Summary report, 10 March 2014

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での強化された行動のためのダーバンプラットフォーム特別作業部会第2回第4部会合(ADP 2-4)は、2014年3月10-14日、ドイツのボンで開催された。この会議には、各国政府及び市民団体、学術界、政府間組織、民間部門からの参加者を含め、1071名が集合した。

ワークストリーム1(2015年合意)の下では、この1週間、議題項目3に関するオープンエンド会議が行われ、次の項目について協議した:適応;国家が決定する貢献分;資金、技術、キャパシティービルディング(実施方法);野心と公平性;緩和;行動及び支援の透明性;その他、要素に関する問題。会合期間中ワークショップでは、各国が決定する意図がある貢献分の国内作成努力が議論された。

ワークストリーム2(プレ2020年野心)の下では、再生可能エネルギー(RE)及びエネルギー効率(EE)に関する技術専門家会議が開催された。それぞれの技術専門家会議で、次の分科会が行われた:政策、実施方法及び技術―世界の現状;行動実施―資金、技術、キャパシティービルディング;今後の議論の進め方。

UNFCCCと京都議定書のこれまでの経緯

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため、大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度の安定化を目指し、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在は195の締約国を有する。

1997年12月、日本の京都で開催された第3回締約国会議(COP 3)に参加した各国の政府代表は、先進工業国および市場経済移行国に排出削減目標の達成を義務付けるUNFCCCの議定書に合意。UNFCCCの下で附属書Ⅰ国と呼ばれる国々が、2008-2012年(第一約束期間)の間に6種の温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年と比較して全体で平均5%削減し、各国ごとに異なる個別目標を担うことで合意した。京都議定書は、2005年2月16日に発効し、現在192の締約国を有する。

2005-2009年の長期交渉

2005年、カナダ・モントリオールで開催された京都議定書の第1回締約国会合(CMP1)では、議定書3.9条に則り、京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の設立を決定し、第一約束期間が終了する少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討することを、その役割と定めた。

また、COP 11では、4回のワークショップ開催を通じて、条約の下での長期的協力を検討するための「条約ダイアログ」と称されるプロセスも創設された。

2007年12月、インドネシア・バリで開催されたCOP 13及び CMP 3では、長期的な問題に関するバリ・ロードマップについて合意に至った。COP 13は、バリ行動計画を採択するとともに、条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)を設立し、緩和、適応、資金、技術、長期協力行動の共有ビジョンを中心に討議することを役割付けた。また、AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。2つの交渉トラックが結論を出す期限は、2009年のコペンハーゲン会議と定められた。

コペンハーゲン:デンマーク・コペンハーゲンでの国連気候変動会議は2009年12月に開催された。非常に大きな注目を浴びる会議となったが、透明性やプロセスをめぐる論争が目立った。ハイレベルセグメントでは、主要な経済国や地域の代表、その他の交渉グループの代表で構成される様々なグループによる非公式交渉が行われた。12月18日深夜、会議の成果として政治合意である「コペンハーゲン・アコード」が成され、その後、採択のためにCOPプレナリーに提出された。それから13時間にわたる議論の末、参加者は、コペンハーゲン合意に「留意する」ことで合意した。2010年には140カ国以上がこの合意への支持を表明し、80カ国以上が国家緩和目標または行動に関する情報を提出した。また、締約国はAWG-LCAおよびAWG-KPの役割をそれぞれ 2010年まで延長することで合意した。

カンクン:メキシコ・カンクンでの国連気候変動会議は2010年12月に開催され、締約国はカンクン合意を成立させた。条約の交渉トラックでは、世界の平均気温の上昇を2℃以内に抑えるには世界の排出量の大幅な削減が必要であると決定書 1/CP.16の中で認識した。締約国は、世界の長期目標を定期的にレビューし、2015年までのレビュー期間中に目標の強化を更に検討するということで合意し、その際に1.5℃を目標とする案についても検討することで合意した。また、締約国は、先進国と途上国がそれぞれ通知した排出削減目標やNAMA(国内における適切な緩和行動)に留意した。決定書1/CP.16には、MRV (測定・報告・検証)やREDD+(途上国における森林減少や森林劣化からの排出削減や森林保全、持続的な森林管理、森林炭素吸収源の強化策)等、緩和に係わるその他の側面についても記載された。

さらに、カンクン合意は、いくつかの新たな制度やプロセスを創設した。その中には、カンクン適応枠組み、適応委員会、技術メカニズムがあり、技術メカニズムの下では技術執行委員会(TEC)と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)が設立された。また、緑の気候基金(GCF)が新設され、24人のメンバーから成る理事会が統治する条約の資金メカニズム運用機関と指定された。締約国は、この基金の設計を課題とする移行委員会や、資金メカニズムに関してCOP を支援する常設委員会の設置についても合意した。さらに、締約国は、先進国が2010-2012年に早期開始資金300億米ドルを供給し、2020年までに年間1000億米ドルを合同で動員するとの先進国の約束についても認識した。議定書の交渉トラックでは、CMPが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(AR4)に明記されたレンジに合わせた総排出削減量を達成するべく野心度を引き上げるように附属書Ⅰ国に促し、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)に関する決定書 2/CMP.6を採択した。また、両AWGのマンデートはもう一年延長されることとなった。

ダーバン:南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動会議は、2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果として、広範なトピックが網羅されたが、特に京都議定書の第二約束期間の設置や、条約の長期的協力行動に関する決定、GCFの運用開始に関する合意などが盛り込まれた。締約国は、「条約下で全ての締約国に適用可能な、議定書、法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とする新組織としてADPを発足させることでも合意した。ADPでの交渉は2015年中に完了させることとし、2020年には新合意の発効を目指すこととした。さらに、ADPは2℃目標に絡んで2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索する役割も付与された。

ドーハ: 2012年11月26日-12月8日、カタール・ドーハにて、国連気候変動会議が行われ、「ドーハ気候ゲートウェイ」と称される一連の決定書パッケージが作成された。その中には、第二約束期間を定めるための京都議定書改正やAWG-KPの作業をドーハで最終的に完了させるための合意が盛り込まれた。また、AWG-LCAの作業完了やバリ行動計画の下での交渉終了についても締約国の合意がなされた。一方、世界目標の2013-15年のレビューや、先進国と途上国の緩和、京都議定書の柔軟性メカニズム、国別適応計画(NAP)、MRV、市場及び市場以外のメカニズム、REDD+等、さらなる議論が必要とされる数多くの問題については、SBI及びSBSTAに付託されることとなった。ドーハの成果の重要な要素は、途上国の中でも特に気候変動の悪影響に脆弱な国々における損失・被害を検討する制度メカニズム設立のための合意が盛り込まれたことである。

ADP 2:2013年4月29日-5月3日、ドイツ・ボンでADP 2が開催された。この会議は、ワークショップとラウンドテーブルでの議論を中心に構成され、ADPの2つのワークストリームもカバーされた。ADPの議論を進展させるには、この会議方式が有効だという印象を多くの参加者が抱いた一方で、今後のADPはもっと焦点を絞って双方向的なものとすべきだと意見が数名の政府代表から寄せられた。

ボン 2013: 2013年6月3日-14日、ボン気候変動会議が開催された。SBI 38では、COP及びCMPの意思決定についての法的・手続き的な問題を新たな議題項目として導入しようという、ロシア、ベラルーシ、ウクライナからの提案をめぐって、議題に関する論争が引き起こされた。この論争に対する解決策は見つからず、SBIでは実質的な討議に入ることができなかった。 一方、SBSTA 38では、特にREDD+や方法論の幾つかの問題などの分野を中心に、多くの参加者が素晴らしいと認めるような進展があった。ADP 2再開会合は、ワークショップやラウンドテーブルを中心に構成されたが、一部の作業をもっと公式的な場に移すためのコンタクトグループの数を1つまたは複数設置するかという点で合意に至れなかった。 とはいえ、多くの参加者は、今後の会合でADPが確実に進展を図るためにも交渉モードに転換することが重要だとの所感をもった。

ワルシャワ: 2013年11月11日-23日、ポーランド・ワルシャワにて、ワルシャワ気候変動会議が開催された。交渉の焦点は、第2部パート3 (ADP2-3)という形で開催されたADPの作業続行など、これまでの会議での合意事項の実施という課題に関するものだった。会議では、ADP決定書が採択され、「自主的に決定する約束草案」に向けた国内準備の開始や強化を締約国に招請し、バリ行動計画や2020年までの野心の完全実施を加速化させるという決意を示した。

また、締約国は、「損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズム」の設立を定めた決定書や「ワルシャワREDD+枠組み」としてREDD+資金や制度的アレンジ、方法論の問題等について定めた一連の7つの決定書を採択した。

ADP 2-4 サマリー

3月10日(月)、ADP 共同議長の Artur Runge-Metzger (EU)によって会議が開幕。UNFCCC のChristiana Figueres事務局長が2014年はパリで意義ある合意に至るための“行動と野心をめざす有望な一年”であると強調し、民間部門や軍部、青年、都市、各国政府などを代表するさまざまな関係者と会談したことについて報告を行った。皆がそれぞれ気候変動に対処する責任を担っており、交渉の舵取りを行う政府代表の任務をサポートしているのだと指摘した上で、今次会議が成功し、実りあるものとすべく“風を帆に受けるように“参加者にはこのサポートを活かすよう呼びかけた。

また、Runge-Metzger共同議長は、ボンのワールドカンファレンスセンターで使用されているガラスはADPの作業の透明性と包括性を象徴しているようだと語る一方で、「いまだに多くの作業が残されている」と強調し、共同議長のアイディアノートやシナリオノート (ADP.2014.1.情報メモ 及びADP.2014.2.情報メモ)について言及した。また、2014年10月にボンでADP追加会合を開催する予定である旨を参加者に伝えた。

作業構成: 2013年4月29日-5月3日にボンで開催されたADP 2-1で採択された議題(ADP/2013/AGENDA)をベースに会合が進められた。 シナリオノートについて、Runge-Metzger共同議長は、両共同議長がオープンエンド協議で2015年合意の内容を詰めるよう提案している旨を説明した上で、協議は全員参加型の透明性の高いものとすると強調した。 また、 ADP作業の基本理念について触れ、この会合において、適応に関する作業への対応を開始する;各会合に対する協議の疑問点を指針とする;水曜日のストックテイキング・プレナリーで締約国からの意見を募集する;インセッションワークショップや技術専門家会合、ブリーフィングを行う等の提案を行い、締約国側も提案に賛同した。

開会ステートメント: ADP共同議長のKishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ)は、各国のステートメント発表を促した。ボリビアは、途上国77ヶ国及び中国グループ (G-77/中国)の立場から、ADPに定められた規定に基づき、ADPは緩和だけではなく、すべての要素についてバランス良く配慮する必要があると強調し、資金に関する支援が同グループの最重要テーマであり、適応については適切な配慮を振り向けるべきだと主張した。

G-77/中国は、有志途上国グループ (LMDC) を代表するフィリピン、ブラジル、 南アフリカ、インド、中国 (BASIC)を代表するインド、米州人民ボリビア同盟(ALBA)を代表するニカラグア、アラブ・グループを代表するサウジアラビアとともに、合意は、衡平性や共通するが差異ある責任 (CBDR)や能力等、条約の理念に沿っていなければならないと述べた。また、G-77/中国、およびBASICは、 京都議定書のドーハ改正の速やかな批准;京都議定書締約国による排出削減数値目標の引上げ; 同じ期間内における議定書の締約国ではない附属書I国による比較可能な方法での野心の引上げを求めた。

ギリシャは、欧州連合(EU)の立場から、 2015年合意の交渉テキスト草案をリマで作成する必要があることを念頭に、ボンで “具体的な交渉に入るよう”求めるとともに、提供されるべき事前情報についての合意;自主的に決定する約束草案 (NDCs)の前進; 2015年合意の土台となるルール、特にMRVやアカウンティング・ルール等での細目等について、進展を図るよう求めた。

オーストラリアは、アンブレラグループの立場から、2015年合意の要素を特定し、締約国が自主的に決定する約束草案(NDCs)の基礎となる前提条件についてより良く理解するよう期待すると述べた上で、全体として2015年合意を今後も整合性のとれる形まで構築できるように担保しつつ、具体的なアイディアについて深く研究できるような柔軟なプロセスが必要だと指摘した。

スイスは、環境十全性グループ (EIG) の立場から、特に: 2015年の成果の中核的要素に対する共通理解の推進; 2015年上半期中に自主的な約束草案を提出するためすべての締約国が取り組むという信頼の前進; これを行うために必要な情報についての理解の推進; 2020年までに排出削減を行うための取組みを増加させるための機会の創出、等を目的とした会議の開催を要請した。

スーダンは、アフリカン・グループの立場から、両ワークストリームの下で予定されているセッション全てについて明確な作業プランを求め、国連事務総長の気候サミットを含む外部機関が交渉にどのようなフィードバックを提供するのか共通理解が必要であると強調し、すべての課題に対して締約国が早く関与するよう呼びかけた。また、緩和の野心を引上げるため、緩和ポテンシャルの探求から、インセンティブ・メカニズムの模索へと移行すべきだと強調した。

小島嶼開発途上国(SIDS)に対して気候変動の影響が不当に大きいことを指摘し、ナウルは、小島嶼諸国連合 (AOSIS)の立場から、何も行動を起こさないことは、最悪の影響を回避するための機会を損失することになると強調し、今次会合で、2015年合意に含める要素の特定;明確で透明性の高いNDCsの提出を実現させるために必要な情報;世界の気温上昇幅を1.5°C未満に抑制するための長期目標に対する定量化と評価を可能にするような透明で検証可能な方法で締約国がNDC案を速やかに提出するためのプロセスへの通知; 各国の貢献案をレビューするためのプロセスの構築などの議論に専念するよう求めた。

