Daily report for 14 November 2013
この日一日を通し、COP、CMP、SBI、SBSTA、ADPそれぞれの下で、多数のコンタクトグループ、非公式協議、ワークショップ、その他のイベントが開催された。この中には次のものが含まれた:都市化と都市における気候行動推進での政府の役割に関するADPワークショップ;2015年合意の要素に関するADPオープンエンド協議;国別適応計画(NAPs)に関するSBI非公式協議;資金関連問題に関するCOP非公式協議;CDMのモダリティ及び手順のレビューに関するSBI非公式協議;AFB報告書に関するSBI非公式協議;損失と被害に関するSBI非公式協議;技術開発と移転に関するSBI/SBSTA非公式協議。
ADP
技術:午前中、技術に関するADPオープンエンド協議において、締約国は、全てのオープンエンド協議をオブザーバーに公開することに合意した。共同議長のKumarsinghは、締約国に対し、技術開発や移転を2015年合意にどう反映させるか、ポスト2020年の制度アレンジにどう反映させるかに焦点を当て議論するよう求めた。
マレーシアはG-77/中国の立場で発言し、技術開発と移転は途上国の低排出への道筋を可能にする鍵であると強調し、現在の報告システム強化のため資金の金額、期限、資金源を特定するよう求めた。ベネズエラは、資金援助の不足を嘆いた。
エジプトはLMDCsの立場で発言し、中国、その他と共に、GCFにおける技術移転専門窓口の開設を求めた。LMDCsはパキスタンととともに次の点を求めた:技術支援のMRVに関する作業計画;さらに中国、エクアドル、その他と共に、IPRs関連を含めた障壁の除去。インドとパキスタンは、IPRsのための資金を強調した。LMDCs、中国、クウェート、その他は、GCFはIPR問題専門の窓口を提供できると述べた。日本は、IPRsを取り上げることに反対し、ボリビアはキューバと共に、この問題に関するワークショップ開催を求めた。
技術開発及び移転を2015年合意にどう反映できるかに関し、ナウルはAOSISの立場で発言し、技術開発及び移転の資金メカニズムとのリンクを強調した。AOSIS、LMDCs、LDCsの立場で発言したネパール、その他は、適応だけでなく緩和のための技術開発と移転を求めた。ボリビアは、次の点を求めた:TECの役割強化;CTCNを指導するためのTECのマンデートを探求するワークショップ;途上国が入手可能な信頼できる技術の保管。
ポスト2020年の期間に対する制度アレンジに関し、AOSISは、技術移転と開発を資金メカニズムの既存の制度にリンクさせることを強調した。LDCsは、技術メカニズムを新しい合意に組み入れ、支援の効率や予測可能性を確保すべきと述べた。
資金:午前中、資金に関するADPオープンエンド協議において、共同議長のRunge-Metzgerは、ポスト2020年の約束の実施及びポスト2020年の制度アレンジを念頭に2015年合意における気候資金を検討するよう参加者に求めた。
ボリビア、中国、キューバ、エクアドル、クウェート、イラン、ニカラグア、サウジアラビア、シェラレオネ、ベネズエラは、提案された議論の焦点に疑念を呈し、途上国はプレ2020年の資金について最初に議論することなくポスト2020年問題に集中するのは不快だと強調した。スイスは、共同議長提案の手法を支持し、焦点を当てた議論は真の前進を可能にすると述べた。コロンビアは、前進する必要性を強調し、直ちに実質審議に入るよう求めた。
大半の締約国は、2015年合意を既存の制度に基づき作るべきことで合意し、既存の制度強化の必要性を指摘した。多数の途上国が次を求めた:新しく、追加的で、規模を拡大した資金;公的資金を気候資金の主要な資金源にすべき;支援のMRV;2015年合意の他の要素と同様の法的効力を有する資金の章;先進国の資金約束における集団目標及び個別目標;毎年1千億米ドルという目標を起点にする資金ロードマップ。さらに一部のものは、南―南協力は自主的努力であると強調した。
