可能で地域に密着した情報が必要だと強調した。この点の決定は受理されなかったが、にも拘らず、この決定にはAR6での地域的側面が含まれ、SRsにおいてこれらの問題の更なる議論をする可能性も盛り込まれた。パネルは、IPCCにおける英語以外の文献へのアクセス性を高め、そのような文献の執筆者の参加を拡大し、これらの文献の利用増加を奨励すると決定したことから、参加者は、AR6においては地域的な側面の豊富さがさらに増加する可能性が高いと指摘した。

IPCCにおける大きな懸念事項は、政策決定者だけでなく、社会全体にもアクセスしやすい形で、結論を伝達していく問題である。特に、グラフィックデザイナーなどコミュニケーション専門家に、AR6作成の早い段階から、その草案作成過程を通して参加してもらい、利用しやすい制作物を作成するなら、IPCCの対応性やアクセス性を高めるはずであり、これによりIPCCの結論は、政策決定者や他のものが理解しやすい、より注目を集めるものになる。

途上国の参加拡大

IPCCの将来に関する議論の重要な題目の一つ、途上国の参加拡大は、ほぼ全ての決定で重要事項として、繰り返し求められてきた。この問題は、第一次評価報告書以来、進展が見られているとはいえ、AR5の執筆者メンバーのうち、途上国及び経済移行国出身者は36%に過ぎなかったと言う事実に根ざしている。ピアレビューされた文献がなく、データも不十分であるという理由で、アフリカ地域については少数の影響しか示すことができず、WGII SPMでの議論で、その地図が削除されたことは、多くの参加者の記憶に未だ新しいことである。

IPCCは、報告書の作成過程で、途上国出身科学者の参加人数を増やす多様な手法を擁している。このうちIPCC-41で最も議論されたものの一つは、それぞれの作業部会やタスクフォースに対し、報告書作成に必要な科学的、技術的、組織的支援を提供し、それにより評価サイクルで作成される大半の情報を管理するTSUの問題である。TSUsは、このため、報告書の作成で極めて重要な役割を果たし、優れたキャパシティービルディングの根源でもある。しかし、TSUの機能とパネルとの関係性は明確に定義されていない。

これまで、TSUsは、先進国共同議長の出身国に置かれ、通常はその共同議長が関係する施設もしくは大学に在った。途上国は、このことは二人の共同議長が同等の立場になく、バランスが偏っていることを事実上意味すると、何年かにわたり論じてきた。この問題の議論を開始すべく、パネルは、ナイロビ会議において、TSUsは合同で主催され管理されることが可能であり、資金源についても門戸を開放すると決定した。この問題は資金問題に大きく依存することから、これまでの議論では扱いが難しいと多くのものが考えてきたが、今回の決定は、総じて歓迎される妥協案であった。

議長団の人数、組織構造、構成に関する決定は、途上国の参加を増やす新たな機会を提供し、二人のアフリカ地域メンバーと一人のアジア地域メンバーが加えられた。他にも途上国の参加性改善を意味する決定があり、調整役代表執筆者及び代表執筆者に対する支援の強化と科学文献へのアクセス改善の方法を探究すること、途上国でのIPCC活動の回数を増加することが決定された。途上国の参加改善ではまだ多くのことを行う必要があり、特に地域的な対象範囲でのデータの空白域の問題があるが、多くのものは、IPCC-41での決定は今後の作業にとり良い土台を提供するとの確信を表明した。

一つの時代が終わり、別な時代が始まる

ナイロビ会議で出された決定は、現状からかけ離れたものではないが、IPCCがこれらの問題の議長団及びパネル自体による更なる審議を要請したという事実には慰められる。

将来、これらの問題の一部を議論した場合にどういう結論になるか、どのように対応するかに予断を加えないとするIPCCの開放性は、IPCC自体の政策や手順への信頼を反映するものであり、その大半はIACのレビュー後に施行された変化の結果である。

事実、第6次評価サイクルに関する最も重要な変更点及び決定を行うのはまだこれからであり、これらの変更や決定が行われた時に、柔軟性や開放性を維持していくのはそれほど容易ではない可能性がある、これは、AR6のスコーピング会議では「骨格に肉付けする(meat is put on the bones)」具体的な選択を行う必要があるからである。さらに、新しい議長と全く新しい議長団が次回会合で選出され、5月のRenate Christ事務局長の引退後に、新しいIPCC事務局長が任命される予定である。

