Daily report for 10 February 2015
議題項目3に関する ADP コンタクトグループの会合が終日開催され、並行して ADP ワークストリーム 2 (プレ2020年の野心)では、技術審査プロセス (TEP)も行われた。
ADP コンタクトグループ
時間枠 および プロセス に関する 約束: セクション Kについて、 サウジアラビアが、アラブ・グループの立場から、遵守や手続き・制度関連の規定に関するセクションと同様、ADP の権限を逸脱した法的成果を予断するものだと警告した。
EUは、定期的に締約国は緩和の約束を引き上げる必要があると述べた。 インドネシアは、 逆戻りすることがあってはならないと強調した。シンガポールは、 各国の事情や各国の法的要件を考慮に入れることが重要であると強調した。インド は、特に歴史的責任や世界炭素収支の公平分担という観点を踏まえて調整することを検討すべきだと述べた。
ニュージーランドは、約束およびその実施のためのルールを連続して記載することが重要だと主張し、透明性の枠組みに関するCOP決議が遡及的に適用されるものではないと明記すべきだと提案した。
ブラジルは、各締約国が5年間の貢献について提出し、その後の期間については貢献も明示することを提案した。EU は、5年間隔で野心を点検することを提案した。
コスタリカ は、緩和の約束の水準に係わるリスクの有無やその度合いを評価すべきだと述べた。 南アフリカ は、緩和や適応、MOIに関する現在・将来の約束について、前向きな点検だけでなく後ろ向きな点検も行うべきだと提案した。
実施 および 遵守の促進: セクション Lについては、 モルディブが、 AOSISの立場から、実施を促進する堅固な遵守制度に関する文言を提案した。ツバル(LDCs)、トリニダード・ドバゴ(CARICOM)は、執行部と促進部を有する遵守委員会を提案した。EU は、遵守メカニズムの細目については、新合意の執行機関の初回会合で採択すべきだと提案した。
パキスタンは、 LMDCsの立場から、排出削減の約束やMOI規定とともに、先進国の遵守についてモニタリングを実施するよう提案した。南アフリカ は、“予防や協力”システムを盛り込んだアプローチも含め、遵守に対する差別化アプローチを求めた。ボリビア は、気候に関する国際刑事裁判所の設置を提案した。
マーシャル諸島 は、遵守委員会のメンバーについて、小島嶼国を含めた地理的に公平な代表構成を行うよう提案した。
手続きおよび 制度に係わる 規定: セクション Mについては、 ノルウェー が、すべての条約に基づく補助機関を、別段の定めが無い限り、2015年合意に基づく機関として機能させることを提案した。 新合意の附属書改正については、 EUが、「締約国は、緩和の約束について上方修正することが可能で、締約国の4分の3の反対がない限り、それらが受理される」ものとし、「締約国が約束を遵守した場合のみ合意からの離脱も可能」とする案を提起した。
エチオピアは、SBI ・ SBSTAが、締約国の人口1人当りのGHG排出量やGDPを点検するものとし、これらの世界平均値を決める数式や締約国の人口規模に配慮して附属書I国や附属書II国の修正事項に関する決議案を提起すべきだとの意見を示した。
メキシコ は、あらゆるコンセンサスを目指した努力が尽くされた場合、コンセンサスが求められる資金に関する案件や過半数票が必要な手続き上の問題に関する案件を除き、会議に出席した締約国の3分の2の過半数票をもって決議を下すことが可能とする提案を行った。
前文 および 定義: モルディブ(AOSIS)と EUが、気候変動には考えうる最大の協力が必要だとの認識を記載することを提案した。また、EU は、CBDRRCが出てくる全ての箇所に、各国の異なる状況についての言及を追加することも提案した。スイス は、ジェンダーと人権について、別々のパラグラフを設けるよう求めた。AILAC は、人権だけに独立したパラグラフを求めた。リヒテンシュタインは、合意は2015年以降の開発アジェンダの実現に大きく貢献するものであるべきだと示唆した。
イランは、 LMDCsの立場から、現在の世界の GHG 排出量 の大半が先進国からの排出に由来するものであり、途上国の排出量は社会のニーズや開発の必要性に応じて増大するものだとの認識について留意することを提案した。オーストラリア は、資金 および 支援の供与を歴史的に扱うべきだとの認識するよう提案した。
米国は、パリで合意されるはずの新たな附属書xを追加するためのプレースホルダーを挿入し、変化する排出量や経済趨勢に関する諸基準を踏まえて定期的に更新していくことを提案。また、新たな附属書yについては、各国の能力や変化する経済情勢を踏まえて合意することを提案した。セントルシアは、提案されている新たな附属書の範疇から洩れる締約国向けに新たな附属書zを設けるプレースホルダーを提案した。
草案文の簡素化: Reifsnyder共同議長は、テキストの簡素化について締約国から意見を募り、締約国から参照した意見を個別文書にまとめることとし、リマからの要素文をベースに、セクション毎に作業を進めていくことを提案した。
チリは、 AILACの立場から、テキストに関してコメントしたいと積極的な意向を示すとともに、セクション C (総則/目的)を維持することが重要だと強調した上で、2つのパラグラフを合体させる方法を示唆した。いくつかの締約国は、簡素化のアプローチを明瞭にするよう求め、議事進行上の問題があると声を上げた。