先進国数か国は、資金の流れを進められるような環境の役割を強調した。日本と米国は、官民両方の投資にインセンティブを提供する必要があると強調し、米国は、LDCsでは公的資金がカギになると指摘、中所得国及び高所得国での民間資金の役割を強調した。さらに米国は、2015年合意の法的拘束力要素はまだ決められていないと述べた。カナダは、公的資金だけでは最貧国のニーズに対応するには不十分だろうと述べた。
スイスは、SCFによる隔年レビューの役割、官民両方の資金のMRVの強化の必要性に焦点を当てた。同代表は、総額及びドナーベースに関する約束の強化を求めた。ノルウェーは、適応のための公的資金の必要性を強調し、締約国に対し、汚染者負担原則の遵守を確実にするため、炭素の価額化と費用効率の高い市場メカニズムの利用を求めた。バングラデシュは、予測可能な適応資金を強調した。
都市化と都市における気候行動推進での政府の役割:午後、2020年までの野心に関するADPワークショップは、都市化と都市における気候行動推進での政府の役割に焦点を当てた。ワークショップ進行役のBurhan Gafoor (シンガポール)は、このイベントを利用し、ADPの作業での具体的なオプションを見出すよう求めた。
開会スピーチ:持続可能性のための地方政府(ICLEI)のYunus Arikanと世界銀行のKarin Kemperは、マルチレベルのガバナンスについて議論し、異なるレベルで政策に影響を与え、行動をとる都市の役割に焦点を当てた。両者は、次の点を強調した:緩和とレジリエンスへの対応;国家レベルの政策及び枠組を可能にする;途上国の都市のインフラ整備に対する資金及びクレジット上の価値への投資。
持続可能な運輸政策:「持続可能な低炭素輸送に関するパートナーシップ」のCornie Huizengaは、世界は「異なる輸送方式(different transport)」を必要としていると強調し、次の提案をした:不必要な旅行の回避;クリーンな輸送方法への転換;電動輸送機器の改善。
ワルシャワ市副市長のMichal Olszewskiは、中欧と東欧の都市の課題について論じ、公共スペースへの投資、輸送手段としての自転車の推進、柔軟な法制度、意識の向上が必要だと強調した。
コロンビアの運輸大臣Juan Camilo Florentinoは、トップダウンの国家政策と地方のイニシアティブの規模拡大が重要であると強調した。
中国国家発展改革委員会のJiang Kejunは、中国での都市人口の増加を強調し、中国の低炭素政策のカギとなるのは気候に優しい都市であると強調した。
ケニア都市部道路局のChristine Ogutは、ナイロビ及び他の都市での新しい大量高速輸送システムの開発について説明し、不適切な能力への対応と市民の参加拡大の努力に焦点を当てた。
その後の議論では、次の問題が取り上げられた:運輸部門及び建築部門におけるエネルギー高効率化と再生可能エネルギーの推進に成功する政策;途上国のインフラ面でのニーズにおける資金のギャップ;ADPプロセスにおける非国家行動者の役割。
建築部門の政策:国連ハビタット(人間居住計画)のMohamed El-Soufiは、「気候変動のための都市のイニシアティブ」(これは途上国及びLDCsの都市における緩和活動と備えの強化を求めるもの)についてプレゼンテーションをした。
シーメンス社/持続可能な開発のための世界ビジネスカウンシルのSavvas Verdisは、グリーン戦略実施に必要な資源へのアクセスで各都市が直面する課題を強調し、各都市に行政管轄域を超える権限を与える必要があると指摘した。
世界グリーンビルディングカウンシルのJames Drinkwaterは、エネルギー効率措置の標準化が重要であると強調し、一部の都市で、建築物に対する強制的なエネルギー監査や報告スキームが導入されていることを歓迎した。
ブエノスアイレス市のInés Lockhartは、同市にはエネルギーへの補助金制度があり、居住部門でのエネルギー効率化措置の実施は困難であると強調した。
シンガポール国家気候変動事務局のCheah Sin Liangは、シンガポールの環境への影響や実績を評価するグリーン建築格付けシステムであるグリーンマークスキームについて述べた。
