Daily report for 6 June 2013
午前中、ADPのブリーフィングが行われたほか、ワークストリーム1のADPラウンドテーブル、対応措置に関するSBI/SBSTA合同の会合期間中ワークショップが開催された。午後、2015年合意による適応強化に関するワークストリーム1のADPワークショップも開催された。午後、先進国による経済全体排出削減数量化目標に関するイベント、キャパシティビルディングに関するダーバン・プラットフォームの第2回会合が開催された。夕方、非公式なSBI協議が開催された。多数のSBSTAコンタクトグループ及び非公式グループも一日を通して会合した。
ADP
ADPブリーフィング:各議長及び次の各組織代表が、それぞれの組織で行われた作業の概要を説明した:資金に関する常任委員会;緑の気候基金(GCF);GEF事務局;長期資金に関する作業計画;技術執行委員会議長;気候技術センター・ネットワーク諮問理事会;適応基金理事会;専門家諮問グループ;キャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラム。
資金に関する常任委員会のDiann Blackは、ADPとの関係に関する質問に応え、既存の運用機関を用いADPとの全般的な一貫性と展望を図る必要があると指摘した。GCFのZaheer Fakirは、基金の運用開始が理事会の優先事項であると強調し、既存の制度に対するGCFの補足的役割を指摘した。長期資金に関する作業計画のNaderev Sañoは、先進国による資金動員の規模拡大に向けた道筋を明確化する努力がなされていると指摘し、ガーナの質問に応え、適応優先に関する意見の集約を保証した。
ワークストリーム1に関するADPラウンドテーブル:行動の多様性:参加者は、透明性と信頼性に関する水曜日の議論を継続した。サウジアラビアは、新しい合意の透明性を高める次の3つの要素を強調した:気候行動の影響に関する報告書作成;資金に関する報告書作成;これらの規定と条約の原則、規定、附属書との適合保持。韓国は、国家決定の行動方式に焦点を当て、(2015年合意に対する)事前の明確化に関するワークショップ開催を提案した。ネパールはLDCsの立場で発言し、透明性措置には供与され受理された支援に関する比較可能かつ完全な計算システムを含めるべきだと述べた。ナウルはAOSISの立場で発言し、緩和約束の透明性を京都議定書の下での透明性とできるだけ同等に確固としたものにすべきであり、その採択の前の理解も必要であると強調した。
ADPの下での将来の作業構成に関し、フィリピンはLMDCの立場で発言し、G-77/中国の立場で発言したマレーシアの支持を受け、ラウンドテーブルが既存の要素の概念に関する意見交換をし、締約国を支援するとの意図から離れ、新しい要素の導入に動いているとして懸念を表明した。同代表は、ラウンドテーブルで議論された題目は共同議長が「共通意見と受け止めた分野」を反映していると付け加え、この点で立場を保留すると繰り返した。同代表は、CBDR原則の無視は「このプロセスを崩壊させるリスク」があるとし、ラウンドテーブルの議論を終了させ、ポスト2020年の期間に関する条約実施について、締約国主導の交渉を開始するよう求めた。
スイスはEIGの立場で発言し、交渉文書に向け動く必要があることには同意したが、概念を議論するラウンドテーブルの重要性を強調し、条約の原則を反映し運用可能にする具体的な提案が必要だと強調した。オーストラリアは、EUの支持を受け、ラウンドテーブルの継続を希望し、ラウンドテーブルにおける具体的かつ実質的な議論を待望すると述べた。
議長のDovlandは、木曜日と金曜日に予定されるワークショップを予定通り継続し、木曜日にボンでの作業構成に関する非公式議論を行うよう提案した。
ワークストリーム1に関するADPワークショップ:2015年合意による適応の強化:Burhan Gafoor (シンガポール)がこのワークショップの進行役を務めた。
カンクン適応枠組の実施:適応委員会副議長のChristina Chanは、適応の立場を強め、一貫性を改善する適応委員会の作業についてその概要を説明した。LDC専門家グループ(LEG)議長のPepetua Latasiは、LEGによるLDCs支援のモダリティに関し、最新情報を提供した。