ネパールは、後発開発途上国(LDCs)の立場から、議論の進展については理解を示しつつ、ワルシャワのADPは2015年合意の法的要素においては一歩後退という結果だったと述べ、2014年は最初から野心的なNDCsを掲げるために何が必要なのかという議論を集中的に行い、先進国には野心を引上げるよう要請した。 また、AOSISとともに、再生可能エネルギー (RE)には高い緩和ポテンシャルがあるとして、再生可能エネルギーが今次会議のテーマとなったことを歓迎した。

LMDCsは、2015年にパリで合意成果に至るには、できるだけ早く意見が収束できる領域を広げるべきだと主張し、途上国における気候変動の影響を見ると、持続可能な開発という課題をもつ国々に負担を転嫁させるよりも、まず先進国が気候変動の緩和でリーダーシップをとるべきだということは明白だと述べた。

アラブ・グループは、緩和と適応と並行してNDCsを策定すべきだと述べた上で、合意の法的性格:途上国支援の必要条件; 過去の排出量に基づく先進国の排出削減; 緑の気候基金(GCF)と技術執行委員会 (TEC)が各々の業務を実行するための “ゴーサイン”等のついての合意が必要だと強調した。

BASICは、 野心のレベルを引き上げるためには、締約国はUNFCCCの構成や附属書を堅持すべきだと主張し、NDCsは先進国による支援の情報を含めたUNFCCCの柱のすべてを網羅すべきだとも述べた。

ALBAは、野心的で個別の排出削減の数値目標は、測定可能でなければならないとし、途上国の活動は緩和策や適応策のための資金・技術の支援に向けたロードマップ次第であると強調し、  

NDCsは、緩和、適応、技術移転、キャパシティビルディング、資金をカバーすべきだと主張した。

コロンビアは、中南米・カリブ海諸国独立連合(AILAC)の立場から、 2015年合意には、特に、科学やCBDR、衡平性の原則;すべての締約国の集団責任;地球規模の緩和目標やNDCsを確実にするメカニズム;市場及び非市場型のメカニズム;途上国における森林減少や森林劣化由来の排出削減や森林の保全や持続的な管理及び森林吸収源強化の役割(REDD+);支援を評価するためのレビューメカニズム; UNFCCCに基づく既存の適応の関するツールの体系化;損失被害;実施手段(MOI);行動や支援の透明性についての言及を盛り込むべきだと提案した。

アフリカン・グループ、LMDCs、アラブ・グループ、 ALBA、およびBASICは、合意案の作成のためワークストリーム 1の下にコンタクトグループを設置することを含め、国家主導のプロセス を求めた。

LDCsおよびLMDCsは、途上国によるNDCs準備のため、先進国の支援が必要であると強調した。

トルコは、CBDRに則り、締約国間のダイナミックな区分を設定するとともに、客観的な方法で締約国の国情を評価することを求めた。

米国国際ビジネス評議会(US Council for International  Business)は、企業および産業界の非政府組織 (BINGOS)の立場から、2015年合意は“未来を守るだけでなく、未来にやさしい”内容であるべきだとし、費用対効果の高いイノベーションや市場メカニズムを支持するべきだと主張した。

クライメート・ジャスティス・ナウ(Climate Justice Now)は、環境NGOの立場から、公式交渉の開始を前に、劇的に議論の進展を図り、気温上昇を1.5°C未満に抑制するためのビジョンを提示するよう求めた。

気候行動ネットワーク(CAN)も環境NGOの立場から、交渉草案のテキストを作成するための体制やプロセスで合意し、できるだけ早く、コンタクトグループでの議論に移る必要があると強調した。また、遵守や損失被害といった決定的に重要な要素が“交渉テーブルから抜け落ちる”ことがあってはならないと述べた。

女性環境開発機関 (WEDO)は、女性とジェンダー保護の立場から、ADPの下でのすべての行動には、強力なジェンダー及び環境面でのセーフガードを設けるべきだと述べた。

ストックテイキング・プレナリー

3月12日(水)、ADPのKishan Kumarsingh共同議長は、リマで開催されるCOP 20までに交渉テキストをまとめるべく締約国の取組みを要請し、作業を加速させる必要があると言及した。

テーマ別専門家会合については、 G-77/中国が、もっと双方向的な方式で行うよう求めた。 ALBAは、ワークストリーム 2の重要課題に対処するには、技術専門家会合は効果がないと主張した。AOSISは、限られたパネリストだけではなく、できるだけ入手可能な専門知識すべてを把握するよう求めた。EIGは、技術専門家会合を通じたワークストリーム 2の作業を支持した。

ADPのスケジュールについては、AOSISは、会合の進展を共同議長どのように把握しようとしているか明確にするよう求め、2014年中のこれからのADP会合のためのロードマップを要請した。 アフリカン・グループ及びLMDCsは、本年中の作業構成のスケジュールを求めた。ALBAは、適応と緩和について、交渉時間を等しくすべきだとし、土壇場で作成された包括的ではないテキストを取り入れることに警戒感を示した。

ワークストリーム 1の作業方式については、 G-77/中国が、AOSIS、アラブ・グループ、アフリカン・グループ、LMDCs、LDCs、ALBA、AILACおよびBASIの支持を受け、コンタクトグループの設置とともに、より組織化された公式の交渉方式を求め、今後のADP会合でコンタクトグループを継続させるよう求めた。G-77/中国は、このコンタクトグループによって、締約国はテキスト案に直接関与できるようになると強調し、それは締約国主導のプロセスとして、締約国のインプットを受け付け、その後の成果に締約国のインプットを反映させられるようにしなければならないと述べた。

EUおよびEIGは、現在の非公式な作業方式への支持を表明し、 300頁に及んだ“コペンハーゲン会議の準備”テキストに至らしめたようなやり方を行わないよう釘を刺したが、コンタクトグループ設置に対しては、あからさまな反対を示さなかった。 米国は、すべての締約国の見解を反映させる必要がある点については理解を示しつつも、非常に長々としたテキストをめぐる議論は避け、合意の要素に対応する方がいいと主張した。 カナダは、  コンタクトグループの定義を明確にするよう求めた。

Kumarsingh共同議長は、 それがADPの役割に基づき、ADPと同じアジェンダに取り組むということならば、単独コンタクトグループの設置について、反対意見は出ていないと指摘した上で、この取り決めを明文化すべく金曜日にも再度プレナリー会合を開催すると述べた。

サウジアラビアは、テキスト作成の手法が欠如していると懸念を示し、リマで “テキストがどこからともなく出現”するような事態は受け入れられないと強調した。クウェートは、コンタクトグループでテキストが作成されるという方式を明確にすべきだと要請した。

フィリピンは、「自分たちが存在を認められないような3頁の文書ではなく、自らの手に拠る200頁の文書を恐れる理由などあるものだろうか」と問いかけ、自らの意見を提出する権利を強調した。  

ガンビアは、6月会合で、プロセスに関する議論の進展が遅れるのではないかと不安感を示した。

ADPのKumarsingh共同議長は、合意が成立するのは“パリ閉幕を知らせる槌が振り下ろされた後”になってからだとし、テキストは締約国の意見書を踏まえたものになると述べた。

議題項目3に関するオープンエンド協議

適応: 3月10日(月)、ADP 共同議長 Kumarsinghが議長を務める議論の中で本件が最初に審議された。 議長は、新たな合意が、NAPを含む既存のアレンジを踏まえて形成されることが重要であるとし、適応-緩和の連携や各国の取組みに対する注意を喚起した。また、締約国に対しては、今次会議向けの共同議長のシナリオノート(ADP/2014/2 情報メモ)に記載された、指針となる論点に目を配りつつ、長期的な観点から適応の要素を検討するよう促した。

2015年合意における適応: 中国は、適応という題目の下で議論すべきテーマであり、長期的観点という題目の下で行うべき内容ではないと主張した。ナウルは、AOSISの立場から、適応行動を最小限に抑えるには、野心的でタイムリーな緩和が必要だと強調した。

中国は、関連性が強いUNFCCCの諸規定; 適応の実施面のギャップ;資金・技術の支援に関する先進国の意見書に盛り込まれるべき情報などを検討するよう提案した。

ノルウェーは、適応について、すべての締約国が定める適応に関するコミットメントとともに合意の枠組みをつくるものであり、開発目標や優先課題によって支えられ、科学に準拠し、先住民の伝統知識に配慮するものだと強調しつつ、2015年合意の適応に関する意見書を想起した。

スイスは、2015年合意は、すべての締約国が適応行動を実施し、最も脆弱な人々のレジリエンス(回復力)を高めるという約束を盛り込むための具体的な要素について言及することによって、適応行動に弾みをつけるものでなければならないと述べた。

恒久的な成果については、グレナダが、2015年合意によって、GHG濃度や気温上昇を前提とした様々な経済的影響の規模や範囲を評価するメカニズムやUNFCCCプロセスに対する情報提供メカニズムを提供し、途上国が影響を管理するために講じる措置の実施促進等を図らねばならないと述べた。また、新たな合意によって、緩和と適応の関係性を定め、MOIやそれとNAPsとの関係のありかたを取り上げ、適応支援のMRVに取組み、損失被害のためのワルシャワ国際メカニズムを定着させるべきだとも述べた。

南アフリカは、適応が地球全体の責任であることをはっきりと確認することを求めた。 バングラデシュとインドは、適応は場所を限定するが地球全体の責任だと強調した。エジプトは、国内および地域内の行動に立脚するよう求めた。日本は、適応が地球全体の責任であることには賛同しつつも、“画一的なアプローチは存在しない”とし、国や地域によって行動が異なると強調した。コロンビア は、適応が集団責任の問題であると強調した。

EU、ニュージーランド、日本、イラン、インド、ネパール(LDCs代表)、サウジアラビア、スイスは、現行の諸制度を活用するよう求めた。イランは、そのためには資金が必要だと強調した。ニュージーランドは、現行の体制や制度を反映させる方法については、テキストに記載することが可能だと述べた。スイスは、既存のアレンジについて再検討し、これを促進するためCOPに権限を付与することを提案した。

フィリピンは、現行の適応に関する全てのメカニズムの範囲内でADPの作業を固定すべきだと強調した。サウジアラビアは、これらの決定書のギャップを埋め、適応のための諸制度をどのように強化できるか検討することを強調した。 米国は、国内プロセスにおける適応の役割を高める上で、合意 が“決定的に重要な役割”を果たすと述べた。

損失被害については、AOSISは、緩和、適応、損失被害の関係性を反映させることを強調し、コロンビア、南アフリカ、パラウとともに、2015年合意に損失被害メカニズムを含めることを求めるとともに、MOIについては適応と損失被害のコストも含めるよう要求した。

EUは、日本とともに、新たな制度を軌道に乗せ、その影響力を示すには時間が必要だと主張した。日本は、2016年に損失被害に関するワルシャワ国際メカニズムのレビューが予定されていることを指摘し、これを2015年合意の中の適応との関係の中に位置づけることは時期尚早だと強調した。

フィリピンは、 アフリカン・グループが提唱する適応の世界目標を2015年合意に盛り込むべきだと述べた。

アフリカン・グループは、同グループの提案内容を説明し、適応の世界目標は、合意された気温目標は気候の影響およびコストに関係ある水準であることを認識するものだと述べた。 また、緩和の長期目標に関連する適応コストは、適応の世界目標とともに、緩和の長期目標を基にした所定の適応コスト、想定される気候の影響、および必要とされる資金や技術の支援などから成ると指摘した。

米国は、適応の世界目標をいかに運用するか疑問を示し、協力的なアプローチの方が成功率は高いとして、アフリカン・グループの提案は “困難”との見解を示した。また、適応を緩和の代替策のように提唱するのは生産的ではないと示唆した。

 EUは、影響の測定を明確にすることと、適応コストと持続可能な開発に対する一般的な投資コストとの区別をつけることを求めた。また、科学的根拠のモデリングおよび分析は現在行われている取組みの重要部分であり続けると述べた。

ニュージーランドは、適応については、法的拘束力をもつ成果につながることはない国家主導のプロセスだと強調し、適応の世界目標は、数値目標というよりも、適応を各国の対応策に組み入れることによって“すべての締約国が気候変動の悪影響に対する回復力を担保する”という方向に沿ったハイレベルな指令のようなものでなければならないと述べた。

スイスは、各国が回復力を高め、そのための実現状況を測定できるように備えるようにすることを合意に盛り込まねばならないとし、これが世界目標によって、どのように前進するのか明確ではないと指摘した。 日本は、合意には、特に、適応を国内計画のプロセスに統合し、社会の最も脆弱な人々に対する取組みを行うインセンティブを盛り込むべきだと述べた。

オーストラリアは、現場の成果を生むようなNAPタイプのコミットメントを検討するよう提案し、コミットメントとの関係でNAPの法的な資格を明確にさせるよう求めた。 また、適応に対して、世界全体としてのアプローチの効用については疑問視した。

適応目標の設定に必要な情報について、南アフリカ は、締約国が、脆弱なセクターを分析し、それらのセクターの技術やキャパシティのニーズについて検証すべきだと述べた。

EUは、ローカルレベルのコスト評価がはたしてレジームを促進できるのか模索することに歓迎の意を示したものの、締約国の適応コストの配分を決定する作業の一環でローカルなコスト評価がどのような実務的な役割を果たせるのか疑問を示した。

ノルウェーは、適応に関する資金 目標における技術的課題を強調し、これがさらなる現場の作業につながるものか疑問視した。また、各国の責任は、脆弱な締約国向けの支援によって下支えられるべきだとの意見に同意を示した。日本は、適応コストの測定について明確にするよう求めた。

適応の評価枠組みに対するAILAC提案については、コロンビアが、これは気候変動シナリオのモデリングや脆弱性評価、リスク評価のための方法論やマトリックス; 経済以外の損失の定量化; モニタリングやレビューの手法などに対して、指針を提示することが目的だと説明した上で、残りの損失コストや民間セクターのエントリーポイント、適応行動や支援の妥当性に関するレビューについて、もっと理解する必要があると指摘した。