議論の中で、米国と南アフリカは、この問題に関するADPの下での追加の議論に関心を表明した。インドは、途上国の資金源や人的資源の制約を強調し、中国は、都市のグリーン化を目指すイニシアティブが途上国の約束に代わるものであってはならないと述べた。
コンタクトグループ及び非公式協議
REDD+ (SBSTA):REDD+の手法論ガイダンスに関する午前中の非公式協議では、提案される森林排出参照レベルそして/または森林参照レベルに関する締約国の提出文書について、その技術評価をするためのガイドライン及び手順に関する決定書草案の要素に焦点が当てられた。
CGEの専門家がオブザーバーとして参加可能にするかどうかなど、評価チームの構成に関する意見が分かれた。提案を支持する締約国は、キャパシティビルディングで途上国を支援したCGEの役割を強調した。
参加者は、技術評価で更なる改善分野やキャパシティビルディングのニーズが明らかにできるかどうかも議論し、一部の締約国は、関係締約国が指摘した場合のみに可能だと論じた。
この日一日を通し、REDD+の手法論ガイダンスに関する非公式協議が続けられ、途上国の森林部門での緩和行動に関し、制度アレンジを含めた行動実施支援の協力について、非公式協議が続けられた。
国別適応計画 (SBI):NAPsに関する非公式協議は、午前中に開催された。多数の締約国が、共同議長の結論書草案に基づき議論することを支持した。途上国数か国は、広範な適応及び開発のコミュニティに対しNAPsの重要性を強調する決定書の作成を支持した。一部の先進国は、NAPsの重要性に関するCOP 19決定書を支持すると表明したが、他のものは、後の段階での中身のあるCOP決定書作成を希望し、コンタクトグループのマンデートには限界があり、特にADPの下など他の場でも適応のプロフィールを高める機会があると指摘した。非公式協議が続けられる。
資金関連問題 (COP):COPの下での資金に関する午前中の非公式協議では、LTFに議論の焦点が当てられた。
大半の途上国は、LTFに関するCOP決定書は最も重要な決定書の一つであると強調した。一部のものは、条約4.7条 (資金と技術移転)の実施を求め、資源を提供するのが政府の義務であると強調し、1千億米ドルの目標に向けた資金の拠出は「新しい」ものではなく、既になされた約束の実現に過ぎないと指摘した。
多数の途上国が特に次の点を求めた:具体的な成果及び1千億米ドルの目標に向けた中間目標または数値化された道筋の形での明確性と予測可能性。多数の先進国が効果性と可能にする環境が必要であると強調した。一部の先進国は、ワルシャワでは何の資金約束も行わないと指摘し、数値化された道筋を拒否し、2020年目標達成に向けた議論を強調した。大半のものは、2℃目標達成の努力の重要性、透明性及び信頼構築の重要性で意見が一致した。
午後、SCFとGCFの報告書に関する非公式協議が続けられた。他の小項目は金曜日の非公式協議で取り上げられる。
CDMのモダリティ及び手順のレビュー (SBI):午後の非公式協議で、締約国は、CDMのモダリティと手順における変更の可能性について取りまとめたリストを検討した。一部の締約国は、クレジット期間の長さなどリストにある多様な要素について更に練ることが必要だと指摘した。テクニカルペーパーや文書提出に対する提案が行われ、ワークショップでフォローされる可能性がある。一部の締約国は、進展が限定的であることへの焦燥感を表明した。CMP 9決定書に関する非公式協議が続けられる。
損失と被害(SBI):午後の非公式協議で、締約国は、文章中に含まれる要素や意見集約する範囲を特定するオプションペーパーについて、意見交換を行った。ある締約国は、決定書3/CP.18のパラグラフ5 (遅く発現する影響など包括的リスク管理手法の知識及び理解を高める;関連する利害関係者間のダイアログ、協調、整合、シナジーを強化する;行動と支援を強化する)に記載する要素に基づき議論することを提案した。締約国は、次の点を指摘した:目的と目標;組織とガバナンス;機能;モダリティ;リンク;意見の集約に向けダイアログを枠づける広範なアンブレラ分類という形の支援。共同議長は、締約国の提出文書及び意見書を反映する文書を作成し、更なる議論にかける。