中国、ベネズエラは、リマからの要素文に戻ることは一歩後退することになるとの懸念を示した。ベネズエラ、 サウジアラビア、 ウガンダ、 マレーシア(LMDCs)、 ベリーズ および スーダン(アフリカン・グループ)等の数カ国は、改訂テキストに集中すべきだと強調した。また、いくつかの国が、文章の重複を避ける必要があると強調し、自国の見解がきちんと反映されているか改訂テキストを検証したいとの要望を伝えた。
インド は、別個の進化型文書として各国の意見をまとめるという保証が欲しいと述べた。
ブラジルは、要素文の完全性を維持する案を支持し、COP決定書の要素と条約の要素をできるだけ区別するとともに、各国の違いをビジュアル化したものか図表を入れたノンペーパーの作成を提案した。スーダンは、アフリカン・グループの立場から、現段階では決定書の要素と条約の要素を区別することには反対だと述べた。
マレーシアは、 LMDCsの立場から、 簡素化にあたっては、条約および リマの合意文の調整や、諸提案の微妙な意味合いの保持、バランスの取れた方法による各要素の議論等に集中すべきだと述べた。エチオピア、ベネズエラは、各締約国には新たなテキストを提案する権利があると主張した。ブラジルは、各国に新たなテキストの提案を控えるよう促した。 メキシコ は、テキストの簡素化作業をすぐさま開始するよう求めた。
Reifsnyder共同議長は、11日(水)午前には改訂版テキスト全文を提供し、水曜午前のADPコンタクトグループで2015年合意の全体的な構成について議論し、午後からはテキスト簡素化の方策についての検討に入る予定であると発表した。
ADP ワークストリーム 2
Reifsnyder共同議長は、ADPが技術審査プロセス (TEP)の進め方をCOP21へ勧告しなければならないことを改めて確認し、他のワークストリーム2の側面については12日(木)に検討を行うと述べた。
COP 20議長のJorge Voto-Bernales(ペルー)は、 リマ-パリ行動アジェンダおよび非国家主体の役割を強調した。COP 21 議長のLaurence Tubiana(フランス)は、リマ-パリ行動アジェンダを前進させるための努力について強調し、低炭素経済は“避けられない”のだと述べた。UNFCCCのChristiana Figueres事務局長は、中央政府だけでなく、すべての利害関係者が行動を起こすよう動機づけることが“比較的新しい知恵”なのだと強調した。進行役 Tosi Mpanu-Mpanu (コンゴ民主共和国) は、TEP とその成果を強化するための手段について検討するよう求めた。
マリは、G-77/中国の立場から、 “より多く、より速く、今”、やるべきことにと軸足を移すべきだと主張した。モルディブが、 AOSISの立場から、 SIDSにおける再生可能エネルギーに焦点を当てつつ、迅速な行動に焦点を当てるよう求めた。ブラジルは、TEM に“金融業界や投資業界”の専門知識を結集させることを提案した。インドは、利用可能な技術や資金のコスト、各国がそれらを吸収する能力に対して、特に注意を払うよう促した。中国は、TEPが多国間評価プロセスや資金に関する常設委員会からの情報を活用すべきだと提案した。南アフリカは、コロンビアの支持を得て、TEMは実施による経験に焦点を当てるよう求めた。
米国は、 EU とコロンビアの支持を受け、 政策決定者向け要約を作成することを提案した。また、EUは、高い緩和の潜在力を有する分野や優良実践事例に特化すべきだと提案した。コロンビアは、例えば交通などの“政策オプションの欠落”に対すして注意を喚起した。サウジアラビアは、水、海洋保護とブルーカーボン、経済多角化、土地利用、都市計画、食料安全保障に注目するよう求めた。
さらに、TEPにUNFCCCの諸機関や関連する主な国際機関をいかに関与させるかという方策を中心に議論が続けられ、主な国際機関の役割についての討議が午後行われた。
廊下にて
ADPは、2月10日(火)午前、テキストの初回検討を終えた。当初予定されていた8回の会合が5回のコンタクトグループ会合だけで完了となった。とはいえ、テキストの分量自体は200%以上“膨張”してしまったと多くの参加者が指摘していた。
午後のセッションは、テキストの簡素化という“難易度の高い課題”への取り組みかたが議論された為、手続き上の問題が焦点となった。「初日から順調に議論が進展したので、次の段階に進む前に手続きの議論に入るのはやむを得ぬ、当然のことだ」と、ある政府代表の弁。会議場を後にした参加者の多くは、プロセスがどうすれば前進するのか思案を巡らせていた。
– 改訂版テキストを現状のまま別文書の形で簡素化したものをボン会議に先送りするのか、新提案を盛り込むのか、交渉の場をもっと小さな舞台に移すのか、ノンペーパーを作成するのか….等といった課題だ。
一方、TEPについては、協調精神と各国政府だけでなく国家以外の主体にも手を差し伸べる姿勢を多数の参加者が評価していた。「気候変動について胸躍る出来事が世界中でたくさん起こっていることに注目してみるのも、たまには良いものだ。」
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