各国政府も、科学者やその研究所の努力を支援し、IPCCへの参加を助けるなど、自国において行うべきことがある。こうすることによってのみ、途上国からのそして途上国についての参加性や知識を高められる。

新しい議長団が就任し、IPCCが本格的にAR6プロセスを開始する時には、政策決定者にとり最も有用な制作物のタイプに関しAR5のサイクルで学んだこと、さらには多くの途上国出身科学者の参加の必要性について学んだことが適用され始めるはずである。

IPCCが証明してきたとおり、そして議長代理のIsmail El Gizouliが閉会時の記者会見で述べたとおり、「IPCCは、各部分の合計よりも全体が大きくなる実例なのである(the IPCC is a case where the whole is greater than the sum of its parts)」 。

今後の会議予定

国連世界防災会議:第3回国連世界防災会議は、日本政府の主催、国連国際防災戦略事務所(UNISDR)の企画で開催される。ポスト2015年の防災戦略枠組で合意することが期待される。日付:2015年3月14-18日  場所:日本、仙台  連絡先:Ms. Elena Dokhlik, UNISDR  電話:+41-22-91-78861  ファクシミリ:+41-22-73-39531  電子メール: wcdrr2015@un.org wwwhttp://www.wcdrr.org/

緑の気候基金(GCF)9回理事会会合:GCF理事会は、第9回会合を開催、基金の運用化に向けた作業を続ける。これに加えて、3月23日には、理事会の委員会会合及びパネル会合が開催される。日付:2015年3月24-26日  場所:韓国、ソンド  連絡先:GCF事務局  電話:+82-32-458-6059  ファクシミリ:+82-32-458-6094 電子メール:secretariat@gcfund.org wwwhttp://news.gcfund.org/

シナリオに関するIPCC専門家会議:この会議では:AR5におけるシナリオの利用について議論し、緩和、適応、気候影響のより総合的な評価を達成する方法を探求し、将来のIPCC報告書におけるシナリオの役割可能性を探る;新しい社会経済シナリオの議論の進捗状況も検討する。 日付:2015年5月18-20日 場所:オーストリア、ラクセンブルグ 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

気候と大気浄化の国際パートナーシップ(CCAC) ハイレベル会議:CCACハイレベル会議は、CCACの進捗状況を評価し、CCACの将来作業の方向性にインプットを与え、短寿命気候汚染物質に関係する最新の政策及び科学の発展について学ぶ。日付:2015年5月19日  場所:スイス、ジュネーブ   連絡先:CCAC事務局  電話:+33-1-44-37-14-50  ファクシミリ:+33-1-44-37-14-74   電子メール:ccac_secretariat@unep.org wwwhttp://www.ccacoalition.org/

世界気象機関(WMO)17回総会:WMO第17回総会では、特に2016-2019年のWMO戦略計画、ポスト2015年開発アジェンダ、航空気象学、防災、性差別問題の主流化について議論する。日付:2015年5月25日―6月12日  場所:スイス、ジュネーブ  連絡先:WMO事務局 電話:+41-22-7308111  ファクシミリ:+41-22-7308181  電子メール:wmo@wmo.int wwwhttps://sites.google.com/a/wmo.int/cg-17/

気候変動、食糧、農業に関するIPCC専門家会議:IPCC-40において、パネルは、2015年中に気候変動、食糧、農業に関する専門家会議を開催すると決定、そのマンデートは、この問題に関する既存のIPCCの情報を検討し、更なる行動可能性についてパネルに提案することであり、これにはテクニカルペーパーまたは特別報告書作成というオプション、もしくは今後の評価サイクルでのこの問題の議論が含まれる。日付:2015年5月27-29日 場所:アイルランド、ダブリン 連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

UNFCCC第42回補助機関会合:UNFCCC補助機関の第42回会合及びADP第2回会合第9部(ADP 2-9)は、2015年6月に開催予定。  日付:2015年6月1-11日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://www.unfccc.int