 MOIについては、フィリピンが、適応は国ごとに特有の問題とされたため、過去の決議は、適応に対する資金供給が中心だったと指摘し、条約の実施強化を実現するためには、GCFへの資本注入を通じたものも含め、支援について明確にしておくことが急務であると強調した。

南アフリカは、 MOIは適応の目標やコミットメントの枠組みをつくるものであるべきだと強調した。バングラデシュは、適応の実施支援を明確にする必要があると強調した。インドは、適応向けに利用できる現在の資金供給は限られていると強調し、GCFがいかに資金の予測可能性を改善できるか模索するよう求めた。

ネパールは、長期の適応資金の必要性を指摘し、適応資金の供給を追跡し、堅牢なMRVの枠組みのための明確なルールづくりを求めた。パラウは、適応の支援は、持続可能な開発のための計画の中で組み立てるべきだと述べた。

自主的に決定する約束草案:  ADP共同議長のArtur Runge-Metzgerが議長を務める火曜、水曜、金曜の議論の中で本項目が検討された。Runge-Metzger共同議長は、本件を紹介しながら、これがADPにとって、NDCの構成内容を定める初の機会になると述べた。また、NDCについては、国情を反映させられ、各国の固有性をもち、定量的で数値化可能で、その形態と法的性格において柔軟性を備えたものにすべきだと締約国が諸所に主張してきたことを受け、NDCの準備に関する指針が必要であると強調した。

NDCのスコープについては、アルゼンチンが、附属書I国の NDCは、経済全体にわたる排出削減の約束(コミットメント)ならびに、資金、技術 、キャパシティビルディングの約束であるべきだと提案した。中国は、現在の緩和中心の議論は、合意の他の要素に関する議論に不利益となりかねないとして遺憾の意を示した。 コロンビア、エクアドル、ボリビア、ブラジル、アフリカン・グループ、インドネシア、サウジアラビア、クウェート、シリアは、貢献(約束)は、緩和に限定せず、MOIも含めるべきだと述べた。 キューバは、貢献に焦点を当てる前に、合意の要素の議論を詰めるよう求めた。

グレナダは、NDCについて、緩和とMOIを取り上げるものとすべきだが、約束(コミットメント)の最終的な記述とするべきではなく、世界の長期目標に対する初期の提案だとして評価すべきだと主張した。また、できるだけ早い時期に、具体的なスケジュールを設け、すべての国が比較可能性を担保する形で提出すべきだとした上で、その提出書のタイプについては区別すべきだとNDCの概要案を示した。 また、途上国のNDCsに対する支援が必要だとも述べた。

マレーシアは、 NDCs を狭義で捉えることに反対し、途上国 は適応のコストを払うか、損失被害を受けるかという二者択一に迫られているのだと強調した上で、適応を対象としない緩和行動は、気候脆弱性のリスクを高めると述べた。

米国は、適応行動は、パリ合意をめざす世界全体の目標に寄与するものではないため、貢献は緩和に関するものだけだと主張した。 また、すべての国が貢献すべきであり、 “各国の最大限の取組み”として、各締約国が重要であると判断した情報を付したものとすべきであると述べた。オーストラリア、スイスは、緩和の誓約の代わりに他の尺度を活用すべきではないと強調した。

先進国及び途上国間のNDCsの差異化 に関し、ナウルはAOSISの立場で発言し、サウジアラビア、イラン、クウェートと共に、先進国に対し、NDCsの提示で指導力を発揮するよう求めた。AOSISは、緩和約束、及び特定され計測可能なMOIの約束を求めた。アルゼンチン、中国、インドネシア、イラン、シリア、サウジアラビアは、貢献分は条約と一致させるべきであり、これにはCBDR及び衡平性の原則も含まれると述べた。コロンビア、エクアドル、イランは、貢献分を各国の国情や能力に応じて決定するよう求めた。インドは、マレーシア、クウェート、サウジアラビア、フィリピンの支持を得て、NDCsは国情や衡平性、歴史責任に基づくものにすべきであり、差異ある形で理解されるべきであり、先進国は緩和努力を先導すべきだと述べた。

ブラジルは、NDCsは法的拘束力を持つが、附属書I諸国及び非附属書I諸国との間で差異化されると述べた。ブラジルは、ADPでは、途上国が現在以上の行動を取る一方で先進国が野心を下げる状況は許されるべきでないと述べた。提供されるべき情報に関し、ブラジルは、附属書I諸国は経済全体における貢献を提示し、途上国はそれぞれの能力に応じて提出すると述べた。

EUは、「貢献分(contributions)」という言葉はワルシャワでの妥協の結果として合意された用語であると指摘し、これは緩和約束に向けた最初の一歩であると述べた。同代表は、適応とMOIは2015年合意の一部にされるべきだと指摘した。

ノルウェーは、全ての国が緩和努力に貢献しない限り、2℃目標の達成はないと強調し、2015年合意は全てのものに適用されるべきだと強調した。同代表は、先進国が指導的立場にたつとの認識を示し、2020年には、経済開発協力機構諸国(OECD)は世界の排出量の28%分に過ぎなくなると付け加えた。スイスは、貢献分は法的拘束力のある合意の一部であり、明確、透明、理解可能であるべきだと強調した。

オーストラリアは、全ての締約国が貢献すべきと強調した。同代表は、締約国の貢献分は不動ではないと付言し、カナダと共に、最大の能力や責任を持つものが指導的立場に立つべきだと述べた。スイスは、貢献分は条約の附属書で定められるべきでないと述べた。トルコとオーストラリアは、貢献分は締約国が決定すべきとし、カナダと共に、能力など関連する要素を考慮に入れるべきと明言した。

オーストラリアとバングラデシュは、GHG緩和の観点から、全ての国が貢献するとの信頼を築くことが重要であると強調した。貢献分の法的特性に関し、米国は、多様なオプションを紹介し、これらのオプションは法的拘束力のあるもの、ないものの両方がありうると述べた。ボリビアは、母なる大地の健全性を認める2015年合意を求めた。

シンガポールは、NDCsの考えは全ての締約国に条約の下での行動を取る義務を課すものだとし、このため、規則ベースシステムとして、条約と合致し、条約に導かれるべきだと述べた。同代表は、全ての締約国はNDCsを提出する必要があると付け加え、国情に配慮し、これにより新しい合意や長期的野心への参加を推進すると述べた。同代表は、NDCsは次のようなものであると強調した:国際的に決定される貢献の考えとは明確に異なるものを意味する;多様な行動を含めることが可能である;リーダーシップの必要性を打ち消すものではない。

ブラジルは、緩和に関する貢献分はNAMAs及び京都議定書第二約束期間の約束に基づき、それを強化する形で各締約国が設定すべきであると述べた。途上国は、2種類の約束を設定する柔軟性を持つべきである、一つは国内の資源で達成可能な約束、もう一つは追加資金があれば達成可能な約束である。

アルゼンチンは、非附属書I締約国は附属書II締約国による資金、技術、キャパシティビルディングの支援提供を条件として、適応及び緩和に関するNDCsを作成することを提案した。クウェートは、NDCsは差異ある形で理解されるべきであり、先進国はその経済全体規模を対象とし、リーダーシップを発揮するに十分な排出削減約束を行い、途上国は適応, キャパシティビルディング、経済多角化の資料を提出し、緩和については先進国の支援で決定されるべきだと述べた。

途上国NDCsへの支援に関し、AOSISは、途上国でのNDCs作成に対する先進国の支援を要請した。ボリビアは、途上国の貢献分は先進国から受けられる支援次第であると述べた。

ツバルは、意図されるNDCsは2015年合意に結び付く分析プロセスの一部であり、緩和に焦点を当てるべきで、その作成に対する支援の議論を、緩和や適応に対する資金などの広範な議論と混同すべきでないと述べた。

NDCsに含めるべき情報に関し、ノルウェーは、貢献分には排出量のプレッジや、基本年、対象となる国内排出量の割合、LULUCFの役割、カーボンクレジットなど、基本的要素を含めるよう求めた。

カナダは、貢献分が全体の緩和努力にどう貢献するか、これを理解できるだけの情報を含めるよう提案した。

コロンビアは、緩和貢献分に関する共通様式、及び締約国が提出すべき情報を定めるリマ会議決定書の作成を求め、この情報はCBDRの対象であると付け加えた。

EUは、異なる約束には固有の不確実性があり、締約国は「自国の提案が衡平である理由」を説明する必要があることを理由に、アップフロントの(重要な)情報の提出要求で合意するよう求めた。ブラジルは、NDCsは意図する資金供与を明確、透明、検証可能な形で示すべきであり、これには公的資金源からの供与額を含め、政府開発援助(ODA)に対する追加性を実証すべきであり、途上国は自国の行動の国際援助金への依存度を明らかにすべきだと述べた。

ロシアは、貢献分策定の想定条件を明確にするよう求め、約束を捕捉できる適切なフォーマットの必要性を強調し、このフォーマットは多様なタイプの排出数量制限削減目的やEE目標及びRE目標を反映できるだけの柔軟性を持たせる必要があると強調した。

トリニダードトバゴは、締約国が自在に選べる要素を含めることは好ましくないだろうと述べた。同代表は、ニュージーランドと共に、共通の算定方式を採択し、これを全ての貢献分に適用すべきだと述べた。ニュージーランドは、透明性の必要性を強調し、共通のテンプレートを使用すべきであり、事前の情報には次のものを含めるべきだと述べた:達成が期待される排出削減量;目標のタイプに関する情報、これを期間や基本年または方法論、対象となる部門やガスの種類の情報で補う。同代表は、アップフロントの(重要な)情報では、想定条件及び条件に注目し、国際市場の役割やLULUCFに注目すべきと指摘した。同代表は、NDCsに要求される最小限のパラメタ―を検討するよう求めた。

メキシコは、NDCsは数量化されるべきであり、行われる行動について、明確な指標を付けて、十分に説明すべきだと述べた。

NDCsのレビューに関し、トルコは、貢献分に対する確固としたピアレビューメカニズムを求め、緩和ではEE及びREが重要な役割を果たせると強調した。

バングラデシュは、受理された貢献分では2℃目標達成に不足している場合、そのギャップをどう埋めるか検討するよう求めた。

コロンビアは、NDCs決定に関する国際的合意枠組を求め、これらの比較や評価、環境十全性の確保が必要だと強調した。南アフリカは、貢献分の事前と事後のレビューの必要性を強調し、既存の算定規則に基づき構築することを提案した。米国は、貢献分の終了年度を共通のものにする必要があると指摘した。

アフリカングループは、リマ会議では貢献分や支援に関する事前の透明性及び事後の評価を決定するためのプロセスやガイドラインに関し、決定書が採択されることを期待すると述べた。同代表は、レビュープロセスは新しい合意に不可欠な要素を構成するはずだと述べた。日本は、アップフロントの(重要な)情報、事前の協議、及びレビュープロセスの必要性を強調した。EUは、MRVの算定と遵守もこの体制に含まれるべきだと述べた。

メキシコは、強力だが負担は重くないMRV枠組、及び事後のレビューを可能にする組織化された評価枠組を支持した。同代表は、アップフロントの(重要な)情報は、どの国が自国で行えること、支援でそれを強化する方法についての情報で構成されるべきだと述べた。

資金、技術、キャパシティビルディング:この項目は、火曜日、水曜日、木曜日に、ADP共同議長のRunge-MetzgerとKumarsinghが進行役を務める議論で取り上げられた。締約国は、これまでに達成された事柄に則り、2015年合意にMOIを反映させる方法を検討するよう求められた。

AILACは、NDCsは新しい法的拘束力のある合意に基づかせるべきと論じ、AOSISと共に、NDCsにはMOIに関する規定を含めるべきだと指摘した。コロンビアは、新しい合意は次のものであるべきだと述べた:法的拘束力を有する;強化されたMOIを誘起する;全ての政策及び投資において気候変動への配慮を主流化する。

サウジアラビアは、クウェートと共に、MOIの題目の下で技術や資金、キャパシティビルディングをまとめることには「アレルギー症状(allergic)」を起こすとし、それぞれに十分な時間を割り当てるべきだと付け加えた。

キューバは、バリ行動計画に則り、資金、技術、キャパシティビルディングの支援方法を明確にするよう求めた。アルジェリアは、MOIの検討が「遅れがちである(lagging behind)」と指摘し、既存の約束や制度アレンジ則り構築するよう求めた。同代表は、明確な算定規則、及び適応への資金供与の議論が重要であると強調した。

スイス、バングラデシュ、パラウは、MOIを示せる国は全てこれを提示すべきだと述べた。東チモールは、条約に記載するとおり、脆弱な諸国に資金援助、技術支援を提供することは先進締約国の義務であると強調した。

気候資金に関し、中国は、特定の時間枠において先進国がGCFに供与する資金額を特定し、これを2015年合意の附属書に記載することを提案した。フィリピン及びLDCsの立場で発言したマラウィは、途上国によるNDCs作成に対する資金援助及び技術支援の重要性を強調した。フィリピンは、インドと共に、締約国間の信頼構築に向けた支援を明確にするよう求めた。

韓国はEIGの立場で発言し、合意は次のものであるべきだと述べた:MOIの提供に対する明確なビジョンの提示;MOIの規模拡大に向けたビジョンを含める;GCFを含める資金メカニスムに関する規定を盛り込む;支援の透明性システムを含める;受益国の所有権を、MOI提供の重要な指針となる原則として強調する。

エクアドルは、GCFとのリンクを求め、さらに途上国によるNDCs作成を支援する基金を求めた。AOSISは、民間資金向けの明確な報告及び算定規則を求めた。米国は、気候資金追跡に関するOECDイニシアティブを支持すると表明し、官民の気候資金強化を目的とする努力を指摘した。

