Daily report for 12 June 2013
水曜日午前中、ADP非公式プレナリーが開催された。一日を通し、SBSTA及びADPの下でのコンタクトグループ及び非公式協議が開催された。
ADP非公式プレナリー
午前中の非公式プレナリーで、Andreas Fischlin(スイス)は、2013-15年レビューに関する組織化専門家ダイアログについて報告し、SBSTA議長のMuyungiは、対応措置に関する作業の概要を説明した。その後、締約国は、2つのADPワークストリームにおける進捗状況及び追加作業が必要な分野について検討した。
ワークストリーム 1に関し、オーストラリアは特に、次の項目の推敲を求めた:国際的に合意された規則ベース枠組みで行うべき、国家決定の約束で構成されるハイブリッドモデル;科学及び平等の概念に沿った野心引き上げ措置;定期的な約束再検討メカニズム;行動を可能にし、支援する供与。EUは、適応および実施方法に関し各締約国が希望するものを特定するよう求めた。 同代表は、主要問題に関し、ワルシャワ会議前に文書を提出する必要があると指摘し、共同議長に対し、締約国の考えを反映させるペーパーで優先分野を明らかにするよう求めた。
日本は、共通算定規則を明確にし、事後レビューを検討する必要があると強調した。同代表は、次の項目に関しても更なる推敲が必要だと述べた:約束の時間枠組み、約束と規則の関係;事前と事後の協議;新しい合意の中での適応の枠づけ。
フィリピンはLMDCの立場で発言し、ADPの下での集約化されたプロセスと条約の4本柱を中心に構成する交渉を求めた。
ノルウェーは、次の項目に関する追加協議を提案した:緩和約束の時間枠の定義付け;透明性及び信頼性の規則;新しい合意の中での適応の枠づけ。スイスは、緩和に関し共通の理解が生まれている分野を紹介した、これには次のものが含まれる:国際的なガイダンスに基づく国家決定の緩和行動;規則ベース手法の利点;締約国が緩和行動のプレッジを提示し、その後プレッジ最終決定の前に国際協議プロセスを行う2ステップ・プロセス。緩和に関するCOP 19決定書について、同代表は、全てのものが「約束すると約束すべきだ」と促した。さらに同代表は、次の項目を求めた:緩和約束の法性に関する共通の理解;衡平な差異化に関する意見交換の継続;約束を「根付かせる(anchor)」プロセスの要素を推敲。
インドは、2015年合意の進展には附属書Iの野心引き上げが必要だと強調した。同代表は、この合意は差異化された責任に基づくべきだと強調し、CBDRのダイナミックな解釈、そして2ステップもしくはハイブリッドプロセスなど、ポスト2015年の構造では、条約の原則に再度焦点をあてる必要性に関する議論を強調した。トルコは、条約の原則は全面的に適用すべきだが、適用される内容は変化しており、新しい合意では差異化された責任および約束を適切な形で作るべきだと発言した。チリはAILACの立場で発言し、想像力のある考えと特に次の項目に関する提案を求めた:実施方法;遵守とインセンティブ;野心及び参加を強化するために必要なダイナミズムを確保する事前と事後のレビュープロセス。
サウジアラビアは、条約の再交渉とはならない合意が必要だと強調した。同代表は、2013-15年レビューと対応措置のリンクに注目し、対応措置の社会や経済への影響を理解する作業が不可欠だと述べた。シンガポールは、更なる作業分野に焦点を当てた、これには次の項目が含まれる:先進国の指導的役割;決定書の実施を強化し、既存の制度のリンク及び実績を強化する方法;締約国提起の行動を明確にする方法;規則により世界的な参加を確実に促進するための方法。キューバは、ダーバン及びドーハでの決議、バリ行動計画、そして京都議定書を中心に作業を構成すべきだと強調した。
米国は、特に次の項目に関する合意を指摘した:透明性のあるMRVを示すと同時に全てのものに適用できるだけの柔軟性をもつ規則を持ち、国家が貢献について決定することで、緩和に対応する;ポスト2020年の期間でも支援を継続する。同代表は、全てのものに適用可能であり、得られた経験に基づき作成される規則などで更に作業をするよう提案した。