気候変動ハイレベルイベント:国連事務総長は、UNFCCCの2015年世界合意達成にモーメンタムを与え、達成努力に弾みをつけるべく、このハイレベルイベントを開催する。  日付:2015年6月29日  場所:ニューヨーク国連本部  連絡先:国連事務総長オフィス  wwwhttp://www.un.org/pga/calendar/

気候変動の下での我々の共通の未来:国連教育科学文化機関(UNESCO)、国際科学会議、総合地球環境学研究所(Future Earth)がフランス政府とパートナーシップを組み開催する科学中心の会議、気候変動を取り巻く最新の研究状況を調査する。このイベントでは次の項目にも触れる:気候変動に関する知識の現状;気候変動の課題への対応;集団的行動及び転換を行うことによる解決策。  日付:2015年7月10-17日  場所:フランス、パリ  連絡先:会議事務局 電子メール:science@commonfuture-paris2015.org wwwhttp://www.commonfuture-paris2015.org/

ADP 3ADP第3回会合は、8月末に開催の予定。日付:2015年8月31日-9月4日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://www.unfccc.int

CCAC作業部会会議:CCAC作業部会は、CCACの協力行動に指針を与える作業を継続する。  日付:2015年9月2-3日  場所:後日発表予定  連絡先:CCAC事務局 電話:+33-1-44-37-14-50  ファクシミリ:+33-1-44-37-14-74  電子メール:ccac_secretariat@unep.org wwwhttp://www.ccacoalition.org/

IPCC-42IPCC-42では新議長及び議長団の選出が予定される。 日付:2015年10月5-8日 場所:クロアチア、ドゥブロヴニク 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

ADP 4ADPの第4回会合は、2015年10月に開催予定。 日付:2015年10月19-23日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://www.unfccc.int

UNFCCC COP 21UNFCCCのCOP第21回会合及び関連の会議はパリで開催される。  日付:2015年11月30日―12月11日  場所:フランス、パリ  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://www.unfccc.int

AR          AR5       AR6       CLA       COI DDC       ExComm GHG      IPBES IPCC      KP          LA LULUCF MoU      SED        SPM       SR          SYR TF TFB        TFI TGF TGICA TSU UNEP UNFCCC WG WMO

評価報告書 IPCC第5次評価報告書 IPCC第6次評価報告書 調整役代表執筆者 利益相反 IPCCデータ配布センター IPCC執行委員会 温室効果ガス 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム 気候変動に関する政府間パネル 京都議定書 代表執筆者 土地利用・土地利用変化・林業 覚書 組織化された専門家ダイアログ 政策決定者向けサマリー 特別報告書 統合報告書 スクフォース タスクフォース議長団 国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース IPCCの将来作業に関するタスクグループ 影響及び気候分析のデータとシナリオサポートに関するタスクグループ 技術サポートユニット 国連環境計画 国連気候変動枠組条約 作業部会 世界気象機関

AR          AR5       AR6       CLA       COI DDC       ExComm GHG      IPBES IPCC      KP          LA LULUCF MoU      SED        SPM       SR          SYR TF TFB        TFI TGF TGICA TSU UNEP UNFCCC WG WMO

評価報告書 IPCC第5次評価報告書 IPCC第6次評価報告書 調整役代表執筆者 利益相反 IPCCデータ配布センター IPCC執行委員会 温室効果ガス 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム 気候変動に関する政府間パネル 京都議定書 代表執筆者 土地利用・土地利用変化・林業 覚書 組織化された専門家ダイアログ 政策決定者向けサマリー 特別報告書 統合報告書 スクフォース タスクフォース議長団 国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース IPCCの将来作業に関するタスクグループ 影響及び気候分析のデータとシナリオサポートに関するタスクグループ 技術サポートユニット 国連環境計画 国連気候変動枠組条約 作業部会 世界気象機関

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Rishikesh Bhandary, Deborah Davenport, Ph.D., Maria Gutierrez, Ph.D. and Leila Mead. The Digital Editor is Herman Njoroge Chege. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMA), the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)), and the Kingdom of Saudi Arabia. General Support for the Bulletin during 2015 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA.

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