エクアドルは、支援のMRVに関するAWG-LCAでの自国の提案に言及し、現在でも関連性があると強調した。日本は、気候資金に関する明確性、透明性が必要であると強調し、受益国において可能な環境を整えることの重要性を強調した。

アフリカングループは、プレ2020年の資金は野心的な2015年合意の土台になるとし、気候資金を決定する場合は、世界のGDPの1.5%を基礎とすべきだと述べた。同代表は、2℃目標達成に必要な資源を評価するメカニズムが必要だと指摘した。

米国は、貢献分は緩和に関係するだけで、支援とは関係しないと論じた。同代表は、緩和約束は支援を条件とすべきでない、ただし締約国は支援を受ければ遂行可能な追加行動を提示できると付け加えた。

スイスは、歴史責任は資金の議論の指針とするには適切でない概念だと論じ、スイスの過去の排出量は極めて少ないと強調し、現在の能力及び責任に基づく支援とすることを主張した。

オーストラリアは、新しい合意は現在得られていることに則り、構築すべきだとし、可能にする環境を整備し、民間資金にテコ入れし、適応資金を優先することの重要性を強調した。

グレナダは、気候資金の定義に関する合意を求め、気候の資金フローとしてのODA及び人道支援の分類を指摘した。同代表は、新しい合意においては特に1千億米ドルという長期資金のプレッジに「錨をおろし(anchoring―基礎をおき)」、SIDS固有の技術を研究するよう求めた。

技術に関し、中国は、知的財産権(IPRs)などの障壁を除去すべきだと述べ、IPRsに関する国際メカニズムの設置を提案した。同代表は、GCFの中に技術開発・移転に関する特別窓口を設けるべきだとし、研究開発(R&D)協力の提供を求めた。

ウガンダはLDCsの立場で発言し、技術メカニズム(TM)の全面的運用開始の重要性を強調した。同代表は、TMの実施に対する長期支援の提供、TECとCTCN間のリンクの更なる整備を求めた。同代表は、新しい合意はLDCにおける技術ニーズの議論の基礎となるべきで、技術ニーズ評価方法の利用を推進すべきだと述べた。トルコは、TEC及びCTCNに則った構築を求め、技術を既存の資金制度に結び付けるよう求めた。インドは、TECとCTCNは気候技術の移転を適切に推進しているとは言えないと述べた。同代表は、GCFは技術移転の窓口となりうると付け加えた。

バングラデシュは、NDCsはこのような行動のコスト決定を助けるとし、インド及び南アフリカと共に、気候資金でのギャップを指摘した。トルコは、GCFを通した資源の分配に柔軟性をもたすべきだと述べた。EUは、官民の資金の流れを推進し、可能にする環境を整備することの重要性を強調した。

コロンビアは、システム全般の手法が必要であると強調した。アフリカングループは、2015年合意には適応及び緩和措置実施への支援という観点からTMを評価する規定を含めるべきだと指摘した。同代表は、IPRsは民間部門が保有していると指摘し、技術開発及び展開の義務を民間部門に移すことへの懸念を表明した。サウジアラビアは、民間部門の行動への注目を嘆き、公的部門の行動に焦点を当てるよう求めた。スイスとAOSISは、既存のTMに則った構築を求めた。

キャパシティビルディングに関し、LDCsは、キャパシティビルディングを2015年合意の中心要素に据えるべきと述べ、性差別への配慮の主流化を強調した。トルコは、キャパシティビルディングのクロスカッティングな特性を指摘し、これは国家主導にすべきだと付け加えた。EUは、キャパシティビルディングは公的投資戦略において気候変動への懸念を主流化させると強調した。

中国は、キャパシティビルディングは途上国のニーズをベースに、需要に主導されるべきであり、特定の数量約束を含めるべきだと指摘した。同代表は、GCFの資金を受けた国際的キャパシティビルディング・メカニズムの設置を提案した。

フィリピンは、教育及び意識向上、体系観測、適応の緩和便益に注目するよう求めた。

アフリカングループは、効果のある適応行動及び緩和行動を強化する協調手法を求めた。同代表は、新しい合意ではキャパシティビルディングを独立項目として扱うべきだとし、キャパシティビルディング向けの貢献分を明示し、キャパシティビルディング委員会の役割を明らかにするよう求めた。

緩和:火曜日、共同議長のRunge-Metzgerは、受け入れ可能な温暖化限度である2℃以下を保持するには、どのくらいの規模の緩和が必要かを議論し、これを新しい合意に反映させる方法を検討することが重要だと強調した。

緩和枠組の定義に関し、AOSISは、2015年合意には1.5℃の世界目標を含めるべきであり、排出量の集計に必要な情報も含めるべきだと強調した。グレナダは、新しい合意は1.5-2˚C目標達成に必要な行動に関する科学を指針とし、科学的発見事項を盛り込むよう提案した。メキシコは、開発、能力、科学的発見事項に基づき、ダイナミックな枠組みを考案するよう求めた。

クウェートは、新しい合意においては、差異化に加え、適切な順序立てもすべきだと指摘した、すなわち緩和においては先進国が先導し、これに続いて途上国が行動を強化する。

日本は、全ての締約国にNDCsを提示する義務があるとし、主要経済国は経済全体目標を提示すべきであり、これにより衡平な形での提示が確保されると述べた。ブラジルは、緩和努力における差異化は野心を高め、逆行を回避するカギだと強調した。ブラジル、東チモール、アフリカングループの立場で発言したスーダン、そしてツバルは、附属書I締約国は経済全体を対象とする野心的な排出削減プレッジを提示すべきであり、非附属書I締約国は一連のオプションに基づき貢献分を提示できると述べた。米国は、緩和努力にはNDCsやアップフロントの(重要な)情報、透明性を与えるための協議期間を含めるべきだと述べた。

中国は、新しい合意における緩和は特に次のようなものにすべきだと述べた:吸収源及び貯留源の保全促進;差異化をし、先進国は附属書記載の歴史責任に基づき、経済全体を対象とする目標をテンプレートベースあるいは共通項目方式で提示し、先導することとし、途上国の行動は合意の附属書に記載することとする。

AILACは、次の項目を議論する必要があると強調した:CBDRの適用、及びそれぞれの能力に応じた世界緩和目標;全てのものへの適用を確保し、法的拘束力の形を持つNDCsを決定するメカニズム;提供されるべき基本情報の明確化。アルジェリアは、IPCC作業部会I(物理科学)の結論を想起し、拘束力のある約束は途上国に成長の鈍化や発展不足の結果を招く可能性があると付言し、資金及び技術移転の必要性を強調した。

NDCsの特性及び内容に関しイランは、NDCsでは緩和だけでなくダーバン・マンデートの全要素を取り上げるべきと述べた。パプアニューギニアは、途上国の緩和を単独の形で考慮することはできないと述べた。

ツバルは、NDCsでは緩和に焦点を当てるべきだと述べ、パプアニューギニア、アルジェリアと共に、一部の途上国締約国においては自国の貢献分の決定や実施への支援が必要だと付け加えた。ニュージーランドは、いかなる行動、プログラム、約束であっても支援を条件とすべきでないとの見方を示した。

韓国は、全てのNDCsは同一の法的特性を持つべきだが、広範な参加を進めるには柔軟性を認めるべきだと述べた。同代表は、米国と共に、各国は自国の国情を踏まえ、自国の貢献分が衡平である理由を説明すべきと付言した。オーストラリアは、締約国は次の項目に関する情報を提出すべきだと指摘した:自国のNDCsの定義;NDCsで予想される影響;自国のNDCsにおいて市場や土地部門が用いられているかどうか。ノルウェーは、アップフロントの(重要な)情報を定義づけし、数量化のための共通算定方式を定める必要があると強調した。

緩和枠組の他の要素に関し、サウジアラビアは、新しい合意に対応措置の影響を含めることが重要だと強調した。同代表は、持続可能な開発における緩和の共同便益を認識し、既存の制度に則り構築するよう求めた。

フィリピンは、「強化する(enhancing)」にはどういう意味があるか明確にするよう求め、有利な条件で技術を提供し、持続可能でない消費や生産などの長期的傾向を変更するため指導力を発揮するという先進国の現在の約束を強調した。

パプアニューギニアは、REDD+に関し、6月に開催されるADP技術会議に期待していると指摘し、この問題でこれまでに達成できた進展を新しい合意に盛り込む必要があると強調した。

約束のレビューに関し、グレナダは、次を求めた:各締約国の約束及びそれが全体目標に及ぼす影響を評価するモニタリングとそれに関する報告;科学的発見事項に基づき、貢献分及び約束を更新するプロセス。

スイスは、緩和約束は二重計算を防止できる形で策定されるべきだと述べた。AILACは、新しい合意の中に、NDCsが則ることのできるプロセスを盛り込み、貢献分を評価するレビューメカニズムを含めるよう求めた。

フィリピンは、資金や技術、キャパシティビルディングに関する強力なMRV条項を合意に含めるべきとし、同時に、現在の気候変動の影響に鑑みると、強化された行動の一部として適応を盛り込む必要があり、その緊急性が高まっていると強調した。

ニュージーランドは、第1回のNDCs提出は2℃目標達成に十分でない可能性があると指摘し、一定期間の野心引き上げに関するメカニズムでの合意などを提案した。

エチオピアはLDCsの立場で発言し、最初の約束水準と、野心的貢献達成に向けたレビュープロセスとのバランスをとるよう求め、約束は5年期間とすべきだと付け加えた。

ノルウェーは、長期的努力を集約するには、数量化レベルの決定が必要だとして、これを求めた。

米国は、野心の集約レベルを理解するには事前の明確さが重要だと述べた。ブラジルは、科学や公平性に基づく、貢献分レビュープロセスの設置を求めた。ツバルは、パリ会合までのレビュープロセスを求めた。

ツバルは、算定規則で合意できるまで、約束を保留することに警告し、京都議定書第二約束期間の設置で遅れを経験したと指摘した。アフリカングループは、自国提案の原則ベース参照枠組を指摘し、約束の適切性を評価する事前プロセスの重要性を強調した。オーストラリアは、最新の科学的方向性をベースにする算定方式や方法論の使用、及び規則的で完全かつ正確なインベントリの作成を求めた。

衡平性と野心:木曜日、ADP共同議長のKumarsinghは、参加者に対し、新しい合意において衡平性やCBDRを運用化する方法、衡平性を、野心を可能にする要素として確保する方法を検討するよう求めた。同共同議長は、評価枠組に関し具体的な審議に入る必要があり、更に条約の原則を新しい合意に適用する方法についても具体的な審議が必要だと指摘した。

衡平性に関し、EUは、リマ会合までに、締約国のNDCsで提供されるべきアップフロントの(重要な)情報で合意するよう求め、この情報は貢献分が衡平である理由を説明すると付け加えた。同代表は、NDCsは法的拘束力を持つべきだが、その特性は締約国の状況により異なる可能性があると述べた。スイスは、意図するNDCsを排出削減数量化の概念で理解するよう求めた。さらに同代表は、各約束の背景にある努力を理解する必要があり、全体の貢献分を加算して共通目標に至るかどうかも理解する必要があると指摘した。インドは、途上国に野心のギャップのつけを回すような枠組は受け入れられないと強調した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、衡平性及びCBDR原則の本質的役割を再確認し、新しい体制においてもこれらの原則を強化こそすれ、弱めるべきでないと強調した。インドは、先進国によるプレ2020年義務の未達成はポスト2020年の衡平性を損なうと警告した。

中国は、衡平性は途上国に持続可能な発展達成の機会を与えることだと述べた。同代表は、2015年合意が次のようなものになるかどうか質問した:歴史責任の意味での途上国と先進国の差異化を認める;途上国の開発の必要性を認め、その状況や能力を反映する;緩和及び支援においては、先進国の歴史責任、能力、利点に基づく、先進国の指導的な役割を反映する。バングラデシュは、衡平性(の主張)は生存の権利で妥協しても良いと言っているわけではないと述べた。

南アフリカは、衡平性原則の運用化を求め、さらに歴史責任や現在の現実、開発のニーズを科学に沿うものにするよう求めた。

野心に関し、ナウルは、一部の締約国は貢献を行うため支援を受ける必要があるとの認識を踏まえた上で、全ての締約国が貢献を行うことを求めた。インドは、先進国の歴史責任はその緩和義務の根拠になるとし、自国で圧倒的な優先性のある政策は総合的な開発及び貧困の根絶であると強調した。チリはAILACの立場で発言し、このグループは自主的な約束をすることで範を垂れているとし、歴史責任がカギだと強調した。EUは、NDCsで世界の気温目標を達成可能にする方法を理解するには、COP 21に先がけ、透明かつ推進可能な評価プロセスを行うべきだと論じた。同代表は、このプロセスにより一部の締約国は野心を引き上げる可能性があると付け加えた。ネパールはLDCsの立場で発言し、努力の比較可能性が重要であり、2015年合意での順守体制の確立が重要だと強調した。グアテマラはAILACの立場で発言し、NDCsは多国間の規則ベースのシステムで評価し、鑑定する必要があると述べた。南アフリカは次の提案をした:科学と衡平性に基づく多国間プロセス;野心のギャップをなくすための事前の評価手順;事後のプロセスや中期レビューを可能にする合意;貢献分を自動的に上方に調整するための規定。

行動及び支援の透明性:木曜日、ADP共同議長のKumarsinghは、これまでのこの議題の議論で提起された少数の要素を紹介し、締約国は既存の透明性メカニズムに則った制度構築の利点を見出し、確固とした透明かつ耐久性のある体制の構築ではMRVが重要な役割を果たせることで合意したと指摘した。同共同議長は、参加者に対し、2015年合意において既存の透明性制度アレンジに則り構築する方法について議論し、さらに新しい制度アレンジでは何が必要である可能性があるか、議論するよう奨めた。