AFB報告書 (CMP):午後のコンタクトグループ会合で、締約国は、AFB報告書及びAFの第2回レビューに関する一般的な意見交換を行った。
バハマはG-77/中国の立場で発言し、利用可能な資源がないこと、プロジェクトが列をなして支援を待っていることへの懸念を表明した。同代表は、アフリカングループの立場で発言した南アフリカとともに、ワルシャワ会議において、資源の利用可能性に確実性を与える成果を挙げるよう求めた。アフリカングループは、資金源の多様化が必要だと強調した。ジャマイカはAOSISの立場で発言し、AFのための適切かつ予測可能な資源を確保するモダリティを求めた。マラウィはLDCsの立場で発言し、認証排出削減量の価格の低さに対する懸念を提起した。
G-77/中国は、AFBの報告書に記載するCMPの行動提案での技術特性に留意し、この問題に対応する上で必要とされる一連の決定を明確にするよう求めた。EUは、AFの実績に注目し、報告書に留意する意思があると表明した。
CANは、締約国はAFが「死の床に」あると知りながらワルシャワを離れることはできないと強調した。非公式協議が開催される。
技術 (SBI/SBSTA):技術の開発と移転に関する午後の非公式協議で、参加者は、CTCNのモダリティと手順に関するCOP決定書草案、TEC及びCTCNの合同年次報告書に関するCOP決定書草案について検討した。後者に関し、TECにIPRsへの対応を求めた文章案について、締約国の意見は分かれた。一部のものはこれに反対し、TECは既に環境や障壁を可能にするすることの探求を求められていると述べた。非附属書Ⅰの技術的ニーズに関する第3回統合報告書に関し、締約国はこの問題について適切な議論をする時間がないことへの失望感を表明した。ある締約国は、この問題の議論をSBSTA 40まで遅らせても技術的ニーズ評価の実施には影響しないと発言した。他の締約国は、行動実施の必要性を強調した。
廊下にて
木曜日、多数の会議が並行して行われるというプレッシャーで、参加者は疲労感を感じ始めたようだ。いろいろな会議室で、同じような議題項目の会議が重複するのは避けてほしいとの要望が出された。会議場のコーヒーショップでは、あわてたように文書草案のメモを取る参加者の姿が見られた。一部のものは、会議の連続で、文書を検討したり、コメントを出したりする時間が少ないことを懸念しているようだった。多少陽気な参加者の一人は、「千件もの他のことで会議しているわけではない時に」、文書草案の議論で夜に追加会合が予定され、だれもが「袖をまくっている」のが印象的だったと述べた。
午前中のADPのオープンエンドな議論では、途上国数か国はポスト2020年の資金を議論する前にプレ2020年の資金に焦点を当てる議事手順を求め、今回、資金問題が舞台の中心に押し出された。このような意見は、プレ2020年の資金が前面に出てこない可能性があるとの懸念が広がったことを映し出していた。しかし、他のものは、組織化された議論を歓迎し、手続き上の議論で重要問題の実質審議が遅れるのではないかと心配した。
バーチャルスペースでも、同じように熱の入った交渉のペースが示された。フィリピンの気候コミッショナーのNaderev Sañoが開設したオンライン嘆願書は、1日ちょっとで1万名を超える署名を集めた。
#COP4ハイアン連帯作戦:金曜日、ポーランドの緊急援助に特化した非政府組織、ポーランド人道主義行動のボランティアは、超最強台風ハイアン襲来後のフィリピンの救済と復興のための募金を集めるため、国立競技場の入り口に立つ予定。木曜日には、若い参加者たちが、フィリピンで活動する4つのNGOsを通す募金イニシアティブ、Twitterstormを立ち上げた(参照: http://bit.ly/1cX8WiQ)。Naderev Sañoが発言したように:「自分たちでなければ、だれが?ここでなければ、どこで?今でなければ、いつ?」
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