ニュージーランドは、次の項目に関する共通意見を指摘した:ボトムアップとトップダウンのハイブリッド手法、ただし詳細は異なる;国家決定の貢献について理解し、比較する意思があること;柔軟性及び衡平性の必要性、ただしこれをどう達成するかその方法では違いが残る。同代表は、締約国による約束の実施を確保するメカニズムについてさらに議論するよう提案した。ナウルはAOSISの立場で発言し、ワークストリーム 1と2のリンク、そして実施方法に焦点を当てた。同代表は、既存の制度同士のリンクについて更なる作業を求めた。
ワークストリーム2に関し、締約国は、意見が集約した分野、ワルシャワなどで更なる作業が必要な分野に焦点を当てた。
追加作業分野について、EUは、土地利用、エネルギー効率、再生可能エネルギー、炭素隔離、持続可能な開発を指摘した。同代表は、UNFCCC及びモントリオール議定書の下でのHFCsに関する行動を求めた。
ナウルはG-77/中国の立場で発言し、次を提案した:的を絞ったエネルギー効率化措置;最も効果的かつ実施可能な緩和オプションを特定する実際的かつ行動本位なプロセス;エネルギー分野以外の分野の緩和ポテンシャル実現;他の会議の場で行われている作業の取り込み。同代表は、緩和負担の先進国から途上国への移転に警告し、先進国に対し、野心を引き上げ、途上国に実施手段を提供し、既存の制度を支援するよう求めた。同代表は、国連事務総長による2014年リーダーズサミットは緩和ポテンシャルを得る機会であると強調した。
ブラジルは、フィリピンの支持を受け、信頼感を築き、ワークストリーム1で進展を図るにはワークストリーム2がカギであると強調した。同代表は、GCFは「期待したレベルでない」と指摘し、先進国の指導力も適切でないと指摘した。同代表は、国連持続可能な開発アジェンダ及び持続可能な開発目標の発展と一致させることが重要だと強調し、これはワークストリーム2の下での作業で高めることができると述べた。
ネパールはLDCsの立場で発言し、先進国の指導的役割を強調し、次の項目を求めた:プレッジの野心引き上げに関する情報;行動を可能にする上で障壁となるものへの対応;京都議定書の下での目標のレビュー;第2約束期間に参加しない附属書I締約国のプレッジ実施;条件の撤廃;途上国によるNAMAsの提出と実施。
フィリピンは、ブラジル案支持を表明し、ワークストリーム1の下での新しい合意の土台となるワークストリーム2での進展を強調し、2015年合意は条約の実施であり「新しい条約」の実施ではないと評した。同代表は、実施手段の提供を求め、無駄の多い消費に基づく生活様式への対応を求めた。
チリはAILACの立場で発言し、プレッジを引き上げ、その上限に向かう適切な環境を築くための既存の制度の役割強化について、更なる作業を求め、エネルギー部門以外の部門にも対応する必要があると指摘した。
日本は、HFCs、再生可能エネルギー、エネルギー効率など具体的な行動に焦点を当てるよう求めた。オーストラリアは、技術作業を確保する分野として、エネルギー部門に焦点を当てた。同代表は、プレッジは「極めて重要」であるとし、より多くのプレッジを奨励し、既存のプレッジ強化の条件について更なる作業が求められると述べた。
スイスは、特に次の項目を求めた:閣僚ラウンドテーブルにおいて、緩和ポテンシャルは「最善の土台(best basis)」であるとの共通の理解を得る;新たなプレッジの余地を作る;モントリオール議定書の下でのHFCsへの対応など、UNFCCC以外の行動を推進する。
ミクロネシア連邦は、モントリオール議定書の下でのHFCsの段階的撤廃の提案が京都議定書の(温室効果)ガスのバスケットからHFCsを除去するわけではなく、UNFCCCの下でHFCsに対応する締約国の能力が制限されるわけではないと明言した。同代表は、この提案は先ず先進締約国からHFC生産を段階的に撤廃するよう推奨すると述べ、この提案が新たに出てきたHFC問題への対応努力を補うわけではないと強調した。