透明性と信頼に関し、AOSISの立場で発言したナウル、及びEU、ノルウェー、トルコ、中国は、締約国間の信頼構築では透明性が重要な役割を果たすと強調し、フィリピン、ノルウェーは、透明性は条約の世界目標に向けた進展状況の評価を可能にすると付け加えた。中国は、透明性は条約の実施を確実にするはずだと強調し、先進国にはリーダーシップが求められると強調した。トルコは、透明性及び責任(accountability)は締約国間の信頼構築で中心的役割を果たすと強調し、包括的枠組が不可欠であり、それにより個別の貢献分が衡平かつ実施可能かどうか評価できるようにするはずであると強調した。ニュージーランドは、スイスの支持を得て、確信、明確性、一貫性が要求されると強調した。

ブラジルは、最近設立されたばかりの透明性枠組の交渉再開に警告を発した。同代表は、バリ行動計画における透明性に関する決定を(新しい)合意の基礎とすべきであり、透明性は合意やNDCsの全要素に適用される包括的概念であると強調した。

マーシャル諸島は、全てのものに適用されると同時に、各国の国情も認識する多層システムの透明性枠組を提案した。

NDCsの情報に関し、AOSISとEUは、締約国のNDCsの比較を可能にするため、これに記載される情報の定義づけに焦点を当てることを推奨した。EUは、締約国は自国のNDCが衡平である理由を説明すべきだと付言した。ニュージーランドは、約束を確定する前に貢献分の裏付けとなる想定条件を明確にすることが重要だと述べた。

日本は、NDCs提出の時間枠を指摘し、NDCsのアップフロントの(重要な)構成が透明性には重要であると述べた。南アフリカは、NDCsで開示される最低限の情報の定義づけを強調した。マーシャル諸島は、NDCs記載情報は約束の評価や集約を可能にするものであるべきだと述べた。

MRV及び規則ベースシステムに関し、セントルシアは、附属書Iのインベントリの質を一定期間内に改善すべきだとし、LDCsの立場で発言したマラウィと共に、最高水準の報告作成が行えるよう、非附属書I締約国への支援を求めた。同代表は、京都議定書の下で用いられたツールが優れた範例になると強調した。フィリピンは、国別報告書の予定表や資金援助に注目するよう求め、事前にニーズ本位の資金を供与することが重要だと強調した。

ノルウェーは、共通算定方式の価値を指摘すると同時に、締約国の緩和約束は異なることから、柔軟性が求められると強調した。ノルウェーとEUは、炭素市場の利用に関する共通の規則が必要だと強調した。EUは、IPCCの方法論の利用、及びMRVアレンジの効率を上げるためのスリム化を提案した。

LDCsは、(新しい合意では)京都議定書で附属書I締約国に関し合意されたMRV要求事項と比較し、厳格さで劣ることのないMRV要求事項を採用するよう求めた。バングラデシュは、確固としたMRV枠組及び事前の情報の評価を求めた。

中国は、先進国には既存のMRV枠組を強化したものを適用すべきであり、途上国の透明性については各国の国情を懲罰的でない形で考慮し、各国の主権を尊重すべきだと述べた。

EUは、「透明性を超える(beyond transparency)」必要があり、締約国に責任を持たせる遵守システムの確立が必要だと強調した。トルコは、枠組には一定の柔軟性を持たせるべきであり、全ての状況において、全ての締約国に全ての規則が適用されることは行動を遅らせるとして、これを回避すべきだと述べた。

カナダは、ポスト2020年のMRVシステムを決定書または合意本文で規定することを提案し、次のものを含めるよう提案した:定期的に更新されるインベントリ;目標に関する最新の報告;土地及び市場メカニズムに関する明確な算定条項;貢献分レビューシステム。同代表は、現在のシステムをポスト2020年の環境にどう適合させるかが重要な問題であるとし、MRVの実施は比較的新しく、このため多数の疑問点が残っていると指摘した。

チリ及びマーシャル諸島は、既存の制度アレンジに則り新しい体制を築くべきだと述べた。チリは、行動と支援に関する統一のMRVシステムを求め、能力ベースでの差異化を提案した。

南アフリカは、意図する貢献分の適切性及び衡平性に関する事前評価システムを構築するよう提案し、貢献分のピアレビューを可能にし、威嚇的でなく規範的でもない形で貢献分を上方向に調整するプロセスを可能にするよう求めた。同代表は、二重計算を排除するため、事後のMRVシステムの改善を求め、支援と資金のMRVに関する規則の策定を求めた。ニュージーランド、サウジアラビア、米国は、新しい合意は既存のMRVシステムに則り築かれるべきだと述べ、ニュージーランドは経済発展の全範囲に適合可能な柔軟性を組み込む共通枠組を求めた。

米国は、貢献分は予定表に反映されるべきであり、記載された行動については定期的に報告及びレビューされるべきだと述べた。同代表は、透明性の3つの要点である報告、テクニカルレビュー、締約国主導プロセスの推進に焦点を当てた。

市場に関し、日本は、市場メカニズムを用いる場合の二重計算の回避を求めた。ニュージーランドは、締約国が土地部門あるいは市場を利用する場合に目標達成の進展状況をどう算定するかを決定することが重要だと述べた。同代表は、炭素市場で発生したユニットのタイプに関する透明性を求め、さらに二重計算を回避する措置も求めた。

LDCs及びフィリピンは、気候資金climate financeの定義づけを求めた。エクアドルは、気候資金の透明性に関する自国の提出文書を想起し、気候変動への対応を専門とする資金のみを、気候資金に関する義務の順守計算に算入すべきで、これに誘起された資金は補足的なものと考えられると強調した。同代表は、透明性を高めるため、気候資金の登録簿を設置するよう求めた。

米国は、ポスト2020年の支援の透明性を高めるため、次の提案を行った:支援を提供するドナー諸国の数の増加を反映する;資金の効果に重点を置き、最善の影響を与える介入策は何かに注目する。バングラデシュは、行動及び支援の透明性を専門にする規則の必要性を指摘した。マーシャル諸島は、全てのものに適用される透明性及び算定枠組を途上国が実施する場合、これを支援する援助や協力が必要だと強調した。

その他要素に関係する問題:この項目は、木曜日、共同議長のRunge-Metzgerが提起し、金曜日に議論が続けられた。Runge-Metzger共同議長は、別な場で検討されていない問題を議論すべきで、特に次の問題を議論すべきだと述べた:対応措置の悪影響;市場メカニズム、非市場メカニズム;適応及び緩和の統合手法;遵守メカニズム。

作業構成に関し、中国は、対応措置及び市場メカニズム並びに非市場ベースメカニズムは緩和そして/または資金の要素の下で議論できると述べた。

EUは、ADPはワルシャワ会議からのマンデート、特にNDCsのレビューに関するマンデートに焦点を当てるよう推奨し、さらに合意の発効、改定手順、COPの役割、事務局など、一部の他のアレンジの議論も有用だと指摘した。米国は、焦点を絞ったADPの作業にすべきことに賛成した。

また南アフリカは、2015年合意の法的特性を検討するよう求め、全てのNDCsが提出された時点で、野心レベルやギャップに関する統合ペーパーを事務局が作成することを提案した。

市場及び非市場ベースメカニズムに関し、ボリビアは、市場は気候変動の対応方法としては効果的でないと強調し、新しい市場メカニズムでは予備的な準備期間を設けるという自国の提案を想起した。

大多数の締約国は、市場及び非市場ベースメカニズムを新しい合意に含めるべきと合意した。EUは、市場ベースメカニズムは緩和野心を引き上げる有効な方法だと述べた。パプアニューギニアは、気候変動を世界経済の本流に据えるよう求め、炭素に価格をつけ、革新的な官民パートナーシップを推進するよう求めた。AILACは、市場ベースメカニズムに行動推進や野心の規模拡大推進を目的するインセンティブを含めるべきだと述べた。

AILACとブラジルは、気候目標達成での市場メカニズムへの過剰な依存に懸念を表明した。トルコは、緩和、環境十全性、民間部門へのインセンティブを確実に強化する措置が必要であり、同時に細分化を避ける措置も必要だと強調した。

LDCsは、大半の緩和は国内で遂行されるべきと強調する一方、場合によっては市場ベースメカニズムの利用が可能であると指摘した。同代表は、いかなる新しいメカニズムにおいても、LDCのアクセスを確保すべきであり、国際的な検証及び監視の対象とすべきと述べた。南アフリカは、新しい合意では既存の規則を繰り返さない一方で、市場ベースメカニズムの利用を認めることを提案した。

ボリビアは、条約の下で非市場ベース手法のプラットフォームを設置し、これに次の項目を含めるよう提案した:森林の持続可能な管理のための緩和及び適応の合同メカニズム;国内固定価格買取制度システムに資金を供与する世界的なメカニズム;対応措置に関するメカニズム。LDCsは、非市場ベースメカニズムには広範な手法が含まれており、主要な貢献策でもあると述べた。

遵守メカニズムに関し、中国は、遵守メカニズムを議論するのは時期尚早だと述べた。LDCsは、有効な遵守システムを組み入れるよう求めた。

ツバルは、遵守システムの下で緩和及び資金努力のMRVをレビューするよう求めた。同代表は、AILACと共に、キャパシティビルディング・イニシアティブの下で非遵守の途上国を支援する執行部の設置を提案した。

ブラジルは、京都議定書の遵守メカニズムを議論の起点とするよう求めた。AILACは、遵守に必要な努力を怠っている国に圧力をかけるため、メカニズムに強制措置を含めるべきと付言した。

バングラデシュは、遵守の重要性を強調し、法的拘束力のある合意に多大な柔軟性を導入すれば、「紳士協定」になるとして警告した。

対応措置に関し、サウジアラビア、トルコ、イランは、対応措置の経済的、社会的影響結果に関する規定を新しい合意に盛り込むよう求めた。トルコは、対応措置が貿易に与える効果に注目した。イランは、MOIに関する先進国の義務への言及を求めた。

損失と被害に関し、AILACは、新しい合意に損失と被害の規定を盛り込み、これを損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムに基づき構築する必要があると強調した。

NDCsに関し、南アフリカは、貢献分は各国が決定するが、トップダウン方式のレビューを行うべきだと述べた。同代表は、NDCsに含める情報について、リマ会議での合意の重要性を強調し、この情報は緩和、適応、MOIを対象とすべきだと述べた。

技術専門家会議

再生可能エネルギーに関する技術専門家会議:RE技術専門家会議は、国連アフリカ経済委員会、アフリカ気候政策センターのYouba Sokonaを進行役として、月曜日、火曜日、水曜日に開催された。

セッション1:政策、実施方法、技術 - 世界の現状:ADP共同議長のRunge-Metzgerは、参加者に対し、RE部門の緩和機会を解放する方法について検討するよう求め、このテクニカルプロセスの場で成果に注目することの重要性を指摘した。

UNFCCC事務局のNick Nuttallは、UNFCCCのウェブサイトを更新し、緩和行動への注目を高める戦略を強調した。さらに同氏は、次の項目に注目するよう求めた:会議場で上映中の映画;Figueres事務局長のスピーチ;ソーシャルメディアの利用;変化へのモーメンタム・イニシアティブ;UNFCCCのウェブサイトをより多くの言語に翻訳。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のDolf Gielenは、世界のエネルギーミックスの18% がREであると指摘し、REの導入を推進できるのは、エネルギーへのアクセス強化、コスト削減の機会、補助金コストの削減、雇用創設の機会、健康面の便益であると強調した。同代表は、IRENAのロードマップである「ロードマップ2030年」を指摘し、これは2030年までにRE市場のシェアを倍増可能とする方法を分析したと述べた。

米国のGriffin Thompsonは、米国は多様なクリーンエネルギー資源から電力の80%を得、REの展開も加速化することを目指すと指摘した。同氏は、2008年以降、米国はREの発電量を倍増させたと指摘し、値下げの重要性を強調した。

中国のXiang Gaoは、中国全土でのREの導入は地域によりアンバランスであると強調し、風力及び太陽光など不連続性RE資源の課題を強調した。同氏は、REの展開を推進する国際的な技術協力及び資金協力の強化を求めた。

Thompson氏は、会場からの質問に応え、80%目標はクリーンエネルギーに関するもので、これにはRE以外の広範なエネルギー資源が含まれると説明した。同氏は、REの変動性や断続性、相互接続、電池による蓄電の検討が重要だと強調した。

ケニアのFatuma Husseinは、ケニアにおけるRE政策及び法的枠組を説明し、REの展開に対する障壁、RE導入による便益を紹介、これには次のものが含まれると述べた:健康の改善;所得や雇用の発生;気候変動の緩和;外為準備高の発生;エネルギー安全保障の向上。

マーシャル諸島のJennifer de Brumは、RE部門は化石燃料依存度を減らすことから、太平洋SIDSにとりウィンーウィン(両者勝ち)の措置だと指摘した。同氏は、RE導入に対する障壁を指摘し、これには安価な資金の欠如、グリッドの安定性への脅威、インフラを計画し、設置し、保持する国内能力の欠如、異なるドナーの優先性の誘導が含まれると述べた。

その後の議論で、参加者は特に次の項目を取り上げた:各地の異なる状況から出てくる課題;現場でのRE目的達成に対するUNFCCCプロセスの関連性;パートナーシップの重要性;TEC及びCTCNの役割。

ブラジルのJosé Domingos Gonzalez Miguezは、持続可能な開発を長期にわたり確保し、再生可能エネルギー資源の高度な利用を保持することが課題だと述べた。同氏は、国内のエネルギーミックスの25%はバイオエネルギーであり、エタノール燃料の利用で、ブラジルは年間4400万トン分のCO2排出を回避していると述べた。