これまでの提案または新たな提案に関する締約国の意見表明:ベナンは、適応を本流のものとし、NAPAsの実施から学ぶ必要があると強調した。ボリビアは、資金供与に関し、予測可能性がないと嘆いた。同代表は、損失・被害は適応のものとは異なると述べ、適応が実施不能になった場合に関するものだと述べた。クック諸島は、汚染者負担原則に基づく損失・被害の補償メカニズムを提案した。カナダは、NWPを適応推進手段とすべきであり、対等なもの同士の知識交換を推進すべきだと述べた。EUは、UNFCCCの枠外の活動とのシナジーを推奨し、再生可能エネルギー及び持続可能な農業手法は適応努力に貢献できると述べた。グアテマラは、社会や生態系の回復力を高めるためボトムアップとトップダウンのアプローチをとるよう提案し、貧困撲滅努力とのシナジーも必要だと強調した。メキシコは、適応のニーズに対応するツールの改善を求めた。南アフリカは、都市は機会を与える中心的存在だと強調し、都市部に注目するよう求めた。
議論:締約国は、適応が新しい合意に不可欠なものにすべきことで合意した。さらに、適応を持続可能な開発の概念において議論し、既存の制度の上に構築すべきことでも合意した。また締約国は、特に次の問題について議論した:緩和と適応のバランス;実施方法;国家適応戦略・計画への支援;非LDCsに対する国家適応計画;情報交換のためのプラットフォーム。スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、適応に関する世界目標を求めた。CANは、緩和、適応、損失・被害は連続する合意の一部にすべきだと述べた。
SBSTA
先進国の数量化された経済全体排出削減目標に関するイベント:UNFCCC事務局のBarbara Muikは、先進国の提出文書に基づくテクニカルペーパーを提出した。同氏は、一部の要素は明確になったが、特に次の点で不確実性があると指摘した:LULUCFの役割と市場ベースメカニズムの炭素クレジット、プレッジに付随する条件および想定条件が満たされるかどうか。
目標達成に向けた進捗状況の測定:世界資源研究所(WRI)のKelly Levinは、先進国は目標を提出したが、そのプレッジを明確にするには、現在要求されている以上の情報が必要であると指摘し、これにはLULUCFの排出量計算に用いる手法や目標の時間枠が含まれると述べた。同代表は、緩和での進捗状況を評価し追跡するには算定規則の調整が不可欠であると付け加え、計算のいくつかの側面に共通する規則を採用し、同時にLULUCFや市場メカニズムなど意見対立のある一部の分野に関する交渉を継続する可能性を示唆した。
Andrew Prag (OECD)は、次の3つの重要なメッセージに焦点を当てた:広範に適用可能な算定枠組の要素の作成;市場ユニットの移転の算定方法;土地利用部門の排出量及び除去量の算定方法。市場ユニットの移転に関し、同代表は、ユニットの流れや排出量の緩和における単年目標と複数年目標との違いについて説明した。
議論:議長のMuyungiは、次の質問に注目するよう求めた:進捗状況を測る共通要素について、その特定に利用できる情報;共通要素が緩和努力の比較可能性をいかに高めるか;WRIとOECDの役割;次のステップ。
マーシャル諸島はAOSIS立場で発言し、先進国の努力を相互にかつ全体で評価するには比較可能性が重要であると強調し、単年と複数年の炭素予算が採用されたため、規則や違いが調整されず、比較可能性が阻害されていると言及した。
EUは、情報が不十分で不明確である、特に国内小地域の市場メカニズムのユニットに関する情報がそうであると述べた。同代表は次のステップとして、目標に向けた進捗状況を定義し実証する手法についての議論、さらには「共通枠組みクラスター」を検討するワルシャワでの決定書の議論を提案した。
緩和努力の比較可能性、目標に関する想定および条件:South CentreのMartin Khorは、比較可能性が野心と直接結びついていることを説明し、附属書I国に対し、科学と公平性の概念に基づく比較可能かつ十分な約束をするよう求めた。同代表は、国情が比較可能性回避の言い訳に使われないよう、妥当な国情の分類を提案し、人口やGDPの変化は検討可能な重要要素だと指摘した。また同代表は、締約国が共通の基本年を用いていないことを嘆き、京都議定書第2約束期間に参加しない諸国は18%という全体約束に相当するプレッジを行い、そのプレッジを2014年に見直すよう求めた。
議論:多数の締約国が、可能な限り早期に約束の明確化を図り、データに関する欠点を克服する必要があるとのプレゼンターの意見に同意した。多数のものが比較可能性を確保する難しさについて議論し、EUは、目標は必ずしも緩和努力を反映しておらず、その比較を助けてもいないと指摘した。多数の途上国が、先進国のプレッジの前提条件を除去する必要があると指摘した。ニュージーランドは、新しい合意への移行に向け、この一年の間に、条約の下での新しい無条件の緩和目標を提出すると発表し、この目標は全ての部門に適用され、京都議定書のLULUCF規則に従う可能性が高いと述べた。ケニアは、各国の能力に関する国情面の課題を指摘したが、ニュージーランドは、国情も実施可能性に含まれるとの観測を示した。
コンタクトグループ:農業:Hans Åke Nilsagard(スウェーデン)とEsther Magambo(ケニア)を共同議長とするコンタクトグループは、最初の意見交換を行い、多数の締約国が食糧安全保障の重要性を強調した。
エジプトはG-77/中国の立場で発言し、インド、その他の支持を受け、決定書草案に向け動くよう提案し、次の3つの柱について説明した:条約の原則を強調する;適応中心の考え;技術移転に対する農業の適応とキャパシティビルディングのための資金供与とを結び付ける実施方法。ガンビアはLDCsの立場で発言し、締約国の意見が分かれている問題に関するワークショップの開催を提案し、マラウィはアフリカングループの立場で発言し、意見が分かれている問題には条約の原則、緩和を優先するか適応を優先するか、実施方法の問題が含まれると述べた。サウジアラビアは、CBDRと先進国の補助金の問題を強調した。フィリピンは、気候の影響に関する理解を進めるよう求め、新しい技術プラットフォームを提案した。
EUは、農業従事者の優先課題に対応する漸進的で包括的なプロセスを提案した。オーストラリアは、問題が「行き詰まって(stuck)」いることへの懸念を表明し、農業従事者に対し、回復力や生産性、効率を改善する科学的技術的助言へのアクセスを提供することが目的だと発言した。ニュージーランドは、緩和を含めるよう促し、農業は自国の排出量の半分を占めていると指摘し、このグループのマンデートには科学的技術的助言が含まれると明言した。議論が続けられる。
SBI
キャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラムの第2回会合:Helen Plume(ニュージーランド)がこの会合の共同進行役を務めた。京都議定書の実施のためのキャパシティビルディングに関し、Paul Isabirye(ウガンダ)は、キャパシティビルディングの累積特性に注目し、プログラムの設計の全ての段階において利害関係者を参画させる必要があると強調した。UNFCCC事務局のConnor Barryは、地域センターはキャパシティビルディングプログラムに対する期待感や必要事項に沿ったパートナーシップ手法の採用を可能にすると強調した。
条約及び京都議定書の下で設立された組織におけるキャパシティビルディング要素の概要について、参加者は、次の点に注目した:異なる国情を認識する総合的な手法の重要性;国内の能力を向上させる直接アクセス手法の可能性;広範な利害関係者が参加する気候リスク管理の必要性。参加者は、キャパシティビルディングを「基本的(foundational)」要素として対応することについて、共通意見を表明した。
国家レベルでの具体的かつ効果的な適応行動及び緩和行動を推進するキャパシティビルディングの実現強化に関し、パネリストは次の点を議論した:両ADPワークストリームへのキャパシティビルディングの取り入れ;実施に役立つ利害関係者が参加する必要性;戦略的かつ一定規模でのキャパシティビルディングへの対応でADPが与える機会。
SBI議長のChruszczowはこの会合を閉会し、この議論はワルシャワでの交渉を助けると述べた。
SBSTA/SBI
対応措置の影響評価に関するフォーラム:この会合で参加者は、対応措置実施の影響の評価と分析について議論した。
各国のプレゼンテーション:G-77/中国は、リオ+20の成果を含めた持続可能な開発という広範な概念の中で対応措置を考えるべきだと強調し、対応措置の設計や実施段階では、社会経済的影響結果を考えた量的および質的な評価を含めるべきだと強調した。オーストラリアは、利益がコストを上回ると指摘し、利益を確保し、回復力を築く必要があると強調した。サウジアラビアは、多様な部門や社会グループを対象とする評価にすべきだと述べ、包括的、集約的、ダイナミックなものにする必要があると述べた。また同代表は、手法論を開発し、報告を作成する必要があると強調した。米国は、優れた設計の気候政策によるコベネフィットに注目し、これには大気の質の改善、生物多様性の強化、経済の強化、健全な生活様式が含まれると述べた。また同代表は、この利益は気候政策を実施している国に限られるわけではないと述べた。インドは、EU排出量取引制度(ETS)に航空輸送を含めた例を挙げ、ユニラテラルな措置に参加するのは控えるよう各国に求めた。シエラレオネは、悪影響があると予想される対応措置のタイプについて明確な考えを持つ必要があると強調し、特に次の部門で予想される影響について考える必要があると強調した:輸送、農業、水資源、森林、生物多様性。また同代表は、途上国に対し測定可能な成果を得るため特定の行動をとるよう求める必要があると強調した。
各機関によるプレゼンテーション:OPECのMohamed Hamelは、石油輸出途上国に関する対応措置の悪影響の数量化評価結果についてプレゼンテーションを行った。South CentreのManuel Montesは、対応措置の分類と対応措置を評価する量的、質的な手法についてプレゼンテーションを行った。
これに続く議論の中で、途上国数カ国は、特定の行動に対する事前と事後の分析を行う必要があると強調した。EUは、影響評価に関する議論を擁護したが、ユニラテラルな措置に焦点を当てることの付加価値には疑問を呈し、自分の考えでは、世界炭素税や効率基準など合意された国際的措置がないために必要となる措置であると述べた。オーストラリアは、インドの提案に反対し、条約3.5条(恣意的かつ差別的なユニラテラル措置の使用の禁止)の延長解釈に警告した。米国は、多様な国際的プロセスにおけるユニラテラルな措置に反対すると強調したが、国際法に合致するものであればユニラテラルな措置も許容でき、必要であると認めた。
廊下にて
昼食時、多数の参加者が、COP 19の次期議長の非公式協議に参加した。ポーランドは、出席者に対し、透明性があり、参加性が高く締約国主導のプロセスを保証し、利害関係者の有意義な参加推進も保証すると述べた。しかし、この会議への期待感は分かれており、たとえば、途上国の参加者はCOP 19を「資金COP(Finance COP)」と呼び、資金供与や技術移転の規模拡大による実施方法を強調した。他のものは、「COP 19は損失・被害メカニズムを設置する時だ」と述べた。また、別なものはCBDRがカギであると強調し、COP 19は、条約実施の行動強化に焦点を当てるべきだと述べた。先進国も、COP 19に何を期待するか、独自の意見を持っているようであり、ある参加者グループは、ワルシャワでは市場メカニズムとMRVで進展を見ると指摘し、「全ての締約国に適用可能な法的拘束力のある合意を築く作業プロセスで合意する」ことがカギだと指摘した。
他方、夜には、議題書を議論する非公式SBI協議が開催されたが、良い知らせをもたらすことはできなかった。多数のSBI参加者は、多忙なSBSTAの同僚を助けるのに一日を費やし、あるものは、行き詰まりが続くなら「SBSTAの仕事について学び続ける」ことを甘受していた。
This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Jennifer Allan, Beate Antonich, Asheline Appleton, Rishikesh Ram Bhandary, Elena Kosolapova, Ph.D., and Eugenia Recio. The Digital Editor is Leila Mead. The Editor is Pamela S. Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donor of the Bulletin is the European Commission (DG-ENV). General Support for the Bulletin during 2013 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation and Nuclear Safety (BMU), the Ministry of Environment of Sweden, the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN), the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), and the United Nations Environment Programme (UNEP). Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Belgium Walloon Region, Québec, and the International Organization of the Francophone (OIF and IEPF). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA. The ENB Team at the Bonn Climate Change Conference - June 2013 can be contacted by e-mail at <asheline@iisd.org>.