ベネズエラはLMDCの立場で発言し、HFCsをモントリオール議定書へ移すことは途上国に悪影響を与えると発言した。中国は、他の国際組織でGHGsを扱うことへの懸念を表明した。サウジアラビアとインドは中国を支持し、HFCsはUNFCCCの下で検討されるべきだと強調した。
ベネズエラはLMDCの立場で発言し、附属書I締約国に特に次の項目を求めた:京都議定書改定文書を可能な限り早期に批准する;国内行動による約束の引き上げ;途上国での緩和プロジェクトに対し、排出クレジットによる見返りを求めることなく、全資金を供与する。さらに同代表は、IPRレジームでの柔軟性も求めた。サウジアラビアは、ワークストリーム2は締約国主導にすべきであり、全ての部門、ガス、排出量および吸収量を含めるべきだと発言し、COP 19でワークストリーム2に関する決定を行うのは時期尚早だと述べた。
マレーシアは、実施手段があれば途上国はより多くのことを達成できると述べた。バングラデシュは、ギャップを削減し、適応、資金、技術移転、キャパシティビルディングでの野心を引き上げる必要があると強調した。
インドは、アルゼンチンと共に、取り上げるべきセクター別問題を明確せずに、緩和野心引き上げ及びセクター別問題に関するテクニカルペーパーを作成するのは時期尚早だと指摘した。アルゼンチンは、農業、エネルギー、輸送など、貧困撲滅に極めて重要な少数の部門を特定した。
イランは、これまでのUNFCCC会合及び関連する他の国連組織の会合の成果を尊重するよう求め、国際法に違反するユニラテラルな経済、金融、貿易措置を控えるよう各国に求めたリオ+20の成果文書のパラグラフ26に焦点を当てた。
SBSTAコンタクトグループ
多様なアプローチの枠組み(FVA):午前中のコンタクトグループ会合で、締約国は、結論書草案に多少の改定を加え、その後、FVAに関するワークショップの開催時期の合意を保留するとの理解に基づき、この文書をSBSTAに送ることで合意した。
ボリビアは、AOSISの立場で発言したセントルシア、及びベネズエラの支持を受け、当初の作業ではこの枠組みの目的と範囲に焦点を当てるべきだと強調した。ドミニカ共和国は、この枠組みが国情及び共通課題への対応を助ける方法に関する文書提出を提案した。多数の締約国が、次の必要性を強調した:ワークショップ開催、ワークショップ開催時期に関する合意、途上国の広範な参加を確保する方法。
ブラジルは、FVA、非市場手法、新たな市場ベースメカニズムに関する結論書はパッケージとみなすべきと強調した。
非市場ベースの手法:午前中のコンタクトグループ会合で、締約国は、非市場ベース手法に関するワークショップ開催の時期の合意は保留するとの理解に則り、結論書草案をSBSTAに送ると決定した。
新しい市場ベースメカニズム:午前中のコンタクトグループ会合で、締約国は、新しい市場ベースメカニズムに関するワークショップ開催時期の合意は保留するとの理解に則り、結論書草案をSBSTAに送ると決定した。
廊下にて
残り2日間となり、ADPとSBSTAは、ボンでの作業取りまとめを開始した。参加者は一日を通して会合したが、 最も多くの参加者があつまったのは、コーヒーバーの近辺であった、ある参加者は、金曜日のSBSTA閉会プレナリーへ送る結論書作成を早めるため「必要なインスピレーションを得るの」だと冗談を言っていた。他方、SBIの前線は全く静まったままであった。
ADPの下では、締約国が今後の進め方の検討を開始した。非公式プレナリーの後、ある参加者は、「COP19で必要な決定書パッケージの詳細はあまりできていない」と懸念した。一部のものは、火曜日に起きたことを考えると、「公式な交渉が行われないなら、気候会議への代表派遣を正当化するのは困難かもしれない」との懸念を口にした。他のものは、COP 19の注目点が何になるか首をひねり、ある参加者は、COP 19に向けいろいろなアイデアを出していた:「資金COP、損失と被害のCOP、実施COP。ワルシャワ会議は多くの人にとりいろいろなものになるようだ」、この点、5か月を残す中で希望リストが長くなっていることからも明らかだと。
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