サウジアラビアのSara Nabil Baashanは優先策に焦点を当てた、これには次のものが含まれる:経済の多角化;対応措置の悪影響に対する適応;水資源及び水の安全保障問題への対応;気候変動への適応;砂漠化との戦い。同氏は、エネルギー技術選択の主要基準はその技術の経済的、技術的な実施可能性であり、それが炭化水素プロフィールにどう適合するかであると強調した。

エチオピアのTewolde Berhan Gebre Egziabherは、REプロジェクトに焦点を当て、グリーンな成長は必要だが、土地の劣化と取り組む必要がある、これは何百万人もの市民に貧困の脅威をもたらすと指摘した。同氏は、エチオピアは2025年までに正味でゼロエミッションにすることを目指しており、現在、電力網(グリッド)は全てREになっていると述べた。

チリのAndrés Pirazzoliは、現在のところ、チリのグリッドの5.9%がREであるとし、再生可能エネルギーには大きなポテンシャルがあると指摘した。同氏は、中央接続の大規模エネルギー生産者に注目が集まったと強調し、スマートグリッドを活用する小規模配電業者へのシフトが課題であると述べた。

ドイツのKarsten Sachは、エネルギーの3本柱、すなわちRE、EE、フューチャーグリッド(柔軟なグリッド、グリッド能力拡大、再生可能エネルギーの取り入れ)に焦点を当てた。同氏は、ドイツは野心的な目標達成の軌道にのっていると指摘し、同時に、電力、熱、輸送の脱炭素化を目的とする総合政策の必要性を指摘した。

議論では、次の問題が取り上げられた:南―南協力を含めるバイラテラルな協力の重要性;RE開発の越境影響;RE展開の成功例;砂糖生産とバイオガスの統合。

セッション2:行動の実施:資金、技術、キャパシティビルディング:IRENAのRoland Roeschは、REの競争力は高まっていると強調した。同氏は、次のものを含める課題を指摘した:必要な資金規模の資金を保守的な投資家が提供する可能性は低い;新規投資では、政策の予測不能、及び規制の不確実性が主な障壁である;民間の投資家は、RE部門は他と比較し投資リスクが高いとみている。

全てのものに持続可能なエネルギーをイニシアティブ(SE4All)のLuis Gomez-Echeverriは、行動における協調やパートナーシップが重要と強調し、SE4Allの目的を紹介した。同氏は、パートナーシップは持続可能な開発に関する需要側の広範な問題全般に適用可能だと強調した。

GCF事務局のMarcelo Jordanは、同基金の設置状況に関するプレゼンテーションを行った。準備作業プログラムに関し、同氏は、認定国家当局の設置、NAMAs及びNAPsに基づくものなどの戦略枠組の策定、一連の初期プロジェクト及びプログラムの提案などの優先策を明らかにした。

CTCNのJukka Uosukainenは、CTCNの組織と機能を紹介した。同氏は、途上国を支援し、認定国家組織からの特別要請に応えることがCTCNの主要な機能だと述べた。同氏は、REに関し、CTCNは技術移転に関する資源のメニューを保持すると述べた。

世界銀行のJarl Krausingは、同銀行のRE融資ポートフォリオ、及びその2004-2013年の進展状況に焦点を当てた。同氏は、民間資金の投入を促し、リスクを軽減し、市場参入を容易にし、透明性、確実性、長期化のための投資グレード政策制度を導入することが課題だと明言した。

地球環境ファシリティー (GEF)事務局のFrank Jésusは、REの規模拡大に向けたアイデアについて議論した、これには次のものが含まれた:政策、規制、戦略枠組の改善及び安定化による投資リスクの軽減;必要な場合は価格プレミアムを検討する;ハードウェア及びソフトウェアの両方の質と標準化について議論する;特にミニグリッドにおけるキャパシティビルディングのニーズを明確にする。

ICLEI - 持続可能性のための地方政府組織のMaryke van Stadenは、地方政府のリーダーシップを検討し、どの事例が再現可能か明確にする必要があると指摘した。同氏は、気候行動及びエネルギー行動を支援する、可能な環境つくり枠組を、地方政府が創設することを求めた。

この会合の議論では特に次の項目が取り上げられた:ビジネスモデル;REの普及;世界的な資金を得た固定価格買取制度;島嶼国でのプロジェクト開発に関する具体的な方法。

セッション3:今後の進め方に関する議論:参加者は次の問題について議論した:RE行動を誘起する政策オプション;現場の行動を強化するため、各国が設置する枠組及び政策の導入に対し、国際機関及び非国家行動者はどういう支援を行えるか;このプロセスの次のステップ。

英国のDavid Copperは、国際気候基金を通し英国が供与する支援の概要を紹介し、変革を推進するには規模や再現可能性、民間の資金を気候投資に誘導する手法が必要だと述べた。

What Next ForumのNiclas Hällströmは、気候と開発の両方に取り組む「世界マーシャルプラン(Global Marshall Plan)」についてプレゼンテーションを行い、REの固定価格買取制度(REFITs)の効果が実証されたと強調した。

イラン、インドネシア、マリ、バングラデシュは、それぞれ自国のRE展開の内容について論じた。

EUは、COP決定書あるいはレジストリにおけるUNFCCCの参画で得られた成果について、次の5つの分類に焦点を当てた:各国が提起する新しい野心的な政策;NDCsの国内での作成作業の統合;パートナーシップ拡大の機会;官民両方の投資家に対するシグナル及びガイダンス;資金を得る資格を有する一連のプロジェクト及びプログラム。

中国は、プレ2020年の野心引上げに関するワークストリーム2での議論の内容を固める必要があると強調した。同代表は、RE部門を持続可能にする総合的な政策を求めた。サウジアラビアは、特定の技術を持続可能なレベルまで高めていけるかどうか、各国が検討する必要があるとの発言を繰り返した。

IRENAのDolf Gielenは、REFITsに関するコメントに応え、地域での研究開発の可能性を指摘した。SE4AllのLuis Gomez-Echeverriは、各国の持続可能な開発での優先策に沿う投資のみが合理性を持つと述べた。

米国は、実験の重要性を強調し、新しいビジネスモデル、政策、枠組が必要だと指摘した。ナウルは、外部コストの内生化が必要だと指摘し、これはREFITsが革新的で、エネルギーミックスを変化させ、エネルギー部門の民主化をもたらすからであると述べた。ケニアは、プレ2020年の行動はポスト2020年のアレンジに対する信頼性構築に重要な役割を果たすと述べた。

資金へのアクセスに関し、世界銀行のJarl Krausingは、資金アクセスの既設のプロセスに焦点を当てた。GEFのFrank Jésusは、資金アクセスは特定の政府による圧力に依存すると述べた。Copper氏は、資金の入手可能性よりも、融資可能な一連のプロジェクトの確立が重要だと発言し、特にNAMAファシリティー、及び気候と開発の知識ネットワーク(Climate and Development Knowledge Network)の利用を提案した。

マリは、資金アクセスの障壁に取り組む総合的な手法を求めた。Krausing氏は、貸付限度に達した国の問題について、パートナーと努力する方法を見つける必要があると指摘した。GCF事務局のMarcelo Jordanは、GCFへの直接アクセスに関する追加法性について議論した。Uosukainen氏は、CTCNは途上国のニーズに迅速に対応するようになっていると述べた。

今後の進め方に関し、ナウルは、先進国及び途上国での緩和機会の展開に対する障壁に、どう取り組むかが重要な問題だと述べた。

米国は、行動を推進するため、プロジェクトやプログラム、パートナーシップを世界的に広く揃えるよう求めた。同代表は、TECに現在のダイアログの継続を課すことを提案した。

マリは、ワークストリーム2における技術専門家会議のプラットフォームは極めて重要であり、ポスト2020年にもインプットすると強調し、この常設を求めた。

エネルギー効率に関する技術専門家会議:EEの技術専門家会議は、水曜日と木曜日に開催され、Jun Arima

 (日本)が進行役を務めた。

セッション1:政策、実施方法、技術―世界の状況:南アフリカのBrian Mantlanaは、南アフリカでのEEガバナンス体制についてプレゼンテーションを行い、強力な政策枠組、利害関係者の参加、全レベルでの行動者とのタテ関係の協調、制度のキャパシティビルディングが重要であると強調した。

日本のToshiaki Nagataは、エネルギー消費量削減での日本の産業の努力について紹介し、ラベルスキームの成功を指摘した。同氏は、消費者部門と運輸部門でのエネルギー消費量削減の必要性に注目するよう求めた。

コロンビアのJosé Manuel Sandovalは、コロンビアの低炭素戦略枠組内のEE措置について、プレゼンテーションを行った。同氏は、次の必要性を強調した:EE措置のウィンーウィン(両者勝ち)手法の強化;革新的資金ツールの創設;キャパシティーを強化し、研究開発を向上させる。

シンガポールのLeong-Kok Su-Mingは、2030年までに建築物の80%をグリーンなものにするというシンガポールの目標について説明し、建築物の環境影響及び実績を評価するグリーンな建築物評価制度、Green Markスキームの設立について説明した。

デンマークのPeter Bachは、強力なEEの改善に焦点を当てた、この中には、経済成長とエネルギー利用の乖離が含まれる。同氏は、建築コードの役割、産業界との自主的なEE協定を指摘し、実施された場合にはCO2税の払い戻しを提供できるとし、措置の組み合わせが必要だと指摘した。

インドのBhaskar Sarmaは、インドでのエネルギー需要の高まりを強調した。同氏は、エネルギーの高価格を原因とするEEへの早期投資を指摘し、家電製品、建築物、産業部門での市場の欠陥について、政府は規制で対応したと強調した。同氏は、課題には次のものが含まれると述べた:成果を予測する困難さ;ベンチマークづけ;人間の能力及び制度能力;施行とモニタリング;多くのEE技術でのアップフロントコストの高さ。

国際エネルギー機関(IEA)のPhilippe Benoitは、一連のEE政策提案の概要を説明し、行動における6つの重要な柱を特定した、これには次が含まれる:エネルギー実績の最低基準;情報と啓発;EEの責任の認定及びキャパシティビルディング;資金;より良いデータ;技術開発。

EE協力の国際的パートナーシップ(IPEEC)のThibaud Voïtaは、このパートナーシップについて説明し、これはEE政策、実施方法、技術を議論する場を提供すると強調した。同氏は、IPEECがUNFCCCを支援できる方法について議論し、この中には NAMAsとEEのリンク作成支援が含まれると述べた。

各国の経験に関する議論において、参加者は次の項目を取り上げた:EE推進のための消費者向けインセンティブ;炭素原単位の利用に対するエネルギー原単位指標の利用;市場の欠陥などのEEの障壁;オプションを捕捉するUNFCCCの下でのEEレジストリの創設。

さらに参加者は、EEにおける標準化の重要性について議論した、この中には次のものが含まれる:国際標準機関の作業;民間部門の建築物レトロフィット向け資金;南北及び南―南の協力;パートナーマッチング、及びUNFCCCプロセスの推進役としての役割可能性。

セッション2:行動の実施:資金、技術、キャパシティビルディング:木曜日の朝、GEFのFrank Jésusは、EE規模拡大モデルについて説明し、成功したプログラムでは市場の欠陥への対応措置及び対象を絞った政策が組み合わされていると述べた。

UNEPのCurt Garriganは、啓発イニシアティブ、ポータブル蛍光灯の段階的導入に対する官民パートナーシップについて説明し、多様な利害関係者を代表することの重要性、便益を実証することの重要性を説明した。

欧州復興開発銀行のJan-Willem van de Venは、同銀行の持続可能なエネルギー・イニシアティブを指摘し、EEを主流に据え、技術支援を行うことが成功に結び付いたと述べた。

世界銀行のJarl Krausingは、2004-2013年における同銀行のEEポートフォリオを紹介し、学習事項を特定した、これには次の項目の重要性を学んだことがあげられると述べた:適正な価格とする;優れたガバナンス;約束、モニタリング、評価の持続;官民合同の行動。

持続可能な低炭素輸送に関するパートナーシップ(SLoCaT)のCornie Huizengaは、輸送部門は GHG排出量の25%を占めると指摘した。同氏は、次の項目に関するSLoCaTの作業について説明した:モデル化;NAMA作成支援;輸送部門のMRV手順開発;気候資金の検討。

C40都市―気候リーダーシップグループのTerri Willsは、このイニシアティブは世界の66の大都市で構成されると述べた。同氏は、C40は都市間の成功例の情報交換を可能にし、各地方の状況に則った解決策を明らかにすると説明した。

SE4AllのLuis Gomez-Echeverriは、この組織はEEの世界的プラットフォームであると強調した。同氏は、目標には次のものが含まれると説明した:近代的なエネルギーサービスへの万人のアクセスを確保する;世界のエネルギーミックスにおけるREの利用を倍増する;EEの改善率を倍増する。

議論では次の問題が取り上げられた:パートナーシップ及びイニシアティブの認識向上;EEに関係するイニシアティブ;EE措置導入の便益、欠点、改善分野。

セッション3:今後の進め方の議論:参加者は今後の進め方を検討し、国際協力の役割に焦点を当てたほか、EEのポテンシャルを緩和に変換できるよう、これを強化する方法に注目した。提案には次のものが含まれた:会議の成果を広め、投資家にシグナルやガイダンスを提供する;支援を受ける資格のあるプロジェクトの設計;会議の成果を6月のADP閣僚会合に送致する;議題の進展を図るためTMを用いる; 6月の技術専門家会議で議論できる主要なテーマを定めるため、TM、TEC、CTCNに対し、多様な国際機関と協力して作業することを要請する;技術に対応すべく策定されたUNFCCC内の制度を強化する;NAMAレジストリ及びTT:Clear の受け身な体制を認識する;EEプログラム推進のため成功例を動員する。

技術専門家会議の閉会:金曜日、共同議長のRunge-Metzgerは、締約国及び専門家の積極的な参加を歓迎した。RE進行役のSokonaは、今後の進め方に関する議論には特に次の提案が含まれたと報告した:政策オプションを実施するため、NAMAレジストリなどの既存のプラットフォームを活用する;TM、TEC、CTCNの積極的な参加を確保する;IRENA、その他に対し、技術専門家会議プロセスへの継続参加を招請する。

EE進行役のArimaは、会議の議論をとりまとめ、ダイアログ継続の必要性を指摘した。同進行役は、締約国は特に次の提案を行ったと述べた:IEA及び他の組織の技術専門家会議プロセスへの参画を続ける;EEに関する総合的で統合された手法を定める;技術オプションを試し、採用する努力;国レベルでEEに関する理解を進めるプロセス;資金メカニズムとのリンクなど、既存のNAMAレジストリの活用。

ADP共同議長のRunge-Metzgerは、RE及びEEの緩和ポテンシャルを現実のものにする行動をとる機会は存在すると述べた。同共同議長は、締約国、国際組織、パートナーシップの行動及び経験の可視化を図る必要があると指摘し、事務局は技術専門家会議を通してこれを行う方法を探求していると指摘した。

バングラデシュは、プロセスには限界があると指摘し、ベストプラクティスの中にはまだ公開されていないものがある、特にLDCsのものがそうであると発言し、バランスのとれたものにするよう求めた。同代表は、ネパールと共に、技術専門家会議からの提案をUNFCCCの構造にどう組み入れるかを質問した。

南アフリカは、技術専門家会議から出てきた多くの提案に沿い推進を図るには、締約国からのインプットを可能にする公式会合が必要だと述べた。

ナウルはAOSISの立場で発言し、6月にも専門家会議を開催し、より多くの専門家との議論が可能な構成にすることを求めた。同代表は、6月の会合においてRE及びEEのため一日を追加するとの提案を支持した。同代表は、ワルシャワ会議で義務とされたテクニカルペーパーにエグゼキュティブサマリーを含め、主要な機会や障壁、さらにはこれらを克服するための戦略に焦点を当てるべきだと述べた。

EUは、会議は前向きなものであり、国別の事例紹介は有用であったと述べ、議論に広範かつ多様な投資家が参加することも有用であろうと付け加えた。

米国は、広範な利害関係者が参加するEE及びREの追加作業を支持した。同代表は、野心の引き上げを進める国内小地域の行動をどう推進するか締約国が検討することを求めた。

中国は、技術専門家会議はイベントであり新しいプロセスではないと強調した。同代表は、将来の計画に関し、ワークストリーム2は解説抜きの単なる非公式な専門家プロセスであってはならず、公式の議論とすべきである、非公式なプロセスは全面的な参加を阻害すると述べた。

意図する国家決定貢献分に関する国内準備作業についてのワークショップ

火曜日、共同議長のKumarsinghは、ワークショップの開会を宣言した。EUは、EU提案を紹介し、その主要要素には、2030年までに各EU加盟国はGHG排出量の40%削減目標を達成し、EUレベルではREを2030年までに少なくとも27%にすることが含まれると述べた。同代表は、次のステップには欧州委員会による2030年枠組の検討、及びそれを貢献分としてCOP 20に伝達することが含まれると述べた。

中国は、NDCsの決定要素の概要を説明し、先進国は特に次のことを行うよう提案した:経済全体を対象とする排出量制限削減数量約束を拘束力のある形で行い、リーダーシップを発揮する;途上国の適応に対し資金援助及び技術支援を行う;2020年の資金供与約束を達成し、1千億米ドルの約束に則り、2020年以後の公共資金の供与を強化する。同代表は、途上国は特に次のことを行うよう提案した:多様な緩和行動を強化する;内的で組織的、制度上の能力を高め、適応における地方の利害関係者の参加を図る;地方の利害関係者の能力向上のため、ベストプラクティスに関する情報交換を行う。同代表は、中国は発展経路を変更する行動を取る用意があり、これには気候目標を国家の社会経済発展戦略に取り入れることが含まれると指摘した。

タイは、自国のエネルギー運輸NAMAsについて説明し、適切な支援が必要であり、技術面のギャップを特定することも必要だと強調した。

メキシコは、自国の2012年気候変動法について説明し、計画されている国内行動の概要を紹介し、メキシコは低コストで高度な緩和措置を開始すると強調した。

サウジアラビアは、自国は炭化水素の輸出に大きく依存していると指摘し、気候変動措置及び対応措置の両方を採用していると強調した。

ガーナは、2015年合意における同国の貢献分は未だ検討中であるとし、関連の利害関係者との協議プロセスについて説明し、高官の意識向上が課題であると強調した。

コスタリカは、自国のイニシアティブの概要を説明し、これには92% RE発電、森林減少の削減、化石燃料への課税が含まれると述べた。同代表は、官民両方が参加する自主協定、カーボン・ニュートラル2021に焦点を当てた。

プレ2020年野心に関し、米国は、2015年3月31日の期限までに、自国の貢献分に関係するアップフロントの(重要な)透明性のある要素を提示する用意をしていると述べ、これには予定、基本年、対象となるガスと部門、全体の削減量に関する情報が含まれると述べた。同代表は、支援に関し、低エネルギー開発戦略の策定努力を強調した。

アラブ首長国連合は、持続可能な開発の概念において、経済多角化に注目する行動がとられているとの見方を示した。同代表は、REならびに炭化水素の安全かつ持続可能な利用を追及することで石油を超えようと動く努力をしていると指摘した。

トリニダードトバゴは、新しい革新的な技術の利用を増やし、REの利用を奨励する行動について説明した。同代表は、電力部門及び運輸部門における炭素削減戦略が策定されていると指摘した。

ネパールはLDCsの立場で発言し、条約の下での規則ベース体制を強化するとの約束を指摘し、NDCsの内容の更なる明確化が必要だと強調した。

その後の議論において、クウェートは、サウジアラビア及び他の湾岸諸国は外因を内因化し、多様な部門で排出量を削減する汚染者負担原則の適用開始を提案した。EUは、貢献責任はないとするサウジアラビアの提案を指摘し、一部の非附属書I諸国は、世界で最も富裕であり、最大の排出国でもあると強調した。

EUは、タンザニアからの質問に応え、新しい合意における約束は全て法的拘束力のある形とされるべきだと指摘した。イランは、ワークショップ開催が有用かどうかを問い、時間枠の短さを考える、「実際の交渉(real negotiations)」を直ちに始めるよう求めた。

閉会プレナリー

金曜日、ADP共同議長のKumarsinghは、閉会プレナリーの開会を宣言した。同共同議長は、まだ議論すべき問題は残っているが、会議の目的は達成できたとの観測を示した。同共同議長は、作業の全分野で多数の有用なインプットがあったとし、これはそれぞれの立場に対する理解が進んでいることを意味すると述べ、このことは共同議長による今回の会議反省ノートに示されるだろうとの観測を示した。同共同議長は、交渉文書は「締約国提出文書ならびに交渉において締約国が表明した意見に基づき、これを集約する形で構成され、真に締約国主導のプロセスを反映する」との理解を、共同議長の指針としたと説明した。

締約国は、Runge-MetzgerとKumarsinghを共同議長とするコンタクトグループの設置で合意した。共同議長のKumarsinghは、(コンタクトグループの)最初の会議は6月のADP開会会合後に行われると述べた。同共同議長は、このプロセスは締約国主導であり、締約国からのインプットに則るもので、プロセスから出てくるいかなるアウトプットにも締約国からのインプットが反映されると参加者に伝えた。同共同議長は、交渉時間を有効に使うよう求めた。

さらに締約国は、10月に追加のADP会合を開催することでも合意した。事務局は、追加会合開催の資金面の影響について説明し、150万€が必要であり、10月第3週ごろに適切な場所を確保していると指摘した。事務局は、強化された行動のためのハイレベル閣僚協議を6月6日金曜日に行い、それに先立ち、京都議定書の約束に関する野心引上げを議論するハイレベルラウンドテーブルを6月5日木曜日に開催すると参加者に告げた。

ADP報告官のAnna Serzysko (ポーランド)は、報告書草案(FCCC/ADP.2014/L.1/Rev.1)を提出、締約国はこれを採択した。

ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、現在のプロセス加速化の緊急性を想起し、コンタクトグループの構成を歓迎し、ADP共同議長に対し、6月の会合及び今年の残りの期間における作業計画を提出するよう要請した。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、本会合において両ワークストリームで進展があったことを歓迎し、詳細な文書取りまとめ作業に入るよりも、文書の要素に焦点を当てるよう求め、2015年合意の各題目要素への「サイロ入り(silo-ed:積み上げ?)」手法の採用に警告した。

EUは、6月の会合では、NDCsに求められるアップフロントの(重要な)情報の必要事項について、更なる進展を図り、2015年合意の規則ベースの定義についても、更なる進展を図ることに焦点を当てるべきだと述べた。

メキシコはEIGの立場で発言し、2015年合意に含まれるクロスカッティングイシューに一部の基本や原則を含めるよう促し、これには気候変動と人権とのリンクに関する表現、さらには性の平等原則が含まれると述べた。

スーダンはアフリカングループの立場で発言し、次を求めた:2014年の残りの期間における明確なスケジュールと作業構成;リマ会合に先立ち提供できるもの;1990年比で40%削減という附属書I締約国の野心レベルの引き上げ時期を、2030年までではなく、2020年までとする。

ナウルはAOSISの立場で発言し、6月の会合では、2015年合意の要素の更なる推敲、NDCsに関する情報、NDCsの透明性ある確固としたレビューに、焦点を当てるよう求めた。同代表は、損失と被害を2015年合意の別要素にすべきだと付け加えた。ネパールはLDCsの立場で発言し、現在のリーダーシップの欠如を指摘し、プレ2020年野心引上げに対する「熱意の不足」への懸念を表明した。

ベネズエラはLMDCsの立場で発言し、両方のワークストリームを網羅する、組織化された公式モードの作業、全要素に焦点を当てる作業を待望した。同代表は、11月の最初のソーシャルなプレCOP及び7月の準備会合に参加者を歓迎すると述べた。

インドはBASICの立場で発言し、進展の遅さに懸念を表明し、この会合では過去2年間にわたりラウンドテーブルやワークショップで既に示されてきた考えや立場を繰り返しているとの見方を示した。

ドミニカ共和国は中米統合グループ(Central American Integration Group)の立場で発言し、全ての締約国に対し、現在の野心のギャップを埋めるため、具体的な約束や行動をとるよう緊急アピールを行った。

ニカラグアはALBAの立場で発言し、ボンでの交渉の進め方に賛成していないと述べ、多国間主義の原則が損なわれていると述べた。同代表は、資金、キャパシティビルディング、技術に関する野心が欠如しているとも述べた。

コロンビアはAILACの立場で発言し、新しい作業モードに変換するための課題について説明した。同代表は、交渉文書草案に関する作業参加を成功させるには、締約国側が、この文書は自分たちのものであるとの強い所有の概念を持つ必要があるとし、ワークストリーム2の下でのモーメンタムを強化する要素は何か、明らかにする必要があると強調した。

ADP共同議長のKumarsinghは、6月の建設的な交渉を待望すると述べ、午後7時14分、ADP第2回会合の中断を宣言した。

会議の簡易分析

港に行き着くには、帆を上げねば

帆走せよ、錨に繋がれることなく

帆走せよ、漂流するな

―フランクリン・D・ルーズベルト

2014年最初の公式UNFCCC気候会議となるボン会議に集まった参加者は、春を約束する雰囲気を持ち込んだ。しかし、ワルシャワでのマラソンCOPが記憶に新しい中、多くのものは、この一年も荒波の中を航海することになりそうだと認識していた。下記のADPのマンデート達成という重圧がかかっている:2015年までに、全ての締約国に適用される条約の下で新しい法制度を作成し、これを2020年に発効させる;プレ2020年の野心のギャップをなくす。参加者は、新しい合意の要素特定作業に取り掛かる必要性、来年のパリでの「合意か決裂か」COPに先駆け、意見の取りまとめを図る必要性を認識した。それはともあれ、ボン会議に対する期待感は抑え気味である。多くのものは、ADP 2-4を、かなり「注目度の低いイベント」と見ており、むしろ「今年後半の交渉モードに入る前のウォームアップ」の機会とみなしている。一部の参加者は、進展の遅さを嘆いたが、会議自体は、各国が決定する貢献分の全体像を見定めたほか、6月の次回会合で交渉文書の議論を開始するコンタクトグループを結成することでも合意した。この簡易分析では、2014年12月のペルー、リマでのCOP 20、最終的には2015年のフランス、パリでのCOP 21に向けたプロセス及び進展という観点から、この会議を検証する。

航路を定める

ADPという船は建造されて以来、手続き上の問題という荒波にもまれており、ボン会議も例外でないことが明らかになった。今週は、LMDC の発案を受け、交渉文書の議論を開始するコンタクトグループの設置を求めるG-77/中国の要請から幕を開けた。多数の参加者は、オープンエンド協議で進める一般的な情報交換の段階は終了し、コンタクトグループでの、より組織化された交渉に向けペースを速めるのは今だと感じていた。この要請には、ほぼ一年前に出された同様な要請が反映されている。しかし当時は、そのようなコンタクトグループの設置は時期尚早とみなされた。事実、2012年のバンコック及びドーハでの一般的な意見交換が終了して以来、ADPはそのマンデート達成のため、より具体的な議論をする段階に移ると期待したものも多くいた可能性がある。2013年4月の時点で、締約国は既に、「各国の参加を高め、ADPの作業を確実に次の段階に移す」という課題を負うことになった。ADPに対するこのようなシフト変換の提案は、ボンのADP 2-4でも再度、表に出てきた、この会議は、ワルシャワのCOPにおいて、2015年合意に関する「2014年の最初の会合から交渉文書草案の要素のさらなる推敲を開始する」との課題を負わされた会議である。

コンタクトグループ設置の議論は、プレナリー、特にG-77/中国調整会議ではなく、密室の会議で長時間行われ、結果として公式議題の大幅な遅れを招いた。しかし対決を期待していた向きは失望させられた。水曜日の非公式進捗状況報告プレナリーでは、コンタクトグループ設置の共通意見が、ほぼ支障なく登場し、ADPの6月の会議で議論を開始することになる。

結局この問題は、信頼の問題であり、このプロセスはだれのものかという受け止め方の問題である。ベールに包まれたハイレベルな交渉が最後の瞬間に舞い降りてきた「コペンハーゲン方式文書」を見てきたものは、いまだにその亡霊に悩まされている。実際、コンタクトグループ設置を推進しているものの中には、非公式協議よりもコンタクトグループの方が、ステータスがあり、全ての締約国の意見を反映する交渉合意草案を作成できる可能性が高いと受けとめるものもいる。

長年の交渉参加者数名が後悔と共に指摘するとおり、このプロセスへの挑戦では、不信感が現実になる場合も多い。先進国及びAOSISなどの一部の諸国は、2010年の膨大なAWG-LCA「天津文書」を思い起こし、コンタクトグループでの議論の結果は、締約国の提出文書の積み上げをベースにしたかさばる文書になりかねないと懸念する。さらに、アンブレラグループやEUが表明した通り、コンタクトグループの下でスピンオフグループが集まることになれば、このプロセスは、ADPマンデートの多様な要素、すなわち緩和、適応、資金、技術開発・移転、キャパシティービルディング、行動と支援の透明性という要素において不可欠である相互作用を捉えきれない可能性があり、そのことも懸念される。しかし、全てのものがこのような懸念を持つわけではない、AWG-KPでのそれのように、過去のプラスの経験を引きあいに出すものもいた、AWG-KPでは、文書を際限なく膨らませず、要素やオプションを練り上げる文書作成プロセスで「文書の縫い上げ」に成功した。

金曜日の閉会プレナリーで、ADP共同議長のKishan Kumarsinghは、このような表面化していない懸念に応え、慎重に言葉を選びながら、交渉文書は「締約国が提出した文書やステートメントでの見解をベースにこれを集約する形で構成され、真に締約国主導のプロセスを反映する」と、締約国に保証し、確証を与えるため、踏み込んだ説明をした。

一部には、この手続き上の議論は全て、単なる目くらましではないかとの疑念が残された。ある交渉担当者は次のように述べている、「交渉をコンタクトグループでやるにしても、オープンエンド協議でやるにしても、同じ締約国が同じ問題を同じ透明性で、同じ共同議長の指導の下で議論するのだ。」つまるところ、何らかの意味のある進展を遂げるには、全てのものの意見を代表する交渉文書草案を作成するというADP共同議長の能力を、締約国は確信し、信頼しなければならない。これは単純な作業ではない、コンタクトグループでの議論がどうなるか、締約国は帆を上げる準備をして参加するのか、全てのものの目は、6月の会合に向けられる。

帆に風を受ける

手続き上の問題はさておき、ADP 2-4は、帆を上げることに成功した、両方のワークストリームにおいて、締約国が実質審議に参加したのである。2015年合意の作成(ワークストリーム1)では、ワルシャワ会議で、締約国は、各国が意図する貢献分の決定作業を開始するあるいは高めると決定した。この異論のある表現「各国が決定を意図する貢献分、ただしその法的特性に予断を加えない(intended nationally determined contributions that would not prejudge their legal nature)」は、ワルシャワ会議のADP閉会プレナリーで、閉会ぎりぎりの瞬間に口頭の改定案として提起されたものであり、2015年合意の法的特性や「全てのものに適用される(applicable to all)」合意での約束の差異化を図る方法といった本質的な問題は、事実上未解決のまま残ることになった。

今回の会議は、この曖昧な表現を議論する最初の機会であり、この妥協的なワルシャワ会議の表現は各国の意見の食い違いを和らげようとしたものであったが、その意見の食い違いは、ボン会議で再度登場することになった。一部の先進国は、各国が決定する貢献分は緩和に関するものだけを意味すると主張し、一部の途上国は、適応や実施方法も含めるべきと主張した。後者の解釈は、先進国が約束した適応と実施方法―緩和に関するものだけでなくーも、世界目標との関係で評価されるべきであり、計測、報告、検証の対象となることを意味する。

貢献分の法的特性に関し、ワルシャワ会議で「貢献(contributions)」ではなく、「約束(commitments)」としてその法的特性を明確に示す文章を採択するよう求めていたEUとAOSISは、貢献分は法的拘束力のある合意の一部であり、拘束力を持つべきと論じた。他方、LMDCは、附属書I締約国の貢献分と非附属書I締約国の貢献分の厳格な差異化を求め、先進国のみが拘束力のある約束を行うとしたUNFCCC及び京都議定書の差異化システムからの乖離を拒否した。このような議論において、各国は、2015年の第一四半期に見込まれる国家決定貢献分の定義づけ、策定をどう進めるか、その内容を明らかにしていった。

COP 19の決定書は、貢献分の提出は「意図する貢献の明示、透明性、理解を高める形」で行われるべきとも規定する。ADP 2-4で最初に議論されたのは、この目的に不可欠な情報とは何か、締約国の国内での貢献分作成努力を推進するには、どれだけのレベルの特定性が有用かつ必要かという問題であった。この問題に関するADP 2-4のオープンエンド協議では、各締約国が意見表明をし、それにより必要な情報に関する共通の理解の全体像や分野が明らかになるという利点があり、これは、締約国の貢献分に関し締約国が提供すべき情報について、確固とした、しかし管理可能なリストを作成する上で重要な役割を果たす。

更に今回の議論では、総論的なコメントや異論のための異論を回避し、ダーバンプラットフォームの要素を運用可能にする方法について、具体的な提案をする必要があることが明らかになった。この一週間、共同議長は、2015年合意にそれぞれの意見や考えを反映させるには「どうするか(how)」、その手法の議論に焦点を当てるよう参加者に求め、ADP共同議長のArtur Runge-Metzgerは、「さらに深いところをめざし、相互に目を合わせる(dig deeper and look each other in the eye)」よう締約国を促した。あるオブザーバーがコメントするとおり、2年近くたっても、「ADPではいまだに同じ発言を聞き続けているとは信じられない(I can’t believe that I’m still listening to the same statements in the ADP)」。合意に提案や提出文書をどう反映できるか、具体的な意見を提示する用意をして今後の会合に締約国が参加してこない限り、効果のある成果を掴める可能性はない。

プレ2020年の野心ギャップ縮小に関するワークストリーム2においても、進展の達成は、玉石混合であった。どこに最も大きな緩和ポテンシャルがあるかを明らかにするため、2年間を費やした後、ADPはギアチェンジをし、そのポテンシャルを解き放ち、障壁を除去し、緩和の達成を加速化する方法の議論を始めることが期待された。専門家を招請して成功例のプレゼンテーションを行うことで、再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する技術専門家会議の企画を、焦点を絞った具体的なものにすることを目指した。一部の参加者は、専門家会合を歓迎し、二国間の議論を刺激して気候交渉と現場の実践者との橋渡しをしたとコメントしたが、他のものは、プレゼンテーションされた経験を捉え、その真髄を取り出して具体例の再現を可能にすることが必要だが、それはできなかったと論じた。さらに他のものは、UNFCCC交渉にどうフィードインするかが疑問であるとした。イランのコメントのとおり、「リマ会合の前にワークショップに座っている時間などない」のであり、一部のものは、このような技術会合を、「大規模で際限のないサイドイベント」と位置付けた。

リマ会議に向けた航海

会議が終了しても、ADP 2-4それ自体は、帆を上げるには至らなかった、ある参加者は、このような進展の少なさの原因を、まだ「COPの二日酔い」に悩まされていることに求めた。とはいえ、この会議は、国家決定貢献分という、ワルシャワのADP決定書によると2015年第一四半期までに各締約国が提出できるよう、リマ会議までに決定し、それによりパリ会議の前に2015年合意遂行の土台を作るという問題に関し、忌憚のない議論を始めており、おそらくは正しい方向にかじを切ったと言える。

プレ2020年の野心引上げに関するワークストリーム2の下での議論は、ラウンドテーブルやオープン協議の議論から、技術専門家会議の開催、そして6月には土地利用や都市化における緩和に関し、追加の技術ワークショップを開催する方向へと動いている。加えて、適応の世界目標の可能性など、新しい考えについても議論した。

今後、ADPは、リマ会合までにいくつかの港に錨をおろす必要がある、この中には、6月と10月の両方ともボンで開催される会合が含まれる。野心や新しい合意を議論する6月の会議に閣僚が参加すれば、政治的意思を刺激する可能性がある、あるいは各国が既知の立場を述べる別な場を提供するに過ぎない可能性もある。UNFCCCの枠外において、多数の会議がモーメンタムを提供する可能性がある、この中には、近く発表される第5次評価報告書を議論する気候変動に関する政府間パネルの会合(複数)、地球環境ファシリティの第6回資金補填、緑の気候基金理事会、9月の国連事務総長の気候サミットなどが含まれる。

しかし、この会議の開会時にUNFCCC事務局長のChristiana Figueresが指摘する通り、ADPの成功は、交渉の場のかなり外にある、都市や地方政府、若者、軍隊といった非国家行動者の無数の気候行動を背中に負い、それにより「帆に風を受けよう(wind in their sails)」とする交渉担当者の意思にかかってくる。

今後の会議予定

IPCC WGII10回会合及びIPCC-38IPCC WGIIは、AR5のWGII報告書の承認及び受理のための会合を開催する。WGIIは、気候変動に対する社会経済システム及び自然のシステムの脆弱性、気候変動のマイナス及びプラスの影響結果、適応オプションを評価する。これに続き、IPCC-38が開催され、AR5のWGII 報告書の承認を行う。  日付:2014年3月25-29日  場所:日本、横浜  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208 

ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int  wwwhttp://www.ipcc.ch/

IPCC WGIII12回会合及びIPCC-39IPCC WGIIIはAR5のWGIII報告書の承認、受理のため会合を開催する。WGIIIは気候変動の緩和に焦点を当てる。これに続いて、IPCC-39が開催され、AR5のWGIII報告書の承認を行う。  日付:2014年4月7-12日  場所:ドイツ、ベルリン  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208 

ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

3回国際気候変動適応会議:「適応の未来、2014年(Adaptation Futures 2014)」と題する会議は、研究者社会と地域レベル、世界レベルの気候変動適応情報の利用者とを結びつける予定。  日付:2014年5月12-16日  場所:ブラジル、フォルタレザ  連絡先:事務局  電子メール: adaptationfutures2014@inpe.br  wwwhttp://adaptationfutures2014.ccst.inpe.br/

46GEFカウンシル会議及びGEF総会:地球環境ファシリティー(GEF)の総会は、第46回GEFカウンシル会議に続き、メキシコで開催される。CSOコンサルテーション、GEFカウンシル及びLDCF/SCCFカウンシル会議は、5月25-27日に開催され、カウンシル会議は5月25日から開始、5月27日にはCSOコンサルテーションと半日重なる形で行われる。総会は、5月28-30日に開催される。GEFの最も新しい加盟国である南スーダンを含め、183の加盟国全てが総会に集まる予定。   日付:2014年5月25-30日  場所:メキシコ、カンクン  連絡先:GEF事務局 

電話:+1-202-473-0508  ファクシミリ:+1-202-522-3240 電子メール:secretariat@thegef.org  wwwhttp://www.thegef.org/gef/5th_assembly

UNFCCC40回補助機関会合:SBI 40及びSBSTA 40は、2014年6月に開催される。ADPの第2回会合第5部も開催される予定。  日付:2014年6月4-15日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局 

電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int/meetings/upcoming_sessions/items/6239.php

UNFCCC COP 20及びCMP 10のプレ・プレCOP閣僚会議:この会議はベネズエラ政府が開催するイベントで、次の項目の審議が目的:気候変動における地方政府の役割;地方政府及び現地の市民の参画を図る方法;地方の行動を世界規模の議題にどう組み込めるか。  日付:2014年7月15-18日  場所:ベネズエラ、カラカス  連絡先:Cesar Aponte Rivero、総合コーディネーター  電子メール:precop20@gmail.com 2014年気候サミット:このイベントは国連事務総長のBan Ki-moonが計画、UNFCCCプロセスでの野心的な法的合意のため、政治的意思を高めることが目的。  日付:2014年9月23日  場所:米国、ニューヨーク、国連本部 wwwhttp://www.un.org/climatechange/summit2014/

UNFCCC ADP 2-6ADPは、2014年10月、第2回会合の第6部を開催する。  日付:2014年10月20-24日(仮)  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int

IPCC-40このIPCC会合は、AR5統合報告書を採択し、その政策決定者向けサマリーを承認する目的で開催される。  日付:2014年10月27-31日  場所:デンマーク、コペンハーゲン  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208  ファクシミリ:+41-22-730-8025 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int  wwwhttp://www.ipcc.ch/

UNFCCC COP 20及びCMP 10のプレCOP閣僚会議:このイベントは、ベネズエラ政府が計画する会議で、UNFCCC交渉における市民社会の参画について再度議論することが目的である。  日付:2014年11月4-7日  場所:ベネズエラ、カラカス  連絡先:Cesar Aponte Rivero、総合コーディネーター  電子メール:precop20@gmail.com UNFCCC COP 20及びCMP 10UNFCCC第20回締約国会議(COP 20)及び京都議定書第10回締約国会合(CMP)は、ペルーのリマで開催される。  日付:2014年12月1-12日  場所:ペルー、リマ  連絡先:UNFCCC事務局 

電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int

このほかの追加会合及び最新情報については右記を参照:http://climate-l.iisd